- 英
- decerebrate rigidity
- 同
- 除脳固縮
- 関
- 除皮質硬直、除脳姿勢、除脳肢位
- γ運動ニューロン、γ固縮、中脳動物
- 脳死では見られない ← 脳死はJCS III-300
参考
- http://www.fairwiki.org/images/1/19/Decerbrate_posturing_1.JPG
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=yZUE2Dvf1Q4</youtube>
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/04 22:52:39」(JST)
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除脳硬直(じょのうこうちょく、英: decerebrate posturing)は、中枢神経の障害により、四肢の抗重力筋が収縮した際にみられる異常肢位のひとつ。除皮質硬直よりも重症とされ、延髄よりも中枢側に病変はあり、中脳や橋の損傷によるものが多い。
目次
- 1 症候
- 2 メカニズム
- 3 臨床応用
- 4 出典
- 5 参考文献
症候
両上肢は肘で伸展、前腕は回内、手関節は軽度屈曲する。両下肢は股関節で内転、膝関節で伸展し、足関節は底屈をする。体幹は弓なり反張を呈することがある。
除脳硬直があるとき、頭部を左や右に向けると、向けた側の上下肢は伸展し、反対側の上下肢は屈曲する(強直性頚反射、tonic neck reflex)。これは原始反射のひとつである。
メカニズム
除脳硬直は前庭神経核および橋網様体を中枢とする反射で起こると考えられる。骨格筋の筋緊張はこの二つの神経核から出る内側縦束および外側前庭脊髄路という二つの伝導路からの支配を受けている。前庭神経核の内側核および橋網様体から発する内側縦束は脊髄前角にある抑制性介在ニューロンを通して、下位運動ニューロンの興奮を抑制している。一方前庭神経外側核から発する外側前庭脊髄路は同じ骨格筋でも屈曲筋への運動ニューロンに対しては抑制性に働き、体幹筋や伸展筋へのそれに対しては興奮性介在ニューロンを通して興奮を促進している。抑制性の支配は、同時に赤核脊髄路、皮質脊髄路などを通じ、より上位中枢からの支配も受けている。
中脳以上からの信号入力がなくなると、体幹筋や伸展筋では抑制性入力が相対的に弱まり、まず筋紡錘を支配するγ運動ニューロンの発火が亢進する。これにより脊髄反射経路を通った興奮がα運動ニューロンを興奮させて筋緊張の亢進状態が持続するのである。実際に実験動物において、脳幹を中脳の上丘と下丘の間のレベルで離断すると、除脳硬直の状態を起こすことができる。
臨床応用
除脳硬直があれば即座に重度の意識障害と診断される重要な症候であり、意識障害の評価尺度であるグラスゴー・コーマ・スケールでは除脳硬直ならば4点(開眼1点+言語1点+運動2点、開眼機能や言語機能がある程度保たれていれば当然除脳硬直とはいえない)、ジャパン・コーマ・スケールでは200、エマージェンシー・コーマ・スケールでは200Eと評価される。
原因疾患としては脳出血(脳内出血、クモ膜下出血)、脳底動脈血栓症、脳腫瘍などがあり、この徴候が見られる時は予後が悪いとされる[1]。クモ膜下出血では主な重症度分類(HuntとHessの分類やHuntとKosnikの分類)で除脳硬直の有無が診断の必須項目となっており、手術適応など治療方法が変わってくるため重要視される[2](その項を参照)。
出典
- ^ 田崎他(2004)p.289
- ^ 篠原他編(2009)pp.182-196
参考文献
- 田崎、斎藤著、坂井改訂『ベッドサイドの神経の診かた』改訂16版、南山堂、2004年、p.289。ISBN 9784525247164
- Parent, André (1996), “Pons”, Carpenter's human neuroanatomy 9th ed., Media: Williams & Wilkins, pp. 493-495, ISBN 0683067524
- Nieuwenhuys, Rudolf; Voogd, Jan; van Huijzen, Christiaan (2008), “Motor systems”, The human central nervous system 4th ed., Berlin: Springer-Verlag, pp. 872-875, ISBN 9783540346845
- 篠原他編集、脳卒中合同ガイドライン委員会『脳卒中治療ガイドライン2009』、協和企画、2009年。ISBN 9784877941192
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Japanese Journal
- 頭蓋内圧亢進症状のサインとアセスメント (頭蓋内圧のモニタリングと管理)
- 脳室内ドレナージを留置した脳室内出血患者に対する早期リハビリテーションの経験
- 横井 智子,長尾 徹
- 神戸大学医学部保健学科紀要 22, 23-31, 2006
- … 発症時の意識レベルはJapan Coma Scale(JCS)において3桁で、両側縮瞳および除脳硬直肢位を認めた。 …
- NAID 110006483385
- 河野 浩之,菅 智宏,寺崎 修司,橋本 洋一郎,丸田 佳代,山部 浩茂,内野 誠
- 臨床神経学 : CLINICAL NEUROLOGY 44(8), 545-548, 2004-08-01
- NAID 10013503472
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★リンクテーブル★
[★]
- 12歳の男児。半年前から、ボーッとして横になっていることが多くなり、家に引きこもるようになったため、母親に連れられて来院した。2歳時に麻疹に感染したという。診察時に、傾眠傾向にあり、ときおり右の上下肢にミオクローヌスを認める。脳波検査で周期性同期性放電を認める。髄液検査で、蛋白濃度の軽度上昇、麻疹ウイルス抗体価の上昇およびIgGの増加を認める。
- この疾患でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A054]←[国試_099]→[099A056]
[★]
- 73歳の男性。突然の意識消失のため搬入された。60歳時から毎年健康診断で高血圧を指摘されていたが、医療機関を受診していなかった。意識レベルはJCS III-300。脈拍64/分、整。血圧210/130mmHg。除脳硬直、左方向への共同偏視および左瞳孔散大がみられた。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104C023]←[国試_104]→[104C025]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095A066]←[国試_095]→[095A068]
[★]
- 英
- subarachnoid hemorrhage, SAH
- 同
- (国試)くも膜下出血
[show details]
くも膜下出血 : 約 1,360,000 件
クモ膜下出血 : 約 373,000 件
脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血に統一されている
疫学
- SCN.206
- 発症率:6-29/10万人/年
- 50-60歳が発症のピーク。
- 加齢によって発生率が上昇
- 動脈瘤破裂によるクモ膜下出血は女性に多い
リスク因子
- 参考1
病因
- 外傷によるクモ膜下出血を除く
- 1. 脳動脈瘤破裂:60-80% → ちなみに脳動脈瘤の破裂部位は前大脳動脈領域40%、内頚動脈領域30%、中大脳動脈領域20%、らしい(出典不明、資料によって%異なるので注意)
- 2. 脳動静脈奇形:10%
- 3. 高血圧性脳内出血:10%
- 4. その他(もやもや病、外傷)
症状
- ただし、内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤による動眼神経麻痺(眼瞼下垂や複視)は動脈瘤サイズの拡大や限局した出血である可能性がある(SCN.207)。内頚動脈から眼動脈が分岐する部位での動脈瘤では視力障害をきたしうる。
- 1. 突然の(これまで経験したことのないような)激しい頭痛。持続的。
- 2. 悪心・嘔吐 ← 脳圧亢進症状
- 3. 意識障害(半数の症例) ← 一過性
- 4. 項部硬直 ← 硬膜刺激症状:初期には出現しないことがある(YN.J-91 NHB.603 )。 ← 発症初期には明らかでないことが多い(出典不明)。
- 発熱で気づかれることもあるらしい。
検査
- 血液検査:白血球増加(頭蓋内出血による急性炎症反応が起こった場合 → 102C031)
- 眼底
- 硝子体下出血を認めることがある(CASES.194)
その他
- (研修医当直御法度 症例帳 p.8
- 28%の例にCK上昇が見られる。
- 90%の例に心電図異常が認められる。
重症度分類
- SCN.207 参考1
Grade
|
Hunt and Hess分類(1968)
|
Hunt and Kosnik分類(1974)
|
WFNS分類(1983)
|
GCS score
|
主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)
|
I
|
無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
|
15
|
なし
|
Ia
|
ー
|
急性の髄膜あるいは脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
|
ー
|
ー
|
II
|
中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
|
14~13
|
なし
|
III
|
傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
|
14~13
|
あり
|
IV
|
昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
|
12~7
|
有無は不問
|
V
|
深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの
|
6~3
|
有無は不問
|
|
|
重篤な全身性疾患、たとえば 高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、 または慢性肺疾患、 または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が 著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す。
|
|
|
合併症
- SCN.211 YN.J-92
- 再出血:発症後24時間以内(6時間未満が最多(出典不明))。動脈瘤破裂によるSAHの場合、再発率は50-80%。初回死亡率50%、再発作死亡率50-70%
- 脳血管攣縮
- 脳血管攣縮により遅発性虚血脳神経脱落症状が出現することがある。出現は4-14日(SCN)/7-8日(YN)がピーク。早期(3日以内)や後期(21日以降)の発症もあり売る。脳血管上の攣縮は70%の症例で見られ、このうち36%で症状が出現する。予防は循環血液量を保ち、開頭術・コイル祖塞栓術を施行したのち、脳槽・脊髄ドレナージをおこない原因となる血性髄液を排出する。
- 脳梗塞:血管攣縮による
- 水頭症(クモ膜下出血後水頭症):数週~数ヶ月後(YN)。血性髄液によりクモ膜顆粒に炎症が生じ髄液の吸収障害をきたす。
治療
- YN.J-92 SCN.209
- 治療方針:脳動脈瘤破裂の治療として再出血の防止を行う(24時間以内のクリッピング、脳血管内治療)。
-
- 早期手術:Grade I-IIIの症例が対象。Grade IV-Vであっても意識回復の見込みがあれば行う。
- 晩期手術:
予後
- 発症時に約20%が死亡
- 発症後、2週間以内の死亡が多い。6か月以内に約半数は再出血して死亡することが多い。
参考
- http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
国試
著名人
[★]
- 英
- Japan Coma Scale, JCS
- 同
- 3-3-9度方式、ジャパン・コーマ・スケール
- 関
- 意識障害の評価法。グラスゴー・コーマ・スケール GCS
JCS
- 1.覚醒している(confusion, senselessness, delirium)
- 1 だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
- 2 見当識障害あり
- 3 名前、生年月日がいえない
- 2.刺激すると覚醒する(stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, drowsiness)
- 10 呼びかけで容易に開眼する
- 20 大きな声、または体をゆさぶることにより開眼する
- 30 痛み刺激で辛うじて開眼する
- 3.刺激しても覚醒しない(deep coma, coma, semicoma)
- 100 はらいのける動作をする
- 200 手足を少し動かしたり顔をしかめたりする(除脳硬直を含む) → 除皮質硬直も200らしい(出典不明)
- 300 全く動かない
1.覚醒している(confusion, senselessness, delirium)
|
|
1
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だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
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2
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見当識障害あり
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3
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名前、生年月日がいえない
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2.刺激すると覚醒する(stupor, lethargy, hypersomnia, somnolence, drowsiness)
|
|
10
|
呼びかけで容易に開眼する 合目的的な運動(例えば、右手を握れ、離せ)をするし、言葉も出るが、間違いが多い
|
20
|
大きな声、または体をゆさぶることにより開眼する 簡単な命令に応ずる(例えば、何らかの理由で開眼できない場合の離握手)
|
30
|
痛み刺激で辛うじて開眼する 痛み刺激をくわえつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
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3.刺激しても覚醒しない(deep coma, coma, semicoma)
|
|
100
|
はらいのける動作をする
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200
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手足を少し動かしたり顔をしかめたりする(除脳硬直を含む)
|
300
|
全く動かない
|
付記する記号
- 以下に当てはまれば、xxx-RIAのように表記する
JCS補足 IMD.41
- 10:合目的的な運動(例えば、右手を握れ、離せ)をするし、言葉も出るが、間違いが多い
- 20:簡単な命令に応ずる(例えば、何らかの理由で開眼できない場合の離握手)
- 30:痛み刺激をくわえつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
[★]
- 英
- slow viral encephalitis
遅発性ウイルス性脳炎の分類 IMD.1048
PRPとSSPEの臨床的特徴 IMD.1048
|
PRP
|
SSPE
|
病因ウイルス
|
風疹
|
麻疹
|
感染時期
|
子宮内
|
2歳未満
|
発症年鈴
|
10-12歳
|
5-15歳
|
性差
|
男性
|
男性>女性
|
臨床症状
|
認知症、小脳失調
|
認知症、除脳硬直、ミオクローヌス
|
臨床経過
|
慢性進行性
|
亜急性進行性
|
発症~死亡
|
約10年
|
約5年
|
脳病変の強度
|
小脳>大脳
|
小脳<大脳
|
[★]
- 英
- uncal herniation
- 同
- 鉤回ヘルニア
- 関
- テント切痕ヘルニア transtentorial herniation, incisural herniation、鉤、脳ヘルニア
概念
- テント切痕ヘルニアの一つ。病巣が片側であり、外側から内側に向かう圧迫が生じると、一側側頭葉鉤回、海馬回がテント切痕下部にヘルニアを起こす。これにより病側の動眼神経、中脳、後大脳動脈が圧迫される。(SCN.142)
鉤ヘルニアの三徴候
進展の段階
- SCN.143
- 初期症状:病側の瞳孔拡大と対光反射減弱、ヘルニアによる意識障害、麻痺は軽微で呼吸障害無し。
- 中脳期:意識障害、昏睡、散大、外眼筋麻痺、対側麻痺、除脳硬直様肢位。さらに、同側麻痺、瞳孔散大、四肢の除脳硬直位、前庭眼球反射の消失
- 橋期:過呼吸パターン減少、浅く速い呼吸、瞳孔固定、対光反射、前庭眼球反射消失、弛緩性麻痺
- 延髄期:呼吸は遅く不規則、無呼吸、瞳孔散大、低血圧、脳死
[★]
- 英
- decorticate rigidity
- 同
- 除皮質固縮
- 関
- 除脳硬直、除皮質姿勢、除皮質肢位
- 大脳の広汎な障害による。内包から大脳脚にかけての皮質脊髄路の障害を示す。
- Mann-Wernickeの姿勢である。
- 頸部付近に刺激を加えたときに、上肢が屈曲し、かつ、下肢が伸展又は内旋することをいう。(臓器の移植に関する法律施行規則#第二条の2)
- 上肢:屈曲
- 肩 :内転
- 肘 :屈曲
- 手首:屈曲
- 下肢:伸展、内転、内旋
- 除皮質硬直 → 除脳硬直 たのしそー
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=yZUE2Dvf1Q4</youtube>
[★]
- 英
- decerebration、decerebrate