- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 58歳の男性。激しい頭痛と嘔気とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 最近多忙で睡眠不足が続いていた。仕事中にこれまで経験したことがない激しい頭痛が起き、嘔気も伴った。横になって安静にしていたが、6時間後でも頭痛は軽快していない。
- 既往歴 : 40歳時から健診を受け、毎年高血圧を指摘されているが、治療はしていない。
- 現症 : 顔貌は苦悶状で、頭をおさえて「痛い、痛い」と言い、時に嘔気も訴えている。体温36.9℃。脈拍92/分、整。血圧182/102mmHg.頸部の前屈で強い抵抗を認める。心雑音はなく、呼吸音にも異常を認めない。腹部はほぼ平坦で、肝・肺を触知せず、圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。四肢に明らかな麻痺はない。深部腱反射は正常で、病的反射は認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球420万、Hb13.0g/dl、Ht36%、白血球6,800、血小板21万。CRP0.2mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D040]←[国試_100]→[100D042]
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、39、40の問いに答えよ。
- 58歳の男性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
- 現病歴: 4年前に狭心症と診断され、アスピリンと硝酸薬とを服薬していたが、半年前から中断していた。3か月前から駅の階段を昇るとき軽度の胸痛を感じていた。2日前冷汗を伴う前胸部絞扼感が数時間持続し、自宅での安静で軽快した。しかし、昨夜就寝後呼吸困難のため覚醒した。横になると呼吸困難が再発するので眠れず、午前3時に来院した。
- 既往歴: 8年前に糖尿病を指摘された。
- 現症: 意識は清明。身長169cm、体重75㎏。呼吸数28/分。脈拍104/分、整。血圧102/88mmHg。頸静脈の怒張を認めるが、心雑音はない。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に圧痛を認める。両側下腿に浮腫を認める。
- 検査所見: 尿所見: 蛋白1+、糖2+。血液所見: 赤血球430万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球9,500、血小板30万。血清生化学所見: 血糖150mg/dl、HbA1c8.8%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.0g/dl、尿素窒素26mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、総コレステロール224mg/dl、トリグリセライド190mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST60単位、ALT34単位、LDH620単位(基準176~353)、CK960単位(基準10~110)、Na148mEq/l、K4.6mEq/l、Cl103mEq/l。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)96%(酸素3l/分投与下)。入院時の胸部エックス線写真と心電図とを次に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D039]←[国試_100]→[100D041]
[★]
- 次の文を読み、41、42の問いに答えよ。
- 58歳の男性。激しい頭痛と嘔気とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 最近多忙で睡眠不足が続いていた。仕事中にこれまで経験したことがない激しい頭痛が起き、嘔気も伴った。横になって安静にしていたが、6時間後でも頭痛は軽快していない。
- 既往歴 : 40歳時から健診を受け、毎年高血圧を指摘されているが、治療はしていない。
- 現症 : 顔貌は苦悶状で、頭をおさえて「痛い、痛い」と言い、時に嘔気も訴えている。体温36.9℃。脈拍92/分、整。血圧182/102mmHg.頸部の前屈で強い抵抗を認める。心雑音はなく、呼吸音にも異常を認めない。腹部はほぼ平坦で、肝・肺を触知せず、圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。四肢に明らかな麻痺はない。深部腱反射は正常で、病的反射は認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球420万、Hb13.0g/dl、Ht36%、白血球6,800、血小板21万。CRP0.2mg/dl。
- a. 頭部単純CT
- b. 脳脊髄液検査
- c. 頭部単純MRI
- d. 凝固・線溶検査
- e. 頸動脈超音波検査
[正答]
※国試ナビ4※ [100D041]←[国試_100]→[100D043]
[★]
- 英
- subarachnoid hemorrhage, SAH
- 同
- (国試)くも膜下出血
[show details]
くも膜下出血 : 約 1,360,000 件
クモ膜下出血 : 約 373,000 件
脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血に統一されている
疫学
- SCN.206
- 発症率:6-29/10万人/年
- 50-60歳が発症のピーク。
- 加齢によって発生率が上昇
- 動脈瘤破裂によるクモ膜下出血は女性に多い
リスク因子
- 参考1
病因
- 外傷によるクモ膜下出血を除く
- 1. 脳動脈瘤破裂:60-80% → ちなみに脳動脈瘤の破裂部位は前大脳動脈領域40%、内頚動脈領域30%、中大脳動脈領域20%、らしい(出典不明、資料によって%異なるので注意)
- 2. 脳動静脈奇形:10%
- 3. 高血圧性脳内出血:10%
- 4. その他(もやもや病、外傷)
症状
- ただし、内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤による動眼神経麻痺(眼瞼下垂や複視)は動脈瘤サイズの拡大や限局した出血である可能性がある(SCN.207)。内頚動脈から眼動脈が分岐する部位での動脈瘤では視力障害をきたしうる。
- 1. 突然の(これまで経験したことのないような)激しい頭痛。持続的。
- 2. 悪心・嘔吐 ← 脳圧亢進症状
- 3. 意識障害(半数の症例) ← 一過性
- 4. 項部硬直 ← 硬膜刺激症状:初期には出現しないことがある(YN.J-91 NHB.603 )。 ← 発症初期には明らかでないことが多い(出典不明)。
- 発熱で気づかれることもあるらしい。
検査
- 血液検査:白血球増加(頭蓋内出血による急性炎症反応が起こった場合 → 102C031)
- 眼底
- 硝子体下出血を認めることがある(CASES.194)
その他
- (研修医当直御法度 症例帳 p.8
- 28%の例にCK上昇が見られる。
- 90%の例に心電図異常が認められる。
重症度分類
- SCN.207 参考1
Grade
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Hunt and Hess分類(1968)
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Hunt and Kosnik分類(1974)
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WFNS分類(1983)
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GCS score
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主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)
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I
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無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
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15
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なし
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Ia
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ー
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急性の髄膜あるいは脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
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ー
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ー
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II
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中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
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14~13
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なし
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III
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傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
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14~13
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あり
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IV
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昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
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12~7
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有無は不問
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V
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深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの
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6~3
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有無は不問
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重篤な全身性疾患、たとえば 高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、 または慢性肺疾患、 または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が 著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す。
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合併症
- SCN.211 YN.J-92
- 再出血:発症後24時間以内(6時間未満が最多(出典不明))。動脈瘤破裂によるSAHの場合、再発率は50-80%。初回死亡率50%、再発作死亡率50-70%
- 脳血管攣縮
- 脳血管攣縮により遅発性虚血脳神経脱落症状が出現することがある。出現は4-14日(SCN)/7-8日(YN)がピーク。早期(3日以内)や後期(21日以降)の発症もあり売る。脳血管上の攣縮は70%の症例で見られ、このうち36%で症状が出現する。予防は循環血液量を保ち、開頭術・コイル祖塞栓術を施行したのち、脳槽・脊髄ドレナージをおこない原因となる血性髄液を排出する。
- 脳梗塞:血管攣縮による
- 水頭症(クモ膜下出血後水頭症):数週~数ヶ月後(YN)。血性髄液によりクモ膜顆粒に炎症が生じ髄液の吸収障害をきたす。
治療
- YN.J-92 SCN.209
- 治療方針:脳動脈瘤破裂の治療として再出血の防止を行う(24時間以内のクリッピング、脳血管内治療)。
-
- 早期手術:Grade I-IIIの症例が対象。Grade IV-Vであっても意識回復の見込みがあれば行う。
- 晩期手術:
予後
- 発症時に約20%が死亡
- 発症後、2週間以内の死亡が多い。6か月以内に約半数は再出血して死亡することが多い。
参考
- http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
国試
著名人