- 36歳の男性。急に出現した頭痛と右眼瞼下垂とを主訴に来院した。意識は清明。右瞳孔は左より大きく対光反射は消失している。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D014]←[国試_101]→[101D016]
★リンクテーブル★
[★]
- 40歳の女性。夜間当直に電話をかけてきた。当直医(A医師)と患者との会話を以下に示す。
- 医師「当直医のAです。どうしましたか」患者「眼が痛いのです」
- 医師「もう少し詳しく話してもらえますか」
- 患者「目薬と間違えて、他の薬を目にさしてしまいました」
- 医師「何の薬ですか」
- 患者「液状の水虫薬です」
- 医師「どれくらい前ですか」
- 患者「さしたばかりです」
- 医師「痛みはどんな感じですか」
- 患者「しみるように痛みます」
- 医師「病院まではどれくらいで来られますか」
- 患者「夫の運転する車で30分で着きます」
- 指示として適切なのはどれか。
- a. 「そのまま急いで来てください」
- b. 「目を冷やしながら来てください」
- c. 「水道水で目を洗ってから来てください」
- d. 「薄めたお酢で目を洗ってから来てください」
- e. 「2、3時間様子をみて痛みが続けば来てください」
[正答]
※国試ナビ4※ [101D013]←[国試_101]→[101D015]
[★]
- 45歳の女性。体動時の息切れを主訴に来院した。半年前から駅の階段を上がる際に息切れと動悸とを自覚していた。最近、平地での早歩き程度でも動悸を感じるようになった。意識は清明。身長154cm、体重49kg。呼吸数18/分。脈拍92/分、整。血圧126/82mmHg。眼瞼結膜は貧血様。大動脈弁領域に駆出性の収縮期雑音を認める。血液所見:赤血球300万、Hb8.1g/dl、Ht23%、白血球4,200、血小板40万、白血球分画に異常はない。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D015]←[国試_101]→[101D017]
[★]
- 英
- subarachnoid hemorrhage, SAH
- 同
- (国試)くも膜下出血
[show details]
くも膜下出血 : 約 1,360,000 件
クモ膜下出血 : 約 373,000 件
脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血に統一されている
疫学
- SCN.206
- 発症率:6-29/10万人/年
- 50-60歳が発症のピーク。
- 加齢によって発生率が上昇
- 動脈瘤破裂によるクモ膜下出血は女性に多い
リスク因子
- 参考1
病因
- 外傷によるクモ膜下出血を除く
- 1. 脳動脈瘤破裂:60-80% → ちなみに脳動脈瘤の破裂部位は前大脳動脈領域40%、内頚動脈領域30%、中大脳動脈領域20%、らしい(出典不明、資料によって%異なるので注意)
- 2. 脳動静脈奇形:10%
- 3. 高血圧性脳内出血:10%
- 4. その他(もやもや病、外傷)
症状
- ただし、内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤による動眼神経麻痺(眼瞼下垂や複視)は動脈瘤サイズの拡大や限局した出血である可能性がある(SCN.207)。内頚動脈から眼動脈が分岐する部位での動脈瘤では視力障害をきたしうる。
- 1. 突然の(これまで経験したことのないような)激しい頭痛。持続的。
- 2. 悪心・嘔吐 ← 脳圧亢進症状
- 3. 意識障害(半数の症例) ← 一過性
- 4. 項部硬直 ← 硬膜刺激症状:初期には出現しないことがある(YN.J-91 NHB.603 )。 ← 発症初期には明らかでないことが多い(出典不明)。
- 発熱で気づかれることもあるらしい。
検査
- 血液検査:白血球増加(頭蓋内出血による急性炎症反応が起こった場合 → 102C031)
- 眼底
- 硝子体下出血を認めることがある(CASES.194)
その他
- (研修医当直御法度 症例帳 p.8
- 28%の例にCK上昇が見られる。
- 90%の例に心電図異常が認められる。
重症度分類
- SCN.207 参考1
Grade
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Hunt and Hess分類(1968)
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Hunt and Kosnik分類(1974)
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WFNS分類(1983)
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GCS score
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主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)
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I
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無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
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15
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なし
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Ia
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ー
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急性の髄膜あるいは脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
|
ー
|
ー
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II
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中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
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14~13
|
なし
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III
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傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
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14~13
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あり
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IV
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昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
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12~7
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有無は不問
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V
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深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの
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6~3
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有無は不問
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重篤な全身性疾患、たとえば 高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、 または慢性肺疾患、 または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が 著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す。
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|
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合併症
- SCN.211 YN.J-92
- 再出血:発症後24時間以内(6時間未満が最多(出典不明))。動脈瘤破裂によるSAHの場合、再発率は50-80%。初回死亡率50%、再発作死亡率50-70%
- 脳血管攣縮
- 脳血管攣縮により遅発性虚血脳神経脱落症状が出現することがある。出現は4-14日(SCN)/7-8日(YN)がピーク。早期(3日以内)や後期(21日以降)の発症もあり売る。脳血管上の攣縮は70%の症例で見られ、このうち36%で症状が出現する。予防は循環血液量を保ち、開頭術・コイル祖塞栓術を施行したのち、脳槽・脊髄ドレナージをおこない原因となる血性髄液を排出する。
- 脳梗塞:血管攣縮による
- 水頭症(クモ膜下出血後水頭症):数週~数ヶ月後(YN)。血性髄液によりクモ膜顆粒に炎症が生じ髄液の吸収障害をきたす。
治療
- YN.J-92 SCN.209
- 治療方針:脳動脈瘤破裂の治療として再出血の防止を行う(24時間以内のクリッピング、脳血管内治療)。
-
- 早期手術:Grade I-IIIの症例が対象。Grade IV-Vであっても意識回復の見込みがあれば行う。
- 晩期手術:
予後
- 発症時に約20%が死亡
- 発症後、2週間以内の死亡が多い。6か月以内に約半数は再出血して死亡することが多い。
参考
- http://www.jsts.gr.jp/jss08.html
国試
著名人
[★]
- 英
- cerebral aneurysm、intracranial aneurysm
- 同
- 頭蓋内動脈瘤 intracranial aneurysm
- 関
- 前交通動脈動脈瘤、頭蓋内動脈瘤、嚢状動脈瘤、脳底動脈瘤、桑実状動脈瘤、後交通動脈分岐部動脈瘤、中大脳動脈瘤
好発部位
- BPT.867
- 海外のデータ
- 1. 前交通動脈分岐部 40%
- 2. 中大脳動脈の第1分岐部 34%
- 3. 内頚動脈-後交通動脈分岐部 20%
- 4. 脳底動脈から後大脳動脈の分岐部 4%
- SQ.520
- 日本のデータ
- ウイリス動脈輪の前半部分が90%を占める
- 1. 前交通動脈
- 2. 内頸-後交通動脈分岐部
- 3. 中大脳動脈分岐部
未破裂脳動脈瘤による症状
国試
[★]
- 関
- 脳出血
国試
- 中脳出血では動眼神経麻痺、頭痛もありうる。麻痺や複視も伴うはず。