妊娠糖尿病
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/30 00:59:50」(JST)
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妊娠糖尿病(にんしんとうにょうびょう, 英語: gestational diabetes)は、妊娠中のみ血糖値が異常となる症状をいう。ICD-10:O24.4、O24.9。
妊娠中は、hPLやエストロゲン、プロゲステロンなどの妊娠中に増加するホルモンにより、耐糖能が悪化しがちであることによる。一般には、出産後に改善する。一方、もともと糖尿病患者が妊娠した場合は、糖尿病合併妊娠と呼ばれる。とは言え、もともと糖尿病であったかどうかを完全に確認できているわけではなく、妊娠糖尿病で発症し、分娩後もそのまま糖尿病が治らないこともままある。基本的に食事療法が行われるが、改善しない場合、後述の胎児へのリスクもあり、また飲み薬は催奇形性の懸念があるためインスリン注射療法を行うことになる。胎児への影響があるため、通常時より厳格な管理を必要とし、六分食やインスリン持続皮下注 (CSII) などを行うこともある。
妊娠糖尿病では先天異常のリスクが高まるが、妊娠初期から正常血糖を保っていれば、通常の妊娠と同等である。早産も多く、羊水過多、妊娠高血圧症候群の頻度も高いハイリスク妊娠のひとつである。妊娠糖尿病では巨大児になりやすいため、難産になりやすい。また妊娠糖尿病では中枢神経系よりも身体の発育が良いので、出産のときに頭が通っても肩が通らない肩甲難産になりやすい。そのため、分娩が長引く場合は帝王切開が良い。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 森野 佐芳梨,澤 龍一,谷川 大地,中窪 翔,上田 雄也,誉田 真子,中津 伸之,小野 玲,渡邊 香織
- 日本理学療法学術大会 2012(0), 48102043-48102043, 2013
- … 一方で、妊娠中の適度な運動は、精神面では妊婦の抑うつ状態を減少させ、身体面では妊娠性糖尿病の予防や安産につながると報告されている。 …
- NAID 130004586124
- P-106 妊娠中のグリコヘモグロビン(GHb)の変動パターンと妊娠性糖尿病(GDM)の予知について
- P-122 産褥早期の糖負荷試験で妊娠性糖尿病を診断することは可能か?
Related Links
- gooベビー「妊娠性糖尿病1[健診で見つかるトラブル]」についてのページです。妊娠中の 月齢別の情報、妊娠中の悩み、病気、マタニティ・レシピ等を詳細にご紹介しています。 特集コラムや掲示板も充実しています。
- 妊娠糖尿病。妊娠糖尿病とはどんな病気か 妊娠中に血糖値が高くなったり、血糖値が 高い状態が初めて発見された場合を妊娠糖尿病といいます。原因は何か 妊娠時には 胎盤(たいばん)で血糖値を上げやすいホルモン(インスリン拮 gooヘルスケア 家庭の 医学。
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- gestational diabetes mellitus GDM, gestational diabetes
- 同
- 妊娠性糖尿病
- 関
- 糖尿病、糖代謝異常妊娠
定義
妊娠により発生した妊娠中にのみ認められる糖代謝異常合併妊娠で、分娩後に改めて糖負荷試験を行うと、正常化する疾患概念
- 妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常である。あきらかな糖尿病(overt diabetes)は含めない。(参考1)
危険因子
- NGY.429
- 糖尿病の家族歴の有無、巨大児の分娩の有無、先天奇形の分娩歴の有無、原因不明の流産歴・早産歴・死産歴の有無、35歳以上、肥満者、尿糖陽性者
合併症
- G10M.164 参考1
母体
胎児
新生児
妊婦の妊娠糖尿病のスクリーニング
- 正常食(約400-600lcal)摂取後2-4時間の間に静脈血採取。血糖値が100 mg/dl以上であればOGTT 75gを行う。
- 100 mg/dlであっても、尿糖(+)、肥満、糖尿病の家族歴、あるいは巨大児出産の既往のいずれかがある場合にもOGTT 75gを行う。
診断基準
新診断基準
- 参考1,2
- 初診時およびインスリン抵抗性の高まる妊娠中期に随時血糖値検査を行い、100mg/dl以上の陽性者に対してOGTTを施行して診断
- <OGTT判定基準>
- ・空腹時血糖値≧92mg/dl
- ・1時間値≧180mg/dl
- ・2時間値≧153mg/dl
- の1点以上を満たした場合に妊娠糖尿病と診断する.
- ※但し,「臨床診断」における糖尿病と診断されるものは除く.
[show details]
古い診断基準
- 空腹時 :≧100 mg/dl
- 1時間値:≧180 mg/dl
- 2時間値:≧150 mg/dl
- いずれか2つ以上の基準値を満たせば妊娠糖尿病とする。
治療・管理
管理
管理目標
- 空腹時血糖 100mg/dl以下、食後2時間血糖値 120mg/dl以下、1日平均血糖値 100mg/dl以下、HbA1c 6%以下
食事療法
- 妊娠前半:標準体重 x 30 + 150 kcal/日
- 妊娠後半:標準体重 x 30 + 350 kcal/日
インスリン療法
- 経口血糖降下薬は胎盤通過性があり、胎児の安全性が確認されておらず、また乳汁中にも分泌されるため、妊娠から授乳がおわるまでは禁忌
分娩後の管理
- 分娩後6-12週に75g OGTTをおこない、糖尿病の評価を行う。
参考
- 1. クリニカルカンファレンス1 母体合併症 3)糖代謝異常合併妊娠 - 日産婦誌62巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/62/6209-114.pdf
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
[★]
- 英
- diabetes mellitus (SP), DM
- 関
- 糖尿病治療薬
- first aid step1 2006 p.first aid step1 2006 p.256,423
定義
- インスリンの不足
病型
- インスリン分泌の低下
- 血中インスリン濃度:低
- 遺伝や生活習慣病に関係なく発症。治療はインスリンの注射
- インスリン受容体や細胞内情報伝達系の質的・量的変化
- 一般に血中インスリン濃度:高
- 肥満、喫煙、運増などが関連
- 中高年に多い
- 運動療法と食事療法
参考1
- NIDDM:インスリン不要
- NIDDM:高血糖是正にインスリン必要
- IDDM:ケトーシス防止や生存にインスリン必要
症状
-
- 血糖値が170-180mg/dl以上で尿糖陽性となる。
- 血糖150mg/dlでも尿糖陽性であれば腎性尿糖が疑われる
- 口渇、多飲、多尿
- ケトーシス、アシドーシス体重減少
合併症
- 多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)
- 単神経障害
- 栄養血管の閉塞による脳神経障害
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)麻痺、顔面神経麻痺
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表5 糖尿病患者にみられる筋骨格系症状を呈する疾患と臨床的特徴
糖尿病との関係
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疾患
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臨床的特徴
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糖尿病が直接病因に関与する疾患
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糖尿病性手関節症(diabetic cheiroarthropathy)
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コントロール不良の糖尿病に多い。原因不明の皮膚硬化が徐々に進行し、手指の屈曲拘縮を来し手全体に及び、強皮症と誤診される。手指を合わせることができない(Prayer徴候)。
|
シャルコー関節
|
頻度は低い(1%)が、長期糖尿病コントロール不良患者に多い。通常、足根中足関節などの中足部が多く、足底表面、前足部、中足部に潰瘍形成の合併を認めることがあり、骨髄炎との鑑別が困難な例あり。
|
糖尿病性骨溶解(diabetic osteolysis)
|
原因不明の足趾の末節骨や基節骨の骨吸収が起こリ、足痛の原因となる。X線ではickedcandy変形を呈し、骨髄炎との鑑別が困難。
|
糖尿病性筋梗塞
|
外傷、感染、腫瘍がなく大腿部などに急激に増大する疼痛を伴う腫瘤を認める。生検は出血の危険があるため行わない。通常1~2カ月で自然寛解する
|
糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)
|
糖尿病性末梢神経障害の一型。大腿前部の痛みで、時に脱力や萎縮が非対称性に起きる。CPKの上昇はなく、脳脊髄液で軽度蛋白上昇以外の有意な所見はない。神経伝導速度.筋電図では神経原性変化を認め、筋生検では炎症細胞浸潤を伴わない筋線経の萎縮あり。
|
直接の関係は不明だが糖尿病患者に頻度が高い疾患
|
癒着性関節包炎(凍結肩または五十肩)
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糖尿病患者の10-33%にみられる。長期2型糖尿病を有する女性に多く、肩の痛みと可動域障害を呈する。約半数が両側性だが非利き手側で症状が強い。炎症反応やX線異常を認めず、数週~数カ月で自然寛解する。
|
複合性局所疼痛症候群1型(complex regional pain syndrome CRPS)
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四肢の疼痛、皮膚色変化、皮膚温の変化、浮腫、可動域制限などの症候を呈するまれな症候群。
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手掌屈筋鍵炎
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糖尿病患者の5-33%に認められる。長期に罹患した女性に多く、利き手側の母指に頻度(75%)が高いが、どの指にもみられる。
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Dupuytren拘縮
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手掌筋膜の短縮と肥厚(有痛性結節)を生じ、第4、5指の屈曲拘縮を呈する。1型糖尿病で長期に罹患した患者に多いが、血糖コントロールとの関係はない。
|
手根管症候群
|
手根管症候群の全患者の最大15%に糖尿病を認める。
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広汎性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis DISH)
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2型糖尿病患者の約20%にみられ、50才以上の肥満患者に多い。頭部、腰部のこわばリ、関節の可動域制限を呈する。全身の腱付着部痛を呈することもある。
|
その他
|
感染性関節炎や骨髄炎
|
血糖上昇による免疫力低下が感染症リスクを上昇させることによる
|
診断
血糖値検査による分類
正常 糖尿病型
空腹時血糖値 <110mg/dL ≧126mg/dL
and or
75g OGTT2時間値 <140mg/dL ≧200mg/dL
- 正常型であっても、食後1時間値が180mg/dL(10.0mmol/l)以上の場合には、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に進展する可能性が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察)を行う(参考1)。
診断基準
- 参考2-4
- 1) 初回検査で、①空腹時血糖値≧126mg/dl、②75gOGTT2時間値≧200mg/dl、③随時血糖値≧200mg/dl、④HbA1c(国際標準値)≧ 6.5%のうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断してよい。
- 2)血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
- 確実な糖尿病網膜症の存在
- 3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の検査値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。
- 4)上記1)~ 3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
- 5)初回検査と再検査における判定方法の選択には、以下に留意する。
- 初回検査の判定にHbA1cを用いた場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めることが診断に必須である。検査においては、原則として血糖値とHbA1cの双方を測定するものとする。
- 初回検査の判定が随時血糖値≧200mg/dlで行われた場合、再検査は他の検査方法によることが望ましい。
- HbA1cが見かけ上低値になり得る疾患・状況の場合には、必ず血糖値による診断を行う。
[show details]
- 以前の記事
- 1. 以下のいずれかの検査を行い、基準値を超えていれば糖尿病型と判定
- (1)空腹時血糖値 :≧126mg/dl
- (2)75g OGTT2時間値:≧200mg/dl
- (3)随時血糖値 :≧200mg/dl
- 2. 1.で2回続けて(別の日に行う。異なる検査項目が好ましい)糖尿病型と判定されるか、1.で1回糖尿病型と判定されかつ、以下の条件を満たすとき、「糖尿病」と診断する
- a. 糖尿病の典型的症状が存在すること
- b. HbA1c≧6.5%
- c. 糖尿病性網膜症が存在すること
- d. 過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
予後
- 糖尿病の死因の一位は心筋梗塞(Q book p.259)。
USMLE
高血圧と糖尿病を合併する病態
参考
- http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/newcriteria.htm
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
- 3. 糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会-糖尿病NET-資料室
- http://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/010167.php
- 4. 委員会報告 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 2010
- http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/635.pdf
[★]
- 英
- pregnancy, gravidity, gestation
- 関
- 妊娠週数、妊娠期間、(妊娠週数・妊娠月数の推定)子宮#子宮の大きさ、trimester。妊婦
- 妊娠x週
- x weeks of gestation
妊娠期間 (L.107)
- 最終月経の開始から280日(40週)
- 受精後266日(38週)
妊娠に伴う自覚、検査所見
- QB必修
- 尿検査による妊娠反応陽性:4週
- つわり症状 :6週
- 胎動の自覚 :18-20週
検査
超音波検査
- QB必修
- 妊娠4週:胎囊
- 妊娠5週:胎児
- 妊娠6週:胎児心拍
- 妊娠10-12週:ドップラーによる胎児心拍
尿妊娠反応
妊娠による変化
- G10M.38 NGY.293-303
- 循環血液量増加 → 血漿量の増加が血球成分の増加より著しい → 血液希釈(赤血球数↓、Hb↓、Ht↓)
- 白血球増加(5000~12000 /ul)。多核白血球優位に増加。
- 凝固能:凝固系亢進、線溶系抑制
- 血液凝固因子:第XI因子、第XIII因子を除き、血液凝固因子の濃度が上昇
- 胃:緊張度と運動性低下。食道括約筋圧低下、妊娠子宮による胃の変異により胃食道逆流が生じやすい(→麻酔管理では妊婦はfull stomach扱い)。
- 胸郭弛緩、横隔膜挙上、気道拡張(プロゲステロンによる気管平滑筋弛緩)
- →[一回換気量]増加、[予備呼気量]減少、[残気量]減少 → 残気量が減少し、一回換気量が増加 → 分時換気量増加
-
- 食後血糖は上昇。空腹時血糖は低下する。また、食後に高インスリン血症が持続する。 (NGY.293)
- FSH, LH:非妊娠時の基礎値
- hCG:10週前後にピークとなり以降、減少。
- PRL:妊娠末期に向かって増加
妊娠によるエネルギー付加量
- NGY.324
- 日本人成人女子の生活活動強度別の栄養所要量(kcal/day)
- 妊婦 +350
- G10M.72
- 妊娠初期:50kcal
- 妊娠中期:250kcal
- 妊娠末期:500kcal
- 授乳中:450kcal
妊娠と服用薬
- 妊娠と薬情報センター - 独立行政法人 国立成育医療研究センター
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
服用薬の影響
- 4週から7週末までは器官形成期であり、催奇形性が確認されているものはワルファリン(鼻奇形、骨形成不全)、メトトレキセート(種々の奇形)、抗てんかん薬(種々の奇形)がある。(参考1)
臨床関連
届出
参考
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患
[★]
- 英
- glycosuria、glucosuria