- 英
- lysozyme chloride
- 商
- アクディーム、ノイチーム、レフトーゼ、ムコゾーム、リフラップ
- 関
- リゾチーム
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/05 14:54:41」(JST)
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リゾチーム(Lysozyme,EC 3.2.1.17)とは、真正細菌の細胞壁を構成する多糖類を加水分解する酵素である。この作用があたかも細菌を溶かしているように見えることから溶菌酵素とも呼ばれる。ヒトの場合涙や鼻汁、母乳などに含まれている。工業的には卵白から抽出したリゾチームが食品や医薬品に応用されている。この酵素は1922年にアレクサンダー・フレミング(ペニシリンの発見でノーベル医学生理学賞を受賞した著明な細菌学者、Alexander Fleming)によって発見され、溶菌をあらわすlysisと、酵素をあらわすenzymeからLysozymeと命名された。
目次
- 1 性状
- 2 真正細菌に対する作用
- 3 利用
- 4 ダーゼン回収と効能の再評価指定
- 5 関連項目
|
性状
- 分子量:14,307
- 等電点:11.1~11.35
- 至適pH:5付近(溶菌法では7付近)
- 至適温度:50℃
- 一次構造
ニワトリ卵白リゾチームは129個(ヒトリゾチームは130個)のアミノ酸残基により構成される。酸性アミノ酸(Asp7、Glu2)に対して塩基性アミノ酸(Arg11、Lys6)の数が多いことと分子量の割にS-S結合が多いことが特徴である。
真正細菌に対する作用
グラム染色陽性の菌(以下グラム陽性菌)に作用し、グラム染色陰性の菌(以下グラム陰性菌)には作用しない。これはそれぞれの菌の構造の違いによるもの。グラム陽性菌の細胞壁はN-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸とがβ-1,4結合した多糖類を主成分とするペプチドグリカン層により構成されていて、ここにリゾチームが作用する。一方グラム陰性菌は、この細胞壁の外側にさらにリポ多糖による外膜が形成されているため、リゾチームが作用されても細胞壁成分は完全に分解されない。しかし、硬いペプチドグリカン層が分解されるため、その形状は維持できなくなり、球状を呈する。
リゾチームによる溶菌作用を受けやすい菌としては枯草菌(Bacillus subtillis)、Micrococcus lysodeikticusなどが知られている。
利用
食品添加物としては日持ちを向上させるために用いられる。特にグリシンと併用したり有機酸によりpHを調整することで効果が高まることから、卵白リゾチーム-グリシン-有機酸を組み合わせた製剤の形で食品メーカー向けに流通している。
塩化リゾチーム(リゾチーム塩酸塩)は、グリコサミノグリカンを分解する作用があるとして日本でも医薬品として主に風邪薬、副鼻腔炎向けなどに広く用いられている。海外ではドイツ、フランスでは用いられるが、英国、米国では用いられない。特許の多くは日本が所有していた。
ダーゼン回収と効能の再評価指定
2011年2月、再評価試験でプラセボとの有意差が認められなかったため武田薬品工業は消炎酵素製剤ダーゼンの自主回収をはじめた。なお、ダーゼンの一般名はセラペプターゼ(英)で、米国ではサプリメントとして分類され一般に販売されている。 2011年12月、厚生労働省の医薬品再評価部会は経口消炎酵素製剤リゾチーム塩酸塩を再評価を受けるべき品目に指定。これを契機にリゾチーム製剤の見直しが始まり、各社の対応としては主に
- 再評価試験をあきらめ販売を中止
- 歯槽膿漏に関する効能は削除するが、その他については再評価試験を申請
とする選択が多いようである。なお、
- あすか製薬ではアクディームから一部の効能を削除と再評価試験を申請
- エーザイでもノイチームの一部の効能削除と再評価試験を申請。
- 佐藤製薬ではアセス錠剤内服タイプを販売中止。
- 東和薬品では塩化リゾチーム製剤の販売中止。
- 日本新薬ではレフトーゼから一部の効能を削除と再評価試験を申請。
としている。
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P27-1 成人発症の鶏卵アレルギー症例の検討 : 塩化リゾチーム製剤による経口感作について(P27 食物アレルギー・症例,ポスター,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 研究・症例 器質化肺炎を呈した塩化リゾチームによる薬剤性肺炎の1例
Related Links
- 2009年8月17日 ... 一般名はリゾチーム塩酸塩(Lysozyme hydrochloride)と言うジェネリック医薬品です。 消炎酵素剤で、膿粘液を分解して鼻汁や痰の排出を容易にする作用、出血抑制作用、線維 芽細胞の増殖促進による炎症部位の組織修復促進作用があります。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
塩化リゾチーム顆粒10%「イセイ」
組成
- 塩化リゾチーム顆粒10%「イセイ」は、1g中にリゾチーム塩酸塩100mg(力価)を含有する。
- 添加物として乳糖水和物及びヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 卵白アレルギーのある患者
[本剤の成分は卵白由来の蛋白質で、卵白アレルギーを有する患者においてアナフィラキシー・ショックを含む過敏症状の報告がある。]
効能または効果
慢性副鼻腔炎
- 痰の切れが悪く、喀出回数の多い下記疾患の喀痰喀出困難
気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症
- 通常、成人は1日リゾチーム塩酸塩として、60〜270mg(力価)を3回に分けて経口投与する。
- 本剤の体内での作用機序はなお解明されない点も多く、また、用量・効果の関係も必ずしも明らかにされていない。したがって漫然と投与すべきではない。
慎重投与
- アトピー性皮膚炎、気管支喘息、薬剤アレルギー、食物アレルギー等のアレルギー性素因のある患者
[アレルギー性素因のある患者は薬剤を含む各種アレルゲンに対して感作を受けやすく、アナフィラキシー様反応を起こすおそれがある。]
[アレルギー性素因が遺伝し、アレルギー症状を起こすおそれがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、顔面蒼白、四肢冷感、血圧低下、チアノーゼ、意識喪失、潮紅、蕁麻疹、顔面浮腫、喉頭浮腫、呼吸困難等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(頻度不明)
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- リゾチーム塩酸塩 (Lysozyme Hydrochloride)
分子式:
化学構造式:
性状:
- 本品は白色の結晶又は結晶性、若しくは無晶性の粉末である。
水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。
本品3gを水200mLに溶かした液のpHは3.0〜5.0である。
★リンクテーブル★
[★]
[★]
- 英
- enzyme preparation
商品
[★]
塩化リゾチーム
- 関
- lysozyme、lysozyme hydrochloride
[★]
- 英
- lysozyme
- 化
- 塩化リゾチーム リゾチーム塩酸塩 lysozyme hydrochloride
- 商
- アクディーム、エリチーム、エンリゾ、スカノーゼリン、ノイチーム、ミタチーム、ムコゾーム、リゾティア、リチーム、リフラップ、レフトーゼ
- 関
- ムラミダーゼ。
- 酵素製剤
- 14kDa/18-20kDa(LAB.491), 129 a.a.
- pIは7.4より大きい → 生理的条件で正に荷電 → 酸性色素のエオジンで赤く染まる
- 生体内では単球が有しており、単球が大量に崩壊する病態では末梢血リゾチーム濃度が上昇する;サルコイドーシス
局在
機能
- 抗細菌作用、ウイルス作用、白血球貪食脳の増強、好手様作用
解釈
血中リゾチーム上昇
尿中リゾチーム上昇
便中リゾチーム上昇
血中リゾチーム低下
参考
- http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/KENSA/SRL0430.htm
[★]
- 英
- chloride、chloro
- 関
- 塩化物、塩素イオン、クロライド、クロリド、クロロ、クロール