上位運動ニューロン : 約 4,550 件 上位運動ニューロン徴候 : 94 件 上位運動ニューロン疾患 : 33 件 上位運動ニューロン病変 : 18 件 上位運動ニューロン症状 : 32 件 上位運動ニューロン障害 : 約 8,920 件
-upper motor neuron
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/06 06:10:36」(JST)
上位運動ニューロン(じょういうんどうにゅーろん、英:upper motor neuron)は大脳皮質運動野や脳幹に始まり、運動情報を下位運動ニューロンに伝える経路、またはその神経細胞。目標器官である筋を直接刺激する下位運動ニューロンに対する概念である。
上位運動ニューロンの主要な経路である皮質脊髄路ニューロンの細胞体は、大脳皮質一次運動野(前頭葉の中心前回、ブロードマンの脳地図の第4野)の第Ⅴ層(内錐体細胞層)にあり、ベッツ細胞と呼ばれる。この細胞の細胞体は大脳では最も大きい部類に入り、その径は100μm 近くである。
上位運動ニューロンは大脳からさまざまなレベル(高位)の脊髄(頸髄から仙髄まで)に向かい、そこで神経信号が下位運動ニューロンを通して筋に伝えられる。上位と下位の運動ニューロンの間の信号伝達は、シナプスにおいて神経伝達物質の一つであるグルタミン酸が上位運動ニューロンから放出され、それが下位運動ニューロンのグルタミン酸受容体によって感知される。シナプスは下位運動ニューロンの神経細胞体がある脊髄前角に存在する。
中枢神経内での上位運動ニューロンの伝導路には以下のようなものがある。
伝導路名 | 経路 | 機能 |
皮質脊髄路 | 一次運動野から脊髄前角の下位運動ニューロン細胞体まで | 主な機能は四肢の随意的
巧緻運動の制御。また体幹の随意的姿勢維持にもかかわる。 |
皮質延髄路 | 一次運動野から橋および延髄にあるいくつかの神経核まで | 顔面と顎の筋、嚥下および舌の動きの制御。 |
視蓋脊髄路 | 中脳の上丘から脊髄の下位運動ニューロンまで | 視覚情報に伴う不随意的な頭位の姿勢維持にかかわる。 |
赤核脊髄路 | 中脳の赤核から下位運動ニューロンまで | 平衡感覚の情報に伴う不随意的な四肢の姿勢維持にかかわる。 |
前庭脊髄路 | 前庭神経核から下位運動ニューロンまで | 姿勢の平衡調節をつかさどる。 |
網様体脊髄路 | 脳幹の網様体から発する | さまざまな不随意運動機能の調節と平衡維持。 |
上位運動ニューロンの障害があると、錐体路徴候と呼ばれる症状、すなわち痙性、筋力低下、深部腱反射の亢進、バビンスキー反射が現れる。
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症候・検査 | 障害部位 | |||
上位運動ニューロン | 下位運動ニューロン | 神経筋接合部 | 筋 | |
筋力低下 | + | + | + | + |
筋萎縮 | - | + | - | +*** |
筋線維束攣縮 | - | + | - | - |
筋卜ーヌス | ↑ | ↓ | → | ↓ |
腱反射 | ↑ | ↓~- | → | ↓~- |
病的反射 | + | - | - | - |
異常連合運動 | + | - | - | - |
血清CK | → | →(ときに→↑) | → | ↑ |
針筋電図 | → | 神経原性変化 | →** | 筋原性変化 |
神経伝導速度 | → | → (脱髄性の ニューロバ シー*で↓) |
→ | → |
筋生検 | → | 神経原性変化 | → | 筋原性変化、 各疾患に特徴的な変化 |
代表的疾患 | 脳梗塞、出血、脳腫癌など による片麻痺、脊髄障害 による対麻痺、運動ニューロン疾患、頚椎症、多発性硬化症 | 運動ニューロン疾患、頚椎症 *ニューロパシー (Charcot-Marie-Tooth病、Guillain-Barre症候群など) |
(a)重症筋無力症 (b)筋無力症候群 **誘発筋電図で、 (a)waningあるいは (b)waxingがみられる |
筋ジストロフィー、筋 炎、代謝.内分泌性ミオパシー、ミトコンドリア脳筋症 ***周期性四肢麻痺では 筋萎縮はほとんどない |
+:存在する、-:なし・消失、↑:亢進・上昇、↓:低下・減少、→:正常ないし著変なし、 →↑:軽度上昇 |
末梢神経領域の筋脱力 | 単神経障害 | ||
非対称性 | 一側上下肢 | 脳神経障害あり | 大脳、脳幹障害(脳血管障害、脳腫瘍など) |
脳神経障害なし | 頚椎症、脊髄腫瘍、脊髄空洞症 | ||
両側遠位優位 | 筋萎縮あり、感覚障害なし | 運動ニューロン疾患、筋緊張性ジストロフィー | |
急性に両下肢末梢から始まり. 感冒様症状が前駆 | Guillain-Barre症候群 | ||
対称性 | 両下肢 | 筋萎縮なし‥膀胱直腸障害レベルを有する感覚障害あり | 変形性脊椎症、脊髄腫瘍、MS、脊髄炎 |
筋萎縮なし‥感覚障害なし . | ヒ卜T細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)関連ミエロパシー(HAM)、亜急性連合性脊髄変性症 | ||
両側近位優位 | 易疲労性 | MG、Eaton-Lambert症候群 | |
急性2-3日で自然軽快 | 周期性四肢麻痺、低K性ミオパシー | ||
亜急性 | PM、DM | ||
慢性 : 神経原性 | Kugelberg-Welander病(脊髄性筋萎縮症3型) | ||
慢性 : 甲状腺機能異常 | 粘液水腫、甲状腺中毒性ミオパシー | ||
慢性 : ステロイド使用 | ステロイドミオパシー |
症状 | 上肢 | 下肢 | ||
脊髄神経 | 上位運動ニューロン | 錐体路症状(痙性麻痺、腱反射亢進、バビンスキー徴候陽性) | 優勢 | |
下位運動ニューロン | 筋力低下、線維束性収縮、筋萎縮、呼吸障害 | 優勢 | ||
脳神経 | 上位運動ニューロン | 偽性球麻痺 | ||
下位運動ニューロン | 球麻痺(構音障害、嚥下障害、舌の萎縮・線維束性収縮)、顔面神経麻痺 |
腱反射 | 病的反射 | クレアチンキナーゼ | 神経伝導検査 | 筋電図 | |
筋萎縮性側索硬化症 | ↑↑ | + | 軽度高値 | 正常 | 神経原性変化 |
重症筋無力症 | → | - | 正常 | 正常 | waning |
多発性筋炎 | → | - | 著明高値 | 正常 | 筋原性変化 |
ギラン・バレー症候群 | ↓ | - | 正常 | 脱髄/ブロック | 神経原性変化 |
-supranuclear lesion
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