- 英
- severe fever with thrombocytopenia syndrome, SFTS
定義
- 2013/1/30厚労省健康局結核感染症課長通知
- 1. 38°C以上の発熱
- 2. 消化器症状(嘔吐、嘔気、腹痛、下痢、下血のいずれか)
- 3. 血小板減少(10万/μL未満)
- 4. 白血球減少(4000/μL未満)
- 5. AST,ALT,LDHの上昇(いずれも病院の基準上限を超える値)
- 6. 他に明らかな原因がない
- 7. 集中治療を要する/要した、または死亡した
参考
- http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002u1pm-att/2r9852000002u21t.pdf
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この項目では、疾病について記述しています。病原ウイルスについては「重症熱性血小板減少症候群ウイルス」をご覧ください。 |
重症熱性血小板減少症候群(じゅうしょうねっせいけっしょうばんげんしょうしょうこうぐん)は、重症熱性血小板減少症候群ウイルスによる感染症である。通称SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)[1]。2007年頃から流行し2010年9月に中国で公表された。日本でも2013年になってから感染の報告が相次いで発表されたため、2013年3月4日に「重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る。)」を感染症法に基づく四類感染症に指定して届出の対象としている[1]。
目次
- 1 概要
- 2 病原体と症状
- 3 疫学
- 4 海外の報告
- 5 日本の報告
- 6 参考資料
- 7 脚注
- 8 関連項目
概要[編集]
2006年11月に安徽省で発見され、中国河南省南部信陽市(しんよう、シンヤン)商城県を中心に流行。
「発熱を伴う血小板減少という特別な病状を示したアナプラズマ症例」が特徴であるが、「ヒト顆粒球アナプラズマ症 (HGA)」の証拠が見つけられない場合もある。
発見後2008年始め頃に治療と診断のガイドラインも出て、広範囲の疫学調査がされたが原因不明と言うことで流行が公表されず、2010年9月に新聞のスクープがきっかけとなり9月8日に公表された。2010年8月現在の調査結果では河南省で557人が感染し18人が死亡、山東省で182人の感染と13人の死亡、江蘇省の省都南京市で4人死亡(6人報道有り)、合計35人以上が死亡するなど、31の1級行政区(省など)中12の地域に広がっているとされる。
河南省が信陽市に専門家を派遣したのは2010年4月初旬、中国衛生部が河南省に専門家を派遣したのは2010年9月12日だった。山東省では2008年5月にHGAに対して監視を開始している。ブニヤウイルスの監視が河南省と湖北省で始まったのは2009年5月だった。
中国は「発熱を伴う血小板減少症候群(中: ???伴血小板?少、英: fever- thrombocytopenia syndrome または thrombocytopenia with fever)」という仮の名称を付けた(症例定義で「発熱」が必須とされている)。
病原体と症状[編集]
詳細は「重症熱性血小板減少症候群ウイルス」を参照
主として重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)を保有するマダニがヒトを刺咬することによって感染する[1][2][3]。潜伏期間は6-14日とみられている[1]。主な症状は発熱や消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、下血など)[1]。致死率は10-30%程度とされる[1]。 はじめての症例が報告されされた中国では、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis )、オウシマダニ(Rhipicephalus microplus )からウィルスが分離されており、人間だけでなくダニに咬まれることの多い哺乳動物の感染が確認されている。
疫学[編集]
- 患者は河南省信陽市の商城県、溮河区、光山県、平橋区に集中している。特に河南省信陽市商城県はダニの汚染地区で、全県で数百人が咬まれ、多数の死亡例がある。
- 安徽省、河南省、山東省、江蘇省、湖北省、黒龍江省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、天津市、海南省、四川省、雲南省の12の1級行政区に広がっている。
- 感染者は都市部では極めて少なく、ほとんど農民であり、丘陵地帯で多発している(最初の発見も安徽省の大別(タービエ、Dabie)山地だった)。
- 女性と老人(40歳以上)に危険が高い(感受性の問題か社会的な問題かは不明)。
- 症例は5月、6月に集中して発生している。
- 中国においては治療にリバビリンの投与が行われているが、有効性は不明である[4]。
海外の報告[編集]
2006年11月以降、最初に確認された中国安徽省以外にも中国の11行政区で数百人以上の患者が報告された。2013年2月、中国の近隣国である韓国では保健福祉部疾病管理本部によるダニの調査により、韓国国内全域に生息しているフタトゲチマダニからSFTSウイルスが確認されたことを明らかにした[5]。同年5月以降は韓国の済州道、慶尚北道で患者が死亡している[6]。また、米国ミズーリ州でもSFTSウイルスに似たウイルスによる重症熱性血小板減少症候群様の患者が報告されている。
日本の報告[編集]
2012年秋、山口県において海外渡航歴のない成人男性の重症熱性血小板減少症候群症例が報告された。また、2013年1月には山口県内の海外渡航歴のない成人女性が重症熱性血小板減少症候群で死亡したこと発表された[7]。その後も、愛媛県、宮崎県、広島県など西日本での感染・死亡例が相次いで 報告されている[8]。
死亡した患者の血液から発見されたSFTSウイルスは、塩基配列は中国で発見されたものとはわずかに異なっていることから、厚生労働省や専門家は中国での確認以前から日本国内に存在していたとの見解を示している。また、厚生労働省は、死亡例が相次いだのは感染源が特定されたためであり、急に流行しているわけではないとしている[9]。
参考資料[編集]
- 河南省、発熱を伴う血小板減少症候群の予防と治療を強化 FORTH 2010年9月10日
- 「殺人ダニ」ご用心 国内未確認も中国で死者 産経新聞 2010年9月30日 22:58
- ダニで感染はアナプラズマ病か…各地で発生33人以上死亡=中国 サーチナ 2010年9月10日 12:21
- 中国、血小板減少症候群の原因となる新種ウイルスを特定 毎日中国経済 2011年3月17日 18時38分
- 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者 厚生労働省
脚注[編集]
- ^ a b c d e f 感染症法に基づく医師の届出のお願い 厚生労働省 2013年5月7日閲覧
- ^ 「サイエンス」誌2010年10月1日号には、最初アナプラズマ症と診断されたが、テキサス大学のチームがブニヤウイルスとし、その成果を中国チームが利用したいきさつが掲載されている。米中2つのチームが別々に「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)と「ランセット」に報告した。米国チームはDabie mountain virus、中国チームはsevere febrile and thrombocytopenic syndrome (SFTS) virusと名づけた。米国チームは抗生物質が全く効かないなどの理由からアナプラズマ症の可能性を完全否定している
- ^ 2006年の安徽省での9例の中国による調査報告(中国初のHGA感染例とした)ではダニのかんだ跡はないと明記されており、また患者相互に密接な接触があったとしている。
- ^ http://jid.oxfordjournals.org/content/206/7/1095.full Zhong-Tao Gai et al.Clinical Progress and Risk Factors for Death in Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome Patients. J Infect Dis. (2012) 206 (7): 1095-1102
- ^ ダニ媒介性感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について 在大韓民国日本国大使館 安全情報 2013年7月閲覧
- ^ 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(問2) 厚生労働省 2013年7月閲覧
- ^ SFTSウイルス:山口の女性が感染、死亡 ダニ媒介、新種ウイルスで国内初 毎日jp(毎日新聞)、2013年1月31日
- ^ SFTSウイルス:ダニ感染死、さらに2人 愛媛、宮崎の男性??渡航歴なし 毎日jp(毎日新聞)、2013年2月13日
- ^ クローズアップ2013:4人の死亡確認、SFTSウイルス マダニで感染、謎多く 毎日jp(毎日新聞)、2013年2月21日
関連項目[編集]
- ツツガムシ病 - ダニを媒介とする病気
- フタトゲチマダニ
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ(H5N1) - 腸チフス - パラチフス
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS),中東呼吸器症候群(MERS) (特集 ICTが知っておきたい感染対策"私の視点・私の予測"論点・要点2013)
- 山岸 拓也
- Infection control : The Japanese journal of infection control 22(12), 1193-1197, 2013-12
- NAID 40019881484
- 最近のダニ媒介性疾患 : マダニ媒介のSFTS(重症熱性血小板減少症候群) (特集 感染症の診断と治療,予防 : 最近の進歩) -- (話題の感染症への対処法)
- 世界旅行と感染症 中国 : ダニ媒介ウイルス感染症 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- マダニ媒介性感染症の新顔 「重症熱性血小板減少症候群SFTS」とは : なぜこのような感染症が出現してきたのか?
- 小林 睦生
- Pest control Tokyo : (公社)東京都ペストコントロール協会機関誌 (65), 31-36, 2013-07
- NAID 40019773818
Related Links
- 平成26年2月25日 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第二報)について(情報提供) [279KB] 平成25年8月29日 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第一報 ...
- 2014年02月25日 <速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第二報) 2014年2月 <特集>日本における重症熱性血小板減少症候群 2014年2月 上記特集関連情報 2013年10月25日 家族内 ...
- 答 2013年1月、重症熱性血小板減少症候群の患者(2012年秋に死亡)が国内で初めて確認されました。その後、過去にさかのぼって調査した結果、2005年から2012年までの間にさらに10名の方が重症熱性血小板減少症候群にかかっていた ...
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★リンクテーブル★
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重症熱性血小板減少症候群 severe fever with thrombocytopenia syndrome, SFTS
[★]
重症熱性血小板減少症候群 severe fever with thrombocytopenia syndrome
[★]
- 英
- platelet (Z), blood platelet (Z), PLT
- 同
- 栓球 thrombocyte
- 関
- 血小板血栓。血小板数 platelet count PLC
- GOO. 1468(血小板凝集 platelet aggregation)
- 半減期:1週間(異常値の出るメカニズム第2版)。4日 (SP.505)。
- 寿命:10日
- 体積:5-10 fl
- 直径:2-5μm。
- 無核。
基準値
- 15万 - 40万 /μl (2007前期解剖学授業プリント, SP.505)
- 15万 - 35万 /μl (2007前期生理学授業プリント, PT.233)
新生児
- 出典不明
産生組織
- トロンボポエチンにより巨核球の細胞質がちぎれて血流に放出される (SP.505)
貯蔵組織
組織学
- P-セレクチンを膜上に持つ
- フィブリノーゲン、フィブロネクチン、第V因子、第VIII因子、platelet factor 4、PDGF、TGF-α (BPT.89)
- ADP、ATP、Ca2+、ヒスタミン、セロトニン、エピネフリン (BPT.89)
機能 (SAN.236-237)
1.一次止血
- TXA2,セロトニンは血管収縮作用
- ADP, TXA2,セロトニンは血小板凝集
- 血小板のGpIIb/GpIIIa複合体がフィブリノゲンと結合し編み目を形成
2.血液凝固の促進
3.毛細血管機能の維持
- 毛細血管内皮細胞に融合し血管内皮を補強している → 血小板減少により点状出血を来すことになる。
膜タンパク
血小板減少による症状
- 5-10万 :症状なし-やや止血しにくい程度
- 2-3万 :下肢に点状出血 (→皮下出血)
- 1万以下 :粘膜出血→臓器出血の危険あり
検査
- 抗凝固剤としてEDTAを用いた場合、EDTA依存性偽血小板減少をきたすことがある。
臨床関連
数の異常
機能の異常
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- severe disease、severe
- 関
- 重篤、苛酷、激しい、重度
[★]
- 関
- 胚盤、盤状体