- 英
- drug eruption, drug rash
- 関
- 薬疹検査法、薬疹の診方と対応
- アレルギー機序による薬疹
- 非アレルギー機序による薬疹
-
- 中毒性表皮壊死症~Stevens-Johnson症候群~多形紅斑
手掌、足底には出ない
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/26 09:35:24」(JST)
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薬疹(やくしん)とは薬剤及びその代謝産物が原因となって起こる皮膚粘膜反応のこと。
目次
- 1 薬疹の機序
- 2 薬疹の法則
- 3 薬疹の鑑別
- 4 薬疹の診断
- 5 薬疹の治療
- 6 関連項目
薬疹の機序
機序としては用量非依存性のアレルギー性のものと用量依存性の中毒性のものに分けられる。アレルギー性のものにはI型、III型、IV型の物がある。中毒性のものも薬剤自体の副作用によるものも多いが、他に相互作用や個体の性質によるものも多いため、一概にメカニズムを語ることは難しい。
薬疹の法則
- 全ての薬剤は薬疹をおこしうる。
- 同一薬剤でも様々な発疹型をみる。
- 臨床型は固定されたものではなく、原因薬の中止にためらっていると急速に重症型に移行しうる。
薬疹の鑑別
薬剤使用中に発疹を認めることは多い。鑑別が必要な疾患として急性ウイルス性発疹症などがある。
薬疹の特徴
抗生物質、消炎鎮痛薬、高血圧治療薬、中枢神経作用薬は薬疹を引き起こしやすいとされる。また薬疹のパターンは13種ほど知られており、移行があるとはいえ個々の薬剤で起こしやすいパターンは決まっている。13種とは中毒性表皮壊死症 (TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(粘膜・皮膚・眼症候群)、多形紅斑、紅斑丘疹、蕁麻疹、皮膚炎、紅皮症、扁平苔癬、紫斑、光線過敏、全身性エリテマトーデス、固定薬疹、天疱瘡の13種である。薬物によって出やすい型というものもある。頻度としては紅斑丘疹型が50パーセントと最も多く、ついで多形紅斑型、固定疹型となっている。また、典型的には薬疹は薬剤投与開始1-2週間後に全身性、対称性の紅斑として認められる場合が多い。
薬疹の鑑別疾患
鑑別としてあがるのはまずは急性ウイルス性発疹症でありEBウイルス、サイトメガロウイルス、HHV-6などが多い。抗体価やリンパ球中のCD4/CD8比などをみれば鑑別できる。しかし、ウイルス感染を証明できてもウイルス感染は薬疹の増悪因子でもあるので非常に難しい。他には天疱瘡、類天疱瘡といった水疱形成性疾患は水疱形成をする薬疹と鑑別が難しく、病理診断で区別を行う。ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 (SSSS) も区別が必要だが成人では稀ということが除外に役にたつ。
薬疹の診断
確定診断としては薬物の投与により発症し、中止により軽快することで疑い、パッチテスト陽性、リンパ球刺激試験陽性、誘発試験陽性で確実となる。とはいえ、これらの検査は信頼度が低かったり、アナフィラキシー型などでは行いにくいのが実情である。重症度もコンセンサスを得られている分類はないが皮疹に比べて粘膜症状が強いものは要注意であり間質性肺炎の有無(画像診断、血中KL6値など)、白血球の低下は指標になると言われている。
薬疹の治療
重症型に移行した場合は死にも至るので治療は始めなければならない。治療としてはまずは原因と思われる薬剤(思い切って全部)の投与を中止する。アナフィラキシーショック型(例えばTEN)には気道確保、副腎ステロイドやアドレナリン投与、輸液といった全身管理が必要となる。発疹に対しては症状に応じて副腎ステロイドや抗ヒスタミン薬の内服を行う。最近、原因薬内服開始数ヵ月後に遅発性に発症し、肝・腎など多臓器症状を伴う重症薬疹、過敏症候群が注目されている。HHV-6の再活性化の関与が報告されており、皮疹発症2-3週後に抗体価の急上昇を認める、ステロイドが奏功するが、急激な減量・中止は好ましくない。
関連項目
- スティーブンス・ジョンソン症候群
- 中毒性表皮壊死症
- 薬剤性過敏症症候群
- 皮膚科学
- アレルギー
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Japanese Journal
- その皮疹、本当にアレルギー? (特集 "不適正使用"ケースで学ぶ抗菌薬ピットフォール)
- 小松 真成
- Infection control : The Japanese journal of infection control 24(9), 829-833, 2015-09
- NAID 40020594082
- 臨床研究 テラプレビルを含む3剤併用療法による薬疹の治療と経過についての検討
- 臨床研究・症例報告 複数の薬剤で薬疹を認めレベチラセタムでコントロールできたてんかんの1例
- 橋爪 秀夫
- Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 9(3), 151-156, 2015-07
- NAID 40020555734
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- 薬疹の概要。 薬疹とは薬剤によって引き起こされる皮膚の症状で、出現する症状はさまざまです。 内服、注射などによって体内に入った薬剤が、皮膚の発疹を引き起こします。アレルギー性と非アレルギー性の原因がありますが、多…
- 薬疹(重症) - 皮膚科Q&A どんな病気?治療法は?専門家が皆さんの疑問にお答えします。 ... 薬疹とは、薬を内服したり注射したりすることにより生ずる発疹のことです。その中でも問題となるのは、薬を投与されたごく一部の人に ...
- ... のない薬剤に対してもすぐに発症することもありますし、逆に投与後数年経過してから薬疹を呈することもあります。 症状は多岐にわたり、ほとんどあらゆるタイプの発疹を呈し得ます。そのため皮疹のみで薬疹と診断することは ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、28~29の問いに答えよ。
- 28歳の女性。全身の皮疹と発熱のため搬入された。
- 現病歴 : 4日前から頭痛と咽頭痛とがあり、感冒薬を内服した。3日前から発熱が持続し、眼球結膜の充血、口腔内びらん、顔面、体幹および四肢の皮疹が出現した。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現 症 : 意識は清明。身長158cm、体重49kg。体温39.2℃。脈拍112/分、整。血圧104 /72mmHg。全身に紅色皮疹を認める。顔面の写真と大腿部の写真とを以下に示す。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球380万、Hb 10.8 g/dl、Ht 32%、白血球 9,400、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dl、アルブミン 3.8 g/dl、尿素窒素 5.5 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、AST 104 IU/l、ALT 283 IU/l、LD 487 IU/l(基準176~353)、Na 129 mEq/l、K 3.8 mEq/l、Cl 94 mEq/l。CRP 15.8mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [103C027]←[国試_103]→[103C029]
[★]
- 47歳の女性。口唇と体幹との皮疹を主訴に来院した。2日前から発熱と咽頭痛とがあった。昨日、市販の感冒薬を内服した。今朝、軽度の痛みを伴う皮疹が出現した。口唇と体幹との写真を以下に示す。検査として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G006]←[国試_101]→[101G008]
[★]
- 英
- drug-induced hypersensitivity syndrome DIHS
- 同
- drug rash with eosinophilia and systemic symptoms DRESS,drug-induced delayed multiorgan hypersensitivity syndrome DIDMOS
- 関
- 薬疹
概念
- 高熱と臓器障害を伴う薬疹で、医薬品中止後も遷延化する。多くの場合、発症後2-3週間後にHHV-6の再活性化を生じる。(参考1)
病因
原因薬物
- 原因薬物としては芳香族抗てんかん薬とスルホンアミド系抗菌薬が最も多い (参考2)
- 参考3
病態
- 特定の薬剤を服用した2-6週間後に突然の発熱と紅斑を来たし、ついには紅皮症を呈する。
- リンパ節腫脹、血液学的異常、肝機能障害を伴う。
- 肺炎、腎不全、心筋炎、甲状腺炎、神経学的症状を呈することがある。(参考2)
症状
身体所見
検査
- 血算:白血球増多、異型リンパ球有り、好酸球増多
- 血清学的検査:IgM-抗HHV-6抗体陽性
検査異常の出現頻度
- 参考2
- 肝炎:51%
- 間質性腎炎:11%
- 血液学的異常(好酸球増多、異型単核球):30%
診断基準
- 参考1
- 1. 限られた薬剤投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑。多くの場合、紅皮症に移行する
- 2. 原因薬剤中止後も2週間以上遷延する
- 3. 38 ℃以上の発熱
- 4. 肝機能障害
- 5. 血液学的異常:a、b、c のうち1 つ以上
- a. 白血球増多(11,000/mm3 以上)
- b. 異型リンパ球の出現(5%以上)
- c. 好酸球増多(1,500/mm3 以上)
- 典型DIHS:1 - 7 すべて
- 非典型DIHS:1 - 5 すべて。ただし4 に関しては、その他の重篤な臓器障害をもって代えることができる。
治療
- 薬剤の中止、全身ステロイド療法(要するに静注ということか)。(参考1)
予後
- 完全に治癒する。重症例では生命予後不良。(参考1)
参考
- 1. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
- http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a09.pdf
- 2. [charged] Drug eruptions - uptodate [1]
- CLASSIC DRUG REACTION PATTERNSの1項目として記載。
- www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1012_01.pdf
国試
[★]
- 英
- erythema nodosum EN
- 関
概念ツリー
疫学
病理
- 皮下脂肪隔壁への炎症細胞浸潤(septal panniculitis)がみられ、小葉は保たれる(小葉が冒されるのは硬結性紅斑)。通常は血管炎を伴わない。
- http://dermatology.cdlib.org/144/drugs/erythemanodosum/3.jpg
症状
- 下腿伸側を中心、左右対称性、境界不明瞭な淡紅色の紅斑
- 大きさは1-10cm
- わずかから盛り上がる硬結、熱覚、圧痛・自発痛、潰瘍は形成しない。
原因
NDE.307
- NDE.305
参考
- 1. [charged] 結節性紅斑 - uptodate [2]
- 2. 皮膚写真
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bb/ENlegs.JPG/230px-ENlegs.JPG
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e0/A_single_EN.JPG/220px-A_single_EN.JPG
- http://medicalpicturesinfo.com/erythema-nodosum/
国試
[★]
- 英
- erythroderma
- 同
- 剥脱性皮膚炎 exfoliative dermatitis
定義
- (1)全身(体表の80%以上)の持続性の炎症性発赤(潮紅)し、健常部皮膚を殆ど残さず、(2)粃糠様・落葉状の落屑が持続する病態
原因
起こしやすい疾患 (2009 CBT QB2 p.116)
- (%)は紅皮症に占める割合
起こしうる疾患 (NDE.122)
[★]
- 英
- toxic epidermal necrolysis, TEN
- 関
- ライエル症候群、Lyell型薬疹
- 関
- 薬疹、術後薬物アレルギー、難病(重症多形滲出性紅斑として)
[show details]
治療
- 原因薬物の中止
- 支持療法:創傷管理、済み・電解質管理、栄養補給、眼の管理、体温管理、疼痛管理、感染予防
- 補助療法:支持療法を超える有効で確立された治療はない。
- 糖質コルチコイド
- γグロブリン製剤
- 併用療法:糖質コルチコイド+IVIG
- 血漿交換(plasmapheresis)
- 免疫抑制薬(シクロスポリン)
- サリドマイド:禁忌。TNF-α阻害作用があるが、TENに対しては死亡率を高めたという結果が出ている。
参考
- 1. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症) (ライエル症候群、ライエル症候群型薬疹)
- http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a05.pdf
- 2. [charged] Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis: Management, prognosis, and long-term sequelae - uptodate [3]
[★]
- 英
- erythema induratum
- 関
- バザン病
病理
- NDE.305
国試
[★]
- 英
- generalized bullous fixed drug eruption
- 関
- 固定薬疹