- 英
- fecal occult blood、faecal occult blood
- 関
- 便潜血反応
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/22 03:04:29」(JST)
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検便(けんべん)とは排泄された大便を検査すること。消化管疾患の有無、寄生虫、細菌感染の有無を調べるために行なわれる。食品を扱う調理従事者、保育介護関係者、水道管理事業従業員(配管工事ではなく、水そのものを管理する人)には定期的に検査を行なうことが多い。また海外渡航者、園児学童(最近行わない学校等も多い)を対象に検査が行なわれることもある。
目次
- 1 検査項目
- 1.1 細菌検査
- 1.2 潜血反応
- 1.3 寄生虫検査
- 2 関連項目
- 3 脚注
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検査項目[編集]
目的に応じて下記の内容から選択、検査される。
細菌検査[編集]
赤痢菌、チフス菌、病原性大腸菌などによる細菌性腸炎(細菌性食中毒)が疑われるときに実施される。塗抹標本の鏡検および培養検査があるが、健常では無菌であるべき他の標本(喀痰や尿など)の検査と異なり、もともと便中には健常でも多量の細菌が存在するため、塗抹検査では白血球の有無が、培養検査では病原細菌の同定が重要である。病原細菌には他にキャンピロバクターやサルモネラ(チフス菌もサルモネラ属のひとつである)などがある。
潜血反応[編集]
便中の微量な血液の有無を調べる検査。大量の出血がある場合にはタール便(上部消化管出血)、血便(下部消化管出血)として肉眼で指摘できるが、微量の場合はこの検査によらないと判別できない。以前はヘモグロビンの持つペルオキシダーゼ活性 (鉄と反応する)を利用する 化学法 (グアヤック法・オルトトリジン法など) を用いていたが、これではヒト以外の血液(食物中に含まれる魚肉・獣肉の血液)や一部の薬物にも反応してしまい、偽陽性が問題となった (この偽陽性を回避するためには3日間程度の食事制限をする必要があった[1])。このため現在では通常ヒトヘモグロビンにのみ反応する免疫法 (ヒトヘモグロビンを抗原とする抗体を用いる。ラテックス凝集反応など) を用いて検査する[2]。
消化管出血は大きく上部消化管 (食道・胃および十二指腸) からのものと、下部消化管 (小腸と大腸) からのものに分けられる。ヘモグロビンは胃でヘムとグロビンタンパクに分離され、十二指腸でグロビンタンパクは消化分解されるが、ヘムは便として排泄される。このためヘムのペルオキシダーゼ活性を利用する化学法では、どの部位からの出血も検出する。一方免疫法はグロビンの持つ抗原性を利用するため、上部消化管からの出血は基本的に検出しない。すなわち化学法は上部消化管出血に対する感度が高く、免疫法は下部消化管出血に対する特異度が高いことになる[2]。上部消化管内視鏡が普及した状況下では、臨床症状から上部消化管出血が疑われれば内視鏡検査を実施できる施設が多く、化学法の利点は小さい。
通常は感度を高めるために2日法(2日分の便をそれぞれ検査する)が推奨される。この検査で1回でも潜血反応陽性の場合、潰瘍、腫瘍(特に胃癌や大腸癌)、炎症性疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などが存在する可能性があり、内視鏡検査あるいは造影X線検査を実施することが推奨される。このうち最も重要な疾患は大腸がんであるが、早期がんの場合便潜血検査が陽性になることは少なく、進行がんでも必ずしも陽性になるとは限らない[3]。このため、便潜血反応が陰性であるからといって安心というわけではない。これらのことからがん年齢の人については、便潜血検査が陰性でも大腸内視鏡検査を受けることには意味がある。
寄生虫検査[編集]
寄生虫の虫卵・虫体・幼虫・シスト・オーシストの有無を調べる検査[4]。検出されれば寄生虫症の確定診断となる。便検査で検出可能な寄生虫は、消化管に寄生するものの他に、消化管外に寄生するものでも便中に虫卵が排出されるものもある[5]。日本などいわゆる先進国では寄生虫感染症は減少しているが、いまだに残っているものも少なくない。寄生虫感染が多発する地域は世界的に広く存在するため、そのような地域において、また地域への渡航歴がある場合には必要な検査である。また南西諸島では糞線虫感染が現在でも多いため[6]、便検査は重要である。ギョウチュウについては、成虫が肛門周囲に産卵するため、便検査ではなくセロテープ法による検査が必要である。便検査で検出できない他の寄生虫症では、抗原検査や抗体検査などが行われる。
- 検出可能な代表的消化管寄生虫[4][5]
- 赤痢アメーバ 他に抗原検査 (ELISA法) 、遺伝子検査 (PCR法) 、抗体検査がある
- クリプトスポリジウム
- ランブル鞭毛虫
- イソスポラ
- 横川吸虫
- 広節裂頭条虫
- 糞線虫 培養法によって幼虫を検出する
- 鞭虫
- 回虫
- 検出可能な代表的消化管外寄生虫[4][5]
- 肺吸虫 (ウェステルマン肺吸虫など) 抗体検査のほうが感度が高い
- 肝吸虫
- 肝蛭
- 住血吸虫 (日本住血吸虫など) 抗体検査のほうが感度が高い
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ 高木康「学ぼう!!検査の使い分け 第6回便潜血反応」『週刊医学界新聞』第2940号、2011年、医学書院[1]
- ^ a b 斎藤博、町井涼子「便潜血反応」medicina、第47巻、11号、2010年、pp.30-32
- ^ 大腸がん検診便潜血検査化学法:間接的証拠(検査精度)(医療情報サービスMinds(マインズ))
- ^ a b c 丸山治彦「寄生虫検査」medicina第47巻11号、2010年、pp.33-34
- ^ a b c 大友弘士「寄生虫卵」中井利昭編『検査値のみかた』中外医学社、1996年、pp.763-764
- ^ 木村英作「無視され続ける寄生虫病:わが国の糞線虫症の現状」、『臨床寄生虫学雑誌』第22巻第1号、2011年、 18-22頁、2013年1月29日閲覧。
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Japanese Journal
- 経験 免疫法便潜血検査陽性にて当院で全大腸内視鏡検査を行った症例の検討 : 高齢者大腸癌の特徴を中心に
- 神野 正隆,藤野 雅之
- 日本消化器がん検診学会雑誌 = Journal of gastroenterological cancer screening 52(2), 233-239, 2014-03
- NAID 40020030396
- CEA高値が契機となって診断された上行結腸SM癌の肺転移例
- 水津 優,船橋 公彦,小池 淳一,栗原 聰元,塩川 洋之,牛込 充則,金子 奉暁,新井 賢一郎,金子 弘真,根本 哲生
- 日本大腸肛門病学会雑誌 67(4), 291-295, 2014
- … 症例は,68歳の男性.胸腺腫と肺扁平上皮癌の既往があり,経過中にCEA高値(6.2ng/m<I>l</I>)と,便潜血陽性のため下部消化管内視鏡検査を施行した.上行結腸に約1cm大の隆起性病変を認め,生検で中分化型腺癌と診断した.この時,胸部CT検査で左肺S3に微小結節を認めたが,転移の確定診断は得られなかった.cT1N0M0の早期癌に対し,腹腔鏡下に根治術を施行した(A,type 0-Is+IIc,15×10mm,tub2,SM,ly0,v1,N0). …
- NAID 130003394594
- 高分化型腺癌を合併した直腸粘膜脱症候群(MPS:Mucosal Prolapse Syndrome)の1例
- 飯田 直子,羽田 丈紀,衛藤 謙,満山 喜宣,池上 雅博,矢永 勝彦
- 日本大腸肛門病学会雑誌 67(4), 268-272, 2014
- … 症例は38歳女性.2010年5月下旬,検診で便潜血反応陽性を指摘され近医を受診.軽度の貧血,排便時下血も認めていたため下部消化管内視鏡検査を施行.歯状線直上に桑実様隆起性病変を認め,精査加療目的で当科紹介受診となった.直腸指診では3時に弾性軟な隆起性病変を触知した.また,十数年来"いきみ"の習慣と,数年来の排便時の脱肛認めていたことから直腸粘膜脱症候群(Mucosal Prolapse Syndrome)と診断し,痔核 …
- NAID 130003394590
Related Links
- 2008年9月16日 ... 健康診断で、便潜血陽性ということで精密検査を勧められたら、誰しも心中穏やかには 過ごせません。放置することはいけませんが、心配しすぎることも問題です。まずは、 正確な情報を頭に入れておきましょう。
- 便潜血検査、大腸ガン検診、,大腸内視鏡,大腸ポリープ,大腸がん,大腸がん検査,大腸 ファイバー,大腸検査血便.
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★リンクテーブル★
[★]
- 62歳の女性。便潜血の精密検査を目的に来院した。便潜血検査による検診を受け、1日目が陽性、2日目が陰性であったため、精密検査が必要と判定されて受診した。友人から「内視鏡検査は苦痛だ」と聞いており、内視鏡検査を受けることを躊躇している。便通は毎日あり、便柱狭小化はない。最近数年間で体重の明らかな増減はない。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。大腸癌の家族歴はない。身長 155cm、体重 56kg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。
- 最も適切な対応はどれか。
- a 「腹部超音波検査を行いましょう」
- b 「大腸癌の腫瘍マーカーの血液検査をしましょう」
- c 「経過をみて、6か月後に便潜血を再検しましょう」
- d 「便潜血の再検査を行い、その結果で考えましょう」
- e 「大腸内視鏡検査の必要性について詳しく説明させてください」
[正答]
※国試ナビ4※ [113C041]←[国試_113]→[113C043]
[★]
- 60歳の男性。大腸がん検診で便潜血陽性を指摘されたため来院した。検診結果は2回の検査のうち1回は陽性で、1回は陰性であった。自覚症状はない。10年前の胃がん検診で胃潰瘍瘢痕の疑いを指摘されている。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104H022]←[国試_104]→[104H024]
[★]
- 英
- erythema nodosum EN
- 関
概念ツリー
疫学
病理
- 皮下脂肪隔壁への炎症細胞浸潤(septal panniculitis)がみられ、小葉は保たれる(小葉が冒されるのは硬結性紅斑)。通常は血管炎を伴わない。
- http://dermatology.cdlib.org/144/drugs/erythemanodosum/3.jpg
症状
- 下腿伸側を中心、左右対称性、境界不明瞭な淡紅色の紅斑
- 大きさは1-10cm
- わずかから盛り上がる硬結、熱覚、圧痛・自発痛、潰瘍は形成しない。
原因
NDE.307
- NDE.305
参考
- 1. [charged] 結節性紅斑 - uptodate [1]
- 2. 皮膚写真
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bb/ENlegs.JPG/230px-ENlegs.JPG
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e0/A_single_EN.JPG/220px-A_single_EN.JPG
- http://medicalpicturesinfo.com/erythema-nodosum/
国試
[★]
- 英
- benzidine method
- 同
- Mc. Junkin法
- 関
- 便潜血
[★]
- 関
- faecal occult blood
[★]
便潜血
- 関
- fecal occult blood
[★]
- 英
- occult blood test
- 関
- 大腸癌、便潜血反応検査、糞便潜血検査
目的
- 免疫法を用いる場合には下部消化管の出血のスクリーニングに用いられる。
方法
- 化学法:ヘモグロビン(ヘマチン)が有するペルオキシダーゼ活性を利用して次の反応を触媒する:過酸化水素+フェノール性物質→キノン型物質(青色呈色)。食事制限が必要(食物由来の血液に反応するため偽陽性が高い)で、全消化管の出血を検出するデメリットがある。
- 免疫法:ヒトヘモグロビン(抗原はグロビン部分)を特異的に検出するので、偽陽性が少なく、食事制限が不要というメリットがある(下部消化管出血に対して感度・特異度高い)。上部消化管の出血は検出しづらい。大腸集検に用いられ、2日法では進行癌の90%、早期癌の50%が陽性となる。
- 便潜血反応による大腸癌スクリーニング法(免疫法らしい):進行大腸癌では、1回法による感度は70%、2回法による感度は80%。(出典不明)
[★]
- 英
- immunological fecal occult blood reaction, immunological fecal occult blood test, immunological occult blood reaction of feces
- 同
- 免疫学的便潜血テスト、免疫学的便潜血検査、免疫学的便潜血試験
- 関
- 便潜血反応
[★]
- 英
- blood, (漢方)blood and body fluid energy
- 関
- 血液、血中
[★]
- 英
- occult blood
- 関
- 尿潜血