- 英
- transient tachypnea of the newborn, TTN
- 関
- 新生児一過性頻呼吸
病因
- 通常、分娩により羊水の産生が低下する。正常例では生後30分に75%の例で羊水の残存が認められるが、6時間後には肺胞より吸収され認められなくなる。
疫学
症状
診断
- 生後6時間以内に発症し、症状が12時間以上持続する。呼吸数は60回/分以上。
検査
治療
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/14 23:30:30」(JST)
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この項目では、肺未成熟による新生児呼吸不全について説明しています。肺胞領域炎症による急性呼吸不全については「急性呼吸窮迫症候群」をご覧ください。 |
新生児呼吸窮迫症候群 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
P22 |
ICD-9 |
769 |
OMIM |
267450 |
DiseasesDB |
6087 |
MedlinePlus |
001563 |
eMedicine |
emerg/15 |
Patient UK |
新生児呼吸窮迫症候群 |
MeSH |
D012127 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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新生児呼吸窮迫症候群(しんせいじこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、英語: (Infant) Respiratory Distress Syndrome: (I) RDS)は、新生児呼吸不全の一つ。
目次
- 1 概要
- 1.1 病態・臨床像
- 1.2 検査・所見
- 1.3 治療
- 2 新生児一過性多呼吸
- 3 参考文献
概要
病態・臨床像
肺の未成熟によって肺サーファクタントが欠乏し、肺コンプライアンスの低下から肺胞虚脱、肺血管抵抗増大の病態を呈する。発症は生後2〜3時間後であり、リスク・ファクターとして下記のようなものがある。
- 1,500g未満の極低出生体重児
- 早期産児(とくに32週未満; 肺サーファクタントの産生はおおむね34週以後)
- 母体糖尿病
- 帝王切開児
また、動脈管開存症(PDA)の併存が高頻度で見られることも知られている。
検査・所見
呻吟、多呼吸や努力性呼吸が見られ、チアノーゼを呈する。血液ガス分析では、PaO2の低下とPaCO2の増大とアシドーシスが見られる。胸部X線写真ではびまん性細網顆粒状陰影が特徴とされるほか、Xp分類II型以降では気管支内の空気による透亮像(air bronchogram)、IV型ではすりガラス状陰影が見られる。
また、特徴的な検査として、羊水の小泡沫安定性試験(マイクロバブルテスト)がある。これは、サーファクタントが直径15μm以下のマイクロバブルを安定させることを利用したもので、100倍の顕微鏡下において、羊水では5/mm2未満,胃液では10/mm2未満のweakであれば、ほぼ確定診断となる。
治療
治療は、人工サーファクタントの投与と呼吸管理による。この人工サーファクタントとしては、田辺三菱製薬のサーファクテンが多用されている。投与は、生食液(120mg/4mL)によく懸濁して、120mg/kgを生後8時間以内に気管内に注入することで行なう。肺内に行きわたるように、投与は4,5回に分けて行ない、1回ごとに体位変換する。サーファクテンにおいて副作用は報告されていない。
また、PDAが併存している場合は、これに対する標準的な治療であるシクロオキシゲナーゼ阻害剤(インドメタシンなど)投与が行なわれる。PDA併存例の場合、RDSが治療によって改善すると肺血管抵抗が低下するため、動脈管を介しての左→右シャントが増大して心不全を来たす恐れがあることから、PDAの治療を並行して進めることが重要である。
新生児一過性多呼吸
新生児一過性多呼吸 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
P22.1 |
ICD-9 |
770.6 |
DiseasesDB |
32373 |
MedlinePlus |
007233 |
eMedicine |
ped/2597 radio/710 |
Patient UK |
新生児呼吸窮迫症候群 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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新生児一過性多呼吸(Transient tachypnea of the newborn: TTN)は、wet lung, II型RDSと呼ばれていたもので、出生直後において、肺胞液や羊水の吸収遅延からRDS様の症状を呈する。帝王切開での出生児に多く見られる。
診断は、生後6時間以内に出現する多呼吸(60回/分)を伴う呼吸障害について、除外診断によって行なわれる。多くの場合は多呼吸を主訴とし、呼吸音は清明、胸部単純X線像では肺門部血管陰影の増強と末梢肺野でのair trappingが認められる。小泡沫安定性試験は通常は陽性である。
症状こそRDSに似ているものの病態はまったく異なり、通常は30〜40%の酸素投与によって後遺症なく治癒する。また、5cmH2O程度の持続気道陽圧(CPAP)を加えることも有効である。ただし、肺胞からの血清成分漏出で二次的にサーファクタント欠乏を起こして重症化することがあり、この場合はRDSと同様のサーファクタント補充療法が行なわれる。
参考文献
- 大関武彦, 古川漸, 横田俊一郎 『今日の小児治療指針 第14版』 医学書院、2006年。ISBN 978-4-260-00090-1。
- 高久史麿, 尾形悦郎, 黒川清, 矢崎義雄 『新臨床内科学 第8版』 医学書院、2002年。ISBN 978-4-260-10251-3。
呼吸器疾患(ICD-10 J00〜99) |
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疾患 |
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閉塞性肺疾患
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慢性閉塞性肺疾患
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気管支喘息 | 慢性気管支炎 | 肺気腫 | びまん性汎細気管支炎
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拘束性肺疾患
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特発性
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IPF | NSIP | COP | AIP | DIP | RB-ILD | LIP
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続発性
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塵肺 | 放射線肺炎 | 薬剤性肺炎
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無気肺 | 気胸 | 血胸
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形態異常
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気管支拡張症 | 肺分画症 | 肺嚢胞症
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腫瘍
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良性腫瘍
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肺過誤腫 | 硬化性血管腫
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悪性腫瘍
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低悪性度肺腫瘍 | 原発性肺癌 | 転移性肺癌 | 中皮腫
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アレルギー
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気管支喘息
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アスピリン喘息
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好酸球性肺炎
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Löffler症候群 | 急性好酸球性肺炎 | 慢性酸球性肺炎 | 好酸球増加症候群
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過敏性肺臓炎 | サルコイドーシス | グッドパスチャー症候群
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肺循環障害
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肺血栓塞栓症 | 肺性心 | 新生児呼吸窮迫症候群 | 急性呼吸窮迫症候群
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肺代謝異常
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肺胞蛋白症 | 肺胞微石症
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機能的障害
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過換気症候群 | 睡眠時無呼吸症候群
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感染性疾患
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気道感染 |
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上気道 |
風邪
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- ライノウイルス
- アデノウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- RSウイルス
- コロナウイルス
- エコーウイルス
- エンテロウイルス
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喉頭炎
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咽頭炎
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下気道 |
急性細気管支炎
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肺炎 |
原因
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定型肺炎
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グラム陽性
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グラム陰性
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- 肺炎桿菌
- インフルエンザ菌
- モラクセラ
- 大腸菌
- 緑膿菌
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非定型肺炎
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ウイルス性
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- RSウイルス
- インフルエンザ肺炎
- 重症急性呼吸器症候群
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肺真菌症
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- ニューモシスチス肺炎
- クリプトコッカス症
- アスペルギルス症
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- レジオネラ菌
- マイコプラズマ
- クラミジア肺炎
- オウム病
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抗酸菌症
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機序
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病態
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胸壁 |
膿胸
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症候・徴候 |
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異常呼吸
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過呼吸 | 頻呼吸 | 徐呼吸 | 低呼吸 | 多呼吸 | 少呼吸 | 起坐呼吸 | 奇異性呼吸 | クスマウル呼吸 | チェーンストークス呼吸 | ビオー呼吸
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咳嗽 | 痰 | 呼吸困難 | 胸痛 | 胸水 | ばち指 | チアノーゼ
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所見・検査 |
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聴診 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 気管支鏡 | 胸腔鏡 | 血液検査
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呼吸器系の正常構造・生理 |
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気道系 |
解剖学的構造
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上気道
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鼻
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鼻孔 | 鼻腔 | 鼻甲介 | 副鼻腔
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口
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口腔前庭 | 口腔 | 口蓋
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咽頭 - 喉頭
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下気道
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気管
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気管支
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主気管支 - 葉気管支 - 区域気管支 - 亜区域気管支
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細気管支
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小気管支 - 細気管支 - 終末細気管支
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呼吸細気管支
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ガス交換器
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肺 - 肺胞管 - 肺胞嚢 - 肺胞
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顕微解剖学
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I型肺胞上皮細胞 | II型肺胞上皮細胞 | 杯細胞 | クララ細胞 | 気管軟骨輪
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生理学・生化学
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生理学
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肺気量 | 肺活量 | %肺活量 | 残気量 | 死腔 | 1回換気量 | 1秒率 | 肺サーファクタント | SP-A
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生化学
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PaCO2 | PaO2 | AaDO2 | FiO2 | SpO2 | 呼吸係数および酸素化係数
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血管系 |
肺循環系
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(右心室 -) 肺動脈 - 毛細血管 - 肺静脈 (- 左心房)
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気管支循環系
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(胸部大動脈 -) 気管支動脈 - 毛細血管 - 気管支静脈 (- 奇静脈/副反奇静脈)
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運動器系 |
骨格
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肋骨 | 胸骨
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呼吸筋
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横隔膜 | 内肋間筋 | 外肋間筋 | 胸鎖乳突筋 | 前斜角筋 | 中斜角筋 | 後斜角筋 | 腹直筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋 | 腹横筋
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神経系 |
中枢神経系
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呼吸中枢 | 呼吸調節中枢 | 前頭葉
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末梢神経系
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横隔神経 | 肋間神経
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- late preterm/IUGR児の管理 (特集 新生児医療・必修基礎知識) -- (出生時・入院時対応)
- 新生児一過性多呼吸 (NICU最前線 診断の流れがわかるとケアポイントが見えてくる 必修! 新生児呼吸器疾患標準プロトコール)
- K1-18 羊水中ラメラ体を用いた新生児一過性多呼吸発生の予測ついての検討(高得点演題5 周産期,高得点演題プログラム,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 津田 弘之,早川 博生,小谷 友美,炭竈 誠二,真野 由紀雄,廣中 昌恵,杉山 知里,川地 史高,岩垣 重紀,高橋 雄一郎,川鰭 市郎,吉川 史隆
- 日本産科婦人科學會雜誌 62(2), 347, 2010-02-01
- NAID 110007685303
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★リンクテーブル★
[★]
- 生後24日の新生児。在胎27週、968gで出生。Apgarスコア6点(1分)、7点(5分)。
- 出生後からチアノーゼとうめき声とがあり、陥没呼吸を認めた。呼吸数54回/分。ただちに気管内挿管し、人工換気を開始した。生後1日の血清IgM値は50mg/dl(基準0~20)。20日目で人工換気を中止し、酸素投与のみで経過をみた。
- 抜管後、症状は4日間は落ちついていたが、次第に喘鳴が聴取されるようになった。
- 生後24日の白血球12,000、CRP0.1mg/dl(基準0.3以下)。胸部エックス線写真を以下に示す。
- 生後24日の状態で考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A002]←[国試_098]→[098A004]
[★]
- 出生直後の新生児。早産児のためにNICUに入院した。母親は前期破水のため2日前から入院していた。在胎26週、出生体重 980gで経腟分娩で出生した。Apgarスコアは4点(1分)。体温 37.3℃。心拍数 160/分、整。呼吸数 50/分。SpO2 90%(哺育器内の酸素濃度 30%)。大泉門は平坦。呻吟と肋間腔の陥没とを認める。
- 考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I074]←[国試_111]→[111I076]
[★]
新生児一過性多呼吸 transient tachypnea of the newborn = TTN
[★]
新生児一過性多呼吸, transient tachypnea of the newborn
[★]
新生児一過性多呼吸, TTN
[★]
新生児一過性多呼吸
[★]
新生児一過性多呼吸
[★]
- 英
- neonate
- 同
- 新産児 newborn
- 関
- 胎児 fetus,乳児 infant
- neonatal, newborn, newborn animal, newborn infant
定義
- 早期新生児期:出生後1週未満
- 後期新生児期:7日から28日未満
出生後にみとめられるもの
- 098G051
- 吸啜反射:出生時より
- 胎便:出生直後-3日頃
- 生理的黄疸:出生後2-3日に出現。出生後4-6日にピーク ← 出生時~出生後24時間内の黄疸は病的
- 生理的体重減少:出生後3-4日で最大。
- 臍帯の脱落:出生後5-7日
解剖
生理
腎機能
免疫
- 細胞性免疫>液性免疫
- 在胎26-33週に移行した母体のIgGによる受動免疫で感染から防御している。
- 出生後5ヶ月で消失
血液
- Ht:50-55%:生後細胞外液の喪失に伴い上昇、8日で生後の値にもどり、3ヶ月に最も低くなる。
- Hb:17-19g/dL
- 白血球:9,000-30,000/mm3
- 血小板:10-28万/mm3 (SPE.74)
身体所見
身体の大きさ
- QB.P-329
- 前後径、肩幅:11cm
- 大横径、小斜径、殿幅:9cm
- 体重:3300g
- 頭囲:33cm
- 胸囲:33cm
呼吸器
- SPE.78
- 腹式呼吸
- 呼吸数:40-50/分 (早産児ではこれより早く、5-10秒の呼吸停止を挟む呼吸)
- 聴診:呼吸音は胸壁が薄いためよく聴取され、高調である。
経過観察できる所見
- QB.O-76改変
診察箇所と疑われる疾患
- SPE.77
出生体重による分類
- 高出生体重児 high birth weight infant
- 巨大児 giant baby : 4000g以上
- 超巨大児 exceptionally large baby : 4500g以上
- 正出生体重児 normal birth weight infant :2500g以上、4000g未満
- 低出生体重児 low birth weight infant : 2500g未満
- 極低出生体重児 very low birth weight infant : 1500g未満
- 超低出生体重児 extremely low birth weight infant : 1000g未満
身長、体重による区分
- SPE.48
- 日本での定義/体重のみで評価
- light for gestational age infant / light for dates infant : 体重が10パーセンタイル未満の児
- apropriate for gestational age infant AGA infant : 体重が10パーセンタイル以上の児 かつ 体重が90パーセンタイル未満の児
- heavy for gestational age infant :体重が90パーセンタイル以上の児
- 参考1
- 体重による評価
- light for date LFD
- appropriate for date AFD
- hearve for date
- 参考1
- 身長と体重による評価
- small for date SFD / small for gestational age SGA
- large for date? LFD? / large for gestational age? LGA?
成熟新生児の身体所見
- 参考2 G10.M235 SPE.78 など
- 大泉門は開存(4x4cm)しており、小泉門は小さい
- 産瘤(経腟分娩による場合)
- 頭頂部方向に長く変形(児が後頭位であって、経腟分娩により出生した典型的な場合)
- 骨重積(産瘤、頭部変形、骨重積は2日程度で戻る)(経腟分娩による場合)
- 頭髪の長さは2cm前後
- 耳介の巻き込み
- 面疱は鼻に限局
- うぶ毛は背中、肩甲部に限局 ← 未成熟の場合、うぶ毛は多い
- 皮膚は厚く、血管は透けない
- 足底にしわを認める ← 未成熟の場合、しわは少ない
- 四肢に浮腫を認めない
- 関節屈曲部に胎脂が残る
新生児と疾患
在胎週数と疾患
参考
- 1. C.産婦人科検査法 14.胎児発育・児体重推定 - 日産婦誌59巻6号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5906-168.pdf
- http://www.hogarakana.jp/study/index.php?ID=55
国試
[★]
- 英
- transient、transitory、ephemeral、transiently
- 関
- 過渡応答、過渡的、一日限り、トランジェント、一過的、一過性型
[★]
- 英
- polypnea
- 関
- 頻呼吸
- 呼吸回数の増加(24回/分以上) + 一回換気量増加 ⇔ 頻呼吸 rapid shallow breathing
[★]
- 英
- respiration, breathing
- 関
- 呼吸数、呼吸中枢、呼吸パターン