疾患 | 危険因子 | 防御因子 | |
悪性腫瘍 | 胃癌 | 塩辛い食品、喫煙、くん製製品、ニトロソアミン土壌、腸上皮化生、Helicobacter pyroli | ビタミンC、野菜、果実 |
食道癌 | 喫煙、飲酒、熱い飲食物 | 野菜、果実 | |
結腸癌 | 高脂肪食、肉食、低い身体活動、腸内細菌叢の変化、遺伝(家族性大腸腺腫症) | ||
肝癌 | HBVキャリア・HCVキャリア、アフラトキシン、住血吸虫、飲酒 | ||
肺癌 | 喫煙(特に扁平上皮癌)、大気汚染、石綿(扁平上皮癌、悪性中皮腫) | 野菜、果実 | |
膵癌 | 高脂肪食、喫煙 | ||
口腔癌 | 喫煙(口唇・舌-パイプ)、ビンロウ樹の実(口腔、舌)、飲酒 | ||
咽頭癌 | EBウイルス(上咽頭癌)、飲酒 | ||
喉頭癌 | 喫煙、男性、アルコール | ||
乳癌 | 高年初産、乳癌の家族歴、肥満、未婚で妊娠回数少ない、無授乳、脂肪の過剰摂取、低年齢初経、高年齢閉経 | 母乳授乳 | |
子宮頚癌 | 初交年齢若い、早婚、多産、性交回数が多い(売春)、貧困、不潔]、HSV-2、HPV、流産、人工妊娠中絶回数が多い | ||
子宮体癌 | 肥満、糖尿病、ピル、エストロゲン常用、未婚、妊娠回数少ない、乳癌後のタモキシフエン内服 | ||
膀胱癌 | 喫煙、鎮痛剤乱用、ビルハルツ住血吸虫、サッカリン、防腐剤 | ||
皮膚癌 | 日光(紫外線)、ヒ素(Bowen病) | ||
白血病 | 放射線、ベンゼン、地域集積性(ATL)、ダウン症(小児白血病) | ||
骨腫瘍 | 電離放射線 | ||
甲状腺癌 | ヨード欠乏または過剰 | ||
バーキットリンパ腫 | EBウイルス | ||
循環器疾患 | 脳出血 | 高血圧、重筋肉・夜勤労働、蛋白摂取不足、低アルブミン血症、食塩、家族歴、初老期の男、過度の習慣性飲酒、ストレス、寒冷 | |
脳梗塞 | 高血圧、運動不足、糖尿病、肥満、食塩、喫煙、家族歴、加齢、高脂血症 | 有酸素運動 | |
虚血性心疾患 | 高血圧、高脂血症、喫煙、HDLコレステロール低値、糖尿病、肥満、過度の飲酒、運動不足、年齢、性、ストレス | 適度の飲酒 | |
高血圧疾患 | 寒冷、食塩、肥満、飲酒、カリウム(野菜、果物)の摂取不足、ストレス | 減量 | |
2型糖尿病 | 家族歴、肥満、脂肪の過剰摂取、運動不足、喫煙、薬剤(降圧薬etc.) | ||
肝硬変 | HCV、HBV、飲酒(多量) |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/02 18:51:11」(JST)
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう、英: lifestyle related disease、仏: maladie de comportement、独: Zivilisationskrankheit)とは、
生活習慣病とは、生活習慣(life style)が要因となって発生する諸疾病を指すための呼称・概念である。ここで生活習慣と言っているのは、食事のとりかた、水分のとりかた、喫煙/非喫煙の習慣、運動をする/しないの習慣 等々のことである。各国で同様の概念は用いられており、例えば英語・フランス語・ドイツ語ではそれぞれ、英: lifestyle related disease、仏: maladie de comportement、独: Zivilisationskrankheitと言う。
世界の人々の生活習慣というのは、地域ごとに、きわめて似通っている場合もあれば、大きく異なっている場合もあるので、それなりの共通点や相違点が見られる。異なる国の人々でも、先進国同士で同じ文化圏であったりする等で生活習慣全般が類似している場合は、生じる生活習慣病の一覧やその割合・頻度が類似する傾向がある。
スウェーデンにおける32年の追跡調査[2]によれば、生活習慣(病)による全死亡リスクは次のようにされた:
このように、喫煙が最大のリスクとなるというデータがあるため、生活習慣病対策は禁煙を最優先とするべきだとの医療界からの意見[3]がある。
食生活は がん発生原因の30%に関わっているとする報告もある。
日本では、例えば、糖尿病(1型糖尿病を除く[1])・脂質異常症(家族性脂質異常症を除く[1])・高血圧・高尿酸血症などが挙げられる。
日本では、食生活が欧米化してしまったこと(肉類の摂取量が増えたことなど)も生活習慣病増加の一因となっている、と指摘されている。同じく食習慣に関連して言えば、2003年には、アメリカとカナダの栄養士会は合同で、牛乳や卵も摂取しない完全な菜食においても栄養が摂取でき、また菜食者はがん、2型糖尿病、肥満、高血圧、心臓病といった主要な死因に関わるような生活習慣病のリスクが減る、認知症のリスクも減ると報告した[4]。
生活習慣病は、日本でも発生している重大な病気である。
日本では生活習慣に起因する疾病として主として、がん、脳血管疾患、心臓病などが指摘され、それらは日本人の3大死因ともなっている。肥満はこれらの疾患になるリスクを上げる。また肥満自体が生活習慣病のひとつともされることがある[5](なお、肥満に関連して起きる症候群をメタボリックシンドロームとも呼ぶ)。
また概説で説明したように、糖尿病(1型糖尿病を除く[1])・脂質異常症(家族性脂質異常症を除く[1])・高血圧・高尿酸血症などが挙げられることもある。
2011年の厚生労働省の国民健康・栄養調査で、10年前と比べて日本人が魚や野菜を食べる量が減り、肉食が1割近く増えていることが分かった。厚労省は「野菜の摂取量が少ないと生活習慣病の発症リスクが高まる」としている。[6]
「成人病」なる概念は、昭和30年代に「主として、脳卒中、がん、心臓病などの40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40-60歳くらいの働き盛りに多い疾病」として、加齢と共に罹患の危険が大きくなるという視点から行政的に提唱された。丁度その頃から日本人の死亡率で上位を占めるようになったがん、脳卒中、心臓病は「三大成人病」とされ、集団検診による早期発見、早期治療の体制が整えられた。
しかし近年になって成人病の罹患に長年の生活習慣が大きく影響していたことが判明し[1]、更に、生活習慣の激変により、未だ成人していない子供も糖尿病を発症する例が増えてきた[7][8]。
このため、従来の呼称を見直すべきという視座に立ち、1997年頃から、成人病の多くについて「加齢すれば必ず罹患しやすくなるのではなく、生活習慣の改善によって予防し得る」という認識を人々の間に醸成することを目的として英語の"lifestyle related disease"始め外国における「成人病」の呼称なども参考にした上、「成人病」を「生活習慣病」へと置き換える動きが興り始めた[1] [注釈 1]。 現在では「生活習慣病」の語は広く普及し、定着している[注釈 2]。
また、混同されることが多いが、成人病は加齢による疾病の区分、生活習慣病は生活習慣による疾病の区分であり、両者間で重複する疾病も多いものの、あくまで別個の概念である[1]。
2006年(平成18年)の死因の割合を見ると、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患の3大死因で58.2%を占めている[11]。
死因 | 割合 |
---|---|
悪性新生物(がん) | 30.4% |
心疾患 | 16.0% |
脳血管疾患 | 11.8% |
肺炎 | 9.9% |
不慮の事故 | 3.5% |
自殺 | 2.8% |
老衰 | 2.6% |
腎不全 | 2.0% |
肝疾患 | 1.5% |
慢性閉塞性肺疾患 | 1.3% |
心臓病と脳血管疾患のような主要な死因の下地になる病気は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症である。また、喫煙は上位4死因すべての危険因子であり、「予防可能な最大の死因」とされている。
高血圧症 | 約3,100万人 |
高脂血症 | 約3,000万人 |
糖尿病 | 約740万人 |
2002年(平成14年)の調査では、人口のほぼ半分に相当する47%がこの3つのいずれかに該当するとされる[12]。
痛風は男性に集中しており、患者数は推定30-60万人、その予備軍である高尿酸血症は成人男性の20%とも言われる[13]。発症年齢もかつては50代だったのが30代へと若年化している。
肥満は中年以降に多く、2006年には40-70代の男性で30%以上、女性では若干少なく20-30%が肥満である[14]。肥満は3大死因を含めたこれらの疾患のリスクを上げる。
食生活を見ると、炭水化物の摂取量が減少し、それを埋め合わせるための<<動物性食品>>や<<脂っこく甘い菓子>>や<<甘い飲料>>の消費量の増加が原因とされる。また<<塩分の摂取過剰>>、<<野菜の摂取不足>>なども原因とされ、このような食生活の状況を改善することを目的として「食生活指針」や「食事バランスガイド」などが策定されている。
日本での生活習慣病の要因としては、総じて、いわゆる「食生活の欧米化[15]」や、運動不足、タバコの煙が強く関連している(要因として働いている)、とされている。
食生活は がん発生原因の30%に関わっているとする報告もあるわけだが、 食の欧米化との関連で生じている傾向が強いのは乳がんや前立腺がんや大腸癌であると考えられている[16]。
タバコもがん発生原因の30%に関わっているとされ、もっぱら肺がんに関連しているが口腔や尿路のがんの主要な原因でもある[17]。財務省が日本たばこ産業の株の半数以上を保有しているため、喫煙規制や禁煙に関する動きが進みにくかったと渡邊昌が指摘している[18]。
「健康日本21」では、食生活、運動、タバコなどの項目について一次予防に重点に置いて目標値を定め実行を推進している。特に脳卒中が多発する時期である寒冷期の2月1日から2月7日に、厚生労働省主催の生活習慣病予防週間が実施される。
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