社会恐怖症
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社交不安障害 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
F40.1, F93.2 |
ICD-9 |
300.23 |
MedlinePlus |
000957 |
Patient UK |
社交不安障害 |
MeSH |
D010698 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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社交不安障害(しゃこうふあんしょうがい、英語: Social Anxiety Disorder ; SAD)とは、社交恐怖(英: Social phobia)とも呼ばれる、社交場面で否定的な評価を受けたり、他人に辱められることに強い不安を感じることを主な症状とする精神疾患である。日本では英語を直訳した「社会不安障害」と呼ばれていたが、「社会不安」という言葉には誤解も多いことから、2008年に日本精神神経学会において、より実態に近い表現の「社交不安障害」という名称に変更された[1]。
目次
- 1 概要
- 2 主な症状
- 3 診断基準
- 4 治療
- 5 脚注・出典
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
概要
人から注目を集める場面において、誰しも不安を感じる事があり、それをあがり症と呼んだり、特にあがりやすい人をシャイと呼んだりする。しかし、それが原因で日常生活に支障をきたすような事はなく、通常はそういった場面に慣れるうちにあがりにくくなるものであり、身体的な症状はあまり発現しない。
これに対して社交不安障害は、対人場面で過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現し、そういった場面にはなかなか慣れないため、対人関係がうまく築けず集団の中で孤立してしまったり、たとえしなければならない事であっても、対人場面を次第に避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼす点が異なる。
主な症状
社交不安障害患者が強い不安を感じる場面として、最も多いのが「見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話」と「人前での発言・スピーチ」、次いで、「権威がある人(社会的立場が上の人)との面談・会話」、「会社で電話をとる」、「受付で手続きをする」、「人前で文字を書く」、「人前でご飯を食べる」、「会食やパーティに参加する」「自宅(ストレスとなる因子がある場合)」などである。
このような場面で社交不安障害患者には、さまざまな症状が身体に現れる。強い不安を感じる、強い緊張を感じる、頭が真っ白になり何も答えられない、声が震える、声が出ない(選択緘黙)、手足の震え、めまい、動悸、口が渇く、赤面する、汗が出る、吐き気がする、胃のむかつき等の症状がある。
こうした強い不安を避けるため、また人に知られたくないと考えるあまり、社交不安障害患者は周囲の人々との接触や、人前での活動を避けるようになり、日常生活に支障を及ぼす事になる。また、症状が慢性化すると、うつ病やパニック障害なども併発する危険性があるので、早期の治療を要する。
「自殺を考えたことがある」人の割合はうつ病の人よりも多く、実際周囲の人が思っている以上に患者達は悩んでいるといわれる[要出典]。
生涯有病率は3 - 13%と言われており決して稀な病気ではない。5歳以下など世代を問わず発症するが、特に15歳頃の思春期に多く、不安障害の中で最も発病年齢の低い病気と言われている。その一方、30 - 40代あたりに管理職につき、人前で話す機会が多くなり発症するといったケースもめずらしくない。頻度に特筆すべき男女差はないが、若干男性の割合が多い[要出典]。
なお、症状はパニック障害と似ているが、パニック障害が「死」や「精神的におかしくなってしまうこと」に対する強い不安であり発作的に症状が発現するのに対し、社交不安障害では「人」や「社交場面」に対する強い不安であるところなどが異なっている。
診断基準
DSMをもとに作成された簡易構造化面接法(M.I.N.I.)によれば、以下のすべての項目に当てはまる場合、社交不安障害の可能性がある[2]。
- 人前で、話をしたり食事をしたり文字を書いたりするときに他人から注目されていると思うと、怖くなったり戸惑ったりする
- それは、自分でも怖がりすぎていると思う
- それは、わざわざ避けたり、じっと我慢したりしなければならないほどである
- それによって職業・社会生活が妨げられているか、または著しい苦痛を感じている
治療
社交不安障害は単なる内気や恥ずかしがり屋といった性格の問題ではなく、精神科などの医療機関での治療を必要とする精神疾患である。
治療としては、精神科において薬物療法および精神療法を併用又はどちらか単独で行われる。薬物療法ではSSRIを使った治療が効果的であるといわれている。精神療法では認知行動療法などが有効でSSRIと同等の効果があるといわれている。
脚注・出典
- ^ 小さなことが気になるあなたへ OCDと社交不安障害(SAD)
- ^ Sheehan D.V. et al, "The Mini International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I.): The Development and Validation of a Structured Diagnostic Psychiatric Interview," Journal of Clinical Psychiatry, 1998;59(suppl 20):22-33. 表現は簡略化してある。
関連項目
- 不安障害
- 対人恐怖症
- 場面緘黙症
- 回避性パーソナリティ障害
- 自己愛性パーソナリティ障害
- パニック障害
- 広場恐怖
- 過干渉
- 精神科医
- 臨床心理士
外部リンク
- 「Social Phobia」 - Medpediaにある「社交不安障害」についての項目。(英語)
- SAD NET 社会不安障害・社交不安障害総合情報サイト(提供・アボットジャパンおよびMeiji Seika ファルマ)
- 社交不安症 - 脳科学辞典
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精神と行動の障害(ICD-F - 290-319) |
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器質性/症状性 |
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認知症
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軽度認知症 - アルツハイマー型認知症 - 多発性脳梗塞認知症 - ピック病 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - ハンチントン病 - パーキンソン病 - AIDS認知症症候群 - 前頭側頭型認知症 - 日没症候群 - 認知症徘徊
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その他
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せん妄 - 脳振盪後症候群 - 器質脳症候群 - 他の症状性を含む器質性精神障害
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精神作用物質使用、薬物乱用による障害 |
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薬物中毒/オーバードース - 身体依存 - 薬物依存症 - 反跳作用 - 二重反跳 - 離脱
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統合失調症、統合失調型及び妄想性障害 |
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精神病 |
統合失調感情障害 - 統合失調型障害 - 短期反応精神病
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統合失調症 |
破瓜型統合失調症 - 妄想性障害 - 感応精神病
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気分障害(感情障害) |
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躁病 - 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症) - 抑うつ症状(大うつ病 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ病)
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神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
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不安障害
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恐怖症
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広場恐怖症 - 社会恐怖/社交不安障害(対人恐怖) - 単一恐怖(閉所恐怖症) - 単一社会恐怖
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その他
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パニック障害 - 全般性不安障害 - 強迫性障害 - ストレス(急性ストレス障害 - PTSD)
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適応障害
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うつ症状を伴う適応障害
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身体表現性障害
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身体化障害 - 身体醜形障害 - 心気症 - 疾病恐怖 - ダ・コスタ症候群 - 疼痛性障害 - 機能性神経症状症(ガンザー症候群 - 咽喉頭異常感症) - 神経衰弱 - Mass Psychogenic Illness
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解離性障害
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解離性同一性障害 - 解離性健忘 - 解離性遁走 - 離人感・現実感消失障害
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生理的・身体的 |
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摂食障害
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神経性無食欲症 - 神経性大食症 - 反芻性障害 - 特定不能の摂食障害
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非器質性睡眠障害
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過眠症 - 不眠症 - 睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害 - 夜驚症 - 悪夢)
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性機能障害
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性的欲求(性欲低下障害 - 性欲亢進) - 性的関心・興奮 (女性の性的関心・興奮障害) - 勃起障害 - オルガスム(無快楽症 - 射精遅延 - 早漏 - 性的冷感) - 疼痛(膣痙 - 性交疼痛)
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産後
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産後うつ病 - 産後の精神障害
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成人のパーソナリティと行動 |
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性と性同一性
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性成熟障害 - 自我異和的性的志向性 - 性的関係機能障害 - 性的倒錯(性依存症 - 窃視症 - フェティシズム)
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その他
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パーソナリティ障害 - 衝動制御障害(窃盗症 - 抜毛症 - 放火癖) - 体を対象とした反復的行動 - 虚偽性障害(ミュンヒハウゼン症候群)
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小児の精神障害 |
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精神遅滞
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X連鎖精神遅滞 -(Lujan-Fryns症候群)
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精神発達(発達障害)
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特異的発達障害 - 広汎性発達障害
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感情・行動の障害
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ADHD - 行為障害(反抗挑戦性障害) - 情動障害(分離不安症) - 社会的機能(場面緘黙症 - 愛着障害 - 脱抑制性愛着障害) - チック症(トゥレット障害) - 言語障害(吃音症 - 早口症) - 運動障害(常同運動症)
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未分類 |
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緊張病 - 想像妊娠 - 間欠性爆発性障害 - 精神運動性激越 - 常同症 - 心因性非てんかん性発作 - Kluver-Bucy症候群
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- スピーチ恐怖の自動思考を測定する質問紙(Speech Phobia Automatic Thoughts Questionnaire : SPATQ)の開発
- 梅原 沙衣加,福井 至,近喰 ふじ子
- 認知療法研究 = Japanese journal of cognitive therapy 6(2), 161-168, 2013-08
- NAID 40019863347
- 1. 社会不安障害が疑われた,背景に発達障害が関係していると思われる事例 : 発達検査の活用について(一般演題,第49回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)
- 社会不安障害の慢性化・難治化と社会問題,その治療法 (特集 不安障害を見直す)
Related Links
- SAD(社会不安障害・社交不安障害)の総合情報サイトSAD NET。SADとは赤面症、あがり症、対人恐怖症などに近い症状の病気。専門家の医師による監修のもと、症状や治療についての情報を提供。治療体験談や、SAD改善チェック ...
- SAD(社会不安障害・社交不安障害)の総合情報サイトSAD NET「SADはこんな病気」ページ。SADとは赤面症、あがり症、対人恐怖症などに近い症状の病気。専門家の医師による監修のもと、症状や治療についての情報を提供。治療 ...
- 社会不安障害(SAD)という病気をご存知でしょうか?他人の目を気にしすぎて、過度の緊張や不安を感じてしまう病気です。私はこれが病気とは知らず、長い間、人前で声や体が震えてしまう症状で悩み、苦しみました。同じ様に ...
★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。言動の変化を心配した家族に伴われて来院した。3年前に夫を亡くしてから、一人暮らしを続けている。これまでに精神症状を呈したことはなかった。3か月前から自宅に閉じこもりがちになったため、心配した長女が様子を見に行ったところ「外に出ると皆が自分の悪口を言っている」、「隣の人がいつも自分を監視している」といった話をし続けたという。診察時には表情が明るく、抑うつ気分は認めない。疎通性も良好である。幻覚は認めず、改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールは30点(満点30)であった。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E058]←[国試_104]→[104E060]
[★]
- 45歳の男性。「会社に行きたくない」と言って来院した。10歳ころから、人前で食事をしたり、話をしたりするのが極端に苦手になった。就職してからは、周囲から見られているようで、電車での通勤が辛かったと言う。最近部長に昇格し、朝礼の司会をせねばならなくなった。このことが辛く、退職したいとすら思うと言う。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D020]←[国試_100]→[100D022]
[★]
- 27歳の女性。一点を見つめ何事にも無関心なのを心配した夫に伴われて来院した。5週前に、帰宅途中に性的暴行を受けた。それ以後家から出ることができず会社を休んでいる。夜も全く眠れず、食欲もなく、急激に体重が減少した。夫が心配して話しかけるが返事をせず、ぼおっと一点を見つめるのみである。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A028]←[国試_102]→[102A030]
[★]
- a 「怖いので飛行機には乗れない」
- b 「世間の人々から嫌われている」
- c 「明日にも何か大変なことが起こる」
- d 「人ごみや公共の場所に行くと不安になる」
- e 「人前では緊張して思うように話ができない」
[正答]
※国試ナビ4※ [105F003]←[国試_105]→[105F005]
[★]
- 30歳の女性。昨年第一子出産後、赤ん坊に汚れが付いてはいけないと過剰に考えるようになった。外出から帰ってくるとすぐ衣類を着替え洗濯し、家の中の全てを毎朝消毒しないと気がすまないようになってきた。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F004]←[国試_100]→[100F006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I031]←[国試_106]→[106I033]
[★]
- 英
- social phobia, social phobia
- 同
- (アメリカ精神医学会)社会不安障害, social anxiety disorder, SAD
- 関
- 社会恐怖。(ICD-10 F40)恐怖症性不安障害、神経症性障害
ICD-10
疫学
- 生涯有病率 0.36-10.8%
- 女性が男性の2倍以上らしい
- 20歳代後半で好発
臨床的特徴
- 羞恥恐怖性
- 状況依存性
- 不安喚起性
- 身体表出性
- 性格起因性
- 現実回避性
参考
国試
- 105F004:「人前では緊張して思うように話ができない」
- 101G003
- 100D021:10歳ころから、人前で食事をしたり、話をしたりするのが極端に苦手になった。就職してからは、周囲から見られているようで、電車での通勤が辛かったと言う。
[★]
- 英
- selective serotonin reuptake inhibitor, SSRI
- 関
- 薬理学、向精神薬
特徴
- TCAと違いcaridiotoxicityがない。また、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体、アドレナリン受容体、ドパミン受容体に結合しない。
適応
副作用
- some degree of sexual dysfunction
- GI distress
- sertraline:diarrhea
- paroxetine:comstipation
- serotonin syndrome: rare but dangeraous elevation of 5HT: can occur when both an SSRI and a monoamine oxidase inhibitor are administered simultaneously.
- hyperthermia, muscle rigidity, myoclonus, and rapid fluctuations in mental status and vital signs.
[★]
- 英
- social phobia、social fear
- 関
- 社会恐怖症、社会不安障害、社会的恐怖
[★]
[★]
社会不安障害
- 関
- social phobia
[★]
- 英
- anxiety disorder
- 同
- 不安性障害
- 関
- 不安神経症
ICD-10
- F40 恐怖症性不安障害 Phobic anxiety disorders
- F40.0 広場恐怖[症] Agoraphobia
- F40.1 社会恐怖[症] Social phobias
- F40.2 特定の[個別的]恐怖[症] Specific (isolated) phobias
- F40.8 その他の恐怖症性不安障害 Other phobic anxiety disorders
- F40.9 恐怖症性不安障害、詳細不明 Phobic anxiety disorder, unspecified
- F41 その他の不安障害 Other anxiety disorders
- F41.0 恐慌性[パニック]障害[挿間性発作性不安] Panic disorder [episodic paroxysmal anxiety]
- F41.1 全般性不安障害 Generalized anxiety disorder
- F41.2 混合性不安抑うつ障害 Mixed anxiety and depressive disorder
- F41.3 その他の混合性不安障害 Other mixed anxiety disorders
- F41.8 その他の明示された不安障害 Other specified anxiety disorders
- F41.9 不安障害、詳細不明 Anxiety disorder, unspecified
[★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
[★]
- 英
- anxiety、disturbance、discomfort、fear、dysphoria、anxious、uneasy、anxiously
- 関
- 撹乱、恐怖、苦悶、障害、心配、不快、不快感、妨害、不快気分、精神不安感、異常感、不安症、恐れる
[★]
harm、hazard、injure
- 関
- 危険、損傷、ハザード、傷害を与える、害する
[★]
- 英
- society、societal
- 関
- 学会、協会