- 英
- anxiety neurosis
- 関
- 不安障害、胃腸神経症、吃書、職業神経症、パニック障害、不安
WordNet
- (psychiatry) a relatively permanent state of worry and nervousness occurring in a variety of mental disorders, usually accompanied by compulsive behavior or attacks of panic (同)anxiousness
- a vague unpleasant emotion that is experienced in anticipation of some (usually ill-defined) misfortune
PrepTutorEJDIC
- 〈U〉(…についての)『心配』,不安,気がかり《+『about(for)』+『名』》 / 〈C〉心配事,心配の種 / 〈U〉《話》『切望』,熱望;〈C〉切望する事(物)
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Neurosis |
分類および外部参照情報 |
診療科・
学術分野 |
精神医学 |
神経症(しんけいしょう、英:Neurosis、独:Neurose)とは、精神医学の伝統的な用語で、不安などの不適応行動を特徴とし、入院するほど重篤ではない場合が多い状態である。1980年のDSM-III(第3版)では神経症という語を廃止し、神経症性うつ病(抑うつ神経症)の多くは気分変調性障害に含められた[2]。またDSM-IIIは不安神経症を、パニック障害と全般性不安障害に分離した[3]。強迫神経症は強迫性障害となったように、現在では神経症の語は用いられない。
神経症に対するかつての用語は、精神病であり、行動や思考過程の障害が激しくより重篤な状態を指した。 これは主に精神分裂病や躁うつ病であり、原因が器質的(身体的)なものによらない精神障害のことをさす。このような神経症と精神病の分類は不正確な診断をもたらしたため、後の『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)は、より厳密な分類によって、より正確な診断を可能とした。
ジークムント・フロイトが最終的な神経症の概念を確立した[4]。このようにかつて、心因性であることが神経症の診断に必要であったが、後に抗うつ薬などの登場によって生物学的な要因が仮定されたことも、この概念が陰りを見せてきた理由である[4]。
目次
- 1 分類
- 2 歴史
- 3 精神分析における神経症
- 4 注記
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
分類
かつて神経症と呼ばれた一群は、DSM-IV(第4版)では次のような診断名となっている[4]。
- 不安神経症→全般性不安障害、パニック障害[4]。
- 恐怖症→広場恐怖、社交不安障害、特定の恐怖症[4]
- 強迫神経症→強迫性障害[4]
- 心気症―そのまま[4]
- ヒステリー→転換性障害、解離性障害[4]。
- 離人神経症→離人性障害、解離性同一性障害[4]。
- 抑うつ神経症→うつ病、気分変調性障害[4]。
歴史
19世紀以前において、脳や体に何も異常がないのに精神(神経)が冒されたようになる状態をそう呼んでいた。
ジークムント・フロイト(1856年 - 1939年)が、神経症と精神病を厳密に区別したのは、精神分析による治療の可能性を予測するためであり、そのふたつの境界例は禁忌とされた。治療の対象を神経症としたために、精神病を鑑別することが必要であった。1924年のフロイトによる「神経症および精神病における現実の喪失[6]」はその区別を試みた論文であり、初期の境界例の議論へとつながった。症状は、精神分析の理論である超自我や肛門期固着などで解釈され、心理療法(精神分析)が治療の主体であった。
このように精神障害の伝統的な分類は、神経症と精神病とであったが、この分類は後に不正確な診断をもたらしたために、より正確な診断を行うための『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)と『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』(ICD)が登場し使われるようになっている。1980年のDSM-III(第3版)では神経症という語を廃止し、神経症性うつ病の多くは気分変調性障害に含められた[2]。またDSM-IIIは不安神経症を、パニック障害と全般性不安障害に分離した[3]。パニック発作があるものと、そうではない持続的な不安―心配―をもつものとの分離である[3]。伴って、臨床的診断として神経症が使用されることは少なくなった。特に精神医学界では表立って使われてはいない。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法が有効である可能性があり、心因性ではなく生物学的な要因を仮定する動きが出てきた[4]。
精神分析における神経症
精神分析による神経症の概念の背景には、感じられた不安ではなく、感じられることのない「抑圧された不安」が他の形へと変わって現れるという働きが想定されている。
より近代的な診断分類では、感じられる不安のみを扱い、境界例の議論では当初想定された神経症との関わりを離れ、性格という視点から扱われるようになり、神経症という概念は意義を失っていった。
古典的な診断
古典的な診断には以下のような特徴がある。
- まず身体疾患による所見が除外されることである[4]。
- 精神病ではない[4]。(精神病とは妄想や幻覚を特徴とする)
- 心因性である[4]。
- 面接や検査によって、明らかに症状が確認される[4]。
注記
なお神経症にあたるドイツ語はノイローゼ(Neurose)であり、日本でも神経症の意味で使うこともある。ただし、一般の人が「ノイローゼ」と言う場合はもっと広い意味に使われる傾向が強いので注意が必要である。例えば「気分が落ち込んだ」とか「あることに悩んでばかりいる」状態をこの言葉で表現する。
脚注
- ^ a b 宮岡等 『うつ病医療の危機』 日本評論社、2014年、122頁。ISBN 978-4535984110。
- ^ a b c Catherine L. Woodman, MD (1997). “The Natural History of Generalized Anxiety Disorder: A Review”. Medscape Psychiatry & Mental Health eJournal 2 (3). http://www.medscape.com/viewarticle/431268.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o (編集)小此木啓吾、大野 裕、 深津千賀子 『心の臨床家のための必携精神医学ハンドブック』 創元社、1998年、159-178頁。ISBN 978-4422112053。
- ^ 『フロイト著作集6』人文書院、1970年、に収載。
参考文献
- Susan Nolen-Hoeksema, Barbara L.Fredrickson, Geoff R.Loftus, Willem A.Wagenaar、(監訳)内田一成 『ヒルガードの心理学』、2012年5月、15版。ISBN 978-4-7724-1233-9。 Atkinson & Hilgard's Introduction to Psychology, 15ed.
- 鈴木国文 『神経症概念はいま―我々はフロイトのために百年の回り道をしたのだろうか』 金剛出版、1995年。ISBN 4-7724-0477-5。
関連項目
- 精神医学
- 精神分析学
- 抜毛癖
- チック症
- 場面緘黙症
UpToDate Contents
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- 1. 成人における全般性不安障害に対する薬物療法pharmacotherapy for generalized anxiety disorder in adults [show details]
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- 2. 小児や青年の不安障害への薬物療法pharmacotherapy for anxiety disorders in children and adolescents [show details]
… separation anxiety disorder, and specific phobia. Pediatric anxiety disorders are associated with increased difficulty in school performance and peer relationships . When left untreated, anxiety disorders …
- 3. 成人における全般性不安障害:疫学、病因、臨床症状、経過、評価および診断generalized anxiety disorder in adults epidemiology pathogenesis clinical manifestations course assessment and diagnosis [show details]
…symptoms of anxiety, such as apprehensiveness and irritability, and physical (or somatic) symptoms of anxiety, such as increased fatigue and muscular tension. Effective treatments for generalized anxiety disorder …
- 4. 成人における全般性不安障害の治療法に対するアプローチapproach to treating generalized anxiety disorder in adults [show details]
… Generalized anxiety disorder (GAD) is characterized by excessive worry and anxiety that are difficult to control, cause significant distress and impairment, and occur on more days than not. Generalized …
- 5. 小児や青年の不安障害:疫学、病因、臨床症状、および経過anxiety disorders in children and adolescents epidemiology pathogenesis clinical manifestations and course [show details]
… development. Anxiety and fear meet the criteria for a clinical anxiety disorder when the concerns are persistent and excessive, causing notable distress or impairment in day-to-day life. Anxiety disorders …
Japanese Journal
- 子育てと介護のはざまで不安神経症に…… 夫・根津甚八の壮絶な闘病を支えて見送り、強くなった (特集 悲しみを希望にかえて 夫亡き後、ひとりを生きる)
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- neurotic disorder, neurotic disorders
分類
ICD-10
- F40 - F48 Neurotic, stress-related and somatoform disorders
- F40 Phobic anxiety disorders 恐怖症性不安障害
- F41 Other anxiety disorders 他の不安障害
- F42 Obsessive-compulsive disorder 強迫性障害
- F43 Reaction to severe stress, and adjustment disorders
- F44 Dissociative disorders 解離性障害, conversion disorders てんかん性障害
- F45 Somatoform disorders 身体表現性障害
- F48 Other neurotic disorders
比較
- PSY.197
教科書的分類
[★]
- 英
- palpitation
- 同
- 心悸亢進
- 関
- 脈拍異常
定義
原因
- 生理的反応:運動、労作、精神的ストレス、精神的興奮
- 非心疾患:
病態生理
- 生理的反応:反応性の内因性カテコラミン産生増加による心拍数増加、左室収縮力の増加、血圧上昇
- 非心疾患:
不整脈性の動悸
[★]
- 英
- anxiety disorder
- 同
- 不安性障害
- 関
- 不安神経症
ICD-10
- F40 恐怖症性不安障害 Phobic anxiety disorders
- F40.0 広場恐怖[症] Agoraphobia
- F40.1 社会恐怖[症] Social phobias
- F40.2 特定の[個別的]恐怖[症] Specific (isolated) phobias
- F40.8 その他の恐怖症性不安障害 Other phobic anxiety disorders
- F40.9 恐怖症性不安障害、詳細不明 Phobic anxiety disorder, unspecified
- F41 その他の不安障害 Other anxiety disorders
- F41.0 恐慌性[パニック]障害[挿間性発作性不安] Panic disorder [episodic paroxysmal anxiety]
- F41.1 全般性不安障害 Generalized anxiety disorder
- F41.2 混合性不安抑うつ障害 Mixed anxiety and depressive disorder
- F41.3 その他の混合性不安障害 Other mixed anxiety disorders
- F41.8 その他の明示された不安障害 Other specified anxiety disorders
- F41.9 不安障害、詳細不明 Anxiety disorder, unspecified
[★]
- 心配、不安、懸念
- 悩みの種、心配事
- 望み、切望、渇望
- (医)不安神経症
[★]
- 英
- expectation neurosis
- 関
- 不安神経症
[★]
- 英
- nerve
- ラ
- nervus
- 関
- ニューロン
解剖で分類
- 中枢神経 central nervous systen CNS
- 末梢神経 peripheral nervous system PNS
情報で分類
- 感覚神経 sensory nerve = 求心性線維 afferent nerve
- 運動神経 motor nerve = 遠心性線維 efferent nerve
機能で分類
- 体性神経 somatic nervous system SNS
- 自律神経 autonomic nervous system ANS
[★]
- 英
- anxiety、disturbance、discomfort、fear、dysphoria、anxious、uneasy、anxiously
- 関
- 撹乱、恐怖、苦悶、障害、心配、不快、不快感、妨害、不快気分、精神不安感、異常感、不安症、恐れる
[★]
- 英
- neurosis、neurotic
- 同
- ノイローゼ
- 関
- 精神症状、神経症性障害
[★]
- 英
- sis, pathy