Generalized Anxiety Disorder |
分類及び外部参照情報 |
診療科 |
精神医学 |
ICD-10 |
F41.1 |
ICD-9 |
300.02 |
MedlinePlus |
000917 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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全般性不安障害(ぜんぱんせいふあんしょうがい、Generalized Anxiety Disorder, GAD)は、過度で制御できない、多くは理由なき不安のために日常生活に多大な影響を及ぼしている不安障害の一種[1] 。診断には、症状は最低6か月以上継続しており、かつ社会的・職業的・その他の面で不全を及ぼしている必要がある。
任意の年において、米国のおよそ680万人の成人と、欧州人口の2%が、GADを経験している[3][4]。GADは男性より女性に2倍多い病気である。本人に薬物乱用歴があり、かつ家族にGAD歴がある場合には罹患は一般的である[5]。一度GADが発症すると、それは慢性的になりやすいが、適切な治療によって管理または完治することが可能である[6]
目次
- 1 症状
- 2 原因
- 3 疫学
- 4 管理
- 5 出典
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
症状
DSM-IVの基準では以下を満たす必要がある。
- 仕事や学業、将来、天災、事故、病気などのさまざまな出来事または活動について、過剰な不安と心配がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
- 不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い
- 不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
- そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
- 疲れやすい
- 倦怠感
- 動悸・息切れ
- めまい・ふらつき感
- 集中できない、心が空白になってしまう
- 刺激に対して過敏に反応してしまう
- 頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
- 眠れない又は熟睡した感じがない
原因
遺伝
薬物
長期間のベンゾジアゼピン使用は不安を悪化させる[7][8]。 ベンゾジアゼピンの減量は、不安症状の軽減につながる証拠がある[9]。 同様に、アルコールの長期使用は不安障害に関連付けられている[10]。長期間の断酒が不安症状の改善につながるという証拠がある[11]。
1988~1990年に、イギリスの精神病院にて、精神保健サービスを受けているパニック障害、社会恐怖症、社交不安障害のような不安障害をもつ患者について調査を行った。その結果、半数がアルコールやベンゾジアゼピン依存であった。これらの患者について、不安症状は最初の離脱の段階で悪化したが、ベンゾジアゼピンやアルコールの断薬・断酒によって消失した。ベンゾジアゼピンやアルコール依存となる前の不安は、依存によって維持され、更に悪化させる方向に進んでいった。ベンゾジアゼピンからの回復はアルコールからの回復よりも時間を要する傾向にある。しかし彼らは以前の健康を取り戻すことができる。[12]
疫学
イギリスでのGAD生涯経験率は5.7%ほど[13]。
全般性不安障害の患者数はパニック障害の患者数より3~4倍多いとされ、1000人に64人くらいが経験すると報告されており、まれな病気ではないと言える。不安障害のなかでは一般的で発症は10代半ばが多いが、精神科にはかなりの時を経て受診するケースが多い。原因はわかっていないが遺伝的要因や神経質の性格、現在のストレス状態や自律神経の障害などが発症の影響だと言われている。
管理
はじめに併発疾患、うつ病性障害、その他不安障害、薬物乱用、医学的状態、精神疾患既往歴などをアセスメントする。
GADと他の疾患(うつ病やその他疾患)を併発している場合は、まず併発疾患の治療を先に行わなければならない。薬物乱用・依存が見られる場合は、そちらの治療を先に行わなければらない。
英国国立医療技術評価機構(NICE)のGADガイドラインでは、第一段階では低強度の心理療法を挙げており、以下から患者好みのものを選択する。
- 個人単位で、施設以外によるセルフヘルプ。CBT理論に基づく読み物など。
- 個人単位での支援つきセルフヘルプ。訓練を受けた医療者によって支援される。
- CBT理論に基づく集団精神教育。患者12人あたり1人の医療者を配置すべきである。
これらが効果を示さない場合、高強度の心理療法(CBT)、または薬物療法を行う。それらも効果を示さない場合、専門チームへ紹介すべきである。
心理療法
詳細は「認知行動療法」を参照
「心理療法アクセス改善」も参照
薬物療法
患者が薬物療法を選択した場合、第一選択肢はSSRIを提案する。
第一選択肢はセルラトリンである。これが効果を示さない場合、その他のSSRI、またはSNRIを検討する。その場合は、副作用、SSRI離脱症候群、自殺リスクについて検討すべきである。30歳以下にSSRIまたはSNRIを処方する場合、患者に自殺リスク・自傷リスクについて警告すべきである。
患者がSSRIとSNRIに認容できない場合、プレガバリンが検討できる。
プライマリケアにおいては、GADに抗精神病薬を処方してはならない。
ベンゾジアゼピン
「ベンゾジアゼピン薬物乱用#各国の状況」も参照
ベンゾジアゼピンは即効性の抗不安薬であり、GADやその他の不安障害に用いられている[25]。しかしながら、長期間の使用では副作用があるため、FDAは短期的な使用(6-12週)に限って承認した。世界不安学会では、耐性、精神障害、認知記憶障害、身体的依存、ベンゾジアゼピン離脱症候群が形成されるため、ベンゾジアゼピンの長期使用を推奨していない[26][27]。 副作用には、眠気、運動能力の低下、平衡感覚問題などがある。
英国国立医療技術評価機構(NICE)の診療ガイドラインは、短期間の危機介入使用を除いてベンゾジアゼピンを処方してはならないとしている。
カナダ精神医学会(CPA)のガイドラインでは、ベンゾジアゼピンは、2種類以上の抗うつ薬治療が成功しなかった場合の第二選択としてのみ限定し推奨している。しかしその際でも、ベンゾジアゼピンは重度の不安や動揺を和らげるための期間を限定しての使用にするとしている。[29]
スウェーデン医療製品庁は、不安の薬物療法には薬物依存のリスクのためベンゾジアゼピンを避けるべきだとしている。[30]
デンマーク保健省の依存性薬物処方ガイドラインでは、全般性不安障害、パニック障害、不安障害の第一選択肢は抗うつ薬である。依存性があるため、ベンゾジアゼピンの処方は非薬物療法などそれ以外全てで治療できない場合のみに限定され、処方期間は4週間が目処であり、長期間の治療は避けなければならないとしている。[31]
出典
- ^ Association, American Psychiatric (2013). Diagnostic and statistical manual of mental disorders : DSM-5. (5th ed.). Washington, D.C.: American Psychiatric Association. p. 222. ISBN 978-0-89042-554-1.
- ^ "The Numbers Count", National Institute of Mental Health. Accessed 28 May 2007.
- ^ Lieb, Roselind; Becker, Eni; Altamura, Carlo (2005). "The epidemiology of generalized anxiety disorder in Europe". European Neuropsychopharmacology 15 (4): 445–52. doi:10.1016/j.euroneuro.2005.04.010. PMID 15951160.
- ^ "In The Clinic: Generalized Anxiety Disorder." Annals Of Internal Medicine 159.11 (2013)
- ^ Rickels, K; Schweizer, E (1990). "The clinical course and long-term management of generalized anxiety disorder". Journal of Clinical Psychopharmacology 10 (3 Suppl): 101S–110S. doi:10.1097/00004714-199006001-00017. PMID 1973934.
- ^ Galanter, Marc (1 July 2008). The American Psychiatric Publishing Textbook of Substance Abuse Treatment (American Psychiatric Press Textbook of Substance Abuse Treatment) (4 ed.). American Psychiatric Publishing, Inc.. p. 197. ISBN 978-1-58562-276-4. http://books.google.com/?id=6wdJgejlQzYC&pg=PA197.
- ^ Ashton H (2005). "The diagnosis and management of benzodiazepine dependence" (PDF). Curr Opin Psychiatry 18 (3): 249?55. doi:10.1097/01.yco.0000165594.60434.84. PMID 16639148.
- ^ Lindsay, S.J.E.; Powell, Graham E., eds (28 July 1998). The Handbook of Clinical Adult Psychology (2nd ed.). Routledge. p. 173. ISBN 978-0415072151. http://books.google.com/?id=a6A9AAAAIAAJ&pg=PA173.
- ^ Cargiulo T (March 2007). "Understanding the health impact of alcohol dependence". Am J Health Syst Pharm 64 (5 Suppl 3): S5?11. doi:10.2146/ajhp060647. PMID 17322182.
- ^ Wetterling T; Junghanns, K (September 2000). "Psychopathology of alcoholics during withdrawal and early abstinence". Eur Psychiatry 15 (8): 483?8. doi:10.1016/S0924-9338(00)00519-8. ISSN 0924-9338. PMID 11175926.
- ^ Cohen SI (February 1995). "Alcohol and benzodiazepines generate anxiety, panic and phobias". J R Soc Med 88 (2): 73?7. PMC 1295099. PMID 7769598.
- ^ CG123 - Common mental health disorders: Identification and pathways to care (Report). 英国国立医療技術評価機構. (2011-04). Introduction. http://www.nice.org.uk/guidance/CG123/.
- ^ "Generalized anxiety disorder", Mayo Clinic. Accessed 29 May 2007.
- ^ Allgulander, C.; Bandelow, B.; Hollander, E.; Montgomery, SA.; Nutt, DJ.; Okasha, A.; Pollack, MH.; Stein, DJ. et al. (Aug 2003). "WCA recommendations for the long-term treatment of generalized anxiety disorder.". CNS Spectr 8 (8 Suppl 1): 53?61. PMID 14767398.
- ^ Stewart SH, Westra HA (2002). "Benzodiazepine side-effects: from the bench to the clinic". Curr. Pharm. Des. 8 (1): 1?3. doi:10.2174/1381612023396708. PMID 11812246.
- ^ Canadian Psychiatric Association (July 2006). "Clinical practice guidelines. Management of anxiety disorders" (PDF). Can J Psychiatry 51 (8 Suppl 2): 51S–55S. PMID 16933543. Retrieved 2009-08-08.
- ^ “Läkemedelsbehandling vid ångest”. スウェーデン医療製品庁. 2011年12月19日閲覧。
- ^ Indenrigs- og Sundhedsministeriet (2008-07-09). Vejledning om ordination af afhængighedsskabende lægemidler (Report). https://www.retsinformation.dk/Forms/R0710.aspx?id=117508.
参考文献
- CG113 : Generalised anxiety disorder and panic disorder (with or without agoraphobia) in adults: Management in primary, secondary and community care (Report). 英国国立医療技術評価機構. (2011-01). http://www.nice.org.uk/guidance/CG113.
関連項目
外部リンク
- 「Generalized Anxiety Disorder」 - Medpediaにある「全般性不安障害」についての項目。(英語)
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精神と行動の障害(ICD-F - 290-319) |
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器質性 / 症状性 |
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認知症
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- 軽度認知症
- アルツハイマー型認知症
- 多発性脳梗塞認知症
- ピック病
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- ハンチントン病
- パーキンソン病
- AIDS認知症症候群
- 前頭側頭型認知症
- 日没症候群
- 認知症徘徊
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その他
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- せん妄
- 脳振盪後症候群
- 器質脳症候群
- 他の症状性を含む器質性精神障害
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精神作用物質使用、薬物乱用による障害 |
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- 薬物中毒 / オーバードース
- 身体依存
- 薬物依存症
- 反跳作用
- 二重反跳
- 離脱
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気分障害(感情障害) |
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- 躁病
- 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症)
- 抑うつ症状(大うつ病 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ病)
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神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
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不安障害
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恐怖症
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- 広場恐怖症
- 社会恐怖 / 社交不安障害(対人恐怖)
- 単一恐怖(閉所恐怖症)
- 単一社会恐怖
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その他
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- パニック障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- ストレス(急性ストレス障害 - PTSD)
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適応障害
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身体表現性障害
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- 身体化障害
- 身体醜形障害
- 心気症
- 疾病恐怖
- ダ・コスタ症候群
- 疼痛性障害
- 機能性神経症状症(ガンザー症候群 - 咽喉頭異常感症)
- 神経衰弱
- Mass Psychogenic Illness
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解離性障害
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- 解離性同一性障害
- 解離性健忘
- 解離性遁走
- 離人感・現実感消失障害
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生理的・身体的 |
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摂食障害
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- 神経性無食欲症
- 神経性大食症
- 反芻性障害
- 特定不能の摂食障害
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非器質性睡眠障害
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- 過眠症
- 不眠症
- 睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害 - 夜驚症 - 悪夢)
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性機能障害
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- 性的欲求(性欲低下障害 - 性欲亢進)
- 性的関心・興奮 (女性の性的関心・興奮障害)
- 勃起障害
- オルガスム(無快楽症 - 射精遅延 - 早漏 - 性的冷感)
- 疼痛(膣痙 - 性交疼痛)
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産後
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成人のパーソナリティと行動 |
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性と性同一性
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- 性成熟障害
- 自我異和的性的志向性
- 性的関係機能障害
- 性的倒錯(性依存症 - 窃視症 - フェティシズム)
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その他
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- パーソナリティ障害
- 衝動制御障害(窃盗症 - 抜毛症 - 放火癖)
- 体を対象とした反復的行動
- 虚偽性障害(ミュンヒハウゼン症候群)
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小児の精神障害 |
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精神遅滞
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精神発達(発達障害)
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感情・行動の障害
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- ADHD
- 行為障害(反抗挑戦性障害)
- 情動障害(分離不安症)
- 社会的機能(場面緘黙症 - 愛着障害 - 脱抑制性愛着障害)
- チック症(トゥレット障害)
- 言語障害(吃音症 - 早口症)
- 運動障害(常同運動症)
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未分類 |
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