スプラタスト
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/05 21:41:47」(JST)
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トシラートエステルの一般構造式。トシル基で保護されたアルコールにあたる
トシル基(トシルき、tosyl group)とは、有機化学における官能基のひとつ。p-トルエンスルホニル基 (p-toluenesulfonyl) の略称で、パラトルエンスルホン酸 (tosic acid) からヒドロキシ基を除去した構造 (p-H3CC6H4S(=O)2-) の1価の基。Ts、Tos と略記される。アルコールやフェノールのヒドロキシ基と縮合させ、求核置換反応や脱離反応に対する反応性を強める目的で用いられる。アルコールと縮合してできるスルホン酸エステルは トシラート (tosylate) 、トシル基を導入する反応は トシル化 (tosylation) と呼ばれる。
目次
- 1 導入
- 2 反応性
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
導入[編集]
アルコールをトシル化する場合、通常はピリジンを溶媒として塩化パラトルエンスルホニル (TsCl) を作用させる。
- ROH + TsCl + C5H5N → ROTs + C5H5N·HCl
ピリジンの溶媒量が少ないと反応が完結せず,多いと一旦出来たトシラートがクロリドに転化する副反応が併発しやすい.この問題を解決するため,TsCl + Et3N + Me3N•HCl を用いる非常に高速で堅牢な方法が最近使用されている[1]
トシル基はアミンの保護に用いられることもある。導入の手法はアルコールのトシル化と同様で、トシルアミドが得られる。
反応性[編集]
アニオン TsO− はトシラートアニオンと呼ばれ、負電荷が3個の酸素の上に非局在化して安定化している。そのため、トシルオキシ基 TsO- は脱離性のよい置換基として振る舞う。アルコールをトシル化したトシラートエステルへ求核剤を作用させると下式のようにしてトシラートアニオンが脱離する求核置換反応が起こる。この脱離性は母化合物のヒドロキシ基の脱離性に比べはるかに高い。
- ROTs + Nu− → RNu + TsO−
脚注[編集]
- ^ Yoshida, Y.; Sakakura, Y.; Aso, N.; Okada, S.; Tanabe, Y. Tetrahedron 1999, 55, 2183.
参考文献[編集]
- Greene, Theodora W.; Wuts, Peter G. M. (1999). Protective Groups in Organic Synthesis (3rd ed. ed.). New York: Wiley. p. 199.
関連項目[編集]
- パラトルエンスルホン酸
- 塩化パラトルエンスルホニル
- メシル基
UpToDate Contents
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- 1. 好酸球性胃腸炎 eosinophilic gastroenteritis
Japanese Journal
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- スルホベタインおよび第四アンモニウムトシラ-トによる3-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸サルトンの開環重合反応〔サルトン類の開環重合反応-10-〕
- 3-(1-ナフチルオキシ)-2-ヒドロキシ-1-プロピルトシラートとイソプロピルアミンの反応
- 玉置 健太郎 [他],矢田 精一,工藤 士郎
- 有機合成化学協会誌 30(2), 175-178, 1972
- A kinetic study on the reaction of 3- (1-naphthyloxy) -2-hydroxy-1-propyl tosylate (1) with excess isopropylamine (2) in various solvents was studied, and using an analogue computer, the apparent firs …
- NAID 130000926219
Related Links
- トシラートとは。効果、副作用、使用上の注意。 免疫グロブリンE(IgE)の産生を抑える薬で、 気管支喘息(ぜんそく)の発作の予防 、カプセル剤は アトピー性皮膚炎 、 アレルギー性鼻炎 の治療にも使用されます。 - goo辞書は国語 ...
- トシラート(アレルギー性疾患の治療薬 )について主な作用 副作用 用い方と注意点を説明します ... 主な作用 アレルギー反応の起爆役となる、ケミカルメディエータという化学物質の遊離を抑えたり、アレルギー反応に関係するIgE ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
トシラートカプセル50mg
組成
1カプセル中の有効成分:
添加物:
- セルロース、ステアリン酸Mg
カプセル本体:酸化チタン、ラウリル硫酸Na、ゼラチン
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎
- 通常、成人にはスプラタストトシル酸塩として1回100mgを1日3回毎食後に経口投与する。
ただし、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
肝障害のある患者
重大な副作用
肝機能障害:
(頻度不明)
- 黄疸、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇等の肝機能障害(初期症状:全身けん怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
ネフローゼ症候群:
(頻度不明)
- ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- Th2型サイトカインであるIL-4、IL-5の産生抑制作用及びIgE抗体産生抑制作用等により、抗アレルギー作用を示す。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- suplatast
- 化
- トシル酸スプラタスト suplatast tosilate スプラタストトシル酸塩
- 商
- アイピーディ、トシラート
作用機序
- IL-4は、B細胞活性化、IgEスイッチ
- IL-5は、好酸球成長・分化
- Th2細胞によるこれらのインターロイキン酸性を抑制することでIgE抗体産生抑制と好酸球の活性化が抑制される。
薬理作用
- IgE抗体産生抑制
- 好酸球浸潤抑制
- 化学伝達物質遊離抑制