- 英
- medical record
- 同
- カルテ chart Karte
WordNet
- plan in detail; "Bush is charting a course to destroy Saddam Hussein"
- a map designed to assist navigation by air or sea
- a visual display of information
- make a chart of; "chart the territory"
PrepTutorEJDIC
- 『海図』,水路図 / 『図表』 / …'を'図表(海図)に作る / 《話》〈行動など〉'を'計画する(plan)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/08/23 13:59:39」(JST)
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診療録(しんりょうろく、英: medical record)は、医療に関してその診療経過等を記録したものである。かつての日本ではドイツ語で書かれていた。また全体的な概念として診療情報、または医療情報とも言われる。(※本稿では診療録に関することのみではなくこの概念についても記述。)近年では電子カルテ化が進んでいる。
目次
- 1 名称
- 2 分類
- 3 法律
- 3.1 医師法・歯科医師法
- 3.2 獣医師法
- 3.3 医療法
- 3.4 個人情報保護法
- 3.5 その他
- 4 診療録の記載
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
名称
日本で一般に知られている「カルテ」はドイツ語で「カード(Karte、英語のcard)」という意味である。これは、明治時代の日本が主にドイツから医学を学んだことの影響である。明治以前の日本で、診療録としての体を成している書物としては、言継卿記が上げられる。
分類
- 診療情報:診療の過程で知りえた患者に関するすべての事象。
-
- 診療録:診療に関する経過を記録したもの。
- その他診療に関する諸記録:検査結果、手術所見、レントゲン写真、看護記録など。
法律
現在日本の法律では「診療録」と「その他の診療に関する諸記録」は便宜上別物として扱われている。
医師法・歯科医師法
医師法第24条1項に、医師は患者を診療したら遅滞なく「経過を記録すること」が義務づけられている。これを「診療録」としている。また、2項で記録後最低5年間は保存することが義務づけられている(医療機関内で診療したものについては、その医療機関の義務である)。
診療録は単なるメモにとどまらず医療訴訟においても証拠としての重要性は非常に大きく、たとえ必要な処置を行っていたとしてもカルテに記載がない場合、行ったとの主張は認められない可能性もある。歯科医師法も医師法と同様の規定がなされている。
獣医師法
獣医師法では、診療録の保存期間を3年以上と定めている[1]。
医療法
医療法第5条では都道府県知事と一部市長、区長は、必要な場合に医師、歯科医師、助産師に対し診療録、助産録等の提出を命ずることができるとされている。
第21条において病院、第22条において地域医療支援病院、第23条において特定機能病院は、それぞれ診療に関する諸記録を備えておかなければならないとされている。また25条では診療所、助産所、病院に対して都道府県知事と一部市長、区長は、また特定機能病院に対して厚生労働大臣は、それぞれ必要な場合に診療録その他を検査することができるとされている。
第69条では診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができることを広告することができるとされている。第71条では助産所が助産録に係る情報を提供することができる旨を広告することができるとされている。
医療法施行規則では、診療録以外の検査記録や画像写真、手術所見など「診療に関する諸記録」は病院に対し2年間の保存が義務付けられている。
鍼灸院、治療院、接骨院・整骨院などの施術所が記載する施術録については各自治体の条例や規則に基づいて検査されることとなっている。
個人情報保護法
カルテの開示
現在では診療録、その他診療に関する諸記録等すべての「診療情報」の管理、開示等の規定は個人情報保護法を基にして運用されている。ちなみに同法第2条においてこの法律で扱う「個人情報」は「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と規定されている。
多くの医療機関は「診療情報」という個人情報を扱う「個人情報取扱事業者」とされているため、患者本人から開示請求があった場合には原則としてこれを開示することが義務付けられている[2]。一方、患者の家族、または遺族に対しては開示規定はなく、患者死亡の際の医療訴訟では遺族が裁判所に証拠保全を申し立てるといった法的措置を行う場合もあるが、現在では、各医療機関もこれに対応してきており、厚生労働省は診療録開示のガイドラインを制定している。
欧米諸国では、医学界の排他性や密室性を排除するために多くの努力を払っており、アメリカでは転院する時はカルテが自動的についてくる。カルテは患者に属するもので医師や病院のものではないという考え方が徹底している為である[3]
その他
診療情報の扱いについては、以下の法律も関係している。
- 正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密(医療においては診療情報)を漏らしてはならない。
- 業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するもの(医療においては診療情報)については、証言を拒むことができる。
- 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかにこれを児童相談所に通告しなければならないとし、この場合刑法、その他の守秘義務は妨げにならないとされている。
- 規定により本人の承諾が無くとも保健所、都道府県知事に患者の住所氏名等も届け出ることが規定されている。またはこの場合の個人情報である診療情報は個人情報保護法第16条によって公衆衛生上必要な場合には利用目的による制限を受けないとされている。
- ※覚せい剤取締法においては届出義務はない。しかし、「医師が、必要な治療又は検査の過程で採取した患者の尿から違法な薬物の成分を検出した場合に、これを捜査機関に通報することは、正当行為として許容されるものであって、医師の守秘義務に違反しない」との判例があり(最高裁第一小法廷平成17年7月19日決定)、本人の承諾なしに通報を行っても刑法第134条に抵触する恐れは低いと考えられる。
診療録の記載
内容
医師法施行規則には、診療録には以下の4つを最低限記録しなければならないと定められている。
- 診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
- 病名及び主要症状
- 治療方法(処方及び処置)
- 診療の年月日
しかし一般的に、診療録に記載される内容は以下のようなものである。不必要な項目については適宜記載されないこともあるが、システマティックに患者の状況を知って適切な医療を行うため、以下の項目はすべて重要である。
- 患者の基本情報
- 氏名・年齢・性別・住所・保険証番号等
- 主訴(CC; Chief Complaint)
- 胸痛・発熱といった、患者が来院するきっかけとなった主な訴えであり、診療はここから始まる。
- 現病歴(現症)(PI; Present Illnessまたは O.C; onset and course)
- いつから、どのように主訴が始まり、どのような経過をとったのか、前医ではどのような治療を受けたのか、どのような症状が出たのか。
- 既往歴(PH; Past History)
- 過去に患者がかかった病気。現在の病状の把握や、治療の際の方針に大きく影響する。
- 家族歴(FH; Family History)
- 親族や同居者の病気・健康状態。遺伝性疾患や感染症等で家族歴が重要となるだけではなく、患者背景を知り適切な治療方針を立てる上での参考になる。
- 社会歴(SH; Social History)
- 出身地・職業・日常の生活状況・趣味。これらから診断が絞られることは珍しくない。
- 嗜好
- 喫煙・飲酒等
- アレルギー
- 花粉等のほか、アレルギーを起こす薬剤について
- 現症・身体所見
- 視診・聴診・触診による所見、反射・精神状態等
- 検査
- 血液検査・画像検査等各種の検査結果や予約の状況
- 入院後経過・看護記録
- 治療方針
- 治療の目的について
問題指向型診療録
カルテが単なるメモでないのは上述の通りである。しかし、実際には書いた本人にしかわからない略号だらけであったり、不十分な記載しかないというものもまた多い。本人も読めない場合すらある。チーム医療の重要性が注目されている中で、そのたたき台となるべきカルテは記録として機能する必要があり、その方法論のひとつが問題指向(型)医療記録、(POMR: Problem Oriented Medical Record又はPOS: Problem Oriented System)である。特に入院後の治療・看護計画を立てる上で有益な方法であり、採用している病院が多い。
この方法ではまず問題点を列挙し、それぞれの問題について記録内容を以下の4項目に分離する。
- S(Subject):主観的データ。患者の訴え、病歴など。
- O(Object):客観的データ。診察所見、検査所見など。
- A(Assessment):上2者の情報の評価。
- P(Plan):上3者をもとにした治療方針。
問題を列挙した一覧をProblem Listと言う。問題点毎に、「収集した情報」と「そこからの判断」を明確に区別することから始めるのである。そして客観的に得た情報と聴取した情報も区別した上で、その中から問題点を抽出し、それぞれの問題点について評価と対処を記録していくというものである。(POMR又はPOSはこの4項目の頭文字をとってSOAPと呼ばれることもある)
実際にこれら4者を明確に区別できない場合も多く、厳密にこのルールに従うことは不可能なこともあるが、これを意識して記載することでカルテの機能性を向上させることが期待される。具体的には下の2者があげられる。
- T(Treatment):Pで決めた治療方針を基にした治療内容。
- E(Effect):治療後の検査結果や症状の緩和、病気の消失など。
脚注
- ^ 獣医師法第21条第2項
- ^ 首相官邸 個人情報の保護に関する法律 第二十五条 - 開示
- ^ 司法改革が日本を変える 第8回 『SAPIO』 2001年2月28日号
関連項目
- 医師法
- 医療法
- レントゲン
- 電子カルテ
- 診療情報提供書
- ドクターハラスメント
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 境界性人格障害(BPD)の入院診療録に基づく診断の妥当性と信頼性に関する研究
- 大会長講演 診療録記載と医療従事者の役割 (第37回日本診療情報管理学会学術大会)
Related Links
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- 電子カルテ(でんしカルテ)とは、従来医師・歯科医師が診療の経過を記入していた、紙 のカルテを電子的なシステムに置き換え、電子情報として一括してカルテを編集・管理し 、データベースに記録する仕組みのことである。 日本では、2001年12月、e-Japan構想 ...
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★リンクテーブル★
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- ある病院で患者会を開催したところ、以下のような意見が出た。
- 患者A「検査の進め方に不満を持っています。ある検査をした後、次にどのような検査をするのか、説明が不十分だと思います」
- 患者B「同室のAさんと私は、同じ病気で同じ治療を受けているはずなのに、食事内容や入浴がいつからできるかについて、それぞれの主治医が言うことが食い違っています。こういうことは医師によって考えが異なるのですか」
- 患者C「看護師や放射線技師が、医師の治療の進め方を十分には理解していないみたい」 この状態を改善するために最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D027]←[国試_100]→[100D029]
[★]
- 44歳の男性。会社の健康診断で糖尿病と高血圧とを指摘されて入院した。自覚症状はない。夜間、排尿に起きることはない。
- 身長170cm、体重78㎏。脈拍72/分、整。血圧144/98mmHg。血液所見:赤血球474万、Hb15.4g/dl、Ht46%、白血球6,200。血清生化学所見:空腹時血糖130mg/dl、HbA1c6.4%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.0g/dl、アルブミン4.4g/dl、AST48単位、ALT52単位、LDH324単位(基準176~353)。
- 受け持ち医は研修医(中村)と指導医(佐藤)である。ある日の診療録を以下に示す。
- 診療録記載の問題点はどれか。
- a. 問題指向型医療記録(POMR)になっていない。
- b. 不適切な略語が多く使用されている。
- c. 読みやすい字で書かれていない。
- d. 指導医の確認がされていない。
- e. 不適切な修正が行われている。
[正答]
※国試ナビ4※ [100D026]←[国試_100]→[100D028]
[★]
- 52歳の男性。生来健康であったが、会社の健康診断で便潜血が陽性であったため精査を勧められて来院した。大腸内視鏡検査でS状結腸に全周性の腫瘤を認め、精査の結果、リンパ節転移を伴う進行癌と診断された。引き続き手術と抗癌化学療法とが計画されたため、入院治療が必要であることを患者に伝えた。その後、患者が勤務する会社の上司から、「今後の人員配置を検討するために、患者の病状と職場復帰の見込みを教えて欲しい」と電話で問い合わせがあった。
- 情報提供を行う上で必要なのはどれか。
- a 患者の同意
- b 病院長の承認
- c 患者の在職証明
- d 診療録の開示請求
- e 倫理委員会の承認
[正答]
※国試ナビ4※ [107C017]←[国試_107]→[107C019]
[★]
- 気管支内視鏡検査を予約した患者が検査のために来院した。前回の外来診察時に検査の必要性について説明し患者から承諾を得ていた。その際の診療録を読み直したところ、その説明内容の記載の一部に不十分な箇所があるのに気が付いた。対応として適切なのはどれか。
- ただし、この医療機関では紙の診療録を使用している。
- a 前回の外来受診日の記載内容の一部を修正液で消した後に書き直す。
- b 前回の外来受診日の日付の箇所に追加して記載する。
- c 検査日の日付の箇所に記載する。
- d 付箋に記載し診療録に添付する。
- e 診療録の追加記載はしない。
[正答]
※国試ナビ4※ [105H026]←[国試_105]→[105H028]
[★]
- 降圧薬を服用中の高齢患者から「時々、薬を飲み忘れます」と申告があった。この患者の服薬アドヒアランスの把握と指導のために最も有用なのはどれか。
- a 降圧薬の血中濃度を測定する。
- b 認知機能評価の心理テストを行う。
- c 診療録に記載された血圧の推移を確認する。
- d 再受診時に飲み残した薬剤を持参してもらう。
- e お薬手帳で他の医療機関の処方薬を確認する。
[正答]
※国試ナビ4※ [110F002]←[国試_110]→[110F004]
[★]
- a 検査所見記録は医療法に定められている。
- b 退院時要約は外来診療との連携に活用される。
- c 処方箋は調剤済みとなった時点で破棄される。
- d 診療録は電子カルテとして保存することも可能である。
- e 入院診療計画書には予定する検査、手術および投薬を記載する。
[正答]
※国試ナビ4※ [110C011]←[国試_110]→[110C013]
[★]
- a 国民医療費はこの10年間で3倍に増加した。
- b 診療録の保存義務期間は終診時から2年間である。
- c 国民健康保険組合の被保険者数は6千万人より多い。
- d 介護保険第1号被保険者数は第2号被保険者数より多い。
- e 結核患者の医療費の公費負担は感染症法に規定されている。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E001]←[国試_109]→[109E003]
[★]
- a 診療録の保存義務期間は終診時から2年間である。
- b 国民健康保険組合の被保険者数は6千万人より多い。
- c 国民医療費は2005年からの10年間で3倍に増加した。
- d 介護保険第1号被保険者数は第2号被保険者数より多い。
- e 結核患者の医療費の公費負担は感染症法に規定されている。
[正答]
※国試ナビ4※ [113E001]←[国試_113]→[113E003]
[★]
- a 看護師は同席させない。
- b 診療録には説明内容を記載しない。
- c 説明時の同席は家族に限定する。
- d 話しことばを避けて正確な医学用語を用いる。
- e 患者が詳しい病状説明を希望しなければその意向に沿う。
[正答]
※国試ナビ4※ [104H003]←[国試_104]→[104H005]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095A012]←[国試_095]→[095A014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098D060]←[国試_098]→[098E002]
[★]
- a. 医師以外は記載できない。
- b. 保存義務は5年間である。
- c. 処方は記載事項に含まれない。
- d. 訂正時には修正液で前の記載を抹消する。
- e. 健康保険法によって記載が義務付けられている。
[正答]
※国試ナビ4※ [098E005]←[国試_098]→[098E007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102E069]←[国試_102]→[102F002]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095E001]←[国試_095]→[095E003]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G008]←[国試_097]→[097G010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100G005]←[国試_100]→[100G007]
[★]
- a. 診療録に含まれる。
- b. 医師のみが記入できる。
- c. 乳児期の記録が含まれる。
- d. 超音波検査所見は必須項目である。
- e. 転居した場合は新たに交付を受ける。
[正答]
※国試ナビ4※ [099D023]←[国試_099]→[099D025]
[★]
- a 診療録の消去
- b 緩和ケアの選択
- c 入院中の無断外泊
- d 未承認の麻薬の使用
- e 常に優先される外来診察
[正答]
※国試ナビ4※ [109G069]←[国試_109]→[109H002]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105E001]←[国試_105]→[105E003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D012]←[国試_099]→[099D014]
[★]
- 英
- chart
- 関
- チャート、図表、診療録
参考
- Components of a Hospital Medical Chart
- http://www.vdh.state.va.us/epr/pdf/MaySeminar/Components_Hospital_Medical_Chart.pdf
[★]
- 英
- problem-oriented medical record POMR
- 同
- 問題指向型診療録
S(Subjective)
|
主訴、患者の訴え等主観的情報
|
O(Objective)
|
理学所見、検査所見等の客観的情報
|
A(Assessment)
|
評価・分析
|
P(Plan)
|
検査や治療の指針等の計画
|
[★]
- 英
- problem oriented medical record
- 同
- POMR
[★]
- 英
- treatment、practice、clinical practice、medical care
- 関
- 行う、開業、習慣、処置、実行、治療、練習、医療、処理、実践