- 英
- mishap in medical practice, mishaps in medical practice
- 関
- 医療過誤
- 医療関係者の過失を問わず、患者が何らかの損害を受けた場合を指す。
- 「医療事故」=「医療過誤」と勘違いして報道されているのは非常に嘆かわしい。誤報は論文の捏造に匹敵する重罪。
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医療従事者の労災「針刺し事故」による肝炎等感染の原因となる使用済み注射針
医療事故(いりょうじこ、英: medical error)は、一般に医療に関する事故をいう。
目次
- 1 定義
- 1.1 厚生労働省による定義
- 1.2 医療事故の例
- 2 医療事故の大規模調査
- 3 医療事故予防
- 4 救済制度
- 5 事故事例の一覧
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
定義
厚生労働省による定義
厚生労働省リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会によると、次のように定義されている[1]。なお、医療過誤は医療事故の一類型とされている[1]*。
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。
ア 死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合。
イ 患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合。
ウ 患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合。
— 「リスクマネージメントマニュアル作成指針」
医療事故の例
- 例1:患者が廊下を歩行中に転倒し怪我をした。
- 市中においては当人の自己責任とされる事でも病院内においては医療者が患者の安全を確保しなければならない[2]。それと引き換えに、患者は医療者の指示を厳守する義務を負う。
- 例2:看護師が自分の手に注射針を刺し、事故を生じた[3]。
- B型肝炎などのように、医療者にとって感染により命にかかわる場合も存在する(あるいはHIVを例に出したほうが分かりやすいかも知れない)。また、特に女性看護師はストーカー行為やセクハラ行為、患者による暴力行為の危険にも晒されており(→モンスターペイシェント)、このような事案のどこまでを医療事故とするかの線引きは難しい。
医療事故の大規模調査
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国においては、これまで医療事故による死亡率が正しく議論されてこなかったという批判を受け、医療事故による死亡が(最も多く見積もれば)米国の死因の一位になった試算と共に、個人の断罪に終わることなく再発防止を主眼に置いたシステムを構築するよう提言が出されている。2006年の報告では、毎年150万人が医療ミスの影響を受け、40万人が薬害を受け、薬剤関連障害は8億8700万ドルの余剰医療費を必要としたと報告している。また、誤診の数トップ5は感染症、腫瘍、心筋梗塞、肺塞栓症、心血管疾患と報告されている。[4][5][6]。
日本
「医療事故調査委員会」も参照
こうした米国の動きおよび前記のような事案がマスコミを賑わした事を受け、日本でも2001年度より厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集している[7]。 そのため、医療法施行規則を一部改正し、特定の医療機関には事故情報の報告が義務づけられた[8]。 同規則において事故情報の提出義務があるのは 国立病院、大学付属病院、特定機能病院のみであるが、その他の医療機関においても、登録分析機関に参加登録申請をすることにより、義務機関と同様の報告をすることが可能である[8]。2013年12月31日現在では報告義務対象医療機関以外にも691の医療機関が参加登録申請をしている[9]。
医療事故予防
医療事故を予防するための対策が各病院で行われている。ここでは、その一例を紹介する[10][11]
- バックアップ、フェイルセーフ、フールプルーフといったヒューマン・エラーが入ることがないシステム整備が必要とされる。
- 安全管理体制の指針作成
- ヒヤリ・ハット事例の報告とまとめ
- ヒヤリ・ハット事例になる段階ですでにヒューマン・エラーの入り込む余地があると考えられる。
- 院内報告制度の確立
- 職員研修の定期実施
- 医療安全管理者の配置
- 医療安全管理部門の配置
- 患者からのアンケート収集
- 患者相談窓口の設置
- 病院同士の情報交換
救済制度
- 名古屋弁護士会所属の弁護士の加藤良夫(南山大学法科大学院教授)などが中心になって、医療事故被害者を救済する制度(無過失補償制度)が提唱された[12]。医療事故の無過失補償制度は、スウェーデンやフィンランド、ニュージーランドなどの国において、既に実施されている。
- 日本では2009年より産科医療補償制度が開始され、同制度に加入している分娩機関の場合には補償が受けられるようになった。
- 医療事故のうち医薬品が関係する場合は、2002年に制定された医薬品副作用被害救済制度で救済制度が設けられている。
事故事例の一覧
戦前
- 1927年8月5日…神奈川県川崎市や大阪府のクロム加工工場で、クロムの強い毒性が原因の皮膚病が蔓延。当初は奇病や伝染病とされ、医師の誤診も重なって100人以上の死者と重症者が発生した。[要出典]
- 1936年3月5日…東京電灯付属病院(現・東京電力病院)。37歳主婦が歯の治療でレントゲン撮影中に感電して即死。技師や看護師も重軽傷を負った。原因は不明だが、機械の高圧線の漏電の可能性が高いと当時の警察や新聞が伝えている。
戦後
2000年~
- 2001年3月2日…東京女子医大事件。
- 2002年11月8日…慈恵医大青戸病院事件前立腺癌の患者に対する腹腔鏡下手術で、約1カ月後の12月8日に死亡した。
- 2003年2月3日…香川県、高松赤十字病院。三つ子を妊娠して妊娠30週目立った女性が、腹痛を訴え同病院で入院し診察を受けたところ、胎児1人が死亡していることが判明したため、医師から「他の胎児に毒素が回る恐れがある」と言われ帝王切開手術を受けた。ところが手術で生まれた胎児のうち、1人に脳室周囲白質軟化症の症状が出て、脳に重度の障害が残ったため、両親は病院側が不適切な判断で帝王切開手術をしたとして、高松地方裁判所に訴訟を提起。2015年4月に同地裁は原告の請求を認め、日本赤十字社に対し2億1,100万円の支払いを命じた[15]。
- 2005年4月…佐賀県、佐賀大学医学部附属病院。60歳代の男性患者に対し、心臓の大動脈の手術を実施したが、この際、出血が多いためとして、700枚のガーゼを使用。その後2011年9月に、当該の患者は体のだるさを訴え、別の病院の診察によって、体内にガーゼを置き忘れていたことが判明した[16]。同病院はガーゼを取り除く手術を改めて実施したが、患者は重篤な状態としている[17]。
- 2006年4月…京都府、京都大学医学部附属病院。当時30歳代の女性患者に対し、脳死肺移植手術を実施したが、女性は手術ミスにより死亡。同病院は2008年6月まで、肺移植手術を自粛。
- 2006年7月…大阪府、東大阪市立総合病院。消化器内科の20歳代の男性医師が、当時82歳の男性患者について、胃癌の可能性があることを見落とし、この男性はその後、2008年4月に癌性腹膜炎が見付かり、同年12月に死亡した。
- 2007年5月…東京都中央区の歯科医院。70歳代の女性に対し、人工歯根を歯茎に埋め込んだ上で義歯を付ける「インプラント」治療を行ったが、ドリルで顎の骨を削る際に、誤って動脈を傷付け、女性は出血で窒息に見舞われ死亡した。警視庁は2011年8月に、担当した歯科医師を業務上過失致死罪で書類送検した[18]。
- 2008年2月、香川県、香川県立中央病院。手首の骨折で手術を受けることになった50代の女性について、X線画像を撮影したところ、肺に影が映っていたにもかかわらず見逃された。また同年8月に、この女性は別の治療の経過観察を受けていたが、この時も、CT検査を実施した放射線科の担当者が、肺に影が映っているとの所見を電子カルテに記載したが、産婦人科の男性医師は気付かぬまま放置。その後この女性は、別の病院で診察を受けたところ、肺癌の存在が判明。女性は中央病院に入院したが、病院側はその後も、ミスに気付いていながら、女性に伝えず治療を続け、女性は2010年10月に死亡した。同県側は女性の遺族に対し、5,000万円の損害賠償を支払う方針を決めた[19]。
- 2008年3月…愛知県、名古屋大学医学部附属病院。県内の30歳代の男性患者が、掛かり付けの医師から同病院を紹介され受診したところ、癌の疑いがあると診断され、同病院は手術を行うことを決めたが、その後3年間に渡り患者に対して手術の連絡をしてこなかった。その後患者は症状が悪化し、同病院で再受診したが、入院の連絡が行われていなかったことがこの時点で判明。患者は手術を受けたが、癌が肺に転移したことによる呼吸不全で2012年4月に死亡した[20]。
- 2008年~2014年…千葉県がんセンターで腹腔鏡を使った手術を受けた患者11人が相次いで死亡。この問題を調査してきた千葉県の第三者検証委員会は、11人のうち10人の手術で問題点を指摘した[21]。
- 2009年6月…大阪府、東大阪市立総合病院。急性心不全を発症し意識障害がある状態で救急外来に搬送されてきた当時59歳の男性に対し、約7分間に亘り酸素が供給されず、この男性は翌2010年4月に、意識が戻らないまま敗血症性ショックで死亡した。
- 2009年6月 - 2012年9月…福岡県、産業医科大学病院。同病院で関節リウマチの治療を行っていた患者のうち、メトトレキサートの投与を受けていた患者10人が、悪性リンパ腫を発症するなどして死亡した。医療行為としての問題は無いとされたものの、うち5人についてはカルテへの記載が不十分だったとして、診療責任者の医学部教授ら計8人が2013年8月28日付で、9月11日から3か月間の出勤停止処分となった[22]。
- 2009年11月…大阪府、大阪大学医学部附属病院。当時70歳の男性が悪性リンパ腫を発症し、同病院で抗癌剤の一種である「リツキシマブ」の投与を受けていたが、その後2011年9月に検査を受けたところB型肝炎と診断され、同年11月に死亡。患者の遺族は、この患者がB型肝炎の持続感染者と把握していながら、抗ウイルス薬投与などをすること無しにリツキシマブを投与し続けたことが死亡原因であるとして、2012年11月19日に同病院を相手取り大阪地裁に訴訟を起こした[23]。
- 2010年9月…奈良県、特定医療法人健生会土庫病院。当時53歳の男性は、胃を悪くして2月に別の病院で検査を受けた際、胃カメラ検査で胃潰瘍と診断された。しかし念のため土庫病院で診察を受け、担当医師は胃癌と診断したものの、別の男性医師が胃潰瘍だとして胃薬を処方した。その後、この男性は末期癌と判明し、2012年7月3日に死亡した[24]。
- 2010年12月、大阪府内の私立病院。この病院で生まれた新生児が、分娩室で、母親に直接抱かせる「カンガルーケア」を受けたが、授乳後に呼吸が停止し、低酸素脳症に陥り重度の後遺障害が残った。母親は大阪地裁に対し、カンガルーケアが原因であると訴えを起こした。2013年9月11日に同地裁は、低体温であることを「タオルに包まれていた」などとして否定した上で、「障害はカンガルーケアによるものとは認められない」として訴えを退けた。カンガルーケアを巡る訴訟として初の司法判断となった[25]。
- 2011年 - 2014年…群馬大学病院腹腔鏡手術後8人死亡事故
- 2011年1月…大阪府、大阪市立大学医学部附属病院。大阪府内在住の50歳代の男性患者に対し、結腸静脈瘤からの出血源特定検査の救急の現場で薬剤を注入する措置を行っている最中に大量出血があったため、輸血を実施したが、その際、この患者の血液型がB型であったにもかかわらず、誤ってA型の血液を輸血してしまい、この患者は重体の常態が続いていたが、その後2月17日に死亡した[26][27]。2011年6月の医療事故調査報告書によると、救急の現場でのヒューマンエラーが複数回、重なった結果であると指摘され、改善策が提言されている[28]。
- 2011年5月…福岡県、福岡大学病院。80歳代の女性患者に対し、同月下旬に心臓の弁を人工弁に交換する手術を実施したが、手術の際に石灰化した弁が心臓内部に入らないよう心臓入口に被せていたガーゼを、そのまま放置した。患者は手術の翌日に腹部に血栓が生じて両足に血行障害が起こるなどしたため、再手術を行なったが、患者は多臓器不全を起こし死亡した[29]。
- 2011年8月…宮城県、石巻赤十字病院。50歳代の女性が、乳癌の手術を受けた後呼吸困難に陥り、同月13日に同病院に搬送された。この女性は、癌性心膜炎の影響で心嚢に水が溜まった状態だったことから、20歳代の男性医師が心嚢から水を抜き取るためビニール筒を刺したが、この際に筒の内側にある針を抜き忘れたため、女性はその翌朝に呼吸停止し死亡した[30]。宮城県警は2012年9月20日に元医師の男性(30)を業務上過失致死罪で、女性医師(28)を医師法違反それぞれ書類送検した。男性は2012年8月末、同病院を依願退職している[31]。
- 2011年10月…京都府、京都大学医学部附属病院。肺リンパ脈管筋腫症の女性に対し、脳死肺移植手術を実施したが、手術中に人工心肺装置が停止して気泡が入るなどし、再始動まで約4分かかった。手術後、女性は脳障害を起こし、意識不明の重体になり術後8か月経過した時点で、人工呼吸器管理中であり脳障害は改善していない[32][33]。
- 2011年11月…京都府、京都大学医学部附属病院。50歳代の男性患者が、5日に脳死肝移植手術を受け、手術そのものは成功したが、持病として抱えていて並行して受けていた腎不全の透析治療に使用していた透析器具を交換する際、この患者に本来使用していた血液濾過器具ではなく、血漿分離器具を装着してしまい、患者は交換後約3時間後に血圧が低下し、11月13日午前10時50分頃に脱水症状を起こし死亡した。当時、医療器具を専門に扱う臨床工学士が不在で、当直医2名と看護師1名が対応しており、病院の安全対策が問題であると指摘された。この3名は業務上過失致死容疑で書類送検された[34][35]。
- 2011年12月…愛媛県、愛媛県立中央病院。約10年前にあたる2001年に喉頭を摘出する手術を受け、喉に永久気管孔を開けていた70歳代の男性が、脳内出血で同病院に入院し緊急手術を受けたが、12月になって、20歳代の女性看護師が、異物混入防止のために気管孔に宛がうガーゼと間違え、粘着性フィルムシートで孔を塞いでしまい、患者はこれがもとで窒息死した[36]。
- 2012年4月、大阪府、大阪市立大学医学部附属病院。白血病患者の女性が、末梢血幹細胞の移植手術を受けたが、合併症によって呼吸困難になるなどしたため、同病院は肺に酸素を送り込むための蘇生用具を使用することになったが、この用具の組立方法を担当の看護師が誤ったため、肺に十分に酸素が送られなくなり、患者は意識不明の重体となり2週後に死亡した[37]。
- 2012年6月…徳島県、徳島大学病院。消化器官系の癌で入院していた60歳代の男性患者に対し腹腔鏡による手術を実施し、退院後もこの患者は外来で抗癌剤治療を継続して受けていたが、その後、抗癌剤の副作用による肝不全で死亡した。この男性については、血液検査で肝臓や腎臓の機能に正常値の最大40倍の異常値が出ていたにもかかわらず、担当医が見落としたとされる[38]。
- 2012年6月…東京都、さくらクリニック。体の痺れを訴え同クリニックで診察を受けた兵庫県内の女性が、担当医師から「胞治療治療で症状が改善する可能性がある」と説明を受け、女性は脂肪幹細胞から調剤した製剤の点滴を受けたものの、症状は逆に悪化。女性は慰謝料などを求め、東京地方裁判所に提訴。2015年5月15日に同地裁は、「未確立な治療技術である再生医療に当たって十分な説明がなされて折らず、治療方法の選択決定権を侵害した」などとして、同クリニックの院長らに対し184万円の支払いを命じた[39]。
- 2012年8月…兵庫県、宝塚市立病院。甲状腺の病気が悪化し入院していた50歳代の女性患者に対し、看護士の一人が、肺と人工呼吸器とをつなぐ気管チューブのテープを切ったが、この際、誤ってチューブに付属する機器の一部も切断してしまった。女性は脈拍などが低下し、一旦は回復したが、13日に死亡した。病院側はミスを認めつつも、事故と死亡との因果関係は不明であるとしている[40]。
- 2012年9月 - 2014年2月…千葉県、千葉県がんセンター。同センターで、同じ男性医師が腹腔鏡手術を行った癌患者のうち、3人が術後しばらくして死亡していたことが明らかになった[41]。
- 2013年4月…神奈川県、横浜市立大学附属病院。同病院に前年の2012年8月から心不全や腎不全で入院していた女性患者に対し、病院側はチューブを鼻から挿入することで患者の腸に栄養液を注入していたが、これが詰まったため、翌2013年4月7日になって、濃度25%の酢酸を注入した。ところが、患者はこの影響で壊死を伴う腸炎を併発し、24日になって死亡した[42]。
- 2013年6月…兵庫県、兵庫県立こども病院。心臓疾患で同病院に入院していた生後1か月の女児が、28日に発熱を起こしたため、抗生物質『バンコマイシン』の点滴による投与を行ったが、点滴開始から約1時間40分後に詰まって入らなくなり、その後、右足指3本が壊死していることが確認された。この女児は8月になって、壊死した指を切除した。規定より10倍近い濃度で投与したため、血管が詰まったことが原因とされる[43]。
- 2013年6月…熊本県、熊本大学医学部附属病院。同病院では、60歳代の女性と80歳代の男性が、肺癌の疑いがあるとして肺の組織の一部を採取し、男性の側に肺癌が発見された。ところがその後2人の検体が入れ替わってしまい、癌の発見されなかった女性の側が、8月に肺の下部の約3分の1を切除する手術を受けた。女性はその後退院したが、呼吸機能が低下しており、経過観察中である[44]。
- 2013年11月…兵庫県、兵庫県立淡路医療センター。同センターに心不全で入院していた当時77歳の男性患者について、容体が悪化し心電図に異常が生じたことを知らせるアラームが鳴動したが、看護師らはこれに約72分に亘り気付かず、患者はその後死亡した。病院側が、アラーム音を小さくしていたことも明らかになっている[45]。
- 2013年12月…東京都、国立成育医療研究センター病院。同病院に神経芽腫(小児癌の一種)で入院中の1歳の男児に、同月18日に本人から採取した末梢血幹細胞を移植予定だったが、主治医が間違えて、男児の隣室に同じ病気で入院していた4歳の女児に移植していたことが明らかになった。2人には健康被害などは出ていないとしている[46]。
- 2014年2月…東京都、東京女子医科大学病院。18日に、顎の下に腫瘍ができた男児について、腫瘍の摘出手術を行ったが、この男児はその3日後の21日に死亡した[47]。同病院の調査で、この男児に対しては、小児への使用が禁止されている鎮静剤であるプロポフォールが大量に投与されており、また、プロポフォールが過去5年間で63人の小児に対し使われていたことも明らかになった[48]。
- 2014年4月…東京都、国立国際医療研究センター。脊椎疾患で18日に検査入院していた当時78歳の女性に対し、整形外科の女性医師が造影検査を実施した際、脊髄への使用を禁止されている造影剤「ウログラフイン」を誤って脊髄に注入。患者はこの時のショックで、多臓器不全にかかり死亡した[49]。
- 2014年7月21日…大阪府、大阪市立大学医学部附属病院。入院患者の60歳代の女性に対し、栄養補給目的で首からカテーテルを挿入したが、カテーテルが誤って血管外に挿入され、これが元で患者は一時心停止状態となり、低酸素脳症の後遺症が残った[50]。
- 2014年9月…兵庫県、県立加古川医療センター。同センターで60歳代の女性患者がくも膜下出血の手術を受けた際に、頭蓋骨にドリルで穴を開けたが、この時にドリルが折損して、破片が頭部内に放置された状態となった。その後11月に再手術で破片を取り出し、女性には後遺症は残っていない模様である[51]。
- 2014年12月 - 2015年3月…兵庫県、神戸国際フロンティアメディカルセンター。同センターで生体肝移植手術を受けた患者7人のうち、4人が術後1ヵ月以内に死亡していたことが、2015年4月に明らかになった[52]。死亡した患者については、癌の手術を受けた数日後に手術を行ったり、臓器提供者に脂肪肝の症状があるなどしていた模様である[53]。
脚注
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- ^ リスクマネージメントマニュアル作成指針 p4-5。
- ^ 医療トラブル対策ハンドブック セルバ出版 p20・21 を参照
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- ^ “心臓手術でガーゼ置き忘れか 患者は死亡 福岡大病院”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年11月19日). オリジナルの2011年11月19日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20111119194903/http://www.asahi.com/national/update/1119/SEB201111180103.html
- ^ “針抜き忘れ心室に穴、患者死亡 宮城・石巻赤十字病院”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2012年9月4日). オリジナルの2012年9月4日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20120904030610/http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY201209040188.html
- ^ “針抜き忘れで死亡、元医師ら容疑で書類送検 宮城”. MSN産経ニュース (産経デジタル). (2012年9月20日). オリジナルの2012年9月21日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20120921064536/http://sankei.jp.msn.com/region/news/120921/myg12092102020000-n1.htm
- ^ “脳死肺移植後、40代女性が意識不明 京大病院が調査へ”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年10月19日). オリジナルの2011年10月18日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20111018232630/http://www.asahi.com/national/update/1018/OSK201110180062.html
- ^ 京都大学医学部付属病院 プレスリリース 2012年6月25日(2012年9月14日時点のアーカイブ)
- ^ “京大病院:器具誤装着 脳死肝移植後、透析中の男性死亡”. 毎日jp (毎日新聞社). (2011年11月15日). オリジナルの2011年11月16日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20111116163959/mainichi.jp/life/health/medical/news/20111115ddm041040105000c.html
- ^ “京大病院2医師・看護師を書類送検へ 脳死肝移植で死亡”. MSN産経ニュースwest (産経デジタル). (2012年10月31日). オリジナルの2012年11月7日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20121107093209/http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121031/waf12103115310016-n1.htm
- ^ “呼吸穴ふさがれ70代男性患者死亡 愛媛県立中央病院”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年12月4日). オリジナルの2011年12月7日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20111207041354/http://www.asahi.com/national/update/1204/TKY201112040113.html
- ^ “蘇生用器具組み立てミス、女性意識不明 大阪市立大病院”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2012年4月20日). オリジナルの2012年4月20日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20120420051210/http://www.asahi.com/national/update/0420/OSK201204200023.html
- ^ “検査異常見落とし治療、患者死亡…徳島大病院”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2012年11月23日). オリジナルの2013年5月1日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20130501052932/www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20121123-OYT8T00542.htm
- ^ 再生医療:「説明不十分」 治療で悪化、院長らに賠償命令 東京地裁 毎日新聞 2015年5月16日
- ^ “女性患者の人工呼吸器の管誤って切断 宝塚市立病院の看護師”. MSN産経ニュース (産経デジタル). (2012年8月16日). オリジナルの2012年8月16日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20120816063229/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120816/dst12081612450007-n1.htm
- ^ 千葉県がんセンター:同一医師の手術後3人死亡、検証へ 毎日新聞 2014年4月23日
- ^ “高濃度酢酸を誤投与 横浜市大病院で女性死亡”. 日本経済新聞 電子版 (日本経済新聞社). (2013年4月30日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG30054_Q3A430C1CC1000/
- ^ “医療ミス:乳児の足指3本壊死 濃度10倍抗生物質、誤投与−−兵庫の病院”. 毎日jp (毎日新聞社). (2013年8月22日). オリジナルの2013年9月7日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20130907035455/mainichi.jp/select/news/20130822ddm012040110000c.html
- ^ “検体を取り違え、別人の肺を切除 熊本大付属病院”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年9月20日). オリジナルの2013年9月21日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20130921054609/http://www.asahi.com/national/update/0920/SEB201309200004.html
- ^ 医療ミス:心電図のアラーム気付かず男性死亡 兵庫 毎日新聞 2014年4月23日
- ^ “幹細胞移植で患者取り違え=国立成育センター病院”. 時事ドットコム (時事通信社). (2014年1月7日). オリジナルの2014年1月12日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/OCdVN
- ^ 東京女子医大病院:鎮静薬投与、2歳児死亡 あご手術後 毎日新聞 2014年3月5日
- ^ 東京女子医大病院:小児に使用禁止鎮静剤 5年で63人に 毎日新聞 2014年6月6日
- ^ 造影剤:担当医が違う種類を使用、78歳女性死亡 東京 毎日新聞 2014年4月19日
- ^ 医療事故:カテーテル血管外に、意識不明 大阪市大病院 毎日新聞 2014年8月28日
- ^ 兵庫の病院:頭蓋骨にドリル金属片…気付かず2カ月放置 毎日新聞 2015年2月21日
- ^ 生体肝移植:7人中4人死亡 神戸の先端病院 毎日新聞 2015年4月14日
- ^ 神戸の病院:がん手術数日後に移植…生体肝移植の子ども 毎日新聞 2015年4月22日
関連項目
- 医療訴訟
- 医療事故調査委員会
- 労働安全衛生
- ヒヤリ・ハット
- 院内感染
- 医療事故調査制度/WHOドラフトガイドライン
外部リンク
- リスクマネージメントマニュアル作成指針 - リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会作成 2000年8月22日厚生労働省発表
- 医療事故情報収集等事業 - 厚生労働省
- 医療事故情報収集等事業 - 公益財団法人日本医療機能評価機構
- 医療事故調査制度について -厚生労働省
- WHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems From information to action, WORLD ALLIANCE FOR PATIENT SAFETY(WHOドラフトガイドライン)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 徳永 誠次,井口 茂,松坂 誠應,平瀬 達哉,武富 敦子,馬場 文子
- 保健学研究 24(1), 55-60, 2012-03
- … 近年,医療事故が報告される中,急性期病院である当院においても独自の転倒・転落アセスメントスコアシート(以下,スコアシート)を運用している. …
- NAID 120003874166
- 韓国における「医療事故被害救済及び医療紛争調停等に関する法律」
Related Links
- 放射線治療で100人に誤照射 東海大病院で07年以降 東海大病院(神奈川県伊勢原市)は25日、子宮頸(けい)がんなどの放射線治療で、患者約100人にがん以外の場所に誤って照射したと発表した。放射性物質を体内 ...
- 公開データ検索 医療機関の方|参加登録|報告システムログイン 事業概要 事業要綱(PDF) 事業のご案内(PDF) 履歴 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部 〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 86歳の女性。発熱と意識障害のため搬入された。搬入時の意識レベルはJCSII-10。体温38.3℃。脈拍112/分。血圧122/56mmHg。呼吸数30/分。SpO2 98%(マスク4l/分酸素投与下)。膿尿と末梢血白血球増多とを認め、尿路感染症に伴う敗血症と診断し緊急入院とした。高度の貧血に対して濃厚赤血球2単位を輸血するとともに、乳酸リンゲル液の急速輸液とセフェム系抗菌薬の点滴投与とを行った。いったん状態は安定したが、翌日の深夜、モニターのアラームが鳴ったため看護師が病室に駆けつけたところ心肺停止状態であった。直ちに心肺蘇生法を行ったが、反応せず死亡した。
- まず行うべき対応はどれか。
- a 遺族に状況を正確に説明する。
- b 遺族に医療過誤であると告げる。
- c 第三者医療事故調査機関に届け出る。
- d 医療事故として所轄の警察署に届け出る。
- e 死因を尿路感染症とした死亡診断書を発行する。]]
[正答]
※国試ナビ4※ [107B039]←[国試_107]→[107B041]
[★]
- 63歳の男性。C型肝炎に罹患している。この度初めて肝右葉S6に4.0cm大の肝癌を指摘された。諸検査の結果、担当の外科医は肝予備能が良いので切除術が最適であると考えている。担当医は肝臓の手術経験が豊富であり外科学会の専門医である。担当医の対応として適切なのはどれか。
- a. 生命に危険がおよぶ合併症でもまれなものは説明を省略した。
- b. 手術の成績や合併症の発生は他施設での成績を参考にしなかった。
- c. 医師の裁量権を強調して手術を受けるように患者を説得した。
- d. 患者が他の治療法を希望したので他の専門医に紹介した。
- e. 医療事故が生じても訴えられないようにインフォームドコンセントを得た。
[正答]
※国試ナビ4※ [098E050]←[国試_098]→[098F002]
[★]
- a 医療事故について医師と患者間の利害の調整を行う。
- b 患者またはその家族に対して医療安全についての研修を行う。
- c 患者またはその家族からの医療に関する苦情・相談に応じる。
- d 医師または医療関係者からの患者に関する苦情・相談に応じる。
- e 医療機関のインシデント・アクシデントレポートを収集・解析する。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E010]←[国試_105]→[105E012]
[★]
- a 患者に実害がない場合でも提出する。
- b 都道府県ごとに報告様式が定められている。
- c 医療事故について上司に説明するためのものである。
- d 医療事故の責任の所在を明らかにすることが目的である。
- e インシデントレポートの提出件数が少ないほど医療の質が高い。
[正答]
※国試ナビ4※ [112E001]←[国試_112]→[112E003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103F011]←[国試_103]→[103F013]
[★]
- a. 医療システムを見直しても減少しない。
- b. 医療システムを見直しても減少しない。
- c. 異なる病院での前例は予防に役立たない。
- d. 医療行為を複数の医療者が確認することで減少する。
- e. 医療への国民の信頼を維持するために情報を開示しない。
[正答]
※国試ナビ4※ [095E003]←[国試_095]→[095E005]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097G008]←[国試_097]→[097G010]
[★]
- a. 病院の紹介率の上昇
- b. 医療事故の回避
- c. 適切な医療の提供
- d. 専門的医療の普及
- e. 医療機関の情報公開
[正答]
※国試ナビ4※ [098E044]←[国試_098]→[098E046]
[★]
- 英
- incident
- 関
- アクシデント、インシデント・アクシデントレポート、ハインリッヒの法則
概念
- 米国の医療機関で用いられているインシデントレポートの「インシデント」とは、いわゆる「出来事」という意味で、医療事故の事例も潜在的医療事故の事例に含まれており、決して潜在的事故のみに限定した物ではない(ヘルスケアリスクマネジメント 第1版 医学書院 p.101)
- 次のようなものをインシデントと呼ぶ:(1)患者には実施されなかったが、実施された場合に何らかの被害が予想される場合、(2)患者には実施されたが、結果的に被害がなく、その後の観察が不要であった場合 → 被害が生ずれば医療事故
医療事故と潜在的医療事故の定義 (ヘルスケアリスクマネジメント 第1版 医学書院 p.101)
学術的分類
|
不可抗力や医薬品/輸血による副作用
|
エラー
|
エラーによる医療事故
|
幸運事例
|
発見・訂正事例
|
|
医療事故
|
医療事故になる可能性のあったもの
|
厚生省報告書
|
アクシデント
|
|
インシデント
|
|
国立大学医学部付属病院長会議
|
事故
|
ニアミス
|
例
- 患者に誤って2倍量の薬剤を投与したが、制限量の範囲内であり、患者にも悪影響がなかった。
- 誤って隣の患者の薬剤を投与し掛けたが、患者に指摘されて気づいた
- 成分は同じであるが、商品名の異なる輸液を点滴した。
- 患者が病棟内で転倒したが、怪我はなかった
[★]
- 英
- accident
- 同
- 医療事故?
- 関
- インシデント、ハインリッヒの法則、医療過誤
定義
- (1) 過失があり
- (2) 患者に一定以上の障害があり ← 何らかの影響が患者に残る
- (3) (1),(2)に因果関係がある物
- (1)の要件は不要???
- SUB12.11
- 過失の有無を問わず、医療の全過程において発生した人身事故。
医療事故と潜在的医療事故の定義 (ヘルスケアリスクマネジメント 第1版 医学書院 p.101)
学術的分類
|
不可抗力や医薬品/輸血による副作用
|
エラー
|
エラーによる医療事故
|
幸運事例
|
発見・訂正事例
|
|
医療事故
|
医療事故になる可能性のあったもの
|
厚生省報告書
|
アクシデント
|
|
インシデント
|
|
国立大学医学部付属病院長会議
|
事故
|
ニアミス
|
例
- 右腎癌患者から誤って左腎を摘出した ← 影響が患者に残るため。医療過誤?
- 患者が病棟内で転倒して骨折した ← 患者に一定以上の影響が生じたため。状況に応じて医療過誤or医療事故
[★]
- 関
- インシデント、医療事故、医療安全管理室
報告すべきもの
- 1. 患者に障害が発生した事態
- 2. 患者に障害が発生する可能性があった自体
- 3. 患者や家族からの医療行為に関する苦情
参考1
- 1. 患者に傷害が発生した事態
- 2. 患者に傷害が発生する可能性があった事態
- 3. 患者や家族からの苦情(医療行為に関わるもの)
-
- 医療用具(医療材料や医療機器)の不具合、 転倒・転落、自殺・自殺企図、無断離院、予期しない合併症、発見・対処(処置)の遅れ、自己管理薬の服薬ミス、患者の針刺し
- 1. 院内感染
- 2. 食中毒
- 3. 職員の針刺し
- 4. 暴行傷害(事件)、窃盗盗難(事件)
- 5. 患者様やご家族からの苦情(医療行為に関わらないもの)
参考
- http://www.kms.ac.jp/~anzen/shishin/3_teigi.pdf
[★]
- 関
- 医療事故、フールプルーフ
- 故障や操作ミス、設計上の不具合があってもそれによって起こる障害を最小限に抑えるようにしようという設計思想
- 例:電気ストーブが転倒によりスイッチオフになる。電流過大によりブレーカーが落ちる。
[★]
- 英
- malpraxis, malpractice
- 関
- 医療事故 mishaps in medical practice、過失、診療過誤 malpractice, malpraxis、医療訴訟
[★]
- 関
- 医療法、インシデント、アクシデント
参考
- 1. 平成13~16年度(2001~2004年) 厚生労働省:医療事故情報収集等事業
- http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/jiko/index.html
- 2. 平成17年度(2005年)~ 公益財団法人日本医療機能評価機構 | 医療事故情報収集等事業
- http://www.med-safe.jp/
[★]
- 英
- accident、(疾患)event
- 関
- アクシデント、イベント、過失、偶然、現象、出来事、発症、場合
[★]
- 英
- health care、medical care
- 関
- 健康管理、診療、保健医療、ヘルスケア