- 英
- Wolff-Parkinson-White syndrome, WPW syndrome
- 同
- ウォルフ-パーキンソン-ホワイト症候群、Wolff-Parkinson-White症候群、WPW症候群
- 関
- ケント束、心電図、偽性心室頻拍 pseudoventricular tachycardia, pseudo VT
- ヒス束に加え、ケント束により心房と心室が連絡されるもの → WPW症候群
分類
- V1誘導で分類する。Kent束の局在を反映
- 1. A型: 高いR波。左室自由壁
- 2. B型: rS型。右側
- 3. C型: Qr/QS。中隔
検査
心電図
- PQ短縮:PQ時間の正常値は 0.12-0.2sであるが、これより短くなる
- QRSの延長:QRSは正常では0.06-0.15s。0.1s以下は正常、0.1s以上は異常と考えるらしい。
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合併症
- orthodromic atrioventricular reentrant tachycardia
- antidromic atrioventricular reentrant tachycardia
- 高頻度に興奮がケント束を介して心臓に達する。このため、心室細動のリスクが高まる。
治療法
対症療法
WPW症候群+心房細動による偽性心室頻拍
- 参考1
根治療法
- カテーテルアブレーション:ケント束の焼灼による副伝導路の遮断。
参考
- 1. 不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版)
- [display]http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_kodama_h.pdf
- http://www.cardiac.jp/view.php?target=wpw_synd.xml
- http://www.hamt.or.jp/kenkyuhan/link/seiri/ECG/402.html
- 4. 心電図の読み方:WPW症候群の波形を覚えるエクササイズだ! | 心カテブートキャンプ
- http://med-infom.com/?p=690
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/29 19:14:05」(JST)
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WPW症候群 |
分類及び外部参照情報 |
本症患者の心電図。δ波が矢印で示されている。
|
ICD-10 |
I45.6 |
ICD-9 |
426.7 |
OMIM |
194200 |
DiseasesDB |
14186 |
eMedicine |
emerg/644 med/2417 |
MeSH |
C14.280.067.780.977 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
WPW症候群(英: Wolff-Parkinson-White syndrome)とは、上室性の頻脈性不整脈の一つ。1915年頃からその存在が知られ始め、1930年に多くの症例についての詳しい報告がなされ、世間に知られるようになった。この際の3人の研究者であるWolff、Parkinson、White各博士の頭文字をとりWPW症候群と名付けられた。
目次
- 1 機序
- 2 心電図
- 3 臨床像
- 4 治療
- 5 参考文献
- 6 関連項目
|
機序
原因として多くあげられるのは、Kent束と呼ばれる副伝導路の存在によるリエントリー回路の形成である。通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されるが、この疾患では信号が通常のルートに加えてKent束を経由するルートにも伝わるため、発作が起きると拍動リズムを乱してしまう。発作時の脈拍は240回(bpm)以上にも達し、救急隊員が驚くことがある。多くは放置しても自然に収まるが、長時間続く場合は投薬により抑える。失神するなどの症状がある場合は危険がある。
また、Kent束は心房筋と同じ電気生理学的性質を有するため、心房細動時に心室への過度の伝導が生じ、とくに心房細動時にQRS間隔が0.2秒以内の例では心室細動に移行する危険がある。
心電図
心電図上の特徴としては、下記の3点が挙げられる。
- δ波の出現: P波の後に続くQRS波形にδ波(デルタは)が生じてくる。これは心室が早期に興奮することによる。
- PQ短縮: Kent束経由の興奮が、正常伝導路経由のそれより先に心室に伝導することによる。
- QRS延長: Kent束経由の興奮と正常伝導路経由のそれとが心室で合流し、幅広いQRS波を形成する。
また、心電図のV1の波形からA型、B型、C型と分類する方法も存在する。
臨床像
上室性頻拍、心房細動等を生じることが問題となるが、通常、何も生じなければ自覚症状はない。
従来はそれほど危険性のない病気として、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行するケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置づけられた。このため、発作が見られた場合は即座に専門医に診察してもらう必要がある。WPW症候群に合併した発作性心房細動(PAF)は、通常の心房細動とは異なり、心房の興奮がKent束を介してそのまま心室に伝わるため、高度の頻脈、また心室細動から突然死に至る場合があり、危険である。
治療
自覚症状が無ければ経過観察を行う。根治治療には血管カテーテルを用いた高周波アブレーションが極めて有効であり、90%以上で根治に至る。
発作時の治療は迷走神経刺激、無効である場合にはATPまたはカルシウム拮抗剤を静注する。また、回帰頻拍に対しては抗不整脈薬が使用され、シベンゾリン(製品名:シベノール)等を第一次選択薬とする事が多い。
一方、発作性心房細動を合併した場合、ジギタリス製剤、ATP製剤、カルシウム拮抗剤、β遮断薬などは禁忌である。とくにジギタリスは、Kent束の不応期を短縮させる一方、正常伝導路をさらに抑制することとなり心室細動を誘発する可能性がある。 WPW症候群に伴う心房細動の場合、治療薬としては、プロカインアミドが推奨される。
参考文献
- 杉本恒明, 矢崎義雄 『内科学 I (第9版)』 朝倉書店、2007年、471-472頁。ISBN 978-4254322316。
関連項目
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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- 38歳の男性。頻回に生じる動悸発作を主訴に来院した。以前から年に数回、1~2時間持続する動悸を自覚していたが自然に消失するために放置していた。意識を消失したことはない。血圧126/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。非発作時の心電図を以下に示す。
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[正答]
※国試ナビ4※ [101G019]←[国試_101]→[101G021]
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- 21歳の男性。動悸発作を主訴に来院した。以前から年に数回、1~2時間持続する動悸を自覚していた。失神発作はない。血圧126/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。非発作時の心電図(別冊No.11)を別に示す。
- 動悸発作の原因として最も考えられる不整脈はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I048]←[国試_105]→[105I050]
[★]
- 英
- palpitation
- 同
- 心悸亢進
- 関
- 脈拍異常
定義
原因
- 生理的反応:運動、労作、精神的ストレス、精神的興奮
- 非心疾患:
病態生理
- 生理的反応:反応性の内因性カテコラミン産生増加による心拍数増加、左室収縮力の増加、血圧上昇
- 非心疾患:
不整脈性の動悸
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- 英
- delta wave
- 同
- デルタ波
- 関
- ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群
[★]
ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群 Wolff-Parkinson-White syndrome
[★]
ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群
[★]
ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
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高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
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脳神経外科・神経内科
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- 英
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[★]
- 英
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- 関
- 症状, 徴候 兆候