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この項目では、生理学的見地から見た涙について説明しています。その他の「涙」については「涙 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
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涙(なみだ、淚、涕、泪)は目の涙腺から分泌される体液のことである。眼球の保護が主要な役割であるが、ヒト特有の現象として感情の発現として涙を流すことがある。
目次
- 1 普段分泌している涙 - 涙の生理学 -
- 2 涙の種類
- 3 感情が高ぶった時などの涙
- 4 脚注
- 5 関連項目
普段分泌している涙 - 涙の生理学 -
涙は涙腺で分泌される。その後 目の表面を通り、涙道を抜け、鼻をくだって最後に喉で吸収される。
涙は、涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したものである。通常の分泌量は1日平均2-3cc。涙の98%は水分で[1]、タンパク質(アルブミンやグロブリン、後述のリゾチームなど)、リン酸塩なども含有する。一般的に弱いアルカリ性の液体である。分泌された涙液は目の表面を通過したあと涙点に入り、涙小管・涙嚢・鼻を経て、喉から再吸収される。
涙には以下のような役割があるとされている。
- 目の表面(角膜・結膜)への栄養補給
- 瞼を円滑に動かす潤滑材
- 細菌・紫外線から目を守る防御壁
- 雑菌の消毒
涙は「油層」「水層」「ムチン層」[2]の3層で目を保護しており、その3層の合わせた厚さは約7µm。涙の持っている抗菌成分はリゾチームという。このリゾチームは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する作用を持つ。
眼の使用頻度によって涙が蒸発しやすくなったり分泌量が減ったりすると、ドライアイと呼ばれる状態に陥る。
涙の種類
涙の種類は、主に3種類に分けられると考えられている[3]。
- 1.基本的な涙
- 健康な哺乳動物の目は、絶えず角膜を潤った状態に保ち、ほこりや細菌などから目を保護する役割を持つ涙を分泌する。
- 2.反射的な涙
- 玉ねぎを切った時に出るガスや、催涙ガス、催涙スプレーなどの異物の刺激が、角膜、結膜、または鼻粘膜を含む目の環境を刺激し、眼神経のTRPチャネルの引き金を引くことで、涙を出す反応を示す[4]。この反応は、強い光、熱い物や刺激物が口内で感じた時、嘔吐、咳やあくびなどによっても引き起こされる[5]。これらの反応は、目などに入った異物を洗い流すための涙である。
- 3.感情の涙
- 次項で説明
感情が高ぶった時などの涙
感情が高ぶった際にも多量に分泌される。悲しいとき、嬉しいときに流れることが多い。痛みを感じたときや、吐き気がするとき、大笑いしたとき、あくびをしたときなどに流れることもある。感情による涙の場合は通常の排出(涙点経由のもの)では間に合わず、涙が目の外へ流出する。悲しみなどによって涙を流し、声を出す一連の動きのことを「泣く」と言う。
大量の涙を流した際に出てくる鼻水は、涙が鼻涙管を経由して排出されたものである。
感情と涙の関係の謎
感情が高ぶった時に人は何故涙を流すのかという問いに対して、生化学者のウィリアム・フレイ二世(William H. Frey II)は、涙は感情的緊張によって生じた化学物質を体外へと除去する役割があるのだろう、という仮説を提案し、自身の仮説の妥当性を調べるために実験を行った。実験の内容としては、被験者にいかにも涙を誘う映画を見せて収集した涙と、同じ被験者にタマネギをむかせて収集した涙の、成分の比較をするというものであった。80人あまりの被験者の涙の比較は、(この時点の実験で用いられた検出能力でも、少なくとも)感情による涙は、刺激による涙よりも、より高濃度のタンパク質を含んでいるということを示していた。フレイはその実験内容を含む著書を1985年に出版している[6][7][8]。
この実験は、感情と涙の成分には何らかの関係がある、ということを示しており、フレイの仮説をおおよそ裏付ける内容となっているが、様々な種類の感情とタンパク質の関係が明らかにされているわけではないようである。
脚注
- ^ なみだの正体 ロート製薬株式会社、2014年11月25日閲覧。
- ^ 目の病気 ドライアイ 日本眼科学会、2015年5月12日閲覧。
- ^ Farandos, NM; Yetisen, AK; Monteiro, MJ; Lowe, CR; Yun, SH (2014). “Contact Lens Sensors in Ocular Diagnostics”. Advanced Healthcare Materials. doi:10.1002/adhm.201400504. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adhm.201400504/abstract.
- ^ Transient Receptor Potential (TRP) Channels in the Eye
- ^ "eye, human."Encyclopædia Britannica from Encyclopædia Britannica 2006 Ultimate Reference Suite DVD 2009
- ^ 『まだ科学が解けない疑問』ジュリア・ライ、晶文社1991年、p.60-63。
- ^ Crying: The Mystery of Tears, William H. Frey. Winston Pr, 1985.
- ^ 『涙―人はなぜ泣くのか』 ウィリアム・H・フレイII, 日本教文社, 1990年。
関連項目
|
ウィキメディア・コモンズには、涙に関連するカテゴリがあります。 |
|
ウィキメディア・コモンズには、涙の形に関連するカテゴリがあります。 |
- 感情
- あくび(欠伸)
- 高見山(元力士) - 涙のことを「目から汗が出た」といった最初の人物
- 汗
- 生理学
- 催涙スプレー・催涙剤・催涙弾
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ラグビー インタビュー トゥイッケナムに立っとったらなぁ : 五郎丸歩が語った涙の理由と家族、そして「2019年」
- 阿川佐和子のこの人に会いたい(第1131回)フリーキャスター、エッセイスト 雨宮塔子 娘が「このお仕事は絶対に諦めちゃダメだよ」と、目に涙を浮かべて言ってくれました。
Related Links
- 涙が血だったなんて ... 涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したものです。 9割以上が水で出来ており、タンパク質、リン酸塩などを含んでいます。
- 泣かないようにしようとは思っていても、つい涙が溢れてしまう時ってありますよね。人前なのに涙がこぼれそうになって困った・・・と言う方も多いと思います。泣き虫な自分...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
人工涙液マイティア点眼液
組成
成分・含量(1mL中)
- 塩化ナトリウム 5.5mg
塩化カリウム 1.6mg
乾燥炭酸ナトリウム 0.6mg
リン酸水素ナトリウム水和物 1.8mg
ホウ酸 12mg
添加物
効能または効果
- ソフトコンタクトレンズ装着時には使用しないこと(レンズの中に薬剤が徐々に吸着されて、眼刺激やレンズ物性に影響を与えるおそれがある)。
- 通常、1回1〜2滴を1日5〜6回点眼する。
なお、症状により適宜増減する。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- tear fluid, tear, lacrimal fluid
- ラ
- lacrimae
- 同
- 涙 tears
- 関
- 流涙
涙液の分泌支配
基礎分泌
- 自律神経-交感神経:眼の保護(角膜結膜表面の湿潤を保つ、異物・老廃物の排出)、栄養補給
- 情動性分泌
- 自律神経-副交感神経:情動刺激で涙腺が刺激されて涙液が分泌される。
- 体性神経-三叉神経:物理的な刺激で涙腺が刺激されて涙液が分泌される。
[★]
- 英
- tear、tease
- 関
- 裂傷、涙
[★]
- 英
- nasolacrimal duct obstruction
- ラ
- obstructio ductus nasolacrimalis
- 同
- 涙鼻管閉塞、鼻涙管閉塞症
- 関
- 鼻涙管
国試
[★]
- 英
- lacrimal passage
- 関
- 涙道閉塞
[★]
- 英
- lacrimal canaliculus
- ラ
- canaliculus lacrimalis
- 関
- 涙器
[★]
- 英
- dacryoadenitis
- 関
- 涙嚢炎
[★]
- 英
- teardrop-shaped red blood cell