ゲムシタビン
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ゲムシタビン
|
IUPAC命名法による物質名 |
4-amino-1-[3,3-difluoro-4-hydroxy-5- (hydroxymethyl) tetrahydrofuran-2-yl]- 1H-pyrimidin- 2-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
I.V. |
薬物動態的データ |
血漿タンパク結合 |
<10% |
半減期 |
Short infusions 32-94 minutes
for long infusions 245-638 minutes |
識別 |
CAS登録番号 |
95058-81-4 |
ATCコード |
L01BC05 |
PubChem |
CID 60750 |
DrugBank |
APRD00201 |
KEGG |
D02368 |
化学的データ |
化学式 |
C9H11F2N3O4 |
分子量 |
263.198 g/mol |
ゲムシタビン (gemcitabine) とは、抗癌剤として用いられる含フッ素ヌクレオシドの一種である。シチジンのリボース環の2'位がフッ素2個で置換された構造を持つ。
イーライリリー・アンド・カンパニーが開発し、ジェムザール(Gemzar、略号:GEM)という商品名で塩酸塩(塩酸ゲムシタビン)を上市している。ジェムザールの性状は白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
目次
- 1 効果・効能
- 2 用法・用量
- 3 作用機序
- 4 副作用
- 5 外部リンク
効果・効能
卵巣癌などに対しても有効性が報告されている(卵巣癌については2010年4月27日に厚生労働省が適応拡大と判定)。
用法・用量
週1回、30分間の点滴静注にて投与。通常、体表面積1平方メートルあたり1000mgを用いる。バイアルには200mgと1gがあり、生理食塩水に溶解して用いる。点滴時間が長すぎると副作用が増大するという報告があり、点滴をあまり長くすべきでは無いと言われている。
作用機序
シチジンと同じ様にDNA鎖に取り込まれ、別のヌクレオシドが1つ付くことにより、DNA鎖を伸長停止させる。このことにより、アポトーシスが誘導され、腫瘍細胞を自殺に追い込む。
副作用
個人差があるが、嘔吐、体のだるさ、髪の毛が抜けるなど。ただし抗癌剤全体で見た場合、副作用を起こす人は少ない部類に入る。[要出典]
外部リンク
- Eli Lilly and Company ホームページ
- 日本イーライリリー株式会社 ホームページ
- Lilly Oncology
- Gemzar.jp(医療関係者者向けサイト)
- 膵がんの放射線療法と化学療法
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- PS-103-7 膵癌切除症例におけるジェムザールを用いた術後補助化学療法の効果(PS-103 ポスターセッション(103)膵臓:化学療法,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 村上 真,中澤 雅子,森川 充洋,小練 研司,永野 秀樹,廣野 靖夫,前田 浩幸,五井 孝憲,飯田 敦,片山 寛次,山口 明夫
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 684, 2011-05-25
- NAID 110008685032
- 婦人科癌治療薬 (新薬展望2011) -- (治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉--新薬の広場)
Related Links
- ジェムザールもそうした医薬品のひとつです。この薬は、イーライリリー社が開発したもの で、1996年に膵臓がん治療薬としてアメリカで承認されました。進行膵臓がんには有効 な抗がん剤が少ないため、世界中でジェムザールの単独投与が膵臓がん治療の第一 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジェムザール注射用200mg
組成
成分・含量
(1バイアル中):
- ゲムシタビン塩酸塩228mg
(ゲムシタビンとして200mg)
成分・含量
(1バイアル中)
添加物:
- D-マンニトール 200mg
無水酢酸ナトリウム 12.5mg
pH調節剤 適量
禁忌
- 高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。]
- 胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者[症状が増悪し、致命的となることがある。]
- 胸部への放射線療法を施行している患者[外国の臨床試験で本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。「相互作用」の項参照]
- 重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用及び胎児致死作用が報告されている。]
効能または効果
- ,*非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌
胆道癌の場合
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
尿路上皮癌の場合
- 本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
手術不能又は再発乳癌の場合
- 本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の増悪若しくは再発例を対象とすること。
がん化学療法後に増悪した卵巣癌の場合
- 本剤の投与を行う場合には、白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし、白金製剤に対する感受性を考慮して本剤以外の治療法を慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
,*非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌の場合
- 通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
手術不能又は再発乳癌の場合
- 通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 尿路上皮癌及び手術不能又は再発乳癌に本剤を使用する場合には、「臨床成績」の項の内容を十分に理解した上で投与方法を選択すること。
(注射液の調製法)
- 本剤の200mgバイアルは5mL以上、1gバイアルは25mL以上の生理食塩液に溶解して用いること。
慎重投与
- 骨髄抑制のある患者[「重要な基本的注意」の項参照]
- 間質性肺炎又は肺線維症の既往歴又は合併症がある患者[間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがある。]
- 肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者[肝機能の悪化を引き起こすことがある。]
- 腎障害のある患者[腎機能が低下しているので、副作用があらわれやすくなることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 心筋梗塞の既往のある患者[心筋梗塞がみられることがある。]
重大な副作用
- 発現頻度については、国内の本剤単独投与の臨床試験において認められたものを記載した。
- 骨髄抑制:白血球減少(72.6%、ただし、2000/μL未満の減少は17.5%)、好中球減少(69.2%、ただし、1000/μL未満の減少は32.1%)、血小板減少(41.4%、ただし、5万/μL未満の減少は4.2%)、貧血[ヘモグロビン減少(66.5%、ただし、8.0g/dL未満の減少は13.1%)、赤血球減少(52.6%)]等があらわれることがあるので、血液学的検査を頻回に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等適切な処置を行うこと。なお、高度な白血球減少に起因したと考えられる敗血症による死亡例が報告されている。
- 間質性肺炎(1.0%):間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。
- アナフィラキシー様症状(0.2%):呼吸困難等のアナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 心筋梗塞(0.2%):心筋梗塞がみられることがある。
- うっ血性心不全:うっ血性心不全があらわれることがある。
- 肺水腫:肺水腫があらわれることがある。
- 気管支痙攣:気管支痙攣があらわれることがある。
- 成人呼吸促迫症候群(ARDS):成人呼吸促迫症候群(ARDS)があらわれることがある。
- 腎不全:腎不全があらわれることがある。
- 溶血性尿毒症症候群(0.2%):溶血性尿毒症症候群があらわれることがあるので、血小板減少、ビリルビン上昇、クレアチニン上昇、BUN上昇、LDH上昇を伴う急速なヘモグロビン減少等の微小血管症性溶血性貧血の兆候が認められた場合には、投与を中止すること。腎不全は投与中止によっても不可逆的であり、透析療法が必要となることもある。
- 皮膚障害(頻度不明):重篤な皮膚障害(紅斑、水疱、落屑等)があらわれることがある。
- 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
薬効薬理
抗腫瘍効果
- ゲムシタビン(dFdC)は、非小細胞肺癌や乳癌をはじめとする第1継代ヒト固形腫瘍細胞、並びに他の様々なマウス及びヒトの腫瘍細胞に対して殺細胞作用を示し13)〜20)、その作用は濃度及び時間依存的であった14), 16)。dFdCは、異種移植ヒト固形腫瘍モデルを用いた試験においても、非小細胞肺癌細胞(CALU-6)、乳癌細胞(H-31、H-71)及び他の様々な腫瘍細胞に対してスケジュール依存的に18)抗腫瘍効果を示した19), 21)〜24)。
すなわち、3〜4日に1回の投与により非致死量で優れた抗腫瘍効果がみられるのに対して、1日1回の投与においては毒性が強く抗腫瘍効果は認められなかった。この異種移植ヒト腫瘍モデルにおいては、従来の抗癌剤には低感受性であることが知られているヒト肺癌細胞(H-74及びCPH SCLC54B)にも有効性がみられた22), 23)。また、ヒト膵癌細胞(MIA PaCa-2及びPANC-1)25)、ヒト胆道癌細胞(TGBC2TKB及びHuCCT1)及びヒト尿路上皮癌細胞(639-V、BFTC-909、RT-4、RT-112)においても腫瘍増殖抑制効果が認められた。
作用機序
- ゲムシタビン(dFdC)は細胞内で代謝されて活性型のヌクレオチドである二リン酸化物(dFdCDP)及び三リン酸化物(dFdCTP)となり26)、これらがDNA合成を直接的及び間接的に阻害することにより殺細胞作用を示す27)。直接的には、dFdCTPがデオキシシチジン三リン酸(dCTP)と競合しながら27)DNAポリメラーゼによりDNA鎖に取り込まれた後、細胞死(アポトーシス)を誘発する28)。また、dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することにより29),30)、細胞内のdCTP濃度を低下させるため、間接的にDNA合成阻害が増強される。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- ゲムシタビン塩酸塩(JAN)
Gemcitabine Hydrochloride
略 号:
化学名:
- (+)-2’-Deoxy-2’,2’-difluorocytidine monohydrochloride
分子式:
分子量:
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- gemcitabine GEM
- 化
- 塩酸ゲムシタビン gemcitabine hydrochloride
- 商
- ジェムザール
- 関
- 抗悪性腫瘍薬
概念
- 代謝拮抗性抗悪性腫瘍薬である。
- ゲムシタビンはデオキシシチジンの糖鎖の2′位の水素をフッ素に置換したヌクレオシド誘導体で、DNA合成が主に行われているS期に特異的な作用を示す。細胞内に取り込まれ三リン酸体に代謝され、デオキシシチジン三リン酸と競合してDNA 鎖に取り込まれ、DNAの合成を阻害する。
適応
参考
- ジェムザール注射用200mg/ジェムザール注射用1g
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4224403D1030_1_11/4224403D1030_1_11?view=body
[★]
- 英
- antimetabolite
- 関
- 代謝拮抗物質、代謝拮抗薬、抗代謝剤
商品