- 英
- carcinoid
- 同
- カルチノイド腫瘍 carcinoid tumor
- 好銀性細胞腫 argyrophil cell tumor
- 関
- カルチノイド症候群、消化管カルチノイド
概念
- 気管支や消化管に発生し、原腸系臓器に広く分布する内分泌系細胞腫瘍の低異型度腫瘍。消化管に発生したものは特に消化管カルチノイドという(YN.A-75)
疫学
- 欧米では小腸腫瘍の中で悪性腫瘍に次いで2番目に多いが、日本では非常にまれ。
分類
部位
発生部位
- 発生部位:消化管(虫垂、大腸、小腸、直腸、胃)および肺、気管支
- 直腸が最多 (YN.A-75)
- 肺:発生母地(気管支腺、細気管支上皮内に存在するKultchitzky細胞)。神経内分泌顆粒を有する。(NSU.344)
病理
- 粘膜下腫瘍と同様の所見を呈することが多い。 ちなみにGISTは粘膜下腫瘍
- つまり辺縁はなだらかである。
- 細胞の配列:索状、リボン状。時にロゼット様
- 核:小型、円形で中心に存在し、分裂像は少ない
予後
- 予後(5年生存率):虫垂のカルチノイドを除いて90%。小腸原発のカルチノイドで肝臓に転移があっても50% (BPT.627)
消化管 (BPT.626)
疫学
- The peak incidence of these neoplasms is in the sixth decade.(BPT.626)
- 直腸結腸癌の2%以下。小腸の悪性腫瘍の半分を占める
- 転移:虫垂と直腸のカルチノイドは転移しにくい。90%の胃、空腸、結腸のカルチノイドは
直腸
疫学(NSU.590)
- 消化器系のカルチノイドのうち最多(36%)。
- 40-50歳代に多い。
- 男:女=1.4:1
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/31 21:21:08」(JST)
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カルチノイド(英: carcinoid)とは、神経内分泌細胞への分化を示す腫瘍のひとつである。小腸や大腸などの消化管や肺の気管支などの神経内分泌細胞が常在している粘膜内に発生することが多いが、膵臓、肝臓、腎臓、精巣、卵巣、胸腺、乳腺、前立腺など腺細胞が分布する臓器にもまれに発生する。
カルチノイド腫瘍は英語ではcarcinoidまたはcarcinoid tumorと表記され、まさに「癌もどき」(=carcinoma-like)な病理組織像や生物学的振る舞い(浸潤や転移能)を示すことがある。従って良性腫瘍とは言えず、境界悪性腫瘍(borderline malignancy)または転移が明らかな例では悪性腫瘍と同等の扱いとなる。セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、カテコールアミンなどのホルモン様物質・神経伝達物質を産生する。肺・気管支、胸腺、膵臓などのカルチノイドは副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、ガストリンなどを分泌する。 診断のためには生検や切除材料の病理学的検査が必須で、腫瘍を構成する細胞の嗜銀性や好銀性を染色で確認したり、神経内分泌顆粒の構成分子であるクロモグラニンAやシナプトフィジンを免疫組織化学的に染色し陽性像を確認することで診断が確定する。
消化管カルチノイド
粘膜深層にあるKulchitzky嗜銀細胞が由来とされる。日本では直腸、胃、十二指腸の順に多い。1cmを超えると転移巣がみられることが多い。
関連事項
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 膀胱原発カルチノイドの1例 : 本邦症例のアンケート調査を加えて
- 神経内分泌腫瘍の名称と我が国の疫学の変遷 (特集 大きく変化する神経内分泌腫瘍(NET)の概念と治療)
- 臨床報告 十二指腸ソマトスタチン産生神経内分泌腫瘍の1例
- 症例 発症早期に切除手術を施行しえたCushing症候群を伴う副腎皮質刺激ホルモン産生肺腫瘍の1例
- 胸部外科 = The Japanese journal of thoracic surgery 68(7), 543-545, 2015-07
- NAID 40020521979
Related Links
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- 直腸の小さなカルチノイドは、内視鏡をしているとよく、お目にかかります。たいていは、5 mm程度のものです。1cmぐらいまでのものは、まず、良性と考えて差し支えありません が、2cmをこえると、リンパ節転移を起こす率がおおく、直腸癌と同様の治療が必要に ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 60歳の女性。排便時の出血を主訴に来院した。2か月前から時々出血があることに気付いていたが、疼痛がないため放置していた。排便回数に変化はない。身長152cm、体重48kg。体温36.5℃。呼吸数14/分。脈拍76/分、整。血圧112/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に腫瘤と圧痛とを認めない。直腸指診で直腸後壁に弾性硬の示指頭大の腫瘤を触知する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、尿潜血(-)。血液所見:赤血球390万、Hb11.9g/dl、Ht35%、白血球5,600。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl、アルブミン3.4g/dl、クレアチニン1.0mg/dl、AST20IU/l、ALT14IU/l、LDH390IU/l(基準176~353)。免疫学所見:CRP0.3mg/dl、CEA3.0ng/ml(基準5以下)。肛門線から6cmの部位の大腸内視鏡所見と腫瘤のH-E染色標本とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
E
- 低アルブミン血症、LDHやや高値。CEA低値。
- 内視鏡では白色で潰瘍のない腫瘤。
- 病理像は異型性の低い核。好酸性(青く染まる)の細胞質を有する。
※国試ナビ4※ [101G026]←[国試_101]→[101G028]
[★]
- 67歳の女性。健康診断で胸部エックス線写真の異常陰影を指摘され、精査目的に来院した。喫煙歴は25本/日を47年間。体温 36.4℃。脈拍 64/分、整。血圧 124/76mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 97%(room air)。胸部CTで異常を認めたため、気管支鏡下に擦過細胞診を施行した。胸部エックス線写真(別冊No.8A)、胸部CT(別冊No.8B)及び擦過細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No.8C)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C047]←[国試_114]→[114C049]
[★]
- 66歳の男性。人間ドックの便潜血反応が陽性であったため精密検査を勧められ来院した。腹部は平坦、軟で圧痛は認めない。指診で直腸に隆起性病変が疑われた。直腸内視鏡写真と生検組織H-E染色標本とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D025]←[国試_097]→[097D027]
[★]
- 英
- bronchial carcinoid
- 関
- カルチノイド、肺カルチノイド
概念
- 気管支カルチノイドは肺腫瘍の中でも珍しい部類である;神経内分泌分化を呈し、比較的潜行性の経過を辿るのが特徴である。
- 元々、気管支腺腫と言われていたが、転移する可能性があることから悪性腫瘍とみなされている。
- 体の他の部位にできる癌腫のように気管支カルチノイドは、胚の神経堤から遊走したペプチドやアミンを産生する内分泌細胞に由来すると考えられている。
- カルチノイドは体の多くの部位から発生する可能性がある;胸腺、肺、消化管、卵巣。消化管が最もカルチノイドが発生する部位であり、肺はその次に多い。
疫学
- 世界的には、罹患率は10万人対0.2-2人/年。
- 女性に多い、また黒人より白人に多いことが示唆されている。
- 悪性肺腫瘍の1-2%
- カルチノイドの20-30%
- 子供(晩期思春期)の原発性肺新生物としては気管支カルチノイドが最も一般的。
- 頻度;定型的カルチノイド:非定型的カルチノイド=4:1
- 定型的カルチノイド:低分化度で分裂速度は遅い。
- 非定型的カルチノイド:中等度分化度で分裂速度は速く、壊死を伴う。
[★]
- 英
- small intestinal tumor、small intestine tumor, tumor of small intestine, tumor of the small intestine
- 関
- 小腸癌
疫学
- 小腸腫瘍:全消化管腫瘍の3-6%
- 小腸の悪性腫瘍:全消化管悪性腫瘍の1-2%
組織別頻度
- YN.A-75
発生部位
- 上部空腸(Treitz靭帯に近い) (SSUR.543)
- 下部回腸(Bauhin弁に近い) (SSUR.543)
- 平滑筋肉腫は空腸・回腸。カルチノイドは回腸。悪性リンパ腫は回腸。癌ではファーター乳頭部 (YN.A-75)
- T細胞性リンパ腫は空腸に多い。B細胞性リンパ腫は空腸・回腸に多い。B細胞性リンパ腫の方がT細胞性リンパ腫より多い。
- 癌、平滑筋腫、平滑筋肉腫は空腸に好発
- 脂肪腫、カルチノイドは回腸に多い
参考
- 1. [charged] Epidemiology, clinical features, and types of small bowel neoplasms - uptodate [1]
- 2. wiki ja
[★]
- 英
- neuroendocrine tumor NET
- 関
- 肺神経内分泌腫瘍、神経内分泌細胞
- 神経内分泌細胞由来の腫瘍である。
- 神経内分泌細胞は全身に分布し、膵臓、下垂体、甲状腺、福甲状腺、副腎、消化管、胸腺、肺などに存在する。
- 神経内分泌細胞のマーカーはクロモグラニンA、シナプロフィジンであるため、病理標本ではこれに対する抗体を用いて蛍光抗体法により染色する。
- 神経内分泌腫瘍は以前はカルチノイドと名付けられていたが、現在では悪性腫瘍として認識されている。
免疫組織化学
検査
- ソマトスタチン受容体シンチグラフィー:多くのNETにはソマトスタチン受容体2(somatostatin receptor2 SSTR2が発現しているので、NETの局在診断、遠隔転移の検索、治療効果判定で活用されることが期待される。(日本内科学会雑誌 2017年 Vol.106No.3)
参考
- 神経内分泌腫瘍 エルゼビア・ジャパン株式会社 2009年1月スタート
- http://www.netlinks.jp
[★]
- 英
- gastrointestinal carcinoid
- 関
- 消化管内分泌細胞腫瘍、カルチノイド、カルチノイド症候群
病理
- 好銀反応:陽性
- 免疫組織化学:NSE(+)、S-100蛋白(+)、クロモグラニン染色(+)
例外
- 直腸カルチノイド:好銀反応(-)、argentaffin反応(-)、セロトニン産生(-)
病態
治療
- 直径1cm以下:内視鏡下粘膜切除術、筋層を含む局所切除術
- 直径2cm以上:(転移率が高い)リンパ節郭清を伴う根治術、肝線維走の切除
参考
- http://ganjoho.jp/professional/med_info/evidence/list/edb_gastrointestinal_carcinoid.html
- 2. がん情報サイト|PDQ®日本語版(医療専門家向け)
- http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese-s.jsp?Pdq_ID=CDR0000062893
[★]
- 英
- metastatic liver cancer, metastatic cancer of the liver
- 関
- 肝癌、肝細胞癌
病理
- 多発性転移が認められることが多い。
- 胃、大腸癌、肺癌、乳癌が多い。
検査
腹部超音波検査
- 多発性腫瘤が認められる。
- 腫瘤の辺縁は低エコー、中心は高エコーを示すことが多い(bull's eye, pattern、target sign)
- 高エコーの石灰化を認めることがある。
単純CT
造影CT
- SRA.481
dynamic CT
- SRA.481
- 動脈相:辺縁造影効果あり。
- 遅延相:辺縁(細胞成分が多い):造影効果なし、中心(線維性壊死組織):造影効果あり
MRI
- T1:低信号
- T2:リング状の高信号
- 造影:リング状の造影効果
[★]
- 英
- carcinoid syndrome
- 関
- カルチノイド腫瘍
病因
症状
- 顔面紅潮~胸部の紅潮、喘息様発作(気管支痙攣)、下痢(腸管運動亢進)、心弁膜症(心内膜・心筋の線維化)
[★]
- 英
- thymic carcinoid
- 関
- カルチノイド
[★]
- 英
- malignant carcinoid syndrome
[★]
ケノデオキシコール酸