HClO4
酸性 :過塩素酸>塩素酸>亜塩素酸>次亜塩素酸 酸化力:次亜塩素酸>亜塩素酸>塩素酸>過塩素酸 -perchlorate
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/05 00:10:59」(JST)
過塩素酸 | |
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IUPAC名
過塩素酸 |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 7601-90-3 |
RTECS番号 | SC7500000 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | HClO4 |
モル質量 | 100.46 g mol-1 |
外観 | 無色の液体 |
密度 | 1.768 g cm-3 (22 °C) |
融点 |
19 °C/11 mmHg[1] |
沸点 |
203 °C(共沸)[1] |
水への溶解度 | 任意に混和 |
酸解離定数 pKa | -8.6 (-9.9) |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
-40.58 kJ mol-1[2] |
標準モルエントロピー S |
188.4 J mol-1K-1 |
危険性 | |
EU分類 | 酸化性 (O) 腐食性 (C) |
NFPA 704 |
3
3
OX
|
Rフレーズ | R5 R8 R35 |
Sフレーズ | S1/2 S23 S26 S36 S45 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
過塩素酸(かえんそさん、英: perchloric acid)とは、塩素のオキソ酸の一種で、化学式 HClO4 と表される過ハロゲン酸。水に溶けやすい無色の液体。酸化数7価の塩素に、ヒドロキシ基(-OH)1個とオキソ基(=O)3個が結びついた構造を持つ。
塩素酸より酸素が1個多く、名称に「過/per」と付いているものの分子内に -O-O- 結合はなく本来の塩素原子の最高酸化状態であり過酸ではない。
硫酸、硝酸などと同様に強酸であり、本来は酸素原子の誘起効果により非常に強い酸であるが、希薄水溶液中では水平化効果により塩酸および硝酸などと電離度に著しい差は認められない。過塩素酸は日本の消防法第2条第7項及び別表第一第6類1号により危険物第6類(酸化性液体)に指定されている。
七酸化二塩素と水が反応して生成する。
また過塩素酸カリウムに濃硫酸を加え、減圧蒸留すると得られる。
塩酸の電解酸化によっても水溶液として得られる。
塩素のオキソ酸としては最も安定で、唯一、純粋な酸を単離することが可能であるが、不安定で加熱および有機物との接触により爆発しやすく、室温で3〜4日の放置であっても過塩素酸一水和物と七酸化二塩素に不均化する[3]。
純粋な酸は水に激しく発熱して溶解し、その溶解熱は88.75kJ mol-1と非常に大きい[2]。
過塩素酸の第一水和エンタルピー変化および溶解エンタルピー変化は以下の通りである。
過塩素酸一水和物 (HClO4·H2O) は融点50 °Cのイオン結晶であり、オキソニウムイオンと過塩素酸イオンからなる (H3O+·ClO4-)。
水溶液は安定であり60 % (d=1.54g cm-3, 9.2 mol dm-3) あるいは70 % (d=1.67g cm-3, 11.6mol dm-3) 水溶液も市販されている。ラマンスペクトルにより70 %程度の濃度までは完全に電離していることが示され[4]、電離状態の過塩素酸イオン (ClO4-) は安定であるといえる。また72.5 %の水溶液は共沸混合物となり、203 °Cで沸騰する。
過塩素酸水溶液は希硫酸と類似の性質を示し、室温では不揮発性であり、希薄な水溶液でも放置により濃縮され、衣服に付いたまま放置すると穴があく点などは希硫酸と同様である。
70 %程度以下の水溶液は酸化作用をほとんど持たずイオン化傾向が水素より大きな金属と反応し水素を発生させるが、過塩素酸はほとんど還元されない。70 %以上の過塩素酸と発煙硝酸の混合物は強い酸化作用を示し、分析化学において有機物の酸化分解に用いられる[4]。
水溶液中における酸解離定数は直接測定することが不可能であるが、非水溶媒中における幾つかの酸の酸解離定数を水溶液中のものと比較することにより推定されている[5]。
非水溶媒中の酸解離定数 pKa は、2.1(アセトニトリル)、1.3(炭酸プロピレン)、2.1(ニトロメタン)、0.4(ジメチルスルホキシド)、3.3(ピリジン)、4.9(酢酸)であり、N,N-ジメチルホルムアミドおよびN-メチルピロリドン中では強酸として挙動する。これらの解離定数はトリフルオロメタンスルホン酸とほぼ同程度か、やや強い程度である[6]。
過塩素酸イオン(かえんそさんいおん、英: perchlorate、ClO4-)は過塩素酸の電離により生成する1価の陰イオンである。過塩素酸塩結晶中にも存在し、正四面体形構造をとり Cl-O 間結合距離は過塩素酸ナトリウム結晶中で142.0-143.1 pmであり、類似構造の硫酸イオン (149 pm) と比較して短く、より二重結合性が強いと考えられていた(形式的な結合次数は1.75)。このような結合長をもとに、過塩素酸イオンの結合はCl原子が3つのO原子と二重結合を作り、もう一つのOと単結合を作っているという極限構造(の共鳴状態)で書かれることが多い。しかしその一方で、理論計算からはCl3+に4つのO-が単結合で結びついているというオクテット則を満たす描像がもっとも現実の系に近いと示唆されている[7]。この場合、結合が通常の単結合より短く強い点に関しては、ClとOの電気陰性度の差が大きい事により結合が強く分極していることとそれぞれの原子が電荷を持つ事によりCl-O間にクーロン力によるイオン結合がプラスされていると説明される。近年、理論計算から同様の予想がなされていた硫酸などにおいても実際にS-O結合が単結合であること、その結合が単結合より短く強いのは分極した単結合におけるクーロン引力によるものであることが実験的に確認され、過塩素酸イオンのCl-O結合が単結合であるという理論的予測が間接的に支持されている。
希薄水溶液中では安定でありほとんど酸化作用を示さないが、潜在的に高い酸化作用をもち、その標準酸化還元電位は以下の通りである。
ただし、水素、硫化水素、亜硝酸およびヨウ化水素などでは還元されず、酸性条件でチタン(III)イオン (Ti3+) により還元される。
金属イオンに対する配位結合が弱く錯生成定数が小さいことから、金属アクアイオンの研究におけるカウンターイオンとして、また過塩素酸塩はイオン強度調整用の電解質として用いられる。
過塩素酸塩(かえんそさんえん、英: perchlorate)は過塩素酸イオン (ClO4-) を含むイオン結晶であり、火薬、爆薬にしばしば使用される強力な酸化剤である。炭素、硫黄、有機物および金属粉などとの混合物は摩擦、衝撃などにより激しく爆発する。日本の消防法では危険物第1類(酸化性固体)に該当する。
塩素酸塩水溶液の電解酸化および、過塩素酸に金属酸化物を溶解することにより製造される。
多くのものは吸湿性で水に易溶であるが、カリウム塩 KClO4、ルビジウム塩 RbClO4、セシウム塩 CsClO4 およびテトラアルキルアンモニウム塩 R4NClO4 などは水に対する溶解度が比較的小さい(水100 gに対し1-2 g程度)。
主な用途は固体ロケットの推進剤中の酸化剤である。過塩素酸カリウムが最初に用いられるようになり、現在では過塩素酸アンモニウムが最も重要な塩となっている。過塩素酸リチウムは重量当たりの酸素量が最も多く、固体推進剤としての利用が調査されているが、実用には至っていない。
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関連記事 | 「酸」「塩素」「塩素酸」 |
次亜塩素酸(じあえんそさん、Hypochlorous acid)は塩素のオキソ酸の1つで、塩素の酸化数は+1である。組成式では HClO と表わされるが、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造 H−O−Cl を持つ。不安定な物質であり水溶液中で徐々に分解する。次亜塩素酸および次亜塩素酸の塩類は酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として利用される。
実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じたりして調整した次亜塩素酸塩水溶液を硫酸で中和し、水蒸気蒸留して遊離酸の水溶液を得る。また、酸化水銀 の四塩化炭素懸濁液に塩素を通じた後に水で抽出したり、あるいは酸化ビスマスを水懸濁液中に塩素を通じることで遊離酸の水溶液を得る方法も知られている。
薄い水溶液としては存在するが、25%以上の濃度では一酸化二塩素に変化するので遊離酸を単離することはできない。濃厚水溶液は淡黄色である。また、遊離酸が弱酸 (pKa = 7.53)<ref>「次亜塩素酸」、『岩波理化学辞CD-ROM版』 第5版、岩波書店、1998年。</ref> のため、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩水溶液はかなり強い塩基性を示す。
水溶液中でも不安定で、次のような不均化により塩化水素を放出しながら徐々に分解する。
次亜塩素酸やその塩の水溶液は、カルキ臭と呼ばれるプールの消毒槽のようなにおいを持つ。
また、塩素を水に溶かすと、次のような平衡により一部が塩酸と次亜塩素酸となる<ref>「次亜塩素酸」、『世界百科事典CD-ROM版』 V1.22、平凡社、1998年。</ref>。
{\rm Cl_2 + H_2O \ \overrightarrow\longleftarrow \ HCl + HClO} \quad K _{\rm w}=1.56 \times 10^{-4} </math> すなわち、中性~酸性条件ではこの反応はあまり進行しないが、アルカリ性条件では生成する遊離酸が次亜塩素酸塩となり平衡が右に偏るので、次亜塩素酸塩を製造する方法の1つとなる。
\rm Cl_2O + H_2O \longrightarrow 2HClO </math>
\rm HClO + H_2O_2 \longrightarrow HCl + H_2O + O_2 </math>
<references />
。]] オキソ酸(オキソさん、Oxoacid)とは、ある原子にヒドロキシル基 (-OH) とオキソ基 (=O) が結合しており、且つそのヒドロキシル基が酸性プロトンを与える化合物のことを指す<ref>IUPAC Gold Book - oxoacids</ref>。ただし、無機化学命名法IUPAC1990年勧告のオキソ酸の定義では、先述した化合物の他にアクア酸(aqua acid)<ref>中心金属イオンに配位した水分子に酸性プロトンが存在する酸。例:ヘキサアクア鉄(III)イオン</ref>、ヒドロキソ酸(hydroxoacid)<ref>隣接するオキソ基が存在しないヒドロキシル基に酸性プロトンが存在する酸。例:オルトケイ酸 (H4SiO4)</ref>もオキソ酸に含まれることになる。無機化合物のオキソ酸の例としては硫酸や硝酸、リン酸などが挙げられる。有機化合物で最も重要なオキソ酸はカルボン酸である。酸性の強弱は化合物の種類によりさまざまなものがある。一般に、オキソ酸は多原子イオンと水素イオンを与える。
オキソ酸が脱水縮合することで、ポリオキソ酸が生成する。例えば、リン酸では二リン酸、三リン酸である。酸無水物も同様に、オキソ酸の脱水縮合生成物にあたる。遷移金属元素のオキソ酸は金属オキソ酸(ポリ酸)と呼ぶ。
単核オキソ酸の酸性度の強さを推定する2つの経験則としてポーリングの規則(Pauling's rules)が知られている。
ただし、この規則に従わないオキソ酸も存在する。例えば炭酸の推定値は3であるが実測値は6.4である。これは水溶液中に溶けている二酸化炭素が僅かしか炭酸にならないためである。このことを考慮に入れるとpKa値は規則通り約3.6となる。また、亜硫酸も規則に従わない。これは溶液中に亜硫酸分子は検出されず、さらにSO2が複雑な平衡を持っているからである。
テンプレート:脚注ヘルプ <references/>
過塩素酸、(化合物)過塩素酸塩
パークロレイト放出試験 : 18 件 過塩素酸塩放出試験 : 15 件 パークロレート放出試験 : 5 件
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