出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/28 11:11:12」(JST)
オルト過ヨウ素酸 | |
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別称
パラ過ヨウ素酸
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 10450-60-9 |
特性 | |
化学式 | H5IO6 |
モル質量 | 227.941 g mol−1 |
外観 | 無色の結晶 |
融点 |
122 °C, 395 K, 252 °F |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
EU分類 | 酸化性(O), 毒性(T), 腐食性(C) |
Rフレーズ | R23 R24 R25 R34 R41 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
過ヨウ素酸(かヨウそさん、periodic acid)は、ヨウ素のオキソ酸の一種で、過ハロゲン酸。メタ過ヨウ素酸 (HIO4) とオルト過ヨウ素酸 (H5IO6) の2種類があり、単に過ヨウ素酸という場合はメタ過ヨウ素酸のことを示すことが多い。英語名の "periodic acid" は「期間」の意味ではなく、"per-iodic" 過・ヨウ素の意味。また名称に「過」と付いているがヨウ素本来の最高酸化数(+VII, +7)であり、分子内に−O−O−結合は存在せず過酸ではない。
水溶液中では水素イオンと過ヨウ素酸イオンに電離する。
また、過ヨウ素酸はジオールを二つのカルボニル化合物へと酸化開裂させる ことができる。
メタ過ヨウ素酸の空間充填モデル
メタ過ヨウ素酸の球棒モデル
ヨウ素酸バリウムを加熱分解して得たオルト過ヨウ素酸バリウムに硫酸を反応させると得られる[1]。
またオルト過ヨウ素酸水素バリウムに二酸化窒素を含まない濃硝酸を反応させても得られる[2]。
さらにオルト過ヨウ素酸を緩やかに加熱すると132℃で融解し、さらに脱水が始まりメタ過ヨウ素酸が生成する。
オルト過ヨウ素酸は無色の吸湿性の結晶であり、強い酸化作用を示し、マンガン(II)イオンを過マンガン酸イオンまで酸化する[3]。
オルト過ヨウ素酸は水溶液中では5価の弱酸としての電離平衡が存在するが、第三解離以降は水溶液中での解離は極めて弱い。
さらに配位数変換によりメタ過ヨウ素酸イオンを生成するといった平衡も存在し、水溶液中の挙動はいっそう複雑である[3]。
メタ過ヨウ素酸は過塩素酸と同様に著しい強酸であるため、結局酸性水溶液中における平衡は以下のようなものが主となる。
1,2-ジオール(vic-ジオール)に過ヨウ素酸を加えると、C-C結合が酸化的に開裂して 2分子のカルボニル化合物が得られる。このとき、過ヨウ素酸の環状エステルを中間体として経由する。
>C(OH)-C(OH)< + HIO4 → >=O + O=<
過ヨウ素酸触媒量の過マンガン酸イオンを加えた Lemieux-von Rudloff 試薬は、アルケンを酸化的に開裂させることができる[4]。
>C=C< + HIO4 + cat. MnO4- → >=O + O=<
オルト過ヨウ素酸イオン(おるとかようそさんいおん、orthoperiodate, hexaoxoiodate(5−), IO65−)は6配位正八面体型であり、過ヨウ素酸イオン(かようそさんいおん、periodate, tetraoxoiodate, IO4−)は過塩素酸イオンと同様に4配位正四面体型の陰イオンで、I−O結合距離は約180pmである[3]。
オルト過ヨウ素酸塩(おるとかようそさんえん、orthoperiodate, hexaoxoiodate)には正塩および水素塩(酸性塩)が存在する。
銀塩には正塩(Ag5IO6)および三水素塩(Ag2H3IO6)などが存在し、いずれも水に難溶性である。三水素塩はナトリウム塩(Na2H3IO6)、カリウム塩(K2H3IO6)およびアンモニウム塩((NH4)2H3IO6)など比較的多く知られる。ナトリウム塩は二水素塩(Na3H2IO6)も知られ、水素塩としてはトリウム塩(ThHIO6)などが知られる。
また5配位のメソ過ヨウ素酸塩(めそかようそさんえん、mesoperiodate)も存在し、銀塩(Ag3IO5)、水素塩として鉛塩(PbHIO5)などが知られる。
過ヨウ素酸塩(メタ過ヨウ素酸塩、かようそさんえん、periodate, tetraoxoiodate)は過ヨウ素酸の水溶液をpH=2~3付近になるまで水酸化物で中和すると析出し、ナトリウム塩 (NaIO4) 、アンモニウム塩(NH4IO4)、など多く知られアンモニウム塩は加熱により爆発する。カリウム(KIO4)、ルビジウム(RbIO4)、セシウム(CsIO4)および銀塩(AgIO4)などは水に難溶性である。
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関連記事 | 「酸」「ヨウ素酸」 |
。]] オキソ酸(オキソさん、Oxoacid)とは、ある原子にヒドロキシル基 (-OH) とオキソ基 (=O) が結合しており、且つそのヒドロキシル基が酸性プロトンを与える化合物のことを指す<ref>IUPAC Gold Book - oxoacids</ref>。ただし、無機化学命名法IUPAC1990年勧告のオキソ酸の定義では、先述した化合物の他にアクア酸(aqua acid)<ref>中心金属イオンに配位した水分子に酸性プロトンが存在する酸。例:ヘキサアクア鉄(III)イオン</ref>、ヒドロキソ酸(hydroxoacid)<ref>隣接するオキソ基が存在しないヒドロキシル基に酸性プロトンが存在する酸。例:オルトケイ酸 (H4SiO4)</ref>もオキソ酸に含まれることになる。無機化合物のオキソ酸の例としては硫酸や硝酸、リン酸などが挙げられる。有機化合物で最も重要なオキソ酸はカルボン酸である。酸性の強弱は化合物の種類によりさまざまなものがある。一般に、オキソ酸は多原子イオンと水素イオンを与える。
オキソ酸が脱水縮合することで、ポリオキソ酸が生成する。例えば、リン酸では二リン酸、三リン酸である。酸無水物も同様に、オキソ酸の脱水縮合生成物にあたる。遷移金属元素のオキソ酸は金属オキソ酸(ポリ酸)と呼ぶ。
単核オキソ酸の酸性度の強さを推定する2つの経験則としてポーリングの規則(Pauling's rules)が知られている。
ただし、この規則に従わないオキソ酸も存在する。例えば炭酸の推定値は3であるが実測値は6.4である。これは水溶液中に溶けている二酸化炭素が僅かしか炭酸にならないためである。このことを考慮に入れるとpKa値は規則通り約3.6となる。また、亜硫酸も規則に従わない。これは溶液中に亜硫酸分子は検出されず、さらにSO2が複雑な平衡を持っているからである。
テンプレート:脚注ヘルプ <references/>
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