Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/01 10:01:25」(JST)
頭蓋骨(ずがいこつ)は、頭の全体的な枠組みとしてはたらく、有頭動物の骨様構造である。頭蓋骨は、顔の構造を支持し、脳を外傷から保護する。なお、解剖学では「とうがいこつ」と読み、形質人類学では頭骨と表記して「とうこつ」と称し、「ずがいこつ」という読み方は学問的には用いられない。英語ではskullまたはcranium、複数形craniaである。
白骨化した頭蓋骨は髑髏(どくろ、されこうべ、しゃれこうべ)と呼ばれる。頭蓋骨に関する文化的な側面はそちらを参照のこと。
骨: 頭蓋骨 | |
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ヒトの頭蓋骨
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名称 | |
日本語 | 頭蓋骨 |
英語 | skull |
ラテン語 | cranium |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
関連情報 | |
MeSH | Skull |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
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ヒトの場合では、成人の頭蓋骨は通常28個の骨から構成される。下顎を除いて、頭蓋の骨格はすべて縫合(移動をほとんど許さない厳密な接合)によって互いに連結されている。
8個の骨格が神経頭蓋すなわち脳と延髄を囲む骨の保護円蓋を形成する。14個の骨格が内臓頭蓋(顔を支持する骨格)を形成する。中耳の6個の耳小骨は側頭骨の内側に包まれる。喉頭を支持する舌骨は頭蓋骨の一部と通常見なさない。舌骨は他の骨と連結していないからである。
頭蓋は複雑な構造である。その骨格は膜性骨発生と軟骨性骨発生の両方によって形成される。内臓頭蓋の骨格、および神経頭蓋の側面および屋根は、膜性骨発生(あるいは真皮の骨化)によって形成される一方、脳を支持する骨格(後頭骨、蝶形骨、側頭骨、及び篩骨)は、おおむね梁軟骨や旁索軟骨などに起因する軟骨性骨発生によって形成されている。
誕生の時、ヒトの頭蓋骨は45個に分かれている骨的要素から構成される。成長とともに、これらの骨的要素の多くは、徐々に癒合して硬骨(例えば前頭骨)になる。頭蓋の天井をなす頭蓋冠は、前頭縫合、矢状(しじょう)縫合、ラムダ縫合、冠状縫合、鱗状縫合と呼ばれる5つの縫合という緻密性結合組織によって分けられる。新生児は産道を通過するときや成長のため、これらの部位は繊維状で移動可能になっている。
縫合の交点にある比較的広い結合組織の部分は泉門とよばれる。成長および骨化が進行するにつれ、泉門の結合組織に骨が入り込み、置き換わる。後部の泉門(小泉門)は、通常8週までに閉じる。しかし、前部の泉門(大泉門)は18か月まで残っていることがある。前部の泉門は、前頭骨と頭頂骨の交点に位置し、赤ん坊の額にある「ひよめき」と呼ばれるものである。注意深く観察すれば、前部の泉門を通して赤ん坊が柔らかに脈打つのを観察することにより、赤ん坊の心拍数を数えることができることがわかるだろう。
脳が外力をうけたり損傷した場合、重症になることがある。通常は、頭蓋骨はその硬い性質により損傷から脳を保護するが、髄膜血管の出血や、脳自体の損傷によって、頭蓋内圧が高くなることがありえる。脳が膨張するための空間がないので、過大な頭蓋内圧が進行すると、大孔(大後頭孔)から延髄~脳幹部が脱出し、最終的にはヘルニアとなる(大後頭孔ヘルニア)。この段階に達すれば死は不可避であり、緊急手術により予防的な内圧低下措置が必要である。このため、脳に損傷を受けた患者は注意深く観察しなければならない。受傷直後は症状、頭蓋内圧上昇が軽微であっても、脳浮腫が時間とともに進行し、急激な転帰を見せることは珍しくない。
昔は、頭部穿孔と呼ばれる頭蓋骨の手術が、単に人命救助の技術としての試みというだけではなく、しばしば半神秘的な理由で実行された。
頭蓋骨はさらに鼻腔穴を含んでいる。髄膜は頭蓋骨と脳を分ける薄膜である。
目や髪、肌の色といった骨に残らない特徴とともに頭蓋も系統関係を示すことは考古学者や法医学者に知られている。
通常の骨化の中心のほかに、他のものが生じることがあり、そうした過程では、縫合骨あるいはウォーム骨(Wormian bones)と名づけられた不規則な孤立した骨が生じる。それらは、ラムダ縫合に最も頻繁に生じる。泉門、特に後部泉門で時々見られが、ここに生じた大きなサイズの骨をインカ骨と呼ぶこともある。別の部位に生じるこの種の骨、プテリオン小骨は、頭頂骨の蝶形の隅と蝶形骨の大翼の間にできることがあって、多かれ少なかれ頭蓋骨の両横に左右対称に位置するがサイズが異なる傾向を持っている。それらの数は、一般に2または3個までに限られるが、成人の水頭症患者の頭蓋骨で100個以上が見つかったことがある。
以下は頭蓋骨に開いている孔と、その孔を通っているものの一覧である。 腹側から背側の順で並んでいる。
ほとんどの縫合線は、そこで接合する骨によって呼称する。 しかし、いくつかのものは特別の名前を持っている。
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腫瘍別発生頻度 | 小児 | 成人 | |
神経膠腫 | 33% | 星状細胞腫 | 髄膜腫 |
髄膜腫 | 22% | 髄芽腫 | 膠芽腫 |
下垂体腺腫 | 15% | 頭蓋咽頭腫 | 下垂体腺腫 |
神経鞘腫 | 9% | 胚細胞腫 | 神経鞘腫 |
頭蓋咽頭腫 | 5% | 上衣腫 | 転移性脳腫瘍 |
部位 | 種類 | 小児 | 成人 |
頭蓋骨 | 頭蓋骨腫瘍 | ○ | ○ |
大脳半球 | 神経膠腫 | ○ | |
髄膜腫 | ○ | ||
松果体 | 胚細胞腫 | ○ | |
小脳半球 | 星細胞腫 | ○ | |
血管芽腫 | ○ | ||
小脳虫部 | 髄芽腫 | ○ | |
第四脳室 | 上衣腫 | ○ | |
鞍上部・ 視交叉部・ 下垂体部 |
頭蓋咽頭腫 | ○ | |
視神経膠腫 | ○ | ||
胚細胞腫 | ○ | ||
下垂体腺腫 | ○ | ||
髄膜腫 | ○ | ||
小脳橋角部 | 聴神経鞘腫 | ○ | |
脳幹部 | 神経膠腫 | ○ | ○ |
後発年齢 | 好発部位 | |
小脳星細胞腫 | 5~10歳 | 小脳半球 |
髄芽腫 | 5~10歳(男児に多い) | 小脳虫部から発生 |
頭蓋咽頭腫 | 10~15歳 | トルコ鞍上部 |
上衣腫 | 10~15,30~40歳 | 第四脳室、側脳室 |
髄芽腫 | 10~30歳 | 松果体部、トルコ鞍上部 |
脳幹部膠腫 | ~15歳 | 橋 |
視神経膠腫 | ~15歳 | 視神経視交叉 |
上皮Epithelium
①末梢神経系ニューロン、脳神経節(知覚性、副交感性)、脊髄神経節(知覚性)、交感神経節(交感性)、消化管の副交感神経節 ②神経鞘芽細胞(シュワン細胞) ③グリア細胞 ④髄膜細胞(軟膜、クモ膜、硬膜) ⑤副腎髄質細胞(内分泌) ⑥メラニン芽細胞(皮膚の色素細胞) ⑦顔面・頭部の軟骨・骨と結合組織、軟骨芽細胞、頭蓋骨、ゾウゲ芽細胞、鰓弓の骨と骨格筋、顔面・頚部(鰓弓由来)の真皮、大動脈弓壁
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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