- 英
- atrioventricular septal defect AVSD
- 同
- 心内膜床欠損症 心内膜床欠損 endocardial cushion defect, ECD
- 総房室孔開存 common atrioventricular canal
- 関
- 心内膜床欠損症、完全型心内膜床欠損症
[show details]
疫学
病型
- 完全型 :心房中隔一次口閉鎖不全、僧帽弁異常、心室中隔閉鎖不全:ASD, VSD, MR, TR
- 不完全型::心房中隔一次口閉鎖不全、僧帽弁異常:ASD, MR, TR
病態
身体所見
- 聴診:収縮期逆流性雑音(MR,TR)、収縮期駆出性雑音(相対的PS)
検査
左室造影
心電図
心エコー
診断
予後
- 不完全型:
- 完全型:未治療のまま放置すれば、肺高血圧症により死亡。
参考
- http://www.nurs.or.jp/~academy/igaku/s1/s153.htm
- http://www.geocities.jp/study_nasubi/c/c44.html
- 3. (2) 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_hamaoka_h.pdf
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/30 00:00:36」(JST)
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心内膜床欠損症
房室中隔欠損症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
Q21.2 |
ICD-9 |
745.6 |
DiseasesDB |
31910 |
eMedicine |
med/670 |
MeSH |
C14.240.400.560.350 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
心内膜床欠損症(しんないまくしょうけっそんしょう、英語: endocardial cushion defect, ECD)は、先天性心疾患の一つ。現在では房室中隔欠損症(英語: atrioventricular septal defect, AVSD)と呼ばれることが多くなっている[1]。
目次
- 1 病理・病態生理
- 2 臨床・検査所見
- 3 治療
- 4 参考文献
病理・病態生理[編集]
ECDの本態は、心内膜床の発達障害により、左心房・左心室・右心房・右心室の間を隔てる各種の構造組織に欠損が生じるというものである。発生当初、心臓は房室管(原始心管)と呼ばれる管状の形態をとっており、心房・心室はともに左右の区別をもたず共通心房・共通心室となっている。心内膜床(英: endocardial cushion)は心内膜隆起とも呼ばれ、胎生第4〜7週にかけて房室域および円錐動脈幹域に発生し、これらの房室管を境して、心房中隔と心室中隔膜性部、房室管・弁、および大動脈路と肺動脈路の形成を助ける。このため、心内膜床の発達が不完全であった場合には、これらの構造の形成が不十分となるか、あるいはまったく欠くこととなる[2]。
これらの心内膜床由来の構造の欠損の程度に応じて、ECDは、不完全型と完全型に分類される。
- 不完全型
- 心室中隔欠損(VSD)は認めず、病態は、基本的に二次孔型の心房中隔欠損(ASD)に準じたものとなる。また、房室弁が心尖方向に下がるという房室弁付着下方偏位(scooping)に伴い、僧帽弁閉鎖不全(MR)や三尖弁閉鎖不全(TR)が認められうる[3]。これに加えて僧帽弁前尖に裂隙を認めることが多く[1]、これによるMRの程度に応じて、ASDに伴う左右短絡の程度が左右される[3]。
- 完全型
- 不完全型に加えて、房室弁下型の心室中隔欠損(VSD)が生じた病態となる。このため、新生児期から肺血流量が著しく増加し、アイゼンメンゲル症候群を呈し、乳児期に心不全を来たして死亡する例が多い[1][3]。
臨床・検査所見[編集]
不完全型は1次孔型ASD、完全型は大欠損孔型VSDに準じた症状を呈する[3]。
- 聴診
- 不完全型は1次孔型ASDに準じて、II音の固定性分裂、肺動脈弁口領域(2LSB)の駆出性収縮期雑音が聞かれるほか、ある程度以上の肺血流量がある場合には相対的三尖弁狭窄(TS)による拡張中期雑音、僧帽弁閉鎖不全(MR)がある場合には心尖部で全収縮期雑音が認められる[1][3]。
- 完全型は肺高血圧を合併したVSDに準じて、II音の亢進、III音の出現、三尖弁口領域(4LSB)の逆流性収縮期雑音が認められ、また心尖部では相対的房室弁狭窄に伴う拡張中期雑音に加えて、MRがある場合には全収縮期雑音も認められる[1][3]。
- 心電図(ECG)
- ECDにおいては、PR時間延長(I度AVB)・左軸偏位・不完全右脚ブロック(IRBBB)が3徴候として認められる。また、不完全型では右室肥大、完全型では両室肥大の所見も認められうる[1][3]。
- 心臓超音波検査
- 不完全型では心房中隔の欠損、完全型ではさらに心室中隔の欠損所見が認められ、またカラードプラー法により房室弁逆流を認めることもある[3]。
- 胸部X線写真(CXR)
- 肺血管陰影の増強を認めるほか、不完全型では右房・右室の拡大、完全型では両室肥大が認められる[1]。
- 心臓カテーテル検査
- 不完全型では右心房の、完全型では右心系のSaO2のstep upが認められる。また左室造影を行なった場合、左室流出路においてgoose neckと呼ばれる特徴的な所見が見られる[1][3]。
治療[編集]
- 内科的治療
- 保存的治療が原則となり、心不全に対しては通常の抗心不全治療を行なう。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は容量負荷の低減効果もあり、良い適応である。ただし酸素吸入は血行動態の悪化を招く恐れがあり、注意が必要である[3]。
- 外科的治療
- 不完全型においてはASDの治療法に準じたものとなる[1]。
- 完全型においては、姑息術として肺動脈絞扼術(PA banding)、根治術として欠損孔閉鎖術や房室弁形成・置換術が行なわれる[1][3]。
参考文献[編集]
- ^ a b c d e f g h i j 中澤誠 「先天性心疾患」『vol.2 循環器』 メディックメディア〈病気がみえる〉、2008年、142-187頁。ISBN 978-4-89632-213-2。
- ^ 安田 峯生 「第11章 心臓脈管系」『ラングマン人体発生学 第9版』 メディカル・サイエンス・インターナショナル、2006年、201-245頁。ISBN 4895924289。
- ^ a b c d e f g h i j k 中澤誠 「3. 心内膜床欠損症 (房室中隔欠損症)」『新臨床内科学 第9版』 医学書院、2009年。ISBN 978-4-260-00305-6。
心血管疾患 |
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治療 |
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外科的治療
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- いわゆる "cleft" を中隔交連として温存した完全型房室中隔欠損症 two-patch 修復術
- 根本 慎太郎,佐々木 智康,小澤 英樹,垣田 真里,勝間田 敬弘,岸 勘太,奥村 謙一,森 保彦
- 日本小児循環器学会雑誌 = Acta cardiologica paediatrica Japonica 25(2), 133-138, 2009-03-01
- NAID 10024845379
- 坂本 喜三郎
- 日本小児循環器学会雑誌 = Acta cardiologica paediatrica Japonica 25(2), 118-125, 2009-03-01
- NAID 10024845352
- 朴 仁三
- 日本小児循環器学会雑誌 = Acta cardiologica paediatrica Japonica 25(2), 110-117, 2009-03-01
- NAID 10024845320
- 高齢者(72歳)の不完全型房室中隔欠損症の1治験例
- 柳 浩正,浦中 康子,高梨 吉則
- 日本心臓血管外科学会雑誌 37(3), 189-192, 2008-05-15
- … 72歳,女性.脳梗塞の既往をもち,2005年10月から労作時息切れが出現し3日後に呼吸困難となり入院となった.精査で不完全型房室中隔欠損症,左側房室弁逆流,心房細動と診断した.手術は左側房室弁形成術,心房中隔一次孔欠損パッチ閉鎖術を施行した.報告例では高齢者の房室中隔欠損症に対する根治手術例は希であるが,術後経過は順調であり,quality of lifeの著しい改善が認められ,積極的に手術を行うべき …
- NAID 110006666455
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- 房室中隔欠損症. 胎生期の心内膜床の発育不全によって心臓の中心部構造である房室 接合部(心房と心室の間の房室弁とここに ... 本症は共通房室弁口遺残や心内膜床 欠損症とも呼ばれることもありますが現在では房室中隔欠損症という名称でほぼ統一 され ...
- 房室中隔欠損症(心内膜床欠損症). 【病気の概略】. 房室中隔欠損症(心内膜床欠損症 )は、心臓の4つの部屋(右房・右室・左房・左室)がつながっている部分にあいた穴が ある状態です。状態としては、心房の間だけに穴があいている状態(不完全房室中隔 欠損 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- trisomy 21
- 同
- ダウン症候群 Down症候群 Down syndrome Down's syndrome、トリソミー21、21番染色体トリソミー 21-トリソミー trisomie 21 autosomale、trisomy G syndrome、蒙古人症 蒙古症 mongolismus モンゴリスムス
- 関
- 染色体核型、トリソミー
[show details]
疫学
- 20-25歳:1/1600
- 25-30歳:1/870
- 30-35歳:1/300
病因
- 21番染色体が3コピーになる21トリソミーが基本病態。大多数は自然発生する。3種類の核型が存在する。
- 1.標準型 95% 21番染色体が1本多く、全体が47本となる。
- 2.転座型 4% 14あるいは21番染色体にRobertson転座する。
- 3.モザイク型 1% 正常細胞とトリソミー細胞が混在する。
ロバートソン転座による14q,21qを有する21trisomy保因者
- 13,14,15,,21,22は短腕が短くrRNAしかコードされていないので、これらの染色体の間でロバートソン転座により短腕が失われても問題が起きにくい。ロバートソン転座により染色体が45本になっている人は1000人に1人の割合で存在する。(参考1)
- 14番と21番染色体でロバートソン転座が起きたとすると、核型はder(14;21)(q10;q10)と表記される。この場合染色体は、14番染色体、21番染色体、der(14;21)(q10;q10)の3本を有することになる。配偶子が減数分裂の際に作られるとき、6つの組み合わせができるという。すなわち、1本のみ( 14, 21, der(14;21)(q10;q10) )の場合および2本( 14+21, der(14;21)(q10;q10) + 14, der(14;21)(q10;q10) + 21 )の場合ができる。このうち、14, 21, der(14;21) + 14 の場合は受精後にモノソミーが生じることになり致死的である。14+21、der(14;21)(q10;q10)の場合は正常となる。問題はder(14;21)(q10;q10) + 21の場合であり、この場合受精後に21の長腕が3つ存在することになりダウン症候群を発症しうる。
- 転座型ダウン症候群の場合、同胞発生するリスクがある。経験的な危険率は母が保因者の場合10-15%、父親が保因者の場合は2%である。(参考1)
形態
特有な顔貌
合併症
- 出現頻度:約50% ←特徴
- 肺高血圧症が合併
- 動脈管開存症もありうる
-
- transient abnormal myelopoiesis(類白血病反応)
- 生下時末梢血に芽球細胞が見られる。症状はM7と同じ。2割以下で白血病を引き起こす。
- blast cell, LDH, WBCが高値であるが2-6ヶ月で正常となる。
- 4. 筋骨格系:環軸椎亜脱臼(20-30%の例。呼吸障害につながる)
- 5. 内分泌:甲状腺機能低下症(1/3の例で自己抗体を有する)
- 6. 耳鼻咽喉:内耳炎。種々の程度の中耳・内耳奇形。聴力障害(40-75%)。
- 7. 眼:屈折異常(約60%)、白内障、斜視、眼振、睫毛内反症、視神経異常
- 8. 神経:てんかん(5-10%の例。点頭てんかんが多い)
- 9. 易感染性:原因不明
- 10. 成長発達:軽度~中等度の精神遅滞。学童期に肥満。身長は145(♂),141cm(♀)
参考
- 1. [charged]Chromosomal translocations, deletions, and inversions - uptodate [1]
- 2. DOWN SYNDROME
- http://omim.org/entry/190685
- 3. [charged] ダウン症の臨床的特徴および診断 - uptodate [2]
[★]
[★]
- 英
- interventricular septal paradoxical motion, paradoxical septal motion
- 関
- [[]]
[★]
- 英
- complete endocardial cushion defect, complete ECD
- →房室中隔欠損症
[★]
房室中隔欠損症 atrioventricular septal defect
[★]
- 英
-
- 同
- 欠損症
- 関
- 異常、遺伝子欠失、欠く、欠失、欠損症、欠点、欠乏、欠乏症、欠乏性、欠落、削除、除去、ディリーション、発育不全、非形成、不完全、不十分、不足、無形成、欠くこと、欠陥、失う、ミス
概念
- 本来存在するはずのものが、まったく失われている状態。
[★]
- 英
- defect、deficiency、absence、morphological defect
- 関
- 異常、欠失、欠神、欠損、欠点、欠乏、欠乏症、欠乏性、非存在、ないこと、欠くこと、欠如、欠陥、形態異常
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- septum、septal、septate
- 関
- 隔壁、中隔野
[★]
- 英
- atrioventricular septum (Z)
- 英
- atrioventricular septum