出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/26 14:13:18」(JST)
斜視 | |
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分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | H49. – H50. |
ICD-9 | 378 |
OMIM | 185100 |
DiseasesDB | 29577 |
MedlinePlus | 001004 |
MeSH | D013285 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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斜視(しゃし)とは、片方の目は視線が正しく目標とする方向に向いているが、もう片方の目が内側や外側、あるいは上や下に向いている状態のことをいう。
俗に眇(すがめ)、ひんがら目(ひんがらめ)、藪睨み(やぶにらみ)、ガチャ目、ロンパリ、寄り目と言われる。
眇は、片目が細い、あるいは潰れているさまを表すこともある。ひんがら目は「僻目(ひがらめ。僻眼とも)」が変化した語である。またロンパリは、一方の目でロンドンを見つつ、もう一方の目でパリを見ているさまに喩えた語であるとされる[1]。
遺伝によるものの他、強度の近視や遠視、失明、乳幼児期の弱視などで目の筋肉バランスが崩れてしまうことによる。また、外傷による場合もある。
左右の目がそれぞれ異なる方向を向いているため、美容的なデメリットはもちろん、機能的にも両眼視差による立体視(遠近感の獲得)が困難になる他、視ている対象が二つに見える複視が生じることもある。両眼視差による立体視はおおよそ生後2ヶ月から2歳頃までで形成されるので、それ以降も恒常性斜視が続くと、手術で矯正されても両眼視差による立体視を獲得するのはほぼ不可能となる。
人間の目は本来、片方が左右のずれを捉え、もう片方で奥行きのずれを捉える事により立体視している。両眼視機能がない人間は「利き目」が両方の役割を担う事になる。そのため利き目に負担がかかりやすく、逆の目の映像は複視や視力差により脳内で混乱を起こすため「抑制」と呼ばれる脳機能で本来の映像が制限される。両眼視機能がある状態であれば、前視界のうち50/50程度の割合となるが、仮に右目が斜視、左目が通常の場合は70/30といったような役割分担となる。「抑制」は特に幼少期の患者に起こるが、「抑制」により使われなくなった目は視力低下などを併発する傾向があり、これによりさらに斜視の症状が進んだり、弱視となる可能性もある。
左右どちらの眼で見ているのか自覚できる場合がある。片眼しか見えない訳ではなく常に両眼が見えているのだが「見ている」眼と「見えている」眼とに意識的に切り替えることが出来る。それにより遠方と近方を左右で使い分ける習慣が身についた場合、左右の視力差が大きくなる事もある。
重度の斜視は外見上非常に目立つため、いじめや差別、人の目を真っすぐ見られない等の理由による対人恐怖症や、コミュニケーション障害になる事もある。近年では心のケア目的とした外科手術での見た目のみの修正も行われている。見た目を矯正できても両眼視ができない場合は、数年で戻ってしまう事も多いが、多感な幼少期~青年期において、人と目を見て話す事ができないというデメリットを考えると、精神的に大人になるまで定期的に外科手術を受けるのは悪くない選択である。
機能的には、両眼視差による立体視(遠近感)の獲得が困難になると、物に触れたり物をつかんだり、球技等をする際に目測を定めることができなくなる他、坂道や階段を下る際に足を踏み外す危険がある。また、立体映画や3D画像などの、左右の映像差を利用した「手前に迫ってくる」感覚は認識できない。
ただ、片眼でのカバーが可能な視点移動などの運動視差による立体視や、人差し指同士を合わせたりする程度の遠近感をつかむことは可能である。また、車の運転程度の視野であれば斜視の人間でもほぼ問題無くこなすことができる。
先天性または幼少期に斜視となった場合は、上述の通りおおよそ生後2ヶ月から2歳頃までの立体視形成段階で恒常性斜視が続くと、以降は手術をしても両眼視差による立体視(遠近感)を獲得することがほぼ不可能となる。
同じく上述の通り、幼少期は「抑制」が大人に比べて働きやすい。「抑制」により使われなくなった目は視力低下などを併発する傾向があり、これによりさらに斜視の症状が進む可能性がある。また、人間の視力が完成する8歳頃までの視力発達段階で「抑制」により使われなくなった目の視力低下が続くと、弱視となる可能性もある。
幼少期の発症だと症状の無い逆の目が利き目となる事が多く、利き腕と利き目が違う事により字がうまく書けなかったり、まっすぐな線が引けないなどの症状が出る場合がある。
先天性の場合はこれらの症状が起こっていても「生まれた時からの普通の感覚」と捉えてしまうため本人の自覚がない場合も多く、他人が気づくまで発見が遅れてしまう場合もある。
斜視の原因により、基本的には異なる。眼科専門医、視能訓練士による検査により明確にその原因についてはっきりさせ治療計画をたてる。
調節性内斜視に代表される斜視では、眼鏡やコンタクトレンズなどで屈折矯正を行うことにより、斜視を治療することができるケースもある。また物を見る力をつけさせる(視能訓練)ことにより斜視を治療できる場合がある。プリズム眼鏡等を用いる方法もある。
また、手術による治療法もある。眼を動かす外眼筋の位置をずらし、斜視を治療する方法である。小児においては全身麻酔下で行い、大人は局所麻酔で行う場合が多い。
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