- 英
- chronic pain
- 関
- 慢性痛
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/18 13:13:04」(JST)
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慢性疼痛
ICD-10 |
R52.1-R52.2 |
ICD-9 |
338.2 |
慢性疼痛(まんせいとうつう、英: chronic pain)は、“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されている。ここで相当な時間としては、3ヶ月、または、6ヶ月が挙げられている。慢性痛とも呼ばれる。ただし、癌性疼痛は除くことがある。反対の概念は急性疼痛である。
2010年に、国際疼痛学会(en:International Association for the Study of Pain、IASP)により、患者が痛みに対する適切な診療を受けることは基本的人権であるとする、モントリオール宣言が採択された。[4]
目次
- 1 急性疼痛と慢性疼痛の違い
- 2 慢性化の機序
- 3 分類
- 4 セルフケア
- 5 関連項目
- 6 脚注
- 7 参考文献
- 8 外部リンク
急性疼痛と慢性疼痛の違い
急性疼痛と慢性疼痛の違い
|
急性疼痛 |
慢性疼痛 |
原因 |
存在する |
存在するか回復している |
身体所見 |
炎症や損傷など |
ないことが多い |
感情の変化 |
あまり関係がない |
深く関連している |
症状 |
心拍数の増加、血圧の上昇、不安、苦痛な表情 |
疲労、不眠、食欲現象、抑うつ状態、怒りやすいなど |
痛みの感じ方 |
正常 |
増強または普段感じない刺激を痛みに感じる |
治療 |
消炎鎮痛薬が有効 |
消炎鎮痛薬が無効なことが多い |
慢性化の機序
慢性疼痛の始まりは外傷などに伴う急性疼痛であることが多い。急性疼痛から慢性疼痛に移行しても、末梢組織に引き起こされた病態が脳で経験する痛みへと関与する。
末梢組織が傷害されると、サイトカインやサブスタンスP(SP)といった神経ペプチドの活性化により傷害部が腫れる。炎症状態が形成され、肉芽が形成されることもある。回復に伴い、傷害組織で線維芽細胞などが活性化し、線維化や瘢痕化する。瘢痕組織が痛みの発生・維持に関わっている。
分類
慢性疼痛の1つの分類としては以下のようになる。
1.長期間にわたり侵害刺激が加わり続ける侵害受容性疼痛
2.初期の神経障害が消失した後に長期間持続する神経障害性疼痛(末梢性・中枢性)
3.侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛が混在する混合性慢性疼痛
4.痛みの原因となる組織病変が存在しない自発性慢性疼痛
5.心因性疼痛
但し、5の心因性疼痛については批判があり、日本においてこの疾患概念が普及していることが、日本で線維筋痛症の誤診を増す要因の1つと言われている[7]。
リウマチの慢性疼痛の場合、その原因は侵害受容性疼痛または混合性慢性疼痛である。これらに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効であるのに対して、神経障害性疼痛では無効であるため、神経障害性疼痛に対してはプレガバリンといった薬剤が用いられる。
セルフケア
慢性疼痛に対してはセルフケアが重要であるとされ、エビデンスレベルと推奨度がまとめられた。
セルフケアのエビデンスレベルと推奨度
|
エビデンスレベル |
推奨度 |
運動(有酸素運動・ストレッチ・筋肉トレーニング) |
Ⅰ |
B |
考え方(認知行動療法、瞑想、マインドフルネス) |
Ⅰ |
B |
ヨガ |
Ⅰ |
B |
痛みへの理解 |
Ⅱa |
B |
マッサージ |
(Ⅱa) |
C |
食事 |
(Ⅱa) |
C |
温熱ケア |
Ⅱa |
C |
音楽 |
Ⅱa |
C |
アロマセラピー |
(Ⅱb) |
C |
アニマルセラピー |
Ⅱb |
C |
温泉(スパ) |
Ⅰ |
B |
関連項目
- 神経障害性疼痛
- 侵害受容性疼痛
- 癌性疼痛
- アロディニア
- 腰痛
- 線維筋痛症
- 関節リウマチ
- 帯状疱疹後神経痛
- 複合性局所疼痛症候群
- 筋筋膜性疼痛症候群
脚注
- ^ 2016JAMPの投稿 (957753414272871) - Facebook
- ^ 戸田克広. “同一症状、同一患者が診療科により全く異なる診断、治療が行われている異常事態”. Puboo. 2015年6月22日閲覧。
参考文献
- 日本神経治療学会 治療指針作成委員会「標準的神経治療 慢性疼痛」、『神経治療学』第27巻第4号、日本神経治療学会、2010年7月、 591-622頁、2015年6月22日閲覧。
- 「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」班 (2014年). “慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック (PDF)”. 2016年2月27日閲覧。
外部リンク
- 慢性の痛み対策研究事業
- 難治性疼痛患者支援協会ぐっどばいペイン
- ACI疼痛マネージメントネットワーク
- 一般社団法人日本運動器疼痛学会
|
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- 社会賞 ボスニア・ヘルツェゴビナでの対人の地雷被災者疼痛治療(JICAプロジェクト専門家) (日本麻酔科学会第59回学術集会講演特集号) -- (2012年度学会賞記念講演)
- MediCon OPINION 超高齢社会を乗り切るための「痛みの治療」 : 鍵となるのはがんの緩和ケアと慢性疼痛の治療 花岡一雄 JR東京総合病院名誉院長
Related Links
- 2006年11月3日 ... 慢性疼痛とは、 病気も怪我もないのに、五年も十年も続く痛みをという。 発生機序: 神経 外傷が、 心理的要因などにより痛みの悪循環を形成し、 ... 頭痛の慢性化の要因; 慢性 疼痛の全身への影響; 痛覚増強; 反射性交感神経ジストロフイー ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 慢性疼痛患者への共感を示す言葉として、適切なのはどれか。
- a 「その痛みはつらいですね」
- b 「我慢できる痛みなら大丈夫です」
- c 「痛みを受け入れることが大事です」
- d 「自分はもっと強い痛みがありますよ」
- e 「これくらいの痛みはよくあることですよ」]
[正答]
※国試ナビ4※ [113E010]←[国試_113]→[113E012]
[★]
- 英
- ketamine test
- 関
- ケタミン、NMDA受容体拮抗薬、慢性疼痛
- drug challenge testの一つ。ケタミンを投与してその反応をみるテスト。テストを経て症状が消失しかつ副作用が無ければ、今後使用することができると考える。
[★]
- 英
- chronic pain
- 関
- 慢性疼痛
[★]
[★]
- 英
- pain, dolor
- 同
- 痛み
- 関
- 痛覚 pain sensation
疼痛
疼痛の伝達
疼痛の調節
- ゲートコントロール:Aδ線維とC線維による痛みはAβ線維による入力で中枢伝達細胞のレベルで抑制される。
- 下行性疼痛抑制系神経系:下行性疼痛抑制系神経系による入力で中枢伝達細胞のレベルで抑制される。
- 下行性疼痛抑制系神経系は中脳水道周辺灰白質からの脊髄への入力からなる。具体的には大縫線核(セロトニン作動性)、巨大細胞網様核・傍巨大細胞網様核(ノルアドレナリン作動性)がの2系統が起点となる。抗うつ薬はこれらの神経伝達物質の再吸収を妨げ鎮痛作用を発揮する。
痛みと異常知覚の命名法
- Adams and s Principles of Neurology, Ninth Edition Allan Ropper. table 8-2より抜粋
- dysesthesia : Any abnormal sensation described as unpleasant by the patient.
- hyperalgesia : Exaggerated pain response from a normally painful stimulus; usually includes aspects of summation with repeated stimulus of constant intensity and aftersensation.
- hyperpathia : Abnormally painful and exaggerated reaction to a painful stimulus; related to hyperalgesia.
- hyperesthesia (hypesthesia) : Exaggerated perception of touch stimulus.
- allodynia : Abnormal perception of pain from a normally nonpainful mechanical or thermal stimulus; usually has elements of delay in perception and of aftersensation.
- hypoalgesia (hypalgesia) : Decreased sensitivity and raised threshoid to painful stimuli.
- anesthesia : Reduced perception of all sensation, mainly touch.
- pallanesthesia : Loss of perception of vibration.
- analgesia : Reduced perception of pain stimulus.
- paresthesia : Mainly spontaneous abnormal sensation that is not unpleasant; usually described as "pins and needles".
- causalgia : Buming pain in the distribution of one or more peripheral nerves.
[★]
- 英
- chronicity
- 関
- 慢性的、慢性型
[★]
- 英
- pain
- 関
- 痛み、疼痛