笑気
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亜酸化窒素 |
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融点 |
-90.86
|
沸点 |
-88.48
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
10024-97-2 |
KEGG |
D00102 |
ATC分類 |
N01AX13 |
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特性 |
化学式 |
N2O |
モル質量 |
44.0128 |
外観 |
無色の気体 |
密度 |
1.977 g/L (gas) |
融点 |
-90.86 ℃ (182.29 K)
|
沸点 |
-88.48 ℃ (184.67 K)
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水への溶解度 |
60.82 mL /100 mL ( 24°C) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
亜酸化窒素(あさんかちっそ)または一酸化二窒素(いっさんかにちっそ)は窒素酸化物の一種で、吸入すると陶酔効果があることから笑気ガス(しょうきガス)とも呼ばれる。化学式はN2O。 紫外線により分解されるなどして一酸化窒素を生成するため、亜酸化窒素の増加もオゾン層破壊につながる.
目次
- 1 歴史
- 2 特徴
- 3 用途
- 4 物性
- 5 参考文献
歴史[編集]
笑気は1772年、イギリス人の化学者ジョゼフ・プリーストリーが発見した。亜酸化窒素を吸入すると軽く酔ったような感じになることから、当時はパーティーなどを盛り上げるために使用していた。ところが1795年、こちらもイギリス人化学者のハンフリー・デービーが亜酸化窒素に麻酔効果があることを証明し、これから笑気麻酔としての用途が開けることになった。
特徴[編集]
硝酸アンモニウムを約250℃で注意深く融解させると、分解して一酸化二窒素が発生する。
常温常圧で、無色で反磁性の気体。香気と甘味がある。麻酔作用がある。形式的には次亜硝酸の無水物に相当するが、常温において一酸化二窒素は反応性の低い気体であり水と反応することはない[1][2]。またハロゲンとは反応しない。しかし高温では助燃性を発揮し、アルカリ金属および有機物などは一酸化二窒素中で燃焼する[2]。窒素原子の酸化数は形式的には+1であるが、亜酸化窒素の構造を考慮すると、末端の窒素に酸化数0を、中央の窒素に酸化数+2を割り振ることができる。
大気中にわずかに含まれ、濃度は約 310 ppb である。主な発生源としては、燃焼、窒素肥料の使用、化学工業(硝酸などの製造)や有機物の微生物分解などがあげられる。
肥料の使用や化学物質の製造過程で出る亜酸化窒素が、2009年時点でオゾン層を最も破壊する物質であることを、アメリカ海洋大気局の研究チームが突き止め、2009年8月28日付のアメリカの科学誌『サイエンス』で発表した。
二酸化炭素の約300倍(100年GWP(100年間で発揮する温室効果))の温室効果ガスであり、京都議定書でも排出規制がかけられた。
日本では安全衛生に関する規制はないが、アメリカでは長期間の職業的暴露により自然流産率が高くなるとの報告に基づき、通常の日8時間・週40時間労働の場合の環境濃度の上限が50 ppmに定められている。〔参考:1994-1995 Threshold limit values for chemical substances and physical agents and biological exposure indices. Cincinnati, OH: American Conference of Governmental Industrial Hygienists〕
用途[編集]
- 歯科治療時の鎮静用として酸素とともに吸入を行う。これにより麻酔注射やドリル研磨、抜歯などの恐怖心が緩和される。
- 手術の際の全身麻酔に用いる(詳しくは笑気麻酔の項を参照)。
- 車のエンジン内に吸気して、爆発的なエネルギーを得ることが出来る。仕組みとしては、酸素を通常よりも燃焼室に押し込む事と気化熱による吸気温度低下により馬力アップを図るもの。第二次世界大戦中に戦闘機に使用され、戦後暫く影をひそめていたがレースカーが使用を始め一般にも普及している。代表的な製品に「ナイトラス・オキサイド・システム (NOS)」などがある。
- さまざまな食材をムース状に加工するエスプーマ調理用のガスとして。
- 宇宙開発において、アポジキックモーターやスラスターの燃料として、ヒドラジン系に変わる材料としてエタノールとの組み合わせが検討されている。自己着火(発火)性がないため点火装置が必要になり、構造が複雑になる上に比推力も劣るが、毒性が低いため安全性が高く扱いやすいこと、融点が低く宇宙空間でも凍結しないことが利点とされている。
物性[編集]
- 分子量: 44.0
- CAS登録番号: 10024-97-2
- 沸点: −89 ℃
参考文献[編集]
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ a b FA.コットン, G.ウィルキンソン著、中原勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
窒素の化合物 |
|
二元化合物 |
(CN)2 · NBr3 · NCl3 · NF3 · N2F2 · N2F4 · NH3 · N2H2 · N2H4 · NI3 · NO · NO2 · NO3 · N2O · N2O3 · N2O4 · N2O5 · N2O6 · N2S2 · N2S4 · N4S4
|
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三元化合物 |
B3N3H6 · HNO2 · HNO3 · H2N2O2 · HOONO · NCBr · NCCl · NCF · NCI · NH3•BH3 · NOBr · NOCl · NO2Cl · NOI · NOClO4 · NO2ClO4 · NOF · NO2F · NSF · NSF3
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四元・五元化合物 |
HNCO · HOCN · HONC · NOBF4 · NO2BF4 · NOHSO4
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窒素の化合物 - アンモニウムの化合物 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ダイズ根粒根圏からの亜酸化窒素発生機構とその低減化
- 埼玉県における大気中亜酸化窒素濃度の経年変化と季節変動
- 米倉 哲志,竹内 庸夫
- 大気環境学会誌 = Journal of Japan Society for Atmospheric Environment 46(3), 196-200, 2011-05-10
- NAID 10028108250
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- 亜酸化窒素(あさんかちっそ)または一酸化二窒素(いっさんかにちっそ)は窒素酸化物の一種で、吸入すると陶酔効果があることから笑気ガス(しょうきガス)とも呼ばれる。化学式はN 2 O。 紫外線により分解されるなどして一酸化窒素を ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
液化亜酸化窒素
効能または効果
- 全身麻酔、鎮痛
- 本剤は酸素と併用し、酸素の吸気中濃度は必ず20%以上に保つこと。使用目的、患者の状態に応じ、適宜酸素濃度を増加させること。
慎重投与
- ビタミンB12欠乏症の患者[本剤の副作用が強くあらわれるおそれがある]1)。
- 造血機能障害のある患者[本剤の副作用が強くあらわれるおそれがある]。
- 耳管閉塞、気胸、腸閉塞、気脳症等、体内に閉鎖腔のある患者[閉鎖腔内容量および内圧が変化する]2,3)。
重大な副作用
- (頻度不明)
- 造血機能障害(顆粒球や血小板の減少等):顆粒球や血小板の減少等、造血機能障害があらわれることがあるので、長期にわたって連用する場合には血液検査を行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
薬効薬理
麻酔作用及び鎮痛作用
- 中枢麻酔作用は弱いが感覚特に痛覚を抑制する。高濃度の使用では酸素欠乏症を起こす危険を除いては安全な麻酔薬である。麻酔導入、覚醒も速いが、麻酔力が弱いので、前麻酔薬投与や他の吸入麻酔薬と併用する15)。
その他の作用
中枢神経への作用
- 中枢神経におよぼす麻酔作用は弱いが、ヒトおよびサルの聴覚・視覚・触角、特に痛覚を抑制する16)。単独使用では、手術刺激により麻酔深度が浅くなる傾向を示すが、他剤との併用により麻酔深度が深まる17)。
循環器系への作用
- 低酸素症や高炭酸ガス血症がない限り、心拍数、静・動脈血圧などに変化はなく、エピネフリンに対する感受性亢進もない8)。
呼吸器系への作用
- 鼻咽頭気管に対する刺激が少なく、咽頭けいれんの危険も少ない。また、気道分泌は増加せず、気管支繊毛運動を抑制しない16)。
消化器系への作用
- 麻酔開始時には唾液分泌の増加がみられるが、麻酔が深くなると減少する。また、食道や胃腸の運動には影響がみられず、消化液分泌にも影響しない16)。
有効成分に関する理化学的知見
分子式
一般名
分子量
融点
沸点
比重
密度
臨界温度
臨界圧力
性状
- 室温、大気圧下において無色のガスで、においはない。本品1mLは温度20℃、気圧101.3kPaで、水1.5mL又はエタノール0.4mLに溶ける。エーテル又は脂肪油にやや溶けやすい。不燃性で極めて安全で、室温では不活性なガスである。300℃以上では熱分解し、支燃性のある酸素を遊離する。
★リンクテーブル★
[★]
- 42歳の男性。全身麻酔下で緊急脳動脈瘤クリッピング術を行う。術前の胸部エックス線写真(別冊No.5)を別に示す。
- 使用すべきでない麻酔薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G041]←[国試_104]→[104G043]
[★]
- 英
- inhalation alanesthetic agent, inhaled anesthetic
- 同
- ガス吸入麻酔薬、ガス麻酔薬
- 関
- 薬理学、全身麻酔薬
吸入麻酔薬の身体影響
- YN.M7 SAN.40
- 中枢神経系:意識消失、酸素消費量減少、脳血管拡張、頭蓋内圧上昇、(亜酸化窒素のみ)鎮痛作用
- 呼吸器系:用量依存的にコキュを抑制、一回換気量減少、呼吸回数増加、気管拡張作用、線毛運動抑制、気道分泌抑制、低酸素性肺血管収縮抑制
- 循環器系:用量依存的に血圧低下(血管拡張or心筋抑制)、内臓血流減少、脳・筋肉・皮膚血流増加
- 筋肉:(揮発性吸入麻酔薬のみ)
吸入麻酔薬
- SAN.39
化合物名
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分子式
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小さいほど強力
|
小さいほど効きが早い
|
特徴
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麻酔に必要な条件
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MAC
|
血液ガス分配係数
|
意識消失
|
鎮痛
|
筋弛緩
|
反射抑制
|
笑気
|
N2O
|
101
|
0.47
|
|
△ 低MAC
|
○
|
×
|
?
|
イソフルラン
|
F3C-CH(Cl)-O-CHF
|
1.15
|
1.48
|
|
○
|
×
|
○
|
?
|
セボフルラン
|
FH2C-O-CH(CF3)2
|
1.71
|
0.63
|
|
○
|
×
|
○
|
?
|
ハロタン
|
F3C-CHClBr
|
0.76
|
2.3
|
- 肝障害(3万例に1例)
- アドレナリン感受性↑(不整脈リスク)
- 生体内分解20%
|
○
|
×
|
△
|
?
|
|
|
|
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|
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麻酔薬と脳に及ぼす影響
- 参考4
参考
- http://www.geocities.co.jp/Colosseum-Acropolis/6786/Inhaled.html
- http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/ouu/Inhalation.html
- http://www.shinshu-masui.jp/information/2011/06/22/%E5%90%B8%E5%85%A5%E9%BA%BB%E9%85%94%E8%96%AC%E3%81%AE%E8%96%AC%E7%90%86.pdf
- http://www.shinshu-masui.jp/information/2010/05/26/%E5%90%B8%E5%85%A5%E9%BA%BB%E9%85%94%E8%96%AC.pdf
[★]
- 英
- cerebral blood flow
- 関
- 脳血流量
麻酔薬、鎮痛薬と脳血流
- 吸入麻酔薬では脳血管拡張作用により脳血流が増加
- 静脈麻酔薬の興奮性麻酔薬では脳神経活動亢進、酸素消費量増大など代謝の亢進のために脳血管拡張を来たし、脳血流増加 (SAN.45)
- 静脈麻酔薬の抑制性麻酔薬では脳神経活動低下、酸素消費量低下など代謝の低下のために脳血管収縮を来たし、脳血流低下 (SAN.45)
SAN.291改変
[★]
- 英
- anesthetic, anesthetic agent, anesthetic drug
- ラ
- narcoticum
- 関
- 麻酔
概念
- 手術を行うことが許容される程度まで神経を抑制する薬物
- 無痛、無意識、筋弛緩、反射の抑制
分類
特徴
- 全身麻酔薬の中で催眠作用と(十分な)鎮痛作用があるのはケタミン、亜酸化窒素(催眠作用弱)
- 全身麻酔薬の中で催眠作用と筋弛緩作用があるのはセボフルラン、イソフルラン
- 全身麻酔薬の中でもっぱら催眠作用を得るために使用しているのはケタミン以外の静脈麻酔薬
参考
- http://tkamogashira.users.sourceforge.net/sodan/story/m/anes.html
- http://park12.wakwak.com/~pharma1/textbook/Anesthetics/Anesthetics.html
[★]
- 英
- laughing gas
- nitrous oxide, N2O 注意!:一酸化窒素 NO nitric oxide
- 同
- 酸化二窒素, 亜酸化窒素 dinitrous monoxide
- 関
- 麻酔薬
-
構造
作用機序
薬理作用
動態
適応
注意
禁忌
副作用
相互作用
[★]
- 英
- nitrous oxide
- 関
- 亜酸化窒素、笑気
[★]
- 関
- 全身麻酔剤、亜酸化窒素
[★]
- 英
- nitrogen、N、N2、nitric
- 関
- アスパラギン、ヌクレオシド、規定濃度
[★]
- 英
- suboxide
- 関
- 亜酸化物
[★]
- 英
- nitrogen oxide, NO