出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/21 16:03:02」(JST)
γ-アミノ酪酸 | |
---|---|
IUPAC名
4-aminobutanoic acid |
|
識別情報 | |
CAS登録番号 | 56-12-2 |
PubChem | 119 |
ChemSpider | 116 |
UNII | 2ACZ6IPC6I |
日化辞番号 | J1.375G |
KEGG | D00058 |
MeSH | gamma-Aminobutyric+Acid |
ChEMBL | CHEMBL96 |
IUPHARリガンド | 1067 |
SMILES
|
|
InChI
|
|
特性 | |
化学式 | C4H9NO2 |
モル質量 | 103.12 g/mol |
融点 |
203.7 °C, 477 K, 399 °F |
酸解離定数 pKa | 4.23(カルボキシル基), 10.43(アミノ基)[1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
γ-アミノ酪酸(ガンマ-アミノらくさん)または4-アミノ酪酸(IUPAC名 4-aminobutanoic acid)は、アミノ酸のひとつで、主に抑制性の神経伝達物質として機能している物質である。
アミノ酪酸にはアミノ基のつく位置によりα-、β-、γ-の3種類の構造異性体が存在するが、γ-アミノ酪酸は、そのうちのひとつである。英語名の γ(gamma)-aminobutyric acid の頭文字をとった略称 GABA(ギャバ)が一般的に広く用いられている。
脊椎動物の中枢神経系では、主に海馬、小脳、脊髄などに存在し、また節足動物・甲殻類でも神経伝達物質として用いられている(下の項目を参照のこと)。シナプスでは、シナプス前膜から放出され、後膜の膜上にあるGABAに対する受容体タンパク質と結合して作用を発揮する。GABAは、脳内でグルタミン酸のα位のカルボキシル基が酵素反応により除かれることによって生成される。また、血液脳関門を通過しない物質であることがわかっており、体外からGABAを摂取しても、それが神経伝達物質としてそのまま用いられることはない。血圧を低下させる作用からか抑制系の反応が現れることもある[2]。また線虫では興奮性の神経伝達物質として機能することも明らかとなった[3]。
γ-アミノ酪酸と結合するGABA受容体としては3つのサブタイプが知られており、それぞれGABAA受容体、GABAB受容体、GABAC受容体と呼ばれている。
グルタミン酸が基本的に興奮性の神経伝達物質であるのに対し、GABAは基本的に抑制性の神経伝達物質である。GABA作動性のニューロンとしては大脳基底核の線条体からの投射ニューロン(中型有棘細胞)や、小脳のプルキンエ細胞などがある。
GABA受容体のアゴニストないし、GABAの量を増加させる薬は、主として鎮静、抗痙攣、抗不安作用を有している。この種の薬はしばしば健忘を引き起こす。
GABA受容体に影響を及ぼす薬としては以下のものがあげられる:
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関連記事 | 「酪酸」「酸」「アミノ酪酸」 |
分類 | 極性 | 電荷 | 名前 | 1 | 3 | 糖原性 | ケトン原性 | 必須アミノ酸 | 分枝アミノ酸 | pK1 α-COOH |
pK2 α-NH2 |
pKR 側鎖 |
側鎖 | |
疎水性アミノ酸 | 無 | 無 | グリシン | G | Gly | 2.35 | 9.78 | ―H | ||||||
無 | 無 | アラニン | A | Ala | 2.35 | 9.87 | ―CH3 | |||||||
無 | 無 | バリン | V | Val | ○ | ○ | 2.29 | 9.74 | ―CH(CH3)2 | |||||
無 | 無 | フェニルアラニン | F | Phe | ○ | ○ | ○3 | 2.2 | 9.31 | ―○C6H5 | ||||
無 | 無 | プロリン | P | Pro | 1.95 | 10.64 | αCとNH2の間に ―CH2CH2CH2- | |||||||
無 | 無 | メチオニン | M | Met | ○2 | 2.13 | 9.28 | ―CH2CH2-S-CH3 | ||||||
無 | 無 | イソロイシン | I | Ile | ○ | ○ | ○ | ○ | 2.32 | 9.76 | ―CH(CH3)CH2CH3 | |||
無 | 無 | ロイシン | L | Leu | ○ | ○ | ○ | 2.33 | 9.74 | ―CH2CH(CH3)2 | ||||
荷電アミノ酸 | 有 | 酸性 | アスパラギン酸 | D | Asp | 1.99 | 9.9 | 3.9 β-COOH |
―CH2COOH | |||||
有 | 酸性 | グルタミン酸 | E | Glu | 2.1 | 9.47 | 4.07 γ-COOH |
―CH2CH2COOH | ||||||
有 | 塩基性 | リシン | K | Lys | ○ | ○ | 2.16 | 9.06 | 10.54 ε-NH2 |
側鎖のCH2は4つ ―-CH2CH2CH2CH2NH2 | ||||
有 | 塩基性 | アルギニン | R | Arg | ○1 | 1.82 | 8.99 | 12.48 グアニジウム基 |
側鎖のCH2は3つ ―CH2CH2CH2-NH-C-(NH2)NH | |||||
極性アミノ酸 | 有 | 無 | セリン | S | Ser | 2.19 | 9.21 | ―CH2OH | ||||||
有 | 無 | スレオニン | T | Thr | ○ | ○ | ○ | 2.09 | 9.1 | ―CH(CH3)OH | ||||
有 | 無 | チロシン | Y | Tyh | ○ | ○ | 2.2 | 9.21 | 10.46 フェノール |
―CH2-φ | ||||
有 | 塩基性 | ヒスチジン | H | His | ○ | 1.8 | 9.33 | 6.04 イミダゾール基 |
―CH2-C3H3N2 | |||||
有 | 無 | システイン | C | Cys | 1.92 | 10.7 | 8.37 -SH基 |
―CH2-SH | ||||||
有 | 無 | アスパラギン | N | Asn | 2.14 | 8.72 | ―CH2-CO-NH2 | |||||||
有 | 無 | グルタミン | Q | Gln | 2.17 | 9.13 | ―CH2-CH2-CO-NH2 | |||||||
無 | 無 | トリプトファン | W | Trp | ○ | ○ | ○ | 2.46 | 9.41 | ―Indol ring | ||||
1 人体で合成できるが、不十分。 | ||||||||||||||
2 Cysが足らなければ、Metから合成することになる。 |
名称 | 基となるアミノ酸 | ||
修飾されたアミノ酸 | シスチン | システイン | システイン2分子が酸化されて生成する。 |
ヒドロキシプロリン | プロリン | ゼラチン、コラーゲンに含まれる。 | |
ヒドロキシリジン | リジン | ||
チロキシン | チロシン | 甲状腺タンパク質に含まれる。 | |
O-ホスホセリン | カゼインなど、多くのリンタンパク質に含まれる。 | ||
デスモシン | |||
蛋白質の構成要素ではない | オルニチン | アルギニン | ミトコンドリア中でカルバモイルリン酸と反応 |
シトルリン | オルニチン、カルバモイルリン酸 | ||
クレアチン | アルギニン、グリシン | ||
γアミノ酪酸 | アルギニン |
準必須 | ア | アルギニン |
必須 | メ | メチオニン |
フ | フェニルアラニン | |
リ | リジン | |
バ | valine | |
ス | スレオニン | |
ト | トリプトファン | |
ロ | ロイシン | |
イ | イソロイシン | |
準必須 | ヒ | ヒスチジン |
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