サイロキシン
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この項目では、生体物質としてのチロキシンについて説明しています。医薬品としてのL-チロキシンについては「レボチロキシン」をご覧ください。 |
サイロキシン |
|
|
IUPAC名
(S)-2-Amino-3-[4-(4-hydroxy-3,5-diiodophenoxy)-3,5-diiodophenyl]propanoic acid
|
別称
チロキシン
3,5,3',5'-テトラヨード-L-サイロニン
T 4
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
51-48-9 |
PubChem |
5819 |
ChemSpider |
5614 |
UNII |
Q51BO43MG4 |
DrugBank |
DB00451 |
MeSH |
Thyroxine |
ChEBI |
CHEBI:18332 |
ChEMBL |
CHEMBL1624 |
IUPHARリガンド |
2635 |
ATC分類 |
H03AA01 |
- NC(Cc1cc(I)c(Oc2cc(I)c(O)c(I)c2)c(I)c1)C(O)=O
|
- InChI=1S/C15H11I4NO4/c16-8-4-7(5-9(17)13(8)21)24-14-10(18)1-6(2-11(14)19)3-12(20)15(22)23/h1-2,4-5,12,21H,3,20H2,(H,22,23)/t12-/m0/s1
Key: XUIIKFGFIJCVMT-LBPRGKRZSA-N
InChI=1/C15H11I4NO4/c16-8-4-7(5-9(17)13(8)21)24-14-10(18)1-6(2-11(14)19)3-12(20)15(22)23/h1-2,4-5,12,21H,3,20H2,(H,22,23)/t12-/m0/s1
Key: XUIIKFGFIJCVMT-LBPRGKRZBS
|
特性 |
化学式 |
C15H11I4NO4 |
モル質量 |
776.87 g mol−1 |
融点 |
231 to 233℃ ([2])
|
水への溶解度 |
Slightly soluble (0.105 mg·l−1 at 25 °C) [1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
サイロキシンまたはチロキシン (Thyroxine) は甲状腺の濾胞から分泌される甲状腺ホルモンの一種であり、同じく甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニンの前駆体ともなる修飾アミノ酸で、T4と略記される。
サイロキシンは、その99.95%がサイロキシン結合タンパク質やアルブミンなどのタンパク質と結合した状態で血液中を運ばれる。血中での寿命はおよそ1週間である。
またサイロキシンは代謝量の制御に関わり、成長に影響を与えていることが示されている。
D型の異性体はデキストロサイロキシン[3]と呼ばれ、脂質の改質に用いられている[4]。
目次
- 1 反応経路
- 2 サイロキシン結合グロブリン
- 3 関連項目
- 4 出典
反応経路
サイロキシン結合グロブリン
サイロキシン結合グロブリン(Thyroxine Binding Globulin) は、甲状腺ホルモンの血中輸送タンパク質である。
関連項目
- レボチロキシン(Levothyroxine)
- リオチロニン(Liothyronine)
- デキストロチロキシン(Dextrothyroxine)
出典
- ^ サイロキシン in the ChemIDplus database
- ^ Harington (1926). Biochem J 20: 310.
- ^ Dextrothyroxine - the US National Library of Medicine Medical Subject Headings (MeSH)
- ^ C10AX01
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
|
視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
|
GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
|
|
脳下垂体後葉
|
バソプレッシン - OXT
|
|
脳下垂体中葉
|
MSH(インテルメジン)
|
|
脳下垂体前葉
|
αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
|
|
|
副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
|
|
副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
|
|
甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
|
|
副甲状腺
|
PTH
|
|
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生殖腺 |
精巣
|
テストステロン - AMH - インヒビン
|
|
卵巣
|
エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
|
|
|
その他の内分泌器 |
膵臓
|
グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
|
|
松果体
|
メラトニン
|
|
|
内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例 レボチロキシン,アムロジピンと向精神薬の大量服薬により意識障害を呈し,救命しえた1例
- P1-139 レボチロキシンの治療効果に及ぼす乳酸カルシウムの影響(一般演題 ポスター発表,薬物相互作用,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
Related Links
- 甲状腺ホルモン. 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』. 移動: 案内 , 検索. チロキシン (T4) ... トリヨードサイロニン(トリヨードチロニン、 triiodothyronin、略称T3)とサイロキシン(チロキシン、thyroxin、略称T4)の2種類の 化合物 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
販売名
レボチロキシンNa錠25μg「サンド」
組成
有効成分
含量(1錠中)
添加物
- D-マンニトール、バレイショデンプン、結晶セルロース、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]
効能または効果
- 粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫
- レボチロキシンナトリウムとして、通常成人25〜400μgを1日1回経口投与する。
一般に、投与開始量には25〜100μg、維持量には100〜400μgを投与することが多い。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者[基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがあるので、投与する場合には少量から開始し、通常より長期間をかけて増量し維持量は最小必要量とすること。]
- 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者[副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがあるので、副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。]
- 低出生体重児、早産児[低出生体重児や早産児では、晩期循環不全を起こすことがあるので、児の状態を観察しながら投与すること。]
- 糖尿病患者[血糖コントロールの条件が変わることがあるので、投与する際にはこの点に十分配慮すること。](「相互作用」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
狭心症
(頻度不明)
- 狭心症があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
副腎クリーゼ
(頻度不明)
- 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者では、副腎クリーゼがあらわれることがあるので、副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
晩期循環不全
(頻度不明)
- 低出生体重児や早産児では、晩期循環不全があらわれることがある。特に極低出生体重児や超早産児で起こりやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすいので、観察を十分に行い、血圧低下、尿量低下、血清ナトリウム低下等があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- レボチロキシンナトリウム水和物は、組織の基礎代謝を増大し、酸素消費を高め、熱産生を上昇させる。組織の成長と分化発達を促進し、蛋白同化を増強するが、大量投与した場合にはかえって成長の抑制、蛋白異化を起こす。血中脂質、特にコレステロールの胆汁酸への転換を促進し、その結果血漿コレステロール濃度を減少させる。肝グリコーゲンの分解も促進され、血糖の上昇が起こるが、末梢での代謝亢進とのバランスで種々の変動が見られる。また、水、電解質の排泄も増加させる。さらに心血管系に作用し心拍出量を増加させる。これらの作用はリオチロニンナトリウムとほぼ同様であるが、効力はやや弱い。4)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- レボチロキシンナトリウム水和物(Levothyroxine Sodium Hydrate)
化学名
- Monosodium O-(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosinate hydrate
分子式
分子量
性状
- 微黄白色〜淡黄褐色の粉末で、においはない。
エタノール(95)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
水酸化ナトリウム試液に溶ける。
光によって徐々に着色する。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- amino acid
- 関
- ケト原性アミノ酸、糖原性アミノ酸
定義
- L-アミノ酸、D-アミノ酸がある。一般的に生合成されるポリペプチドはL-アミノ酸を材料としている。D-アミノ酸は細菌が産生し、ごく短いペプチドとして特に、細胞壁に存在する。これはペプチダーゼによる分解を免れるためと言われている。D-アミノ酸を含むポリペプチドは、通常の翻訳経路で生合成されない。(FB.58)
- ケト原性:Leu, Lys
- 糖原性/ケト原性:Ile, Phe, Trp
- 糖原性:Met, Thr, Val, Arg, His
- ArgとHisは成長期に必要
- PriVaTe TIM HALL
一覧
分類
|
極性
|
電荷
|
名前
|
1
|
3
|
糖原性
|
ケトン原性
|
必須アミノ酸
|
分枝アミノ酸
|
|
pK1 α-COOH
|
pK2 α-NH2
|
pKR 側鎖
|
側鎖
|
疎水性アミノ酸
|
無
|
無
|
グリシン
|
G
|
Gly
|
|
|
|
|
|
2.35
|
9.78
|
|
―H
|
無
|
無
|
アラニン
|
A
|
Ala
|
|
|
|
|
|
2.35
|
9.87
|
|
―CH3
|
無
|
無
|
バリン
|
V
|
Val
|
|
|
○
|
○
|
|
2.29
|
9.74
|
|
―CH(CH3)2
|
無
|
無
|
フェニルアラニン
|
F
|
Phe
|
○
|
○
|
○3
|
|
|
2.2
|
9.31
|
|
―○C6H5
|
無
|
無
|
プロリン
|
P
|
Pro
|
|
|
|
|
|
1.95
|
10.64
|
|
αCとNH2の間に ―CH2CH2CH2-
|
無
|
無
|
メチオニン
|
M
|
Met
|
|
|
○2
|
|
|
2.13
|
9.28
|
|
―CH2CH2-S-CH3
|
無
|
無
|
イソロイシン
|
I
|
Ile
|
○
|
○
|
○
|
○
|
|
2.32
|
9.76
|
|
―CH(CH3)CH2CH3
|
無
|
無
|
ロイシン
|
L
|
Leu
|
|
○
|
○
|
○
|
|
2.33
|
9.74
|
|
―CH2CH(CH3)2
|
荷電アミノ酸
|
有
|
酸性
|
アスパラギン酸
|
D
|
Asp
|
|
|
|
|
|
1.99
|
9.9
|
3.9 β-COOH
|
―CH2COOH
|
有
|
酸性
|
グルタミン酸
|
E
|
Glu
|
|
|
|
|
|
2.1
|
9.47
|
4.07 γ-COOH
|
―CH2CH2COOH
|
有
|
塩基性
|
リシン
|
K
|
Lys
|
|
○
|
○
|
|
|
2.16
|
9.06
|
10.54 ε-NH2
|
側鎖のCH2は4つ ―-CH2CH2CH2CH2NH2
|
有
|
塩基性
|
アルギニン
|
R
|
Arg
|
|
|
○1
|
|
|
1.82
|
8.99
|
12.48 グアニジウム基
|
側鎖のCH2は3つ ―CH2CH2CH2-NH-C-(NH2)NH
|
極性アミノ酸
|
有
|
無
|
セリン
|
S
|
Ser
|
|
|
|
|
|
2.19
|
9.21
|
|
―CH2OH
|
有
|
無
|
スレオニン
|
T
|
Thr
|
○
|
○
|
○
|
|
|
2.09
|
9.1
|
|
―CH(CH3)OH
|
有
|
無
|
チロシン
|
Y
|
Tyh
|
○
|
○
|
|
|
|
2.2
|
9.21
|
10.46 フェノール
|
―CH2-φ
|
有
|
塩基性
|
ヒスチジン
|
H
|
His
|
|
|
○
|
|
|
1.8
|
9.33
|
6.04 イミダゾール基
|
―CH2-C3H3N2
|
有
|
無
|
システイン
|
C
|
Cys
|
|
|
|
|
|
1.92
|
10.7
|
8.37 -SH基
|
―CH2-SH
|
有
|
無
|
アスパラギン
|
N
|
Asn
|
|
|
|
|
|
2.14
|
8.72
|
|
―CH2-CO-NH2
|
有
|
無
|
グルタミン
|
Q
|
Gln
|
|
|
|
|
|
2.17
|
9.13
|
|
―CH2-CH2-CO-NH2
|
無
|
無
|
トリプトファン
|
W
|
Trp
|
○
|
○
|
○
|
|
|
2.46
|
9.41
|
|
―Indol ring
|
1 人体で合成できるが、不十分。
|
2 Cysが足らなければ、Metから合成することになる。
|
必須アミノ酸
参考
[★]
- 英
- thyroxine, T4, thyroxin (Z)
- 同
- テトラヨードサイロニン tetraiodothyronine、(薬品名としてはこちらが使われている)チロキシン
- 関
- 甲状腺ホルモン、L-thyroxine、levothyroxine、levothyroxine sodium
[show details]
[★]
- 英
- levothyroxine sodium
- 関
- チロキシン、レボチロキシン、レボサイロキシンナトリウム、L-チロキシン
[★]
- 英
- familial dysalbuminemic hyperthyroxinemia
- 関
- 家族性アルブミン異常過チロキシン血症