遠位尿細管性アシドーシス
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- 血清K値; 低K血症→遠位尿細管性アシドーシス(1型)、近位尿細管性アシドーシス(2 型); 高K血症→高K型尿細管性 ... 血中HCO3-がほぼ正常域に達したとき尿中HCO3- 排泄率15%以上→近位尿細管性アシドーシス(2型); 酸負荷試験; 尿pH5.5以下→近 位 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- distal renal tubular acidosis, distal RTA, dRTA
- 同
- 1型尿細管性アシドーシス、I型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシス1型、尿細管性アシドーシスI型
- 1型腎尿細管性アシドーシス、I型腎尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシス1型、腎尿細管性アシドーシスI型
- type 1 renal tubular acidosis, type I renal tubular acidosis, renal tubular acidosis type 1, renal tubular acidosis type I
- type 1 RTA, type I RTA, RTA type 1, RTA type I
- 関
- 腎尿細管性アシドーシス。近位尿細管性アシドーシス。代謝性アシドーシス
[show details]
概念
- 遠位尿細管における水素イオン分泌が障害されることにより生じる、アニオンギャップが正常な高Cl性の代謝性アシドーシス。
- シェーグレン症候群によく合併する。
病因
- uptodate Major causes of type I (distal) renal tubular acidosis
- シェーグレン症候群 Sjogren's syndrome :腎生検上α間在細胞にH+-ATPaseが欠損している。患者の中にはcarbonic anhydrase IIに対する自己抗体をもつものもいる。(参考4)
- 高カルシウム血症
- 関節リウマチ
- 高グロブリン血症
- イホスファミド
- アムホテリシンB
- 肝硬変
- 全身性エリテマトーデス(おそらく高カリウム性)
- 鎌状赤血球症(おそらく高カリウム性)
- 閉塞性尿路疾患(おそらく高カリウム性)
- 炭酸リチウム
- 腎移植
家族性のRTA
- HIM.1805
- 変異が存在する分子によって以下の型がある。
- 1. H+-ATPase proton pumpの変異:常染色体劣性遺伝(のほとんど)。H+-ATPase proton pumpは皮質集合管にあるα介在細胞(H+分泌に関与)の管腔側に存在する。このpunpの変異により、酸分泌能が障害されている。また、早期発症の感音性難聴と関連がある。
- 2. 重炭酸イオンと塩素イオンの対向輸送蛋白AE1の変異:常染色体優性遺伝:AE1の機能は正常であるが、本来の基底膜にでなく管腔側に存在するために重炭酸イオンを失うと考えられている。AE1の両方の対立遺伝子に変異を生じた病型は常染色体劣性遺伝型(1.)のような病態を呈する。
- 3. carbonic anhydrase IIの変異:dRTAを伴った"marble-brain disease"(骨粗鬆症、低身長、精神遅滞)。
病態生理
- 参考4 参考5
- 水素イオンを分泌できないため、体内の重炭酸イオンが消費され、高Cl性代謝性アシドーシスを生じる
- 集合管など(distal nephron)でナトリウムを再吸収するとき電気的中性を保つために水素イオンが管腔側に移動していたが、水素イオンが分泌できなくなったために代償的にカリウムが分泌・排泄されるため。(参考4)
- 遠位尿細管におけるH+分泌とHCO3-再吸収が障害され、管腔内にHCO3-が増加すると電気的中性を保つく尿細管上皮内からNa,Kが出てくる。すると、Na再吸収低下による続発性アルドステロン症も相まってK再吸収は低下し、低K血症となる(←非常にあやしい。出典不明)
- 1) 代謝性アシドーシスでは、遠位尿細管でのカルシウム再吸収が低下する。(代謝性アシドーシス#検査)
- 2) アシドーシスに対して骨からカルシウムとリン酸が動員され、リン酸によりpHの低下が緩衝され、カルシウムは1)により排泄される。 ← 代謝性アシドーシスでPTHの分泌が促される。 これもpHを保とうとするホメオスタシスの一つなんですかね?
- 遠位尿細管性アシドーシスでは近位尿細管でのクエン酸再吸収が亢進し、低クエン酸尿症をきたす。
- 3+4+5 → 腎石灰化症、リン酸カルシウム結石の形成(HIM.1805)
- 7. 尿の濃縮障害 (HIM.1805) 機序不明
臨床像
HIM.1805
- 原発性dRTAでは、全身性代謝性アシドーシスや酸負荷によっても尿をpH5.5以下に酸性化できない。これは、遠位尿細管における酸分泌や重炭酸の再吸収の障害による。
- 低カリウム血症、低クエン酸尿症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、腎結石が特徴的
- 未治療のまま放置すると、くる病や骨軟化症をきたす。
- 遺伝性:常染色体優性~常染色体劣性
- AR dRTA:幼児期発症。重度のアシドーシス、発育不良、成長不良、腎石灰化症による腎機能障害を呈する。
- AD dRTA:無症状で思春期や成人の時なってから腎結石の精査の折に偶然発見される。全身性のアシドーシスはない。尿検査で低クエン酸尿症、高カルシウム尿症、あるいは塩化アンモニウムや塩化カルシウム負荷による尿の酸性化障害で診断される。
徴候
- 低カリウム血症:低カリウム性四肢麻痺
- 尿の濃縮障害:
検査
- NH4Cl負荷試験:NH4Clを負荷をおこなっても尿の酸性化に限界があり、pH5.5以上を呈する。
合併症
治療
参考
- 1. 腎・泌尿器 081113IV
- 2. RENAL TUBULAR ACIDOSIS, DISTAL, AUTOSOMAL DOMINANT - OMIM
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/179800
- 17q21-q22
- mutation in the SLC4A1 gene
- 3. RENAL TUBULAR ACIDOSIS, DISTAL, WITH PROGRESSIVE NERVE DEAFNESS - OMIM
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/267300
- 2cen-q13
- mutation in the ATP6V1B1 (ATP6B1)
- 4. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [1]
- 5. [charged] Treatment of distal (type 1) and proximal (type 2) renal tubular acidosis - uptodate [2]
[★]
- 英
- renal tubular acidosis, RTA
- 関
- 尿細管アシドーシス 、尿細管性アシドーシス
- 代謝性アシドーシス
- 遠位尿細管性アシドーシス、近位尿細管性アシドーシス、1型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシスI型
[show details]
概念
分類
- 遠位尿細管性アシドーシス RTA I :H+の排泄障害。代わりにK+が排泄。高度の血清K低下。尿pH≧5.5(酸性化できない)。尿路結石を生じやすい。
- 近位尿細管性アシドーシス RTA II:近位尿細管でのHCO3-再吸収障害による。遠位尿細管でK+が排泄され、低カリウム血症を生じる。尿pH≦5.5(酸性化ok)。
- 低アルドステロン症 RTA IV:アルドステロン欠乏やアルドステロン抵抗性と関連した病態。高カリウム血症を呈し代謝性アルカローシスとなる。HCO3-≧17mEq/L, pH≦5.3 (参考)
参考
- 1. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [3]
[★]
- 英
- acidosis
- 関
- アルカローシス
産科
- 胎児では7.0未満でアシドーシスと判断する。
- 胎児末梢血pH7.20以下で急遂分娩の適応
治療
- 重炭酸ナトリウムによるpHの補正は必要に迫られない限り行わないらしい。組織の酸素化を障害したり、脳血流を減少させたりするため、らしい。
[★]
- 英
- canaliculus、canaliculi、tubule
- 関
- 小管、尿細管