- 英
- cognitive therapy, cognitive remediation
- 関
- 認知行動療法
- 認知のあり方に働きかけて情緒状態を変化させ問題解決を図る療法。
- 人間の情緒が認知によって大きく影響を受けることから考え出された治療法。
- うつ病、パニック障害・社会不安障害などの不安障害、外傷後ストレス障害、身体表現性障害、適応障害などに適応されている。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/25 14:24:32」(JST)
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この項目では、アーロン・ベックが提唱した心理療法で、自動思考、スキーマ、認知の歪みについて説明しています。アルバート・エリスが提唱し、ABC理論、イラショナル・ビリーフの論駁を特徴とする心理療法については「論理療法」を、認知療法や行動療法の総称については「認知行動療法」をご覧ください。 |
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認知療法(Cognitive Therapy)とは、 人が成長するにつれ固定的なスキーマが形成され、それに基づいて歪んだ思考方法や考えが自然に浮かぶ自動思考が起こっており、そうした認知の歪みに焦点を当てて、認知を修正することで症状が改善されるとされる心理療法である[1]。1960年代にアーロン・ベックが提唱した。
また認知療法の語は、1950年代にアルバート・エリスが提唱した論理療法や、ドナルド・マイケンバウムの自己教示訓練など、認知に焦点を当てる技法を総称して呼ぶことがある。しかし1990年代頃より、認知行動療法の概念が登場し、現在ではここに分類される。
目次
- 1 ベックとエリス
- 2 認知とは
- 3 歴史
- 4 認知療法の理論
- 5 治療
- 6 セルフヘルプ
- 7 有効性
- 8 脚注
- 9 参考文献
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
ベックとエリス
ベックとエリスは、それぞれ精神分析学を学んだ精神科医と心理学者であり、マイケンバウムは行動療法を行っていた心理学者である。彼等の共通点は、外的な出来事が感情や身体反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事をどのように認知するかによって身体反応や感情、行動が異なってくるとし、精神疾患やそれに対する心理療法における「認知」の役割を重視した点にある。
認知とは
認知療法における認知とはたいていの場合「言語化された思考」を指す。これは認知心理学の認知と必ずしも一致しない臨床上の緩やかな概念である。本項目では前者の認知を指すことする。
人間は世界のありのままを観ているのではなく、その一部を抽出し、解釈し、帰属させているなど「認知」しているのであって、その認知には必ず個人差があり、客観的な世界そのものとは異なっている。それゆえ、誤解や思い込み、拡大解釈などが含まれた自らに不都合な認知をしてしまい、結果として様々な嫌な気分(怒り、悲しみ、混乱、抑うつ)が生じてくると仮定している。認知療法では不快な気分や不適切な行動の背景として「考え方」つまり「認知」に着目し、この不都合な認知⇒気分の流れを紙などに書いて把握すること、また、それらに別の観点を見つけるべく紙に書いて修正を試みる事が根幹である。そのために根拠を問うたりする。それらの気分を生じさせる拡大解釈やなどをアーロン・ベックに学んだデビッド・D. バーンズ(英語版)の1989年の著作『フィーリングGoodハンドブック』(英語版:The Feeling Good Handbook)[2]では認知の歪み(Cognitive distortion)をいう。
歴史
ベックは、1976年に『認知療法』(Cognitive Therapy and Emotional Disorders)を出版し、認知療法の体系的な概念を始めて紹介した[3]。最初に原稿を持ち込んだ出版社では、あまりにも寛太だということで出版を断られたという逸話がある[3]。
日本での『認知療法』の邦訳は1990年である[3]。1998年3月には日本認知療法研究会が設立される。2001には発展的に日本認知療法学会となる。
認知療法の理論
認知療法では、人が成長するにつれ固定的なスキーマが形成され、それに基づいて歪んだ思考方法や考えが自然に浮かぶ自動思考が起こっており、そうした認知の歪みに焦点を当てて、認知を修正することで症状が改善されるとされる[1]。
認知に働きかける数多くの技法が存在する。ネガティブな思考の記録(いわゆるコラム法)、思考の証拠さがし、責任帰属の見直し、損得比較表(元々、フランクリンの表と呼ばれるもの)、認知的歪みの同定、誇張的表現や逆説の利用、症状や苦痛の程度についてスケール(尺度)で表現、イメージの置き換え、認知的リハーサル、自己教示法、思考中断法、気晴らしの利用、直接的な論争……。他にも、活動スケジュールを記録する等、行動療法で使われてきた多くの技法についても、ベックは(またエリスも)当初から積極的に自らの技法に取り入れていった。
うつ病の治療法として、一般的に薬物療法とは別のアプローチとして利用されている。但しコラム法は自動思考と分析という時間と体力、気力を多大に必要としている。それ故にうつ病の急性期としては適切な治療方法として利用しにくい。コラム式は思い込みの自己否定思考している場合は有効だが自動思考で自分の行動に正当性があり自分を責めないケースでは使えない。
治療
治療は一般的に医師や心理カウンセラーのもとで行われるが、メディアでもてはやされるほどには、治療者がいないのが現状である。
セルフヘルプ
「セルフヘルプ」も参照
認知療法を対話形式で行うことができる書籍も出版されている。うつ病に対する『いやな気分よ、さようなら』や『フィーリングGoodハンドブック』がそうである。
有効性
「認知行動療法#議論」も参照
英国国立医療技術評価機構(NICE)の2011年臨床ガイドラインでは、うつ病、PSTD、強迫性障害の適応にCBTを含めている。特に抑うつに対しては、NICEは必ずCBT(もしくは他の心理療法・運動療法)を試みるよう勧告している[5]。
アメリカの保険会社は治療効果を承認している[6]。
脚注
- ^ a b 坂野雄二 「ベック『うつ病の認知療法』」『精神医学文献事典』 弘文堂、2003年、417頁。ISBN 978-4-335-65107-6。
- ^ デビッド・D. バーンズ 『フィーリングGoodハンドブック』 野村総一郎、関沢洋一訳、星和書店、2005年。ISBN 978-4791105823。、David D. Burns (1989). The Feeling Good Handbook. ISBN 978-0452281325.
- ^ a b c 大野裕 「ベック『認知療法』」『精神医学文献事典』 弘文堂、2003年、416-417頁。ISBN 978-4-335-65107-6。
- ^ 英国国立医療技術評価機構 (2009-08). CG90: Depression in adults (Report). http://www.nice.org.uk/CG90.
- ^ 日本認知療法学会広報委員会 (2008年11月). “認知療法に興味をお持ちの方へ”. JACT日本認知療法学会. 2015年6月10日閲覧。
参考文献
- 英国国立医療技術評価機構 (2011-05). CG123 Common mental health disorders: Identification and pathways to care (Report). http://www.nice.org.uk/guidance/CG123.
- Irving Kirsch (October 19, 2009), The Emperor's New Drugs: Exploding the Antidepressant Myth, The Bodley Head, ISBN 978-1847920836 .(翻訳書は アービング・カーシュ 『抗うつ薬は本当に効くのか』、石黒千秋訳 エクスナレッジ、2010年1月25日。ISBN 978-4767809540。 )
関連項目
外部リンク
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Japanese Journal
- マインドフルネス認知療法 : インストラクターに必要なこと (特集 マインドフルネス : 精神科治療への導入と展開)
- うつ病の認知療法・認知行動療法の実際 (特集 認知行動療法の現在とこれから : 医療現場への普及と質の確保に向けて)
- 特別講演 認知療法・認知行動療法 : 誤解を正す (第34回日本森田療法学会)
Related Links
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★リンクテーブル★
[★]
- 13歳の男子。不登校を主訴として両親に伴われて来院した。中学校入学後まもなく、朝起きたときに腹痛、嘔気および頭痛を訴えて学校を休み始めた。しかし、昼すぎには症状が消失して元気になる。近医を受診しても、特に病気はないと言われた。2か月以上も学校を休んでいて、気持ちがいらだち、勉強が遅れると焦りを高めている。
- この患者の治療として適切なのはどれか。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096I049]←[国試_096]→[097A001]
[★]
- 27歳の男性。物事を何度も確認しないと安心できないと訴えて来院した。高校時代に字を書いても計算をしても、間違いの有無を調べ続けるようになった。その後、さらに対象が広がり、鍵やガス栓の点検を何度も繰り返すようになった。このため何事にも時間がかかり、本人も疲れ、職場にも毎日遅刻するようになった。治療を強く希望している。適切でない治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D002]←[国試_096]→[096D004]
[★]
鬱病
- 英
- depression
- 関
- 抗うつ薬、抑うつ症、メランコリー melancholia
[show details]
鬱病 : 約 5,160,000 件
うつ病 : 約 23,500,000 件
分類
- 大うつ病性障害(単極性障害)
- 双極性障害
- 気分変調性障害
- 気分循環性障害
- 特別な気分障害
疫学
- 世界的に有病率が高い(十ヵ国を対象とした研究では生涯有病率は平均8-12%、日本では3%、米国では17%であった(参考2)) 097G008(うつ病は世界的に主要な健康問題になっている。)
病因
- 脳のノルエピネフリン神経、セロトニン神経の働きに異常
- レセルピンと鬱病の関係
- レセルピン
- 血圧低下作用が臨床応用されていた
- 1931年に鎮静作用を示すことが明らかにされていた。
- ノルエピネフリン神経におけるシナプス小胞への取り込みを阻害することによって
- 血圧↓→脳内モノアミン枯渇→うつ病発症→使われなくなる
評価
鬱の診断基準
- also see DSM-IV
- 気分の落ち込みや何をしても癒されない気分や空虚感など
診断
鑑別診断
- KPS.973 ← あまり整理されていない印象
- 抑うつ気分を伴う適応障害
- 気分変調性障害
- 失調感情障害
- 統合失調症
- 大うつ病性障害
- 双極I型障害
- 境界性人格障害
- 低カリウム血症
- 短期精神病性障害
- 気分循環性障害
- 抗高血圧性毒性
- ステロイド精神病性障害
- 甲状腺機能低下症
- 脳腫瘍
- 全身不全麻痺
- アンフェタミン使用障害
- コカイン使用障害
- 膵癌
- 肝炎
- ウイルス感染後症候群
- アルツハイマー型認知症
- 血管性認知症
- 晩発性アルツハイマー型認知症
- 早発性アルツハイマー型認知症
- 肝硬変
- 動脈硬化症
- 伝染性単核球症
- 甲状腺機能亢進症
- 潜在性悪性腫瘍
- エイズ
- シゾイド人格障害/統合失調質人格障害
- 失調型人格障害/統合失調型人格障害
- IMD.1077 PSY.284
- 統合失調症:病初期にうつ状態。疎通性障害、幻覚・妄想の出現で鑑別される。
- 神経症
- 脳血管障害:脳梗塞、脳出血など:CT、MRI、神経学的所見などから鑑別する
- 脳変性疾患:パーキンソン病、アルツハイマー病:CT、MRI、神経学的所見などから鑑別する
症状
- 昏迷、不安焦燥、精神活動抑制、微小思考
- 気分の憂うつだったり、寂しくなったりという抑うつ気分
- 将来に希望を持てなくて悲観的になり、考ええばかりおそってくる抑うつ気分
- 意欲、興味、関心の低下をきたす
- 朝に抑うつ気分がひどい
- 症状がひどいと自殺を試みる
治療
方針
- 1. うつ病であることを説明
- 2. 休息
- 3. 治癒の見通しを明らかにする
- 4. 重要決定は延期させる
- 5. 自殺しない約束
modality
- 効果の発現は服用開開始から1-2週間後で即効性はない。鬱症状が改善した後も4ヶ月継続すべき。(PSY.288)
- 軽症~中等症:SSRI, SNRI
- 重症:三環系抗うつ薬
薬物療法
- MAOとうつ病
- MAO inhibitorは脳モノアミン神経伝達物質の量を増やす
- MAO inhibitor
- モノアミン神経伝達物質が蓄積される
- パーキンソン病やうつ病の病状をよくする
参考
- 1. [charged] うつ病の疫学、病因、および神経生物学 - uptodate [1]
[★]
- 英
- panic disorder
- 同
- 恐慌性障害
- 関
- 他の不安障害、神経症性障害、不安障害、広場恐怖
概念
疫学
- 性差:女性の方が2-3倍多い
- 発症年齢:一般的には若年青年期(平均年齢は25歳前後)
分類
DSM-IV-TR
- 広場恐怖を伴うパニック障害
- 広場恐怖を伴わないパニック障害
- パニック障害の既往歴のない広場恐怖
症状
- 10分ほどで急速に症状が増悪し、通常20-30分持続する
- 切迫した死と破滅の感覚と極度の恐怖
- 頻脈、動悸、呼吸困難、および発汗などを伴う
- 発作間期の「また発作が起こるのではないか」という不安
鑑別診断
治療
[★]
- 関
- 認知療法、うつ病
- Beck AT, Rush AJ, Shaw BF, Emery G. Cognitive Therapy of Depression. New York; Guilford Press; 1979:33
- 一次仮説、二次仮説、自動思考、から感情がもたらされると考える。
- 一次仮説:もし私がすばらしければ(他人のために苦しみ、明るく美しければ)悪いこと(離婚、子供の非行)は我が身に起こらないであろう
- 二次仮説:悪いことが起こるのは、私が間違っているときだ(私がすばらしくなかったからだ)
- 自動思考:私は夫が悪い行為をする原因になった。私は離婚することで子供の人生を駄目にした。私はこれまでいいことがなかった。それは私がすばらしくないからだ。
- 感情:悲しみ
- 一次仮説:もし私がすばらしければ(他人のために苦しみ、明るく美しければ)悪いこと(離婚、子供の非行)は我が身に起こらないであろう
- 二次仮説:腎性は不公平だ(なぜなら、私はすばらしいのに、悪いことが起こるからだ)
- 自動思考:なぜ私には夫がいないのか。咬みは私を騙した。どうして私の子供達は悪いことをするのだろう。私は上司に批判されるいわれはない。
- 感情:怒り
[★]
- 関
- 精神療法
- 非適応的な行動をコントロールしたり、脱条件付けしたりすることを目的
指示的精神療法(PSY.139)
[★]
- 英
- cognitive behavior therapy, cognitive-behavioral therapy
- 関
- 認知療法
- 心理療法の一種
- 認知の歪みを検証することによって認知と行動の変容を促し、当面の問題への効果的な対処の仕方を修得させようとする治療法。
- ベックによって発展させられた。
- うつ病の治療のために用いられたが、パニック障害、社会不安障害、パーソナリティ障害にも用いられている。
[★]
- 英
- cognition
- 同
- 認識 recognition
- 関
- 認知症
二次感覚野
↓
判断:感覚連合野
| ↓
| 記憶:辺縁系・扁桃核
| ↓
意志:運動連合野
↓
二次運動野
- 認知症ではこの認知が傷害される
[★]
- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- therapy、regimen、cure、remedy、therapeutic