- 英
- cognitive behavior therapy, cognitive-behavioral therapy
- 関
- 認知療法
- 心理療法の一種
- 認知の歪みを検証することによって認知と行動の変容を促し、当面の問題への効果的な対処の仕方を修得させようとする治療法。
- ベックによって発展させられた。
- うつ病の治療のために用いられたが、パニック障害、社会不安障害、パーソナリティ障害にも用いられている。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/02 20:41:28」(JST)
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表・話・編・歴
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認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)は、 行動療法(学習理論に基づく行動変容法・理論の総称)と認知療法(認知や感情に焦点を当てる心理療法)との総称である。
目次
- 1 概要
- 2 脚注
- 3 関連項目
- 4 関連書籍
- 5 外部リンク
- 5.1 国内の学会
- 5.2 海外の学会
- 5.3 認知行動療法を学ぶ
- 6 資格
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概要
誤った認識・陥りがちな思考パターンの癖を、客観的でよりよい方向へと修正する、避けたがっている問題とあえて向き合うことで徐々にトラウマに慣れさせる、悲しみを外に出し心を癒すことで気持ちの安定を得る、などの方法を組みあわせることで、精神的な苦痛と、それに伴う身体的な症状を改善していく治療法。鬱、PTSD、パニック障害、解離性障害、複雑性悲嘆、強迫神経症など、多種多様な精神的疾患で、その高い効果が報告されている。自身で手引きを参考にしながら出来る、比較的、手軽な方法から、それが困難な場合には、専門の医師に治療してもらう方法まで、認知行動療法は、広義に活用されている。ただし疾患の種類や症状の重さによっては、トラウマへの介入・想起により強い苦痛や葛藤を伴い、場合によっては悪化することもあるため、クライエントの状態を判断して治療することが重要である。治療の進め方としては、現在、医院ではクライエントに無理がないように時間をかけて、徐々に問題と向き合う方法が主に行われているが、逆に短期間に問題と向き合うショック療法的な認知行動療法もある。この療法では、症状が出ることとなった精神的な根本要因にまでさかのぼって問題と向き合うため、記述や口述などによる、当事者の過去の想起や暴露が必要となる。そのために認知行動療法の中でも、特に暴露法が取り上げられることがある。こうしたことから認知行動療法とは、認知の歪みを客観的に正し、クライエントが自身で感情や考え方の安定したコントロールが出来るようにすることで、問題に囚われた精神状態から無事、脱却し、再び同じ心身状態に陥ることを防ぐ治療法といえる。
現在、行動療法と認知療法とは切り離せないものと考えられており、今ではこの二つを合わせた「認知行動療法」と呼ばれるようになっている。「認知行動療法」という呼び名が最初に現れたのは、ドナルド・マイケンバウムの著作のタイトルである。行動療法では認知や感情も行動の一部であるという解釈があり、認知療法のアルバート・エリスやアーロン・ベックは積極的に行動療法的な技法を取り込んで発展させて行った。そのため、次第にこの両者は統合あるいは折衷されていった。
それまでの行動療法が対症療法的で、個人の経験や葛藤を考慮していないために再発や別の症状が出るという批判も、認知や感情を重視するようになったためほぼ解消されたといえる。
現在、「認知療法」、「行動療法」と分けて呼ぶ場合には「(ベックの)認知療法」と言った狭義の呼称であったり、系統的脱感作のような古典的技法を指しての「行動療法」であったりする。なお海外では「行動認知療法(Behavioral and Cognitive Therapies)」と呼ばれることもある。
さらに近年は「マインドフルネス」と「アクセプタンス」を共通の治療要素とする第三世代の行動療法が展開されている。
認知行動療法のテクニックは、人それぞれが持つ認知構造やスキーマと呼ばれるものが、人生において出会ういろいろな状況に反応したり適応したりする方法を形づくるという想定の下にある[1]。
脚注
- ^ Nancy C. Andreasen(ナンシー・C・アンドレアセン),etc., Introductory Textbook of Psychiatry,4th ed.,2006,page460
関連項目
- 行動療法
- 論理療法
- 認知療法
- マインドフルネス認知療法
- 集団認知療法
- 日本行動療法学会
- アルバート・エリス
- アーロン・ベック
- ソーシャルスキルトレーニング
関連書籍
和書
- 坂野雄二(1995) 認知行動療法 日本評論社
- 岩本隆茂(編)(1997) 認知行動療法の理論と実際 培風館
- 下山晴彦(編)(2011) 認知行動療法を学ぶ 金剛出版
外部リンク
国内の学会
- 日本行動療法学会
- 日本行動分析学会
- 日本論理療法学会
- 日本認知療法学会
- 日本認知行動看護学会
海外の学会
- 国際認知療法学会(International Association for Cognitive Psychotherapy : IACP)
- アメリカ行動認知療法学会(Association for Behavioral and Cognitive Therapies : ABCT)
- ヨーロッパ行動認知療法学会(European Association for Behavioural and Cognitive Therapies : EABCT)
- イギリス行動認知療法学会(British Association for Behavioural and Cognitive Psychotherapies : BABCP)
認知行動療法を学ぶ
- 東京認知行動療法アカデミー
- 日本認知行動カウンセリング協会
資格
- 日本行動療法学会
- 日本認知行動カウンセリング協会
- 認知行動療法専門カウンセラー
- 認知行動療法実践看護師
その他
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- 次の文を読み、61-63の問いに答えよ。
- 17歳の男子。言動の変化を心配した両親に伴われて来院した。
- 現病歴: 1年ほど前から高校を休みがちになり、1日中自分の部屋で過ごすことが多くなった。朝はなかなか起きず、昼過ぎになりやつと起きてくる。母親が声をかけると「うるせえな」と反抗的になった。1か月前から、わけもなくニヤニヤすることや、「ちくしょう」、「ばかやろー」などと急に叫ぶことが増えてきた。身なりも不潔になり、入浴もしなくなった。
- 既往歴[ 特記すべきことはない。
- 生活歴: 同胞2人の二男として出生。精神運動発達に異常を認めず、手のかからない子供であった。中学校までは明るい生徒で成績も優秀だった。高校入学後は課外活動をせず、成績は徐々に下がってきた。
- 家族歴: 母方の叔父が精神科病院に入院中である。
- 現症 : 意識は清明。身長175cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/68mmHg。表情は硬く、緊張が強い。自発的に話をすることはなく、質問に対する返答に時間がかかり、答えも短い。時々一点を見つめたまま反応がなくなることがある。また、聞き耳を立てるような動作も認める。神経学的所見に異常を認めない。
- 入院治療を勧めると、「死んだほうがましだ」と叫んで興奮し入院を拒否して帰宅を申し出た。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E061]←[国試_104]→[104E063]
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- 次の文を読み、62-64の同いに答えよ。
- 15歳の女子。いらいらして暴力を振るうことを心配した母親に伴われて来院。
- 現病歴 中学2年になり、友人関係でトラブルが起こったころから食欲がなくなり、学校を休みがちになった。自分の部屋でいやな友人の顔が浮かぶと、そのときしていた行為を最初からやり直すようになった。不潔になったことを気にして頻回に手を洗うようになった。その後も学校では普通の生括を送っていたが、家では自分だけでなく母親に同じ言葉や行動を繰り返させ、母親が正確にやり直せないとパニックを起こしたり、暴力を振るったりするようになった。
- 生育歴 3歳時に両親が離婚し、母親と弟との3人暮らし。小学校では成績も優秀で友人も多く、何事にも積極的な性格であった。中学で進学校に入学し、学業とスポーツに打ち込んでいた。
- 現症 意識は清明。身長156cm、体重49kg。体温36.2℃。呼吸数16/分。脈拍72/分、整。血圧98/60mmHg。皮膚は冷たく乾燥している。手が荒れている。
- 検査所見 尿、血液検査所見に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G063]←[国試_105]→[105G065]
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- 18歳の女子。普段と様子が違うことを心配した母親に連れられて来院した。昨日、以前から付き合っていた男性と別れることになったとつらそうな表情で号泣しながら帰宅した。2時間後に母親が声をかけると「お母さん、いつものお菓子作ってね」と普段と異なる幼児的な甘えた態度で訴えた。本人が帰宅した時のつらそうな様子について母親が尋ねても「何のこと」と答え、全く記憶していなかった。神経診察を含めた身体診察に異常を認めない。血液検査、脳画像検査および脳波検査で異常を認めない。
- この患者について正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A024]←[国試_113]→[113A026]
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- 30歳の男性。精神科病棟に入院中である。数年前から家に引きこもりがちの生活を送っていた。2か月前に幻覚妄想状態を示したため入院となったが、薬物療法で改善した。最近は落ち着いているものの、表情は乏しく、ほとんど一日中臥床している。他人との交流はほとんどみられない。.
- この患者のリハビリテーションの課題として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 服薬の自己管理
- b 否定的感情の修正
- c 無意識的葛藤の評価
- d あるがままの受け入れ
- e コミュニケーション技能の習得
[正答]
※国試ナビ4※ [105E056]←[国試_105]→[105E058]
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- 19歳の男性。人前で話ができないことを主訴に来院した。昨年春に大学に入学した。クラブ活動のオリエンテーションで自己紹介を求められた時に、皆の視線を感じて緊張して体が震えることがあった。それ以来、人前に出ることを避け、希望していたクラブにも入らず、講義に出るだけの大学生活を続けている。抑うつ症状はみられず、明らかな幻覚や妄想も認められない。
- 最も適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A023]←[国試_107]→[107A025]
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- a. 神経性食思不振症を合併することが多い。
- b. 食事をコントロールできるという感覚は保たれる。
- c. 体重は標準以上に維持される。
- d. 肥満に対する恐怖心はない。
- e. 認知行動療法は無効である。
[正答]
※国試ナビ4※ [095B006]←[国試_095]→[095B008]
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- 関
- 精神療法
- 非適応的な行動をコントロールしたり、脱条件付けしたりすることを目的
指示的精神療法(PSY.139)
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- 英
- cognitive therapy, cognitive remediation
- 関
- 認知行動療法
- 認知のあり方に働きかけて情緒状態を変化させ問題解決を図る療法。
- 人間の情緒が認知によって大きく影響を受けることから考え出された治療法。
- うつ病、パニック障害・社会不安障害などの不安障害、外傷後ストレス障害、身体表現性障害、適応障害などに適応されている。
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認知行動療法
- 関
- cognitive therapy
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- 英
- cognition
- 同
- 認識 recognition
- 関
- 認知症
二次感覚野
↓
判断:感覚連合野
| ↓
| 記憶:辺縁系・扁桃核
| ↓
意志:運動連合野
↓
二次運動野
- 認知症ではこの認知が傷害される
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- 英
- behavior、behaviour、act、behave、behavioral、behavioural
- 関
- 振る舞う、行為、行動性、作用、働く、挙動、振る舞い、行動上、条例
[★]
- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- therapy、regimen、cure、remedy、therapeutic
[★]
- 英
- behavior therapy
- 関
- 精神療法