ソラフェニブ
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ソラフェニブ
|
IUPAC命名法による物質名 |
4-[4-[[4-chloro-3-(trifluoromethyl)phenyl]carbamoylamino]
phenoxy]-N-methyl-pyridine-2-carboxamide |
臨床データ |
ライセンス |
EMA:Link, US FDA:link |
胎児危険度分類 |
D(AU) D(US) |
法的規制 |
℞-only (US) |
投与方法 |
Oral |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
29-49% |
血漿タンパク結合 |
99.5% |
代謝 |
肝臓で酸化・グルクロン酸化 (CYP3A4による) |
半減期 |
25–48時間 |
排泄 |
糞便中 (77%)、腎臓 (19%) |
識別 |
CAS登録番号 |
284461-73-0 |
ATCコード |
L01XE05 |
PubChem |
CID 216239 |
DrugBank |
APRD01304 |
KEGG |
D08524 |
別名 |
Nexavar
Sorafenib tosylate |
化学的データ |
化学式 |
C21H16ClF3N4O3 |
分子量 |
464.825 g/mol |
SMILES
- CNC(=O)C1=NC=CC(=C1)OC2=CC=C(C=C2)NC(=O)NC3=CC(=C(C=C3)Cl)C(F)(F)F
|
ソラフェニブ(英: Sorafenib)は、腎癌・肝細胞癌に対して用いられる分子標的治療薬の一つ。バイエル薬品とオニキス・ファーマシューティカルが開発し、ソラフェニブのトシル酸塩が製剤化されている。2009年9月現在、腎細胞癌に対して80ヵ国以上、肝細胞癌に対して70ヵ国以上で承認されている[1]。商品名はネクサバール®(Nexavar)。
効用[編集]
ソラフェニブには大きく言って2つの作用点がある。B-Rafのキナーゼ活性やc-KIT受容体のチロシンキナーゼ活性などを阻害することで腫瘍進行を阻止する一方で、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)や血小板由来成長因子受容体(PDGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害し腫瘍血管形成に対抗する。奏効率は4%程度だが、対プラセボで無増悪生存率を4倍に延長[2]させたとされ、悪性の腎細胞癌などに有効である。
副作用[編集]
重大な副作用は、手足症候群、剝脱性皮膚炎がほとんど。 但し、中毒性表皮壊死融解症や皮膚粘膜眼症候群や多形紅斑がまれにある。出血はごく軽いものもあわせて全体の10%程度の人にあり重篤な場合は使用を中止する。肝機能障害やそれにともなう肝性脳症があらわれることがあり、異常が認められた場合には本剤を減量休止する。 その他の副作用は、リパーゼ上昇、手足症候群、アミラーゼ上昇、発疹、脱毛、下痢、高血圧、疲労、食欲不振、GOT上昇など[3]。
脚注[編集]
- ^ “ネクサバール:進行性乳癌に対する第II相臨床試験において、化学療法との併用で無増悪生存期間を74%改善” (プレスリリース), バイエル薬品, (2009年9月30日), http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-09-30.html 2010年2月27日閲覧。
- ^ Ratain MJ, Eisen T, Stadler WM, Flaherty KT,Kaye SB, Rosner GL, Gore M, Desai AA, PatnaikA, Xiong HQ, Rowinsky E, Abbruzzese JL, XiaC, Simantov R, Schwartz B, O’Dwyer PJ. PhaseⅡ placebo-controlled randomized discontinuationtrial of sorafenib in patients with metastatic renalcell carcinoma. J Clin Oncol 2006; 24: 2505-12.
- ^ ソラフェニブトシル酸塩錠(ネクサバール錠200mg バイエル薬品株式会社)取扱い説明書 [1]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 肝がんのチーム医療 東大病院「チームネクサバール」の取組み 医師、薬剤師、看護師が連携して抗がん剤の副作用をマネジメント (難治がん特集)
- World Wide View 海外情報 行政関連情報 インド ネクサバールへの強制実施権設定が及ぼす影響
- かかりつけ医から専門医への質問 ネクサバール(ソラフェニブ)について教えてください (患者・家族の相談に応える がん診療サポートガイド) -- (肝がん)
Related Links
- ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)公式サイト。バイエル薬品株式会社では、医療 関係者の方々と服用される患者さんを対象に、ネクサバール適正使用に関する情報をご 提供しています。
- ネクサバールとは?ソラフェニブの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:薬事典版)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ネクサバール錠200mg
組成
成分・含量
- 1錠中,ソラフェニブ200mg(ソラフェニブトシル酸塩として274.0mg)含有
添加物
- クロスカルメロースナトリウム,結晶セルロース,ヒプロメロース,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸マグネシウム,マクロゴール4000,酸化チタン,三二酸化鉄
禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,切除不能な肝細胞癌
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対して
- サイトカイン製剤による治療歴のない根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.[「臨床成績」の項参照]
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない.
切除不能な肝細胞癌に対して
- 局所療法(経皮的エタノール注入療法,ラジオ波熱凝固療法,マイクロ波凝固療法,肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法,放射線療法等)の適応となる肝細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.
- 肝細胞癌に対する切除及び局所療法後の補助化学療法における本剤の有効性及び安全性は確立していない.
- 肝細胞癌患者に本剤を使用する場合には,肝機能障害の程度,局所療法の適応の有無,全身化学療法歴等について,「臨床成績」の項の内容に準じて,適応患者の選択を行うこと.
- 通常,成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する.なお,患者の状態により適宜減量する.
- サイトカイン製剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用について,有効性及び安全性は確立していない.[「臨床成績」の項参照]
- 肝細胞癌に対する局所療法との併用について,有効性及び安全性は確立していない.
- 高脂肪食の食後に本剤を投与した場合,血漿中濃度が低下するとの報告がある.高脂肪食摂取時には食事の1時間前から食後2時間までの間を避けて服用すること.[「薬物動態」の項参照]
- 副作用により本剤を減量,休薬又は中止する場合には,副作用の症状,重症度等に応じて以下の基準を考慮すること.
減量基準
用量調節段階:通常投与量
用量調節段階:1段階減量
用量調節段階:2段階減量
皮膚毒性
皮膚の副作用のグレード
- グレード1:手足の皮膚の感覚障害,刺痛,痛みを伴わない腫脹や紅斑,日常生活に支障を来さない程度の不快な症状
発現回数:回数問わず
- 投与量の調節:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法を考慮する.
皮膚の副作用のグレード
- グレード2:手足の皮膚の痛みを伴う紅斑や腫脹,日常生活に支障を来す不快な症状
発現回数:1回目
- 投与量の調節:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法を考慮する.
7日以内に改善が見られない場合は下記参照.
発現回数:7日以内に改善が見られない場合あるいは2回目又は3回目
- 投与量の調節:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.(400mg1日1回又は400mg隔日1回)
発現回数:4回目
皮膚の副作用のグレード
- グレード3:手足の皮膚の湿性落屑,潰瘍形成,水疱形成,激しい痛み,仕事や日常生活が不可能になる重度の不快な症状
発現回数:1回目又は2回目
- 投与量の調節:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.(400mg1日1回又は400mg隔日1回)
発現回数:3回目
血液学的毒性
グレード:グレード0〜2
グレード:グレード3
グレード:グレード4
- 投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 a
用量調節:1段階減量 b
- a.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.
- b.2段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.
非血液学的毒性 a
グレード:グレード0〜2
グレード:グレード3
- 投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 b
用量調節:1段階減量 c
グレード:グレード4
- 投与継続の可否:投与中止
用量調節:投与中止
- a.薬物治療を行っていない嘔気/嘔吐又は下痢は除く.
- b.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.
- c.2段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.
慎重投与
- 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者[使用経験がない.]
- 高血圧症の患者[高血圧が悪化するおそれがある.]
- 血栓塞栓症の既往のある患者[心筋虚血,心筋梗塞などがあらわれるおそれがある.]
- 脳転移のある患者[脳出血があらわれるおそれがある.]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
手足症候群(10%以上),はく脱性皮膚炎(1〜10%未満)
- 手足症候群,はく脱性皮膚炎があらわれることがあるので,皮膚症状があらわれた場合には対症療法,減量,休薬又は投与の中止を考慮すること.
*中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明),多形紅斑(0.1〜1%未満)
- 中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群,多形紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
出血(消化管出血,気道出血,脳出血,口腔内出血,鼻出血,爪床出血,血腫,腫瘍出血)
(10%以上)
- 消化管出血,気道出血,脳出血,腫瘍出血等の重篤な出血があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されている.本剤投与中は観察を十分に行い,重篤な出血が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
劇症肝炎(頻度不明),肝機能障害・黄疸(0.1〜1%未満),肝不全(頻度不明),肝性脳症(頻度不明)
- 劇症肝炎,AST(GOT),ALT(GPT)の上昇を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全,肝性脳症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤を減量,休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.なお,肝性脳症は主に肝細胞癌又は肝硬変のある患者において報告されているので,これらの患者に投与する際は,意識障害等の臨床症状を十分に観察すること.
急性肺障害,間質性肺炎
(頻度不明)
- 急性肺障害,間質性肺炎があらわれることがあるので,呼吸困難,発熱,咳嗽等の臨床症状を十分に観察し,異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施すること.急性肺障害,間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
高血圧クリーゼ
(0.1〜1%未満)
- 高血圧クリーゼがあらわれることがあるので,血圧の推移等に十分注意しながら投与すること.高血圧クリーゼがあらわれた場合は,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
可逆性後白質脳症
(0.1〜1%未満)
- 可逆性後白質脳症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,可逆性後白質脳症が疑われた場合は,本剤の投与を中止し,血圧のコントロール,抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと.
心筋虚血・心筋梗塞
(0.1〜1%未満)
- 心筋虚血・心筋梗塞があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
うっ血性心不全
(0.1〜1%未満)
- うっ血性心不全があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
消化管穿孔(0.1〜1%未満),消化管潰瘍(頻度不明)
- 消化管穿孔,消化管潰瘍があらわれることがあり,消化管穿孔により死亡に至る例が報告されているので,消化管穿孔,消化管潰瘍が疑われた場合には,本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.
出血性腸炎,虚血性腸炎
(頻度不明)
- 出血性腸炎,虚血性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
白血球減少,好中球減少,リンパ球減少,血小板減少,貧血
(頻度不明)
- 白血球減少,好中球減少,リンパ球減少,血小板減少,貧血があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤を減量,休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.
膵炎
(0.1〜1%未満)
- 膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛等の膵炎を示唆する症状が認められた場合や膵酵素上昇が持続する場合には,本剤を休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.
腎不全
(頻度不明)
- 腎不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
ショック,アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック,アナフィラキシー様症状(呼吸困難,血管浮腫,発疹,血圧低下等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,本剤の投与を中止し,適切な処置を行うこと.
横紋筋融解症
(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること.
薬効薬理
抗腫瘍効果29〜31)
- 本剤は腎細胞癌細胞株(RENCA,786-O)及び肝細胞癌細胞株(PLC/PRF/5)を移植したマウスにおいて腫瘍の増殖を抑制した.さらに,k-ras又はb-rafの変異を有するヒト由来腫瘍の他,EGFR等の増殖因子受容体を過剰発現している腫瘍の担癌マウスにおいても,腫瘍増殖を抑制した.
作用機序29〜31)
- In vitro試験において,本剤は腫瘍進行に関与するC-Raf,正常型及び変異型B-Rafキナーゼ活性,並びにFLT-3,c-KITなどの受容体チロシンキナーゼ活性を阻害した.さらに,本剤は腫瘍血管新生に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)受容体,血小板由来成長因子(PDGF)受容体などのチロシンキナーゼ活性を阻害した.
In vivo試験では,本剤は腎細胞癌及び肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスにおいて,腫瘍組織中の血管新生を抑制した.また,肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスでは,腫瘍細胞のERKリン酸化を抑制し,アポトーシスを誘導した.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ソラフェニブトシル酸塩(Sorafenib Tosilate)JAN
(Sorafenib)INN
化学名
- 4-{4-[3-(4-Chloro-3-trifluoromethylphenyl)ureido]phenoxy}-N2-methylpyridine-2-carboxamide mono(4-methylbenzenesulfonate)
分子式
分子量
融点
性状
- 本品は白色〜わずかに黄褐色を帯びた白色の粉末である.
本品はジメチルスルホキシド又はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく,メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.
分配係数
- 本品はオクタノール/水及びオクタノール/リン酸塩緩衝液にほとんど溶けないため,分配係数を測定することはできなかった.
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- sorafenib
- 商
- ネクサバール
- 関
- その他の腫瘍用薬。上皮成長因子受容体阻害薬
- もともとC-RAFを阻害するように設計されたが、B-RAFに対する阻害作用も認められた。
- さらにVEGFR-2やPDFDR-βのチロシンキナーゼ活性も阻害することが示されている
効能又は効果/用法及び用量
- 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,切除不能な肝細胞癌
作用機序
- (1)
- 1. B-Rafのキナーゼ活性やc-KIT受容体のチロシンキナーゼ活性などを阻害することで腫瘍進行を阻止
- 2. 血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)や血小板由来成長因子受容体(PDGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害し腫瘍血管形成に対抗する
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%96
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291017F1025_1_12/4291017F1025_1_12?view=body