セツキシマブ
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セツキシマブ
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
点滴静注 |
薬物動態的データ |
半減期 |
114 時間 |
識別 |
CAS登録番号 |
205923-56-4 |
ATCコード |
L01XC06 |
KEGG |
D03455 |
化学的データ |
化学式 |
C6484H10042N1732O2023S36 |
分子量 |
145781.6 |
セツキシマブ (Cetuximab) は、上皮成長因子受容体 (EGFR) に結合して、EGFRの働きを阻害するモノクローナル抗体である。抗がん剤として使用され、癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬のひとつである。
目次
- 1 概要
- 2 歴史
- 3 使用方法
- 4 作用機序
- 5 臨床効果
- 5.1 大腸癌
- 5.2 頭頸部癌
- 5.3 非小細胞肺癌
- 6 参考文献
概要[編集]
セツキシマブはIgG1に属するヒト・マウスキメラ化モノクローナル抗体であり、点滴静注で使用される。商品名はアービタックス® (Erbitax®)。開発コード名「IMC-C225」で呼ばれることもある。米国イムクローン・システムズ社によって開発・製造され、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社により販売される。EGFRを発現する転移性大腸癌に対する治療薬、および頭頸部癌(EGFRの発現を問わない)の治療薬として日本、米国食品医薬品局 (FDA) などで承認を受けている。
副作用として現れる皮疹のグレードと生存期間との間に相関関係が知られており、患者(大腸がん)の全生存率が20パーセント以下になるのは、皮疹がない場合で6ヵ月以上に対して、グレード1の患者は13ヶ月以上、グレード2以上の患者17ヵ月以上であった。なお、皮疹グレード2以上と皮疹なしの患者の死亡のハザード比(HR:Hazard Ratio、危険率)は 0.33(p<0.001)[1]。
なお、理由は不明だがセツキシマブとベバシズマブ(アバスチン)の併用治療は、無再発生存期間と全生存期間中央値を有意に短縮するとされる[2]。
歴史[編集]
1980年代初頭にEGFRを癌治療の標的にすることが提唱され、EGFRに対するモノクローナル抗体の研究が始まった[3]。1983年セツキシマブは培養癌細胞やマウスモデルに対し抗腫瘍効果を示すことが確認され[4][5][6]、さらに1990年には臨床試験が開始された[7]。2001年~2002年に行われた無作為化比較臨床試験[8]において大腸癌に対する効果が証明され、2003年12月に、転移性大腸癌に対する治療薬としてスイスで初めて認可を受けた。2004年2月12日米国食品医薬品局 (FDA) は、EGFRを発現する転移性大腸癌に対する治療薬として承認し、さらに2006年3月1日頭頸部癌の治療薬として追加承認を行った。また、2004年6月には欧州医薬品局 (EMEA) の認可を受けた。日本では2008年7月18日に、「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の治療薬」として、2012年3月19日には頚頭部がんの治療薬として厚生労働省の製造販売承認を受けた。
使用方法[編集]
欧米では、初回体表面積あたり400 mgを点滴静注し、その後1週間ごとに体表面積あたり250 mgを点滴静注で投与する。
作用機序[編集]
- セツキシマブは、細胞表面に存在するEGFRのリガンド結合部位に、EGFの5倍の親和性[9]を持ってEGFと競合的に結合し、EGFRの活性化、二量体化を阻害する[10]。また細胞表面にあるEGFRを細胞内へ内在化 (internalization) させる[11]。これらの結果、EGFRからのシグナル伝達が遮断され、腫瘍増殖・転移に関与する多くの細胞機能(細胞増殖、細胞生存、細胞運動、腫瘍内血管新生及び細胞浸潤など)を抑制するとされる。
- 非臨床試験(インボイド・in vitro)での研究であるが、セツキシマブはIgG1に属する抗体であるため、抗体依存性細胞障害 (ADCC/antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)活性による抗腫瘍効果も期待されている。このADCC(抗体依存性細胞障害)活性とは、細胞膜上FcγRの結合によって起こる抗腫瘍効果のひとつで、抗体ががん細胞表面に結合することで、Fc受容体を介してNK細胞に対してがん細胞を標的とさせ、NK細胞よりのパーフォリン( perforin)とグランザイム(granzyme)を分泌させることでがん細胞にアポトーシスを惹起させ、それによりがん細胞が溶けてゆくというものである[12]。なお、大腸癌細胞株に対する4 時間51Cr遊離法(NK細胞活性の測定方法の一つでクロムの放射性同位体51Crで標識(ラベル)して、リンパ球と4時間の混合培養後に上清中に検出される51Crの放射能活性を測定する)で測定した時、0.000025μg/ml以上から活性を示し0.025μg/ml (それ以上の濃度ではほぼ横ばい)で最大のADCC 活性を示した[13]。また、セツキシマブによる抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性はEGFシグナル伝達系遺伝子(K-ras)異常に関係なく、細胞表面のEGF-Rの発現と相関するとの研究[14]がある。なお、リツキサン(Rituxan)やハーセプチン(Herceptin)では、Fcレセプターを介するADCC活性が重要な抗腫瘍効果(但しマウスにる評価)[15]をもたらす主要なメカニズムとされ、近時抗体医薬におけるADCC活性の重要性は注目されている。
臨床効果[編集]
大腸癌[編集]
フルオロウラシルおよびイリノテカン抵抗性で、EGFR陽性の大腸癌患者57例を対象にした第II相臨床試験では、セツキシマブ単剤で8.8%の奏効率が得られ、36.8%で病変の進行を食い止めた[16]。同様にイリノテカン抵抗性でEGFR陽性の転移性大腸癌患者329例を対象にした無作為化比較第II相臨床試験では、セツキシマブとイリノテカンの併用療法(218例)では奏効率22.9%、病変進行までの期間は4.1か月、生存期間中央値は8.6か月であり、セツキシマブ単剤治療(111例)での奏効率10.8%、病変進行までの期間1.5か月、生存期間中央値6.9か月を上回った[17]。 現在(2013年5月)KRAS (コドン12, 13) 変異に対し後ろ向きの研究からは効果がない可能性が高いとされているが、KRAS変異のうちコドン13のみの変異については、 良好な治療効果が得られる[18]のではないかとの異論がある。
頭頸部癌[編集]
424例の未治療頭頸部扁平上皮癌患者を対象にした第III相臨床試験において、セツキシマブと放射線併用療法群(211例)は生存期間中央値49か月、局所制御期間24.4か月であり、放射線治療単独群(213例)の生存期間中央値29.3か月、局所制御期間14.9か月を上回った[19]。 さらに、442例の未治療頭頸部扁平上皮癌(再発あるいは転移症例)を対象とした第III相臨床試験において、セツキシマブと化学療法(プラチナとFU)併用療法群(222例)は生存期間中央値10.1か月、無増悪生存期間5.6か月、奏功率36%であり、化学療法単独群(220例)の生存期間7.4か月、無増悪生存期間3.3か月、奏功率20%を有意に上回った[20]。
非小細胞肺癌[編集]
66例の既治療進行非小細胞肺癌を対象にした第II相臨床試験において、セツキシマブ単剤治療は4.5%の奏功率、30.3%の病勢制御率であり、EGFR陽性例(60例)に限っても5.0%の奏功率、30.0%の病勢制御率であった[21]。
参考文献[編集]
- ^ 三重大学医学部医学部付属病院 皮膚科・薬剤部 「分子標的薬 皮膚対策マニュアル2011」 p.29 /HRについてJonker DJ, et al.: N Engl J Med. 357(20): 2040-2048, 2007
- ^ Tol J, et al., Chemotherapy, Bevacizumab, and Cetuximab in Metastatic Colorectal Cancer. New Eng J Med 360:563-572, 2009.
- ^ Mendelsohn J, Baselga J. "Status of epidermal growth factor receptor antagonists in the biology and treatment of cancer." J Clin Oncol, 21, 2003, p.p. 2787-2799. PMID 12860957
- ^ Kawamoto T, Sato JD, Le A, et al. "Growth stimulation of A431 cells by EGF. Identification of high affinity receptors for epidermal growth factor by an anti-receptor monoclonal antibody." Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America, 80, 1983, p.p. 1337-1341. PMID 6298788
- ^ Sato JD, Kawamoto T, Le AD, et al. "Biological effect in vitro of monoclonal antibodies to human EGF receptors." Molecular Biology & Medicine, 1, 1983, p.p. 511-529. PMID 6094961
- ^ Masui H, Kawamoto T, Sato JD, et al. "Growth inhibition of human tumor cels in athymic mice by anti-epidermal growth factor receptor monoclonal antibodies." Cancer Research, 44, 1984, p.p. 1002-1007. PMID 6318979
- ^ Divgi CR, Welt S, Kris M, et al. "Phase I and imaging trial of indium 111-labeled anti-epidermal growth factor receptor monoclonal antibody 225 in patients with squamous cell lung carcinoma." Journal of the National Cancer Institute, 83,1991, p.p. 97-104. PMID 1988695
- ^ Cunningham D, Humblet Y, Siena S, et al. "Cetuximab monotherapy and cetuximab plus irinotecan in irinotecan-refractory metastatic colorectal cancer." NEJM., 351, 2004, p.p. 337-345. PMID 15269313
- ^ Goldstein N, Prewett M, Zuklys K, Mendelsohn J. "Biological efficacy of a chimeric antibody to the epidermal growth factor receptor in a human tumor xenograft model." Clinical Cancer Research, 1, 1995p.p. 1311-1318. PMID 9815926
- ^ Li S, Schmitz KR, Jeffrey PD, et al. "Structural basis for inhibition of the epidermal growth factor receptor by cetuximab." Cancer Cell, 7, 2005, p.p. 301-311. PMID 15837620
- ^ Waksal H. "Role of an anti-epidermal growth factor receptor in treating cancer." Cancer Metastasis Reviews, 18, 1999, p.p. 427-36. PMID 10855786
- ^ ブリストル・マイヤーズ株式会社HP「アービタックスR注射液100mg」 アービタックスR 非臨床試験(アービタックスR製品情報概要より) [1]
- ^ 山口耕介ほか 『大腸癌細胞株に対するセツキシマブを介した抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)の検討』Biotherapy( 2008年 22巻6号)p. 423~430 癌と化学療法社 2008年
- ^ 日本消化器外科学会 第67 回日本消化器外科学会総会2012年7月(一般演題19 大腸化学療法1)瀬尾雄樹ほか 「大腸癌におけるcetuximab の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性と細胞表面EGF-R 発現との関連」日本消化器外科学会HP [2]
- ^ Nat Med. 2000 Apr;6(4):443-6./Inhibitory Fc receptors modulate in vivo cytotoxicity against tumor targets./ Clynes RA, Towers TL, Presta LG, Ravetch JV. Laboratory of Molecular Genetics and Immunology, The Rockefeller University.
- ^ Saltz LB, Meropol NJ, Loehrer PJ Sr, et al. "Phase II trial of cetuximab in patients with refractory colorectal cancer that expresses the epidermal growth factor receptor." Journal of Clinical Oncology, 22, 2004, p.p. 1201-1208. PMID 14993230
- ^ Cunningham D, Humblet Y, Siena S, et al. "Cetuximab monotherapy and cetuximab plus irinotecan in irinotecan-refractory metastatic colorectal cancer." NEJM., 351, 2004, p.p. 337-345. PMID 15269313
- ^ 『Cetuximabで治療した化学療法抵抗性の転移を有する大腸癌患者におけるKRAS p.G13D変異と予後との関係』 Association of KRAS p.G13D mutation with outcome in patients with chemotherapy-refractory metastatic colorectal cancer treated with cetuximab / *De Roock W, Jonker DJ, Di Nicolantonio F, Sartore-Bianchi A, Tu D, Siena S, Lamba S, Arena S,Frattini M, Piessevaux H, Van Cutsem E, O'Callaghan CJ, Khambata-Ford S, Zalcberg JR, Simes J, Karapetis CS, Bardelli A, Tejpar S. / JAMA. 2010; 304(16): 1812-1820
- ^ Bonner JA, Harari PM, Giralt J, et al. "Radiotherapy plus cetuximab for squamous-cell carcinoma of the head and neck." NEJM., 354, 2006, p.p. 567-578. PMID 16467544
- ^ Vermorken JB, Mesia R, Rivera F, et al. "Platinum-based chemotherapy plus cetuximab in head and neck cancer." NEJM., 359, 2008, p.p. 1116-1127.
- ^ Hanna N, Lilenbaum R, Ansari R, et al. "Phase II trial of cetuximab in patients with previously treated non-small-cell lung cancer." Journal of Clinical Oncology, 24, 2006, p.p. 5253-5258. PMID 17114658
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- セツキシマブ(アービタックス^【○!R】)による薬疹
- 山村 和彦,寺尾 浩,桐生 美麿,田中 吏佐,三ツ木 健二
- 日本皮膚科学会雑誌 120(12), 2399-2406, 2010-11-20
- NAID 10030407866
- 症例検討&パネルディスカッション How to care, how to cure (アービタックス学術講演会 New Era: Personalized therapy for mCRC: How to care, how to cure)
- Dynamic onco-surgical approach for mCRC (アービタックス学術講演会 New Era: Personalized therapy for mCRC: How to care, how to cure)
Related Links
- 治癒切除が不可能な進行・再発の大腸がんを対象とした分子標的薬で、2008年7月に 製造販売承認されました。併用療法で生じた副作用には軽微なものが多く、イリノテカン の副作用を増幅させることはなかったとされています。
- アービタックス®注射液100mg(一般名セツキシマブ(遺伝子組換え): 以下、 アービタックス)は、世界初の「ヒト上皮細胞増殖因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)を標的とする免疫グロブリンG(1 IgG1)サブクラスのヒト/ マウスキメラ型 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 抗悪性腫瘍剤 抗ヒトEGFR注2)モノクローナル抗体
- 注2)EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor(上皮細胞増殖因子受容体)
販売名
アービタックス注射液100mg
組成
有効成分 1バイアル(20mL)中の分量
- セツキシマブ(遺伝子組換え)注3) 100mg
注3)マウスハイブリドーマ細胞株を用いて製造される。マスターセルバンク及びワーキングセルバンク構築時にウシ胎児血清を使用している。また、製造工程において、培地成分としてウシ血清由来成分(アルブミン及びリポたん白質)を使用している。
添加物 1バイアル(20mL)中の分量
- 塩化ナトリウム 116.88mg
グリシン 150.14mg
ポリソルベート80 2.00mg
クエン酸水和物 42.02mg
その他、添加物としてpH調節剤を含有する。
禁忌
効能または効果
- EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 術後補助化学療法としての本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の使用に際してはKRAS遺伝子変異の有無を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと(「臨床成績」の項参照)。
- 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
- 通常、成人には週1回、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400mg/m2(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- オキサリプラチン及びフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法が無効となった患者に対するイリノテカン塩酸塩水和物との併用において、本剤の上乗せによる延命効果は検証されていない(「臨床成績」の項参照)。
- 本剤と放射線療法との併用における有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤投与時にあらわれることがあるinfusion reactionを軽減させるため、本剤の投与前に抗ヒスタミン剤の前投薬を行うこと。さらに、本剤投与前に副腎皮質ホルモン剤を投与すると、infusion reactionが軽減されることがある。
- 重度(Grade3以上注4))のinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を直ちに中止し、再投与しないこと。軽度〜中等度(Grade1-2注4))のinfusion reactionが発現した場合には、投与速度を減速し、その後の全ての投与においても減速した投与速度で投与すること。投与速度を減速した後に再度infusion reactionが発現した場合には、直ちに投与を中止し、再投与しないこと。
- 重度(Grade3以上注4))の皮膚症状が発現した場合には、次表に従い本剤の用量を調節すること。
〈用量調節の目安〉
注4)GradeはNCI-CTCに準じる。
注射液の調製方法及び投与速度
- 本剤の投与時には必要量を注射筒で抜き取り、点滴バッグ等を用い日局生理食塩液で希釈してあるいは希釈せずに、10mg/分以下の投与速度で、初回投与時は2時間、2回目以降は1時間かけて静脈内注射すること。投与終了後は本剤投与時と同じ投与速度でラインを日局生理食塩液にてフラッシュすること。
慎重投与
- 間質性肺疾患の既往歴のある患者[間質性肺疾患を増悪させるおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
- 心疾患のある患者又はその既往歴のある患者[心疾患を増悪させるおそれがあるため、本剤による治療を開始するにあたっては、患者の冠動脈疾患、うっ血性心不全及び不整脈等の既往歴に注意すること(「重要な基本的注意」の項参照)。]
重大な副作用
重度のinfusion reaction
(5%未満)
- 重度のinfusion reactionとして、気管支痙攣、蕁麻疹、低血圧、意識消失又はショックを症状としたアナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、投与中及び投与後も観察を十分に行い、重度のinfusion reactionが認められた場合は、本剤の投与を直ちに中止し、それ以降、本剤を再投与しないこと(「警告」及び「重要な基本的注意」の項参照)。
重度の皮膚症状
(10〜15%)
- 皮膚症状[主にざ瘡様皮疹、皮膚の乾燥及び亀裂、続発する炎症性及び感染性の症状(眼瞼炎、口唇炎、蜂巣炎、嚢胞等)]があらわれることがあり、重度の皮膚症状(主にざ瘡様皮疹)発現後に、切開排膿を要する膿瘍や黄色ブドウ球菌敗血症等を合併した例が報告されているので、重度の皮膚症状が認められた場合には、本剤の投与量を調節するとともに、続発する炎症性又は感染性の症状の発現に十分注意し、これらの症状に対する適切な治療を行うこと。また、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)。
間質性肺疾患
(0.5%未満)
- 間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状が急激にあらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
心不全
(頻度不明注8))
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重度の下痢
(頻度不明注8))
- 重度の下痢及び脱水があらわれることがあり、腎不全に至った症例も報告されている。観察を十分に行い、これらの症状があらわれた場合には、止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- セツキシマブはヒトIgG1の定常領域とマウス抗体の可変領域からなるキメラ型モノクローナル抗体であり、EGFR発現細胞のEGFRに対して高い親和性で結合する9)。
抗腫瘍作用
- 多様なEGFR陽性癌細胞株において、セツキシマブのin vitro増殖阻害作用は濃度依存的であった10),11),12)。また、セツキシマブの増殖阻害作用は多様なEGFR陽性癌細胞株(ヒト結腸癌GEO等)を用いたin vivoモデルにおいても確認されている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- セツキシマブ(遺伝子組換え)
Cetuximab(Genetical Recombination)
本質:
- マウス抗ヒト上皮細胞増殖因子受容体モノクローナル抗体の可変部及びヒトIgG1定常部からなるヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体をコードするcDNAの導入によりマウスハイブリドーマSP2/0-Ag14細胞株で産生される214個のアミノ酸残基(C1025H1595N281O338S5;分子量:23,422.64)からなる軽鎖2分子と449個のアミノ酸残基(C2208H3400N582O674S15;分子量:49,363.09)からなる重鎖2分子からなる糖たん白質(分子量:約151,800)
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商品
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- cetuximab
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- アービタックス Erbitax
- 関
- 上皮成長因子受容体、上皮成長因子受容体阻害薬
- セツキシマブは、上皮成長因子受容体 (EGFR) に結合して、EGFRの働きを阻害するモノクローナル抗体である。(wikipedia)
- 抗がん剤として使用され、癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬のひとつである。(wikipedia)