- 英
- danazol
- 商
- ボンゾール
- 関
- ダナゾール療法、ボンゾール療法
- エチステロン(17α-エチニルテストステロン)の誘導体。
- 抗ゴナドトロピン作用(FSH,LHの分泌を抑制)を有し、無月経をきたす。例えば、子宮内膜の偽閉経療法として用いられる。また、乳腺症にも用いられる。
- 作用機序:(下垂体)LH,FSHを程度低下させ、エストラジオールを中等度低下させる。(子宮体内膜)子宮内膜のアンドロゲンレセプターに結合して増殖を抑制。(NGY.198)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/24 16:14:16」(JST)
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ダナゾール
|
IUPAC命名法による物質名 |
(1S,2R,13R,14S,17R,18S)-17-エチニル-2,18-ジメチル-7-オキサ-6-アザペンタシクロ[11.7.0.02,10.04,8.014,18]イコサ-4(8),5,9-トリエン-17-オール |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- US: ℞-only
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
15 時間 |
識別 |
CAS番号 |
17230-88-5 |
ATCコード |
G03XA01 |
PubChem |
CID 28417 |
別名 |
17β-ヒドロキシ-2,4,17α-プレグナジエン-20-イノ[2,3-D]イソオキサゾール |
化学的データ |
化学式 |
C22H27NO2 |
分子量 |
337.5 g/mol |
ダナゾール(Danazol)はテストステロン誘導体であり、婦人科領域で低エストロゲン状態を作り上げる時によく使われる薬物である。
目次
- 1 作用機序
- 2 適応疾患
- 3 副作用
- 4 関連項目
作用機序
- 下垂体でLH、FSHの分泌抑制
- 子宮で子宮内膜増殖の抑制
- 卵巣でエストロゲン合成の抑制
適応疾患
副作用を防止するために低用量(100~200mg/day)で長期間使用するのが主流である。
副作用
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 子宮内膜症薬物治療の変遷と将来展望 (特集 最新情報からみた子宮内膜症とその対策)
- 不妊合併子宮内膜症治療のためのダナゾールの新しい投与法 (特集 子宮内膜症合併不妊の治療法) -- (妊孕性向上のための内膜症治療)
Related Links
- ダナゾール. 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』. 移動: 案内, 検索 ... ダナゾール(Danazol)はテストステロン誘導体であり、婦人科領域で低 エストロゲン状態を作り上げる時によく使われる薬物である。 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ボンゾール錠100mg
組成
有効成分(1錠中)
添加物
- トウモロコシデンプン,カルメロース,クロスカルメロースナトリウム,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,酸化チタン,マクロゴール6000
禁忌
- 血栓症の既往歴のある患者〔血栓症を起こすおそれがある.〕
- アンチトロンビンIII,プロテインC,プロテインSなどの凝固制御因子の欠損又は減少のある患者〔血栓症を起こすおそれがある.〕
- 重篤な肝障害,肝疾患のある患者〔原疾患が悪化するおそれがある.〕
- 重篤な心疾患,腎疾患のある患者〔浮腫等の症状が強くあらわれるおそれがある.〕
- ポルフィリン症の患者〔症状を悪化させるおそれがある.〕
- アンドロゲン依存性腫瘍のある患者〔症状を悪化させるおそれがある.〕
- 診断のつかない異常性器出血のある患者〔このような患者では悪性腫瘍の疑いがあるため.〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
- 授乳婦(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
子宮内膜症
- 通常,成人にはダナゾールとして1日200?400mgを2回に分け,月経周期第2?5日より,約4カ月間連続経口投与する.症状により増量する.
乳腺症
- 通常,成人にはダナゾールとして1日200mgを2回に分け,月経周期第2?5日より,4?6週間連続経口投与する.
- 女性胎児の男性化を起こすことがあるので,以下の点に留意すること.
- 本剤の投与開始は妊娠していないことを確認し,必ず月経周期第2?5日より行うこと.
- 治療期間中はホルモン剤以外の方法で避妊させること.
慎重投与
- 肝障害,肝疾患のある患者〔原疾患が悪化するおそれがある.〕
- 心疾患,腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者〔浮腫等の症状が強くあらわれるおそれがある.〕
- てんかん患者,片頭痛のある患者〔浮腫等により症状が強くあらわれるおそれがある.〕
- 糖尿病患者〔耐糖能の異常がみられるおそれがあるので,十分コントロールを行いながら投与すること.〕
重大な副作用
血栓症(頻度不明)
- 脳梗塞,肺塞栓症,深部静脈血栓症,網膜血栓症等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと.
心筋梗塞(頻度不明)
劇症肝炎(頻度不明)
- 劇症肝炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと.
肝腫瘍,肝臓紫斑病(肝ペリオーシス)(いずれも頻度不明)
- 長期投与により肝腫瘍,肝臓紫斑病(肝ペリオーシス)が発生したとの報告があるので定期的に肝超音波検査等の画像診断を実施することが望ましい.
間質性肺炎(頻度不明)
薬効薬理
抗ゴナドトロピン作用6?8)
- 健康成人女性にダナゾールを200mg/日投与すると,血中FSH,LHのmid-cycle surgeを抑制した.
- 一側性卵巣摘除ラットを用いた実験で,ダナゾールは代償性の卵巣肥大を抑制し,腟発情日数を減少させた.
- 幼若去勢ラットを用いたin vivo実験で,ダナゾールは去勢による血中FSH,LHの上昇を有意に(p<0.01)抑制した.
卵巣におけるステロイドホルモン産生酵素活性抑制作用9,10)
- ヒト黄体及びハムスター卵巣のミクロソーム分画を用いたin vitro実験で,ダナゾールは17α-hydroxylase,17,20-lyase,3β-hydroxysteroid dehydrogenaseを抑制した.また,aromataseは阻害しなかった.
ステロイドレセプターとの相互作用11)
- ヒト子宮内膜を用いたin vitro実験で,ダナゾールはアンドロゲンレセプター及びプロゲステロンレセプターに結合することが認められた.
子宮内膜への直接作用12)
- ヒト子宮内膜細胞培養系を用いたin vitro実験で,ダナゾールは3H-thymidine取込みでみたDNA合成を抑制した.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 17α-2,4-pregnadien-20-yno〔2,3-d〕isoxazol-17-ol
分子式
分子量
性状
- 白色?微黄色の結晶性の粉末で,においはない.クロロホルムに溶けやすく,メタノールにやや溶けやすく,エタノール(95)又はジエチルエーテルにやや溶けにくく,水にほとんど溶けない.
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- uterine myoma, hysteromyoma, myoma of the uterus
- ラ
- myomacorporis uteri, myoma uteri
- 同
- 子宮線維筋腫 fibromyoma of uterus
- 関
概念
疫学
- 30-40歳の女性。
- 20%の婦人に認められる (NGY.209)
病理
- 筋腫内は血行障害があるために充血しており、硝子化、嚢胞化、石灰化、脂肪変性、壊死などの変性を来す。
(G9M.128)
症状
- NGY.211
- 無症状が50% ← 多くの女性は腫瘤を触知するまで無症状
- 1. 月経過多
- 2. 不正性器出血:有茎性粘膜下筋腫の場合に多い。
- 3. 圧迫症状:腫瘤による骨盤内臓の圧迫や充血による
- 4. 疼痛:月経困難症、腫瘤圧迫痛、牽引痛、有茎筋腫捻転痛
- 5. 不妊:筋腫患者の不妊率は一般女性の3-4倍
- 6. 筋腫合併妊娠では早流産をきたしやすい。
- 7. 筋腫変性による諸症状:肉様変性・赤色変性による急性の疼痛を来す。疼痛には軽度の発熱、子宮の圧痛、白血球の増多、腹膜刺激徴候を伴う事がある。(参考3)
- 参考1
自覚症状
|
例数(全92例中の%)
|
腹痛・腰痛・腹部緊満
|
53(57.6)
|
巨大腫瘤・腫瘤増大
|
39(42.4)
|
性器出血
|
27(29.3)
|
筋腫による流産既往
|
3(3.3)
|
多発筋腫で胎嚢変形
|
3(3.3)
|
筋腫変性による疼痛反復
|
2(2.2)
|
水腎症
|
1(1.1)
|
計
|
128
|
子宮筋腫と子宮腺筋症の共通点・類似点
- 過多月経、月経痛(月経困難症)、不正性器出血をみとめる。
- 子宮筋腫は40歳に最多、子宮腺筋症は20歳代から始まり、30-40歳代に最多。
合併症
検査
画像診断
- 筋腫内の血流乏しく、T1強調画像はやや低信号・T2強調画像は低信号 (G9M.131)
- T1強調画像:
- 境界明瞭な低信号領域。flow void signが認められる ← 子宮筋腫の周りには血管が豊富なため
- 内部に変性があれば高信号が散在する
- 子宮は(高信号)子宮内膜>子宮筋層>(低信号)junctional zoneで、子宮筋腫はjunctional zoneと同程度の信号強度、らしい(NGY.97)
比較
子宮筋腫
|
30歳代の女性で過多月経をきたし、内診で硬く腫大した子宮を触れ、超音波で子宮体部に充実性の腫瘤を認める。MRI T2では境界明瞭な低信号を認め、JZは保たれる。
|
子宮腺筋症
|
過多月経をきたし、内診ではびまん性に腫大した弾性の子宮を触知。エコーでは子宮筋層の肥厚。MRI T2では境界不明瞭な低信号域(筋層)の中に半流動性の出血を反映する点状の高信号を認め、JZは不明瞭化する。
|
子宮体癌
|
中年~高齢女性。子宮内膜(高信号)の増殖、肥厚が見られる。境界明瞭な腫瘤ではない。MRI T2ではJZが断裂している。
|
子宮頚癌
|
子宮体部は腫大しない。
|
治療
- 超手拳大以上の大きさ、疼痛、圧迫症状、出血が多いことによる強い貧血などの症状がなければ定期診断のみで経過を見る。
1. 手術療法
2. 薬物療法
- 2. ダナゾール(抗ゴナドトロピン作用(FSH,LHの分泌を抑制)) → すたれつつある
- 下垂体ゴナドトロピン分泌抑制と卵巣直接作用でエストロゲン分泌を抑制する
- 4ヶ月までしか使えない
|
子宮筋腫
|
子宮腺筋症
|
T2強調画像
|
低信号
|
境界
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明瞭
|
不明瞭
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変性
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さまざまな高信号
|
-
|
異所性内膜
|
-
|
点状高信号
|
flow void sign
|
+
|
-
|
参考
- 1. クリニカルカンファレンス(一般診療・その他);5.婦人科腫瘍合併妊婦の取り扱い 1)子宮筋腫 - 日産婦誌59巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-545.pdf
- 2. 研修コーナー E.婦人科疾患の診断・治療・管理 7.婦人科感染症 5)性感染症 8.腫瘍と類腫瘍 3)子宮の腫瘍・類腫瘍 子宮筋腫 子宮腺筋症 子宮肉腫 4)卵巣の腫瘍・類腫瘍 悪性卵巣腫瘍 悪性腫瘍 - 日産婦誌61巻5号
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kenshu_61-5.pdf
- 3. [charged] Epidemiology, clinical manifestations, diagnosis, and natural history of uterine leiomyomas (fibroids) - uptodate [1]
[★]
- 英
- pregnancy, gravidity, gestation
- 関
- 妊娠週数、妊娠期間、(妊娠週数・妊娠月数の推定)子宮#子宮の大きさ、trimester。妊婦
- 妊娠x週
- x weeks of gestation
妊娠期間 (L.107)
- 最終月経の開始から280日(40週)
- 受精後266日(38週)
妊娠に伴う自覚、検査所見
- QB必修
- 尿検査による妊娠反応陽性:4週
- つわり症状 :6週
- 胎動の自覚 :18-20週
検査
超音波検査
- QB必修
- 妊娠4週:胎囊
- 妊娠5週:胎児
- 妊娠6週:胎児心拍
- 妊娠10-12週:ドップラーによる胎児心拍
尿妊娠反応
妊娠による変化
- G10M.38 NGY.293-303
- 循環血液量増加 → 血漿量の増加が血球成分の増加より著しい → 血液希釈(赤血球数↓、Hb↓、Ht↓)
- 白血球増加(5000~12000 /ul)。多核白血球優位に増加。
- 凝固能:凝固系亢進、線溶系抑制
- 血液凝固因子:第XI因子、第XIII因子を除き、血液凝固因子の濃度が上昇
- 胃:緊張度と運動性低下。食道括約筋圧低下、妊娠子宮による胃の変異により胃食道逆流が生じやすい(→麻酔管理では妊婦はfull stomach扱い)。
- 胸郭弛緩、横隔膜挙上、気道拡張(プロゲステロンによる気管平滑筋弛緩)
- →[一回換気量]増加、[予備呼気量]減少、[残気量]減少 → 残気量が減少し、一回換気量が増加 → 分時換気量増加
-
- 食後血糖は上昇。空腹時血糖は低下する。また、食後に高インスリン血症が持続する。 (NGY.293)
- FSH, LH:非妊娠時の基礎値
- hCG:10週前後にピークとなり以降、減少。
- PRL:妊娠末期に向かって増加
妊娠によるエネルギー付加量
- NGY.324
- 日本人成人女子の生活活動強度別の栄養所要量(kcal/day)
- 妊婦 +350
- G10M.72
- 妊娠初期:50kcal
- 妊娠中期:250kcal
- 妊娠末期:500kcal
- 授乳中:450kcal
妊娠と服用薬
- 妊娠と薬情報センター - 独立行政法人 国立成育医療研究センター
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html
服用薬の影響
- 4週から7週末までは器官形成期であり、催奇形性が確認されているものはワルファリン(鼻奇形、骨形成不全)、メトトレキセート(種々の奇形)、抗てんかん薬(種々の奇形)がある。(参考1)
臨床関連
届出
参考
- http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf
[★]
- 英
- pseudomenopausal treatment, pseudomenopausal therapy
適応
種類
- ダナゾール療法:ダナゾール:男性ホルモン誘導体(エチステロン誘導体)。LH,FSHの分泌を抑制。排卵を抑える程度(LHサージの消失)。
- :性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬/GnRH作動薬/GnRHアナログ:flare upあり。LH,FSHの分泌を完全に抑制。高度の低エストロゲン状態。
- :性腺刺激ホルモン放出ホルモン拮抗薬/GnRH拮抗薬:flare upなし。LH,FSHの分泌を完全に抑制。高度の低エストロゲン状態。
参考
- 1. クリニカルカンファレンス3 生殖医療のup-to-date 3)調節卵巣刺激法 - 日産婦誌62巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/62/6209-141.pdf
- GnRH agonistとGnRH antagonistの比較
[★]
[★]
- 英
- ethisterone
- 同
- エチニルテストステロン ethynyl testosterone
- 関
- ダナゾール
[★]
- 英
- low dose danazol
- 関
- ダナゾール