- 英
- left bundle branch block, LBBB
- 関
- 右脚ブロック、束枝ブロック、脚ブロック
分類
脚ブロックと心音、電気軸との関係
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/15 09:51:46」(JST)
[Wiki ja表示]
左脚ブロック |
分類及び外部参照情報 |
幅の広いQRSを伴う典型的な左脚ブロックのV1とV6誘導心電図
|
ICD-10 |
I44.4 - I44.7 |
DiseasesDB |
7352 |
eMedicine |
ped/2501 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
左脚ブロック(さきゃく-、英 Left bundle branch block; LBBB)とは心電図でみられる伝導異常のこと[1]。 この異常がみられるときには、左心室の活動電位は遅れ、右心室よりも左心室の収縮は遅れることになる。
目次
- 1 心電図による診断
- 2 原因
- 3 治療
- 4 分類
- 5 参照・引用
- 6 関連事項
- 7 外部リンク
心電図による診断[編集]
左脚ブロックと上室性期外収縮による不整脈を呈する心電図
心電図における左脚ブロックの診断基準:
- 心拍は上室性起源による
- QRS幅は120 ms以上である[2]。
- QS または rS パターンが V1誘導でみられる。
- 単相性R波がIおよびV6誘導でみられる。
胸部誘導でみられるST部の左脚ブロック様の変化は信頼できない。
一般に脚ブロックのために、T波はQRS波と反対側にみられる。 一致したT波は心筋虚血や心筋梗塞を示唆する可能性がある。
暗記法として、「WiLLiaM MaRRoW」というものがある。これは左脚ブロック(L)ではWがV1に、MがV6にみられ、右脚ブロック(R)ではMがV1で、WがV6でみられるというものである。
原因[編集]
- 大動脈狭窄症
- 拡張型心筋症
- 急性心筋梗塞
- 狭心症
- 他の疾患を伴わない伝導障害
治療[編集]
- 内科的治療: 左脚ブロックを持つ患者は心機能の評価が必要である。失神を伴う患者はペースメーカーを必要とする。
- 外科的治療: 極度のQRS延長とうっ血性心不全を伴う左脚ブロック患者はペースメーカーにより症状が改善する可能性がある。
分類[編集]
左脚は、解剖学的には分類できないが、電気生理学的には前枝と後枝に分類される。
- 左脚前枝ブロック(left anterior fascicular block; LAFB)[3]
- QRS軸が-45度以上の高度の左軸偏位を示しているもの。II誘導で、S波の深さがR波の2倍以上あるようであれば、高度の左軸偏位と判断する。
- 左脚後枝ブロック(left posterior fascicular block; LPFB) [4]
- 完全右脚ブロック+左脚後枝ブロックによる2枝ブロックは、完全右脚ブロック+左脚前枝ブロックによる2枝ブロックよりも、発作性房室ブロックをきたしやすい。[5]これは左脚前枝のほうが後枝に比べて細く、途絶しやすいためと考えられている。
参照・引用[編集]
- ^ “Conduction Blocks 2006 KCUMB”. 2009年1月20日閲覧。
- ^ “Lesson VI - ECG Conduction Abnormalities”. 2009年1月7日閲覧。
- ^ x20050921122910832459 - GPnotebook
- ^ x20050921123129832459 - GPnotebook
- ^ Cardiac Electrophysiology. 2004. 485-489.
関連事項[編集]
外部リンク[編集]
- http://library.med.utah.edu/kw/ecg/mml/ecg_lbbb.html
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性心疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
|
|
弁膜性心疾患
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(特発性拡張型心筋症 · 肥大型心筋症 · 拘束型心筋症 · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍 | 心臓神経症 | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
動脈
|
動脈硬化 | 大動脈瘤 | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群 | 動静脈瘻 | 閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
|
|
内科的治療
|
心臓作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
|
血管作動薬
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 症例 心臓再同期療法により一過性左脚ブロックに伴う心不全増悪イベントの反復が回避できた1例
- 心磁図を用いた脚ブロックの心室内伝導遅延の時空間解析
- 緒方 邦臣,高木 洋,神鳥 明彦,宮下 豪,山下 江美,橋本 修治,清水 渉,鎌倉 史郎
- 心電図 31(1), 34-44, 2011
- … 常の正面記録法では,心臓後面側の微小な信号の記録が十分になされない可能性がある.そこで,心臓の正面と背面の両方から心磁記録を行い,脚ブロックの心室内伝導遅延の時空間解析を行った.完全左脚ブロック(CLBBB)例と完全右脚ブロック(CRBBB)例で,正面と背面の心磁波形からそれぞれの心室脱分極信号の消失時点を決定し,時間差(正面−背面)を計測した.その結果,CLBBB例では時間差−14 ± …
- NAID 130001014060
- 清水 渉,野田 崇
- 心電図 30(5), 445-452, 2010
- … 心室頻拍(VT)の多くは何らかの器質的心疾患に合併して発症するが,明らかな器質的心疾患を有さない特発性VTの存在も知られている.特発性VTのなかで頻度の高い右室流出路起源の特発性VTは左脚ブロック型+下方軸を呈し,一般に良性のVTと考えられているが,一部には悪性の特発性VTと同形の心室期外収縮(PVC)から多形性VTや心室細動に移行する良性とはいえないグループもある.これらの悪性グループを見つけ …
- NAID 130000674744
- 27) 高血圧,痛風にて18年間加療中に完全左脚ブロックが出現し,その後左軸偏位と正常軸を繰り返している1例(第208回日本循環器学会関東甲信越地方会)
- 高遠 哲也,芦田 映直,山田 奈美恵,藤井 潤,真島 三郎
- Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society 72(Supplement_III), 1063, 2008-10-20
- NAID 110007011040
Related Links
- 図: 左脚ブロック動画. 左脚の障害により、左室に向う興奮が伝導されない状態である。 このため、正常伝導で伝えられた右室からの興奮が、遅れて左室に伝わることになる。 この場合、右室側から左室側に向けて遅れて興奮が伝わるため、胸部誘導の右側(V1, ...
- 左脚ブロック(さきゃく-、英 Left bundle branch block; LBBB)とは心電図でみられる 伝導異常のこと。 この異常がみられるときには、左心室の活動電位は遅れ、右心室より も左心室の収縮は遅れることになる。
- 2) 左脚ブロック心電図の成因 下図は、左脚ブロック時の寝室ない興奮伝播過程を模型 的に示す。左脚ブロックがあると、心室中隔の興奮は正常(左→右)と異なり、右室側 から左室側に向かう(中隔ベクトルの逆転)。このため、V6は初期r波を記録し、正常例 に ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 心電図(別冊No. 1)を別に示す。認められる所見はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110F006]←[国試_110]→[110F008]
[★]
- 英
- electrocardiogram ECG, electrocardiography
- 同
- elektrokardiogramm EKG
- 図:PT.268,279(心臓の構造と興奮伝導系)
- 心電図の読み方:PHD.108
概念
- 心臓全体の電気的活動を体表面から経時的に記録したもの。
- 特殊心筋の活動電位は記録されない。固有心筋の活動電位のみ
医学大事典より
- 心臓は拍動のたびに電気を発生し、これを心起電力(cardiac electromotive force)と呼ぶ。
- 心起電力により体表面に電流が流れると四肢や胸壁など、体表面の異なった部位間に電位差が生じる。
- この電位差を導出するための装置を心電計と呼び、心電計により時間軸に沿って記録された電位の変化を心電図という。
意義
- 心電図は心臓の電気的興奮の伝達を記録したものである。P波は心房の脱分極を、QRS波は心室の心筋細胞の脱分極を表す。T波は心室の再分極を表す。つまり心筋の異常がある場合何かしらの変化が心電図上に表れるということである。心電図は身体に侵襲的な影響を及ぼさない検査である。このことはこの検査を心臓の疾患を疑ったら即行ってよいということである。
- 心電図は、不整脈、心筋梗塞、心筋虚血、心膜炎、心房負荷、心室肥大・心室拡大、電解質異常などの判断に有用である。
施行する目的
- 心臓疾患疑い(狭心症・心筋梗塞・不整脈など)
- スクリーニング(学校検診、職場検診など)
心電図の種類
電極の部位による分類
表現形式による分類
- ベクトル心電図:心起電力をベクトル環として三次元的に描く
- スカラー心電図:時間軸に沿った電位の記録
心電図の記録サイズ
- 縦軸:10mm = 1mV
- 横軸: 5mm = 0.2s
標準12誘導心電図
- 標準肢誘導(I,II,III) + 単極肢誘導(aVR, aVF, aVL) + 胸部誘導(V1, V2, V3, V4, V5, V6) = 12誘導
電極の取り付け位置・電極の色
単極肢誘導
- EAB.5改変
V1
|
右第4肋間
|
赤
|
V2
|
左第4肋間
|
黄
|
V3
|
V2とV4の中点
|
緑
|
V4
|
左第5肋間かつ鎖骨中線
|
茶
|
V5
|
V4と同じ高さで前腋窩線との交点
|
黒
|
V6
|
V4と同じ高さで中腋窩線との交点
|
紫
|
心電図の波
- 6つの棘波よりなる
- P波:心房の電気的興奮。:0.12-0.20s (3-5mm)
- QRS複合:心室の電気的興奮:0.06-0.15s :正常; 0.06-0.08s (1.5-2mm), 不完全脚ブロック; 0.08-0.12s (2-3mm), 完全脚ブロック ≧0.12s (≧3mm)
- T波:心室の再分極(心室筋興奮の回復過程):
- U波
心電図の波の間隔
- PQ時間:房室間伝導遅延:0.12-0.20s
- QT時間:電気的心室収縮時間:心拍数と相関関係がある
- QTc=QT/sqrt(RR)
- 心拍数によらずほぼ一定の値を示す
正常心電図における波
心電図による得られる情報 (SP.536)
- 1. 心臓内の興奮伝導の障害
- ex. 房室ブロック
- 2. 不整脈:脈拍のリズムと心拍数の異常
- ex. 心房粗動、心室細動
- 3. 冠循環の異常
- ex. 心筋梗塞
- 4. 心室肥大
- 5. 血漿中の電解質濃度の異常
各誘導で取りやすい所見
特徴的な所見
新生児・幼小児の心電図
- SPE.428-
- 電気軸:右軸偏位 → 左軸偏位 胎児循環では右心系が主に体循環に関わっていたが、成人で見られる循環では左心系が関わる。生後一ヶ月らいまでは+120~130°程度の右軸偏位
- 呼吸性不整脈:小児では顕著。吸気時に心拍数増加、呼気時に心拍数減少
- 右室肥大:新生児~乳児では肺血管抵抗がまだ高いために右室肥大が持続。
心電図と心疾患
- 心臓を栄養している血管が急激に閉塞するため、全く血液が供給されない状態。
- 急性期と慢性期では異なった心電図をとる。
- 異常Q、ST上昇、冠性T
- 心臓に器質的疾患を持たないにもかかわらず、心電図上でQT時間の延長(QT時間が0.46秒以上)を認める病態。
疾患と心電図
- 心膜炎 心外膜炎:90%の患者に異常が見られる。aVR, V1を除いたST上昇。いくつかの電極でPR部の低下(PR segment depression)
- 肺性心(肺気腫):肺性P、不完全右脚ブロック、右軸偏位、V1-V3のT波陰転・平坦化、II,III,aVFでST低下。肺高血圧、最初の3つは右室負荷を反映
- 肥大型心筋症:ST-T変化(ストレイン型の陰性T波は、上に凸のST低下を伴い、非対称性陰性T波)。Sv1, Rv5の増大。QRS時間の延長。
- 心房中隔欠損症:PR延長、不完全右脚ブロック、右軸偏位。右心系の容量負荷による遠心性心肥大。
- 心室中隔欠損症:
- ブルガダ症候群:右側胸部誘導(V1-V2(V3))のST上昇(coved型あるいはsaddle back型) 。完全あるいは不完全右脚ブロック様QRS波形(つまり、V1-V3でJ波が見られる)。
- 脚ブロック
- WPW症候群:Δ波。PQ短縮、QRS延長。V1に特徴的変化「A型: 高いR波。左室自由壁」「B型: rS型。右側」「C型: Qr/QS。中隔」
- 肺血栓塞栓症:右側胸部誘導の陰性T波、洞性頻脈、SⅠQⅢTⅢ、右脚ブロック、ST低下、肺性P、時計方向回転
- 肺気腫:V1,V2でrS/QSパターン
注意点
- 胸をさらすことになるので、女性の患者では特に配慮する。誘導の電極が正しい位置に貼られていないと記録される結果が異なってくるので、正確な位置に貼る。また、心電図は筋肉の活動も拾ってしまうので、筋緊張を和らげるため患者にはリラックスしてもらい、リラックスできる状況を作ることを心がける。
参考
- http://www.cardiac.jp/
[★]
- 英
- artificial cardiac pacemaker
- 同
- ペースメーカー
- 関
- 心臓、ペーシングモード
適応
YN2010
- 1. 完全房室ブロック
- 2. Mobitz II型の2度房室ブロック
- 3. 洞不全症候群
- 4. 一般的には脈拍40回/分以下の徐脈で、3秒以上の心停止、めまい、失神、心不全などの症状を呈する場合
不整脈の非薬物療法ガイドライン
|
ClassⅠ
|
ClassⅡa
|
ClassⅡb
|
ClassⅢ
|
|
有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている
|
有益であるという意見が多いもの
|
有益であるという意見が少ないもの
|
有益でないまたは有害であり,適応でないことで意見が一致している
|
房室ブロック
|
1 徐脈による明らかな臨床症状を有する第2度、高度または第3度房室ブロック 2 高度または第3度房室ブロックで以下のいずれかを伴う場合 (1)投与不可欠な薬剤によるもの (2)改善の予測が不可能な術後房室ブロック (3)房室接合部のカテーテルアブレーション後 (4)進行性の神経筋疾患に伴う房室ブロック (5)覚醒時に著明な徐脈や長時間の心室停止を示すもの
|
1 症状のない持続性の第3度房室ブロック 2 症状のない第2度または高度房室ブロックで、以下のいずれかを伴う場合 (1)ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの (2)徐脈による進行性の心拡大を伴うもの (3)運動または硫酸アトロピン負荷で伝導が不変もしくは悪化するもの 3。徐脈によると思われる症状があり、他に原因のない第1度房室ブロックで、ブロック部位がHis束内またはHis束下のもの
|
1 至適房室間隔設定により血行動態の改善が期待できる心不全を伴う第1度房室ブロック
|
|
2枝ブロック 3枝ブロック
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、第2度MobitzⅡ型、高度もしくは第3度房室ブロックの既往のある場合 2 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合 3。慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型第2度房室ブロックを認め、失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、失神発作を伴うが原因が明らかでないもの 2 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、器質的心疾患を有し、電気生理検査によりHis束以下での伝導遅延・途絶が証明された場合
|
1 慢性の2枝または3枝ブロックがあり、電気生理検査でHis束以下での伝導遅延・途絶の所見を認めるが、器質的心疾患のないもの
|
|
洞機能不全症候群
|
1 失神、痙攣、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感等の症状あるいは心不全があり、それが洞結節機能低下に基づく徐脈、洞房ブロック、洞停止あるいは運動時の心拍応答不全によることが確認 された場合。それが長期間の必要不可欠な薬剤投与による場合を含む
|
1 上記の症状があり、徐脈や心室停止を認めるが、両者の関連が明確でない場合 2 徐脈頻脈症候群で、頻脈に対して必要不可欠な薬剤により徐脈を来たす場合
|
1 症状のない洞房ブロックや洞停止
|
|
徐脈性心房細動
|
1 失神、痙攣、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感等の症状あるいは心不全があり、それが徐脈や心室停止によるものであることが確認された場合。それが長期間の必要不可欠な薬剤投与による場合を含む
|
1 上記の症状があり、徐脈や心室停止を認めるが、両者の関連が明確でない場合
|
|
|
過敏性頸動脈洞症候群 反射性失神
|
1 過敏性頸動脈洞症候群で、心拍抑制による反復する失神発作を認める場合 2 反射性失神で、心電図で心拍抑制が記録され、反復する失神発作を認める場合
|
1 反射性失神で、反復する失神発作があり、head-uptilt試験により心拍抑制反応が認められる場合
|
|
1 head-up tilt試験により心拍抑制反応が認められない過敏性頸動脈症候群・反射性失神
|
閉塞性肥大型心筋症
|
1 有意な流出路圧較差があり、圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で、他にペースメーカ植込みの適応となる理由を有する場合(薬剤による徐脈を含む)。
|
1 有意な圧較差があり、圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で、症状と圧較差が関連しており、薬物治療が無効か副作用のため使用不能か、他の方法が不適当な場合
|
|
1 圧較差がなく、徐脈による植込み適応もない場合。
|
禁忌
参考
- 不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
[★]
- 英
- left anterior fascicular block LAFB, left anterior hemiblock LAH LAHB
- 同
- 左脚前枝ヘミブロック
- 関
- 心室内伝導障害、左脚ブロック、左脚後枝ブロック、束枝ブロック。右脚ブロック
概念
- 心室内刺激伝導路の左脚は前枝と後枝に分かれている。
- 左脚前枝は左室前壁を左方に向かい、左脚後枝は後側壁を下方に向かう。
- 左脚前枝はもっぱら左冠動脈前下行枝から血流を得ている。
心電図所見
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
- 電気軸:左軸偏位(-30゚~-80゚)
- I,aVLがqR型(通常RaVL>RI)
- II,III,aVFがrS型(SIII>SaVF>SII)
左脚前枝の走行
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
興奮の伝達
- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
- 後枝を下り、前枝を逆行性に左上方に伝達
- QRS時間は延長せず、QRS軸は初期に下方、後期には左上方となる → -30~-80(左軸変位)
左脚前枝ブロックと左脚後枝ブロック 心電図パーフェクトマニュアルp.99
|
左脚前枝ブロック
|
左脚後枝ブロック
|
走行
|
左室前壁を左方に向かう
|
後側壁を下降する
|
大動脈弁の近くを走行
|
|
形状
|
より細長い
|
|
栄養
|
左冠動脈前下行枝のみ
|
左冠動脈回旋枝、右冠動脈
|
疾患との関連
|
|
解剖学的特性より効果病変に巻き込まれやすく、障害されやすい。また、血流のバックアップに乏しく虚血に弱い
|
|
心電図
|
QRS
|
ほとんど延長しない
|
ほとんど延長しない
|
電気軸
|
左軸偏位(-30°~-80°)
|
右軸偏位(+110°以上)
|
側壁誘導
|
qR
|
rS
|
下壁誘導
|
rS
|
qR
|
[★]
- 英
- left posterior hemiblock LPH、left posterior fascicular block LPFB
- 関
- 左脚ブロック、左室前枝ブロック、束枝ブロック
左脚前枝の走行 心電図の読み方パーフェクトマニュアル.99
左脚前枝ブロックと左脚後枝ブロック 心電図パーフェクトマニュアルp.99
|
左脚前枝ブロック
|
左脚後枝ブロック
|
走行
|
左室前壁を左方に向かう
|
後側壁を下降する
|
大動脈弁の近くを走行
|
|
形状
|
より細長い
|
|
栄養
|
左冠動脈前下行枝のみ
|
左冠動脈回旋枝、右冠動脈
|
疾患との関連
|
|
解剖学的特性より効果病変に巻き込まれやすく、障害されやすい。また、血流のバックアップに乏しく虚血に弱い
|
|
心電図
|
QRS
|
ほとんど延長しない
|
ほとんど延長しない
|
電気軸
|
左軸偏位(-30°~-80°)
|
右軸偏位(+110°以上)
|
側壁誘導
|
qR
|
rS
|
下壁誘導
|
rS
|
qR
|
[★]
- 英
- idiopathic ventricular tachycardia
- 関
- 心室頻拍
- 明瞭な基礎心疾患が認められず、電解質・代謝・内分泌などの異常や薬物の影響が泣く、QT延長症候群やBrugada症候群などが否定された心室頻拍の総称である。
- ECGP.321
- 左室起原か、右室起原か?:QRSを見て左脚ブロック型か右脚ブロック型かを判別すればよい。
- 上方に伝導か、下方に伝導か?:II,III,aVFを見て判断。
- 右室流出路起源心室頻拍:基礎疾患を合併しない。左室流出路を起原とする。持続することはなく、間欠的に出現する。
- QRS:左脚ブロック型
- 軸:II,III,aVFでR波が高い。下方軸であり、上から下に伝導
- 移行帯はV3-V4
- 自由壁側か?中隔側か?:IでRなら自由壁側(右→左)、IでrSなら中隔側(左→右)
- 左脚後枝起原心室頻拍:基礎疾患がない物がほとんど。左脚後枝プルキンエ線維内のCaチャネル依存性組織の緩徐伝導が形成するリエントリが原因と考えられる。左脚後枝の分枝が関与するためQRSが狭め。リエントリ回路にCaチャネル依存性の組織が含まれるためベラパミルが著効し、ベラパミル感受性特発性心室頻拍とも呼ばれる。
- QRS:右脚ブロック型。QRS幅は0.14秒と短め
- 軸:左軸偏位
- 鑑別:上室性頻拍+右脚ブロック左軸偏位
- 治療:ベラパミルが有効。リエントリ回路にCa依存の部位があるため。カテーテルアブレーションでも90%以上の成功率があるとされる。
[★]
- 英
- complete left bundle branch block, CLBBB
- 関
- 左脚ブロック、脚ブロック
[★]
- 英
- incomplete left bundle branch block, ILBBB
- 関
- 脚ブロック
[★]
- 英
- left branch (Z)
- ヒス束が心室中隔の上方で右脚と左脚に分岐する?
- 左脚は左脚前枝と左脚後枝に分岐するが、それぞれの末梢はプルキンエ線維で結合している。
[★]
- 英
- leg、lower extremity、peduncle、pedunculus、pedunculi
- 関
- 下肢
[★]
- 英
- block, Bloch
- 関
- 塊、遮断、阻止、封鎖