- 英
- memantine
- 化
- メマンチン塩酸塩、塩酸メマンチン memantine hydrochloride
- 商
- メマリー、Namenda
- 関
- 抗認知症薬
- NMDA受容体拮抗薬。
- NMDA受容体は大脳皮質や海馬に高密度に存在し、記憶に関係する長期増強や発達か蘇生においてちゅうしんてきにな役割を担う。ADではシナプス間隙のグルタミン酸濃度が持続的に上昇し、シナプティックノイズが上昇し、記憶を形成する神経伝達シグナルが隠されるため、記憶・学習機能が障害される。まtあ、AβがNMDA受容体のグルタミン酸認識部位に結合して細胞内にCa2+が過剰に流入して神経細胞が障害されるとも言われている。(週刊 医学会新聞 2011/5/23)
- 中等症から重症の認知症に用いられる。
- 5mgから開始して、2週間かけて5mgずつ増量し、20mgまで増量して維持量とする。
- 重度の腎機能障害(Ccr 30ml/min)の場合には、維持量は10mgとする。
- 相互作用注意:ドパミン作動薬(レボドパ)、ヒドロクロロチアジド、腎尿細管分泌(カチオン輸送系)により排泄される薬剤(シメチジン)、尿アルカリ化を起こす薬剤(アセタゾミド)、アマンタジン、デキストロメトルファン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/19 09:11:33」(JST)
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メマンチン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
1-amino-3,5-dimethyl-adamantane |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B2 (Au), B (U.S.) |
法的規制 |
S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.) |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
~100% |
代謝 |
肝臓 (<10%) |
半減期 |
60–100 hours |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
19982-08-2 |
ATCコード |
N06DX01 |
PubChem |
CID 4054 |
DrugBank |
APRD00221 |
KEGG |
D08174 |
化学的データ |
化学式 |
C12H21N |
分子量 |
179.3 g/mol |
SMILES
- CC12CC3CC(C)(C1)CC(N)(C3)C2
|
メマンチン (memantine) はアダマンタンの誘導体の1つであり、医薬品として用いられる。
目次
- 1 用途
- 2 作用機構
- 3 脚注・出典
- 4 関連項目
|
用途
塩酸メマンチンは中等度・重度アルツハイマー認知症の治療薬としてEUおよびアメリカで承認され用いられている。 日本では国内の臨床試験が、第一三共グループのアスビオファーマによって行われ、2011年1月21日に製造販売承認され、同年6月8日にメマリーという商品名で第一三共から発売された。 エーザイのアリセプトとの併用療法が有効であるとして期待されている。英国での多施設共同研究では、併用効果は、プラセボおよび単剤治療に対して有意差を持って効果があった。しかし英国当局からは否定的な見解が示されている[1]。
なお、エビデンスは報告されていないものの、薬理学上の観点から難治性の強迫性障害に対して治療効果があるのではないかと予想されている[2]。
作用機構
NMDA受容体に結合し、その働きを抑制することにより脳神経細胞の過剰な興奮による細胞死を防ぐ[3]。ただし、同じNMDA受容体拮抗薬であるフェンサイクリジンやケタミンとは異なり、正常な伝達までは遮断しないため、麻酔作用はなく幻覚などの統合失調症様の副作用もみられない。
脚注・出典
- ^ Howard R, McShane R, Lindesay J, et al. (2012-03). “Donepezil and memantine for moderate-to-severe Alzheimer's disease”. N. Engl. J. Med. 366 (10): 893–903. doi:10.1056/NEJMoa1106668. PMID 22397651.
- ^ Papapetropoulos, S. (2005). “Tardive Dystonia Associated With Ziprasidone”. American Journal of Psychiatry 162 (11): 2191–2191. doi:10.1176/appi.ajp.162.11.2191. ISSN 0002-953X.
- ^ 加藤武「メマンチンによる治療 : MK-801との相違」、『日本薬理学雑誌』第124巻第3号、日本薬理学会、2004年9月1日、 145-151頁、 doi:10.1254/fpj.124.145、 NAID 10014284463。
関連項目
- アリセプト
- MK-801
- アマンタジン
- アダマンタン
- リバスチグミン
- ガランタミン
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Japanese Journal
- 新規NMDA受容体拮抗剤であるメマンチン塩酸塩の中等度から高度アルツハイマー型認知症に対する第3相試験--有効性および安全性の検討
- 新規NMDA受容体拮抗剤であるメマンチン塩酸塩の中等度から高度アルツハイマー型認知症に対する後期第2相試験--有効性・安全性および推奨用量の検討
Related Links
- 塩酸メマンチンは中等度・重度アルツハイマー認知症の治療薬としてEUおよびアメリカで 承認され用いられている。日本でも2011年1月21日に製造販売承認された。 日本国内の 臨床試験は、第一三共グループのアスビオファーマによって行われ、エーザイの ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
メマリー錠5mg
組成
有効成分
添加物
- 乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、三二酸化鉄、カルナウバロウ
効能または効果
- 中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
- 通常、成人にはメマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口投与する。
- アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。
- 本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
- アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
- 1日1回5mgからの漸増投与は、副作用の発現を抑える目的であるので、維持量まで増量すること。
- 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者には、患者の状態を観察しながら慎重に投与し、維持量は1日1回10mgとすること(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)。
- 医療従事者、家族等の管理の下で投与すること。
慎重投与
- てんかん又は痙攣の既往のある患者[発作を誘発又は悪化させることがある。]
- 腎機能障害のある患者[本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能障害のある患者では排泄が遅延する(「用法及び用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)。]
- 尿pHを上昇させる因子(尿細管性アシドーシス、重症の尿路感染等)を有する患者[尿のアルカリ化により本剤の尿中排泄率が低下し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
- 高度の肝機能障害のある患者[使用経験がなく、安全性が確立していない。]
重大な副作用
痙攣(0.3%)
- 痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
失神(頻度不明注))、意識消失(頻度不明注))
- 失神、意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
精神症状(激越:0.2%、攻撃性:0.1%、妄想:0.1%、幻覚、錯乱、せん妄:頻度不明注))
- 精神症状(激越、幻覚、錯乱等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- アルツハイマー型認知症ではグルタミン酸神経系の機能異常が関与しており、グルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体チャネルの過剰な活性化が原因の一つと考えられている。メマンチンはNMDA受容体チャネル阻害作用により、その機能異常を抑制する。
NMDA受容体チャネルに対する阻害作用及び特性
- ラット大脳皮質神経細胞膜画分のNMDA受容体チャネルに対して、選択的で低親和性の結合を示した9)。
- ラット初代培養海馬神経細胞において、NMDA受容体チャネルの活性化によって生じる電流に対して膜電位依存性の阻害作用を示し、その作用の発現及び消失は速やかであった10)。
- ラット海馬スライスのシナプス伝達の長期増強(記憶・学習の基本モデル)の形成に対して濃度依存的な抑制作用を示すが、NMDA受容体チャネル阻害作用のIC50値付近ではほとんど影響しなかった11)。
学習障害抑制作用
- メマンチン塩酸塩投与により、次の作用が認められた。
- ラット海馬へのアミロイドβ1-40及びイボテン酸(NMDA受容体作動薬)の注入により惹起された神経細胞傷害及び空間認知機能障害を抑制した。一方、正常ラットの空間認知機能には影響しなかった12)。
- ラット腹腔内へのNMDAの投与により惹起された、神経細胞傷害に基づかない受動的回避学習障害を抑制した13)。
- 正常ラットに高用量(腹腔内10mg/kg)を投与した場合、受動的回避学習を障害したとの報告14)がある。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- メマンチン塩酸塩(Memantine Hydrochloride)
化学名
- 3, 5-Dimethyltricyclo [3. 3. 1. 13, 7] dec-1-ylamine monohydrochloride
分子式
分子量
性状
- 白色の粉末である。ギ酸又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にやや溶けやすい。
分配係数
0.32(pH7、1-オクタノール/緩衝液)
1.49(pH12、1-オクタノール/緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
- 77歳の男性。易転倒性と認知症とを主訴に来院した。1年前から歩行速度が遅くなっていた。1か月前から転倒や物忘れも出てきたため、心配した家族に連れられて受診した。意識は清明。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。Mini-Mental State Examination(MMSE)は22点(30点満点)。上下肢の筋力と腱反射とに異常を認めない。病的反射と感覚障害とを認めない。歩行はすり足、小刻みで、歩隔は広い。頭部MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 18)を別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D045]←[国試_110]→[110D047]
[★]
- 英
- levodopa
- 同
- L-dopa、L-DOPA、LD、Lドーパ、L-ドーパ、L-ドパ、ドパ、ドーパ、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン 3,4-dihydroxyphenylalanine、ジヒドロキシフェニルアラニン dihydroxyphenylalanine
- 商
- ドパストン、ドパゾール、ドパール、イーシー・ドパール配合、カルコーパ配合、スタレボ配合、デュオドーパ配合、ドパコール配合、ドパゾール、ネオドパストン配合、ネオドパゾール配合、パーキストン配合、マドパー配合、メネシット配合、レプリントン配合
[show details]
相互作用
薬剤名等
|
臨床症状・措置方法
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機序・危険因子
|
レセルピン製剤
|
脳内ドパミンが減少し本剤の作用が減弱するおそれ
|
脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
|
テトラベナジン
|
血圧降下剤(メチルドパ水和物、レセルピン、節遮断剤等)
|
血圧降下剤の作用を増強することがある
|
機序は不明であるが、レボドパに血圧降下作用があるためと考えられている。
|
抗精神病薬(フェノチアジン系薬剤 (クロルプロマジン等) 、 ブチロフェノン系薬剤 (ハロペリドール等)、ペロスピロン等
|
本剤の作用が減弱することがある
|
これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
|
全身麻酔剤(ハロタン等)
|
不整脈を起こすことがある
|
ハロタン等は交感神経のα、βレセプターの感受性を高める。一方、レボドパとの併用ではレボドパから転換したドパミンがα、βレセプターに作用して、不整脈を起こす可能性がある。
|
ピリドキシン
|
末梢での本剤の脱炭酸化を促進するため、本剤の作用が減弱することがある
|
ピリドキシンはレボドパ脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減少させると考えられる。
|
抗コリン剤、アマンタジン塩酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩
|
精神神経系の副作用が増強することがある
|
併用によりレボドパの効果増加につながるが、同時に精神神経系の副作用が増強される可能性もある。
|
NMDA受容体拮抗剤(メマンチン塩酸塩等)
|
本剤の作用を増強するおそれ
|
これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
|
パパベリン塩酸塩
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本剤の作用が減弱するおそれ
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パパベリン塩酸塩が線条体にあるドパミンレセプターをブロックする可能性がある。
|
鉄剤
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本剤の作用が減弱するおそれ
|
キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
|
イソニアジド
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本剤の作用が減弱するおそれ
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機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
|
[★]
- 関
- 認知症、抗認知症薬一覧
抗認知症薬
比較
|
コリンエステラーゼ阻害薬
|
NMDA受容体拮抗薬
|
商品名
|
アリセプト
|
レミニール
|
リバスタッチ
|
メマリー
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一般名
|
ドネペジル
|
ガランタミン
|
リバスチグミン
|
メマンチン
|
病期
|
全病期
|
軽度・中等度
|
軽度・中等度
|
中等度・高度
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副作用
|
重大
|
洞不全症候群、房室伝導障害、気管支喘息・COPDの増悪、消化性潰瘍
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高頻度
|
食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢・便秘、腹痛、興奮、不穏、不眠、眠気、徘徊、振戦、頭痛、顔面紅潮
|
めまい、便秘、傾眠、頭痛
|
|
|
皮膚かぶれ
|
|
使い分け
-
- イクセロンパッチ:4.5mg, 9mg, 13.5mg, 18mg
[★]
- 英
- memantine hydrochloride
- 関
- メマンチン、メマンチン塩酸塩
[★]
- 英
- memantine hydrochloride
- 関
- メマンチン、塩酸メマンチン