出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/04/27 11:56:26」(JST)
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IUPAC命名法による物質名 | |
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(4aS,6R,8aS)- 5,6,9,10,11,12- hexahydro- 3-methoxy- 11-methyl- 4aH- [1]benzofuro[3a,3,2-ef] [2] benzazepin- 6-ol | |
臨床データ | |
商品名 | ラザダイン |
AHFS/Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a699058 |
胎児危険度分類 | B |
法的規制 | ℞ Prescription only |
投与方法 | Oral |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 80~100% |
血漿タンパク結合 | 18% |
代謝 | 肝臓で一部代謝、CYP450:CYP2D6/3A4 |
半減期 | 7時間 |
排泄 | 尿中95%(32%は未代謝)、糞中5% |
識別 | |
CAS登録番号 | 357-70-0 |
ATCコード | N06DA04 |
PubChem | CID 9651 |
DrugBank | APRD00206 |
ChemSpider | 9272 |
UNII | 0D3Q044KCA |
KEGG | D04292 |
ChEBI | CHEBI:42944 |
ChEMBL | CHEMBL659 |
化学的データ | |
化学式 | C17H21NO3 |
分子量 | 287.354 g/mol |
SMILES | eMolecules & PubChem |
InChI
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物理的データ | |
融点 | 126.5 °C (260 °F) |
ガランタミン (ニバリン、ラザダイン、レミニール、リコレミン)は軽-中度のアルツハイマー病や様々な記憶障害の治療に用いられる薬剤である。特に脳血管障害を原因とするものに有効。Galanthus属-スノードロップ(Galanthus caucasicus、Galanthus woronowii)や他のヒガンバナ科植物(Narcissus属スイセン[1], Leucojum属-スノーフレーク、Lycoris属-ヒガンバナ)の球根や花から得られるアルカロイドである。人工的に合成することもできる。
現代医学での利用は1951年に始まり、ソ連の薬学者MashkovskyとKruglikova-Lvovaによって行われた[2]。この2人によってガランタミンのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用が証明された[3]。
最初の工業生産は1959年、ブルガリアのPaskov(Nivalin, Sopharma)によって、東欧で伝統的に用いられていた植物を用いて始められた。これは民族植物学的創薬の実例である[4][5]。
東欧、ソ連では長い間、重症筋無力症、ミオパチー、中枢神経疾患に関連する感覚・運動機能障害などの治療に用いられている。米国でもアルツハイマー治療薬としてFDAに承認されている。
目次
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精製されたガランタミンは白い粉末状物質である。可逆的なコリンエステラーゼ阻害剤であり、競合的拮抗薬である。つまり、AChEの活性を低下させることで脳内アセチルコリン濃度を増加させ、アルツハイマーの症状を改善させると考えられている。
1999年、ガランタミン-アセチルコリンエステラーゼ複合体の構造がX線回折によって決定された(PDB code: 1DX6; see complex)[6]。ニコチン性アセチルコリン受容体のアロステリックリガンドでもある[7]。認知症を根治させるという証拠はない[8]。
ガランタミンの吸収は急速、完全であり、体内では線形的な動態を示す。経口での絶対生物学的利用能は80~100%、半減期は7時間で、健康な被験者でのテストでは、経口で8mgを投与したとき、アセチルコリンエステラーゼ阻害のピークは1時間後だった。
血漿タンパク結合率は約18%で、比較的低い。
約75%は肝臓で代謝を受ける。In vitro研究ではCYP2D6、CYP3A4が関与することが示された。
Razadyne ER(1日1回服用)を用いた実験では、CYP2D6低代謝群は高代謝群と比べ薬剤への曝露量が約50%高いことが示された。
軽-中度の血管性認知症・アルツハイマー病の治療に用いられる[9][10]。
臨床試験では、副作用は他のコリンエステラーゼ阻害薬と似ており、消化器症状が主に観察される。実際にはもっと使い易い薬剤はあるが、3か月以上かけて薬量を増加させていくことで、副作用をそれと同等程度に抑えることができる[11]。
明晰夢(LD)、体外離脱体験(OBE)の確率を上げるために使用されることがある[12][13][14]。
睡眠改善薬として、睡眠への導入と睡眠の質を改善すると言われている。未だ広範な研究は行われていないが、初期の研究では不眠症に対する効果は確認できなかった。
フペルジンAのような他のコリン作動薬と共にスマートドラッグとして、または脳障害患者に対する記憶増強剤としても利用される[15]。
2つの研究で、ガランタミンを用いた軽度認知機能障害(MCI)患者に高い死亡率が観察されたため、FDAは警告を発した。[16][17]。2006年4月27日、FDAは全てのガランタミン製剤に対して、徐脈・特に素因のある患者に対しては房室ブロックを起こす可能性があるという警告を発した。また、プラシーボと比べて失神のリスクも増大するようである[18] 。
詳細は「w:Galanthamine total synthesis」を参照
植物体からの抽出か、特許の取られた全合成プロセスによって生産される。他にも様々な合成法があるが、工業的には用いられていない。
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レミニール錠4mg
頻度不明注)
リンク元 | 「抗認知症薬」 |
コリンエステラーゼ阻害薬 | NMDA受容体拮抗薬 | ||||
商品名 | アリセプト | レミニール | リバスタッチ | メマリー | |
一般名 | ドネペジル | ガランタミン | リバスチグミン | メマンチン | |
病期 | 全病期 | 軽度・中等度 | 軽度・中等度 | 中等度・高度 | |
副作用 | 重大 | 洞不全症候群、房室伝導障害、気管支喘息・COPDの増悪、消化性潰瘍 | |||
高頻度 | 食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢・便秘、腹痛、興奮、不穏、不眠、眠気、徘徊、振戦、頭痛、顔面紅潮 | めまい、便秘、傾眠、頭痛 | |||
皮膚かぶれ |
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