- 英
- familial mediterranean fever
- 関
- 周期性疾患、遺伝性周期性発熱症候群、再発性多発漿膜炎
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/27 12:21:02」(JST)
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家族性地中海熱(かぞくせいちちゅうかいねつ、Familial Mediterranean fever:略称FMF)とは、炎症性の遺伝性疾患の一つ。地中海周辺の民族に特に多いことから命名されているが、それ以外の民族でも発症例がある。家族性発作性多漿膜炎(かぞくせいほっさせいたしょうまくえん)ともいう。自己炎症症候群の一つである。なお単に「地中海熱」というとブルセラ症を指すこともあるが、これとは全く関係ない。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 診断
- 4 治療
- 5 ガイドライン
- 6 出典
原因[編集]
常染色体性劣性遺伝する。原因遺伝子はMEFVと呼ばれ、第16染色体にある [1][2]。MEFVは細胞内タンパク質ピリン(pyrin)をコードする[3]。ピリンの機能はまだ明確ではないが、カスパーゼ1の活性化を抑制することが知られている。これがインターロイキン1βの活性化を抑制することを通じて炎症を抑える(逆にピリンに異常があると炎症が促進される)のではないかといわれる[4]。
症状[編集]
大部分の患者は激しい腹痛発作を10代までに発症する。これは腹膜炎によるもので多くは発熱を伴い、数時間ないし数日続き、さらに不規則に再発する。また痛みを伴わない発熱も見られる。一部の患者では膝などの関節炎や胸膜炎による胸痛が見られる。主要な合併症としては、AA型アミロイドーシス、またこれによる腎疾患がある。アミロイドは発作時に特に多く生じるので、発作を抑える適切な治療によりアミロイドーシスを防ぐことができる。
診断[編集]
診断は、特に高リスク民族の患者の場合、発作の病歴により行われる。メタラミノール投与により軽度の発作が誘発されるので、これも診断に用いられる[5][6](日本では使用不可)。発作時には炎症マーカーにより判断できるが、激しい腹痛が虫垂炎と誤診されることが多く注意を要する。現在は遺伝子検査による診断も行われる。
治療[編集]
コルヒチンの投与が行われる。これは多くの患者で発作の頻度を低下させる効果があり、またそれによりアミロイドーシスを予防することができる。
ガイドライン[編集]
- 家族性地中海熱診療ガイドライン 2011 (暫定版)
出典[編集]
- ^ The French FMF Consortium (1997). “A candidate gene for familial Mediterranean fever”. Nat. Genet. 17 (1): 25–31. doi:10.1038/ng0997-25. PMID 9288094.
- ^ The International FMF Consortium (1997). “Ancient missense mutations in a new member of the RoRet gene family are likely to cause familial Mediterranean fever”. Cell 90 (4): 797–807. doi:10.1016/S0092-8674(00)80539-5. PMID 9288758.
- ^ Livneh A, Langevitz P (2000). “Diagnostic and treatment concerns in familial Mediterranean fever”. Baillieres Best Pract Res Clin Rheumatol 14 (3): 477–498. doi:10.1053/berh.2000.0089. PMID 10985982.
- ^ Chae JJ, Wood G, Richard K et al. (September 2008). “The familial Mediterranean fever protein, pyrin, is cleaved by caspase-1 and activates NF-kappaB through its N-terminal fragment”. Blood 112 (5): 1794–1803. doi:10.1182/blood-2008-01-134932. PMC 2518886. PMID 18577712. http://bloodjournal.hematologylibrary.org/cgi/content/full/112/5/1794.
- ^ Barakat MH, El-Khawad AO, Gumaa KA, El-Sobki NI, Fenech FF (1984). “Metaraminol provocative test: a specific diagnostic test for familial Mediterranean fever”. Lancet 1 (8378): 656–7. PMID 6142351.
- ^ Huppertz HI, Michels H (1988). “The metaraminol provocation test in the diagnosis of familial Mediterranean fever”. Monatsschr Kinderheilkd 136 (5): 243–5. PMID 3405225.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 小児期に確定診断に至らなかった家族性地中海熱の1例
- 渡邉 俊樹,佐藤 正通,合田 史,高橋 有我,内山 俊正,前澤 晃,西小森 隆太,田村 遵一
- 日本内科学会雑誌 100(4), 1041-1043, 2011-04-10
- NAID 10029096842
- 自己炎症疾患とは?--自然免疫の異常がもたらす過剰な炎症 (ここまでわかった自己免疫疾患)
- 自己炎症疾患におけるIL-1阻害療法 (特集 自己免疫疾患--分子を標的としたトランスレーショナルリサーチ) -- (サイトカインを標的とした治療)
Related Links
- 家族性地中海熱(FMF)1型の特徴は反復性の短期間の炎症・漿膜炎発作であり,発熱, 腹膜炎,滑膜炎,胸膜炎を伴い,稀に心膜炎や髄膜炎を伴う.症状と重症度は患者ごと に異なり,同一家系内でも様々な場合がある.腎不全に至るアミロイドーシスが最も ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- amyloidosis
- 同
- アミロイド症
- 関
- 難病
[show details]
概念
病型
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/004_i.htm
- アミロイドーシス(公費対象) - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/207
- http://amyloid1.umin.ne.jp/guideline2010.pdf
[★]
- 英
- immunodeficiency syndrome, immunodeficiency
- 同
- 免疫不全症、免疫不全 immune deficiency、immunodeficiency disease immunodeficiency disorder ID
- 関
- 先天性免疫不全症、原発性免疫不全症、免疫不全患者
先天性免疫不全症候群
- 抗体欠乏を主徴とする免疫不全症:B細胞の内因性欠陥またはT-B細胞相互間の異常により,抗体産生が障害された疾患群で,最も頻度が高い(原発性免疫不全症の約45%)
-
- 1. Wiskott-Aldrich症候群 WAS:血小板減少、免疫低下、湿疹。X連鎖劣性遺伝。WASpをコードする遺伝子の変異による。T細胞における免疫シナプス形成不全が本態。IgG,IgMは正常~低下、IgE, IgAは増加。リンパ球数は漸減。
- 2. DNA修復の欠陥
- 4. immuno-osseous dysplasia
- 6. 皮膚粘膜カンジダ症
- 7. 免疫不全を伴う肝静脈閉鎖症
- 8. Hoyerall-Hreidarsson症候群
-
- Chediak-Higashi症候群 CHS:好中球機能低下、NK細胞機能低下、白子症。常染色体劣性遺伝。細胞内輸送蛋白(CHS1)の調節の異常により巨大顆粒の形成、殺菌性蛋白・溶菌性酵素の食胞内放出が障害される。
- ADA欠損症
- RAG-1/2欠損症:TCR,BCRの遺伝子再構成において、RSSの認識と切断に関わるリコンビナーゼを欠損
- Artemis欠損症:TCR,BCRの遺伝子再構成において、RAGによる切断末端の修復に関わる酵素Artemisの欠損
- LIG IV欠損症
- TREC定量
- CVID/IgA欠損症
- 補体欠損症
- 若年性サルコイドーシス
- CINCA症候群
- 家族性地中海熱
- TNF受容体関連周期熱症候群
- HyperIgD症候群
免疫不全症に伴う反復感染の病原体
- 細菌性 → 抗体、補体、貪食細胞の欠損・障害
- 真菌性、ウイルス性 → T細胞の欠損・障害
免疫不全症に伴う感染症
- 1. 体液性免疫不全:B細胞欠損、Ig欠損・機能不全
- 重症感染症
- 侵襲性の強いグラム陽性菌による肺炎、敗血症、髄膜炎、中耳炎
- Stapylococcus pneumonia, Stapylococcus pyrogens, Haemophilis influenzae
- 日和見感染を起こす
- 1) 重症感染症
- 侵襲性の弱いグラム陰性菌による肺炎、敗血症、皮膚感染症
- Psudomonas, Escherichia coli, Seratia
- 2) ウイルス感染
- cytomegalovirus, helpes simplex virus, varicela zoaster virus
- 3) 真菌感染
- Candida albicans, cryptococcus, aspergillus
- 4) 原虫
- 3. 複合型免疫不全症(体液性免疫と細胞性免疫の両方の異常)
- SCID
- ①+②
- 細菌感染症による肺炎、皮膚炎、化膿性リンパ節炎 → 重症ではない
参考
- http://mymed.jp/di/d42.html
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- 英
- systemic amyloidosis
- 関
- アミロイドーシス
[★]
- 英
- familial amyloidosis
- 同
- 遺伝性アミロイドーシス hereditary amyloidosis、AF amyloidosis
- 関
- アミロイドーシス
概念
- variant plasma proteinがアミロイドとして沈着することにより発症するアミロイドーシスの一型。
分類
遺伝形式
疫学
- HIM.2148
- まれ、罹患率<1/10万人
- 中年発症
- (Ile122変異の型は)アフリカ系アメリカ人に多く、変異の頻度は4%である。
症候
- HIM.2148
- 感覚神経と運動神経を冒すような下肢の末梢ニューロパチーで発症し、上肢に及ぶ。自律神経症状は消化管症状(体重減少を伴う下痢)や起立性低血圧がある。
- 家族性アミロイド心筋症(familial amyloidotic cardiomyopathy)
臨床関連
[★]
- 英
- recurrent polyserositis RP
- 同
- 家族性地中海熱 familial Mediterranean fever、家族性発作性多発漿膜炎 familial paroxysmal polyserositis、良性発作性多発漿膜炎 benign paroxysmal polyserositis、アルメニア病 Armenian disease
[★]
- 英
- amyloidosis in familial Mediterranean fever
[★]
- 英
-
- 関
- 科、家系性、家族性、家庭、系統群、産生、親戚、ファミリ、ファミリー、一対、ファミリーメンバー、家族特性
[★]
- 英
- heat、hot、 fever(→発熱)
- 関
- アイソトープ、加温、発情、発情期、放射性、加熱、熱い、熱感、ホット
[★]
- 英
- Mediterranean fever
- 同
- マルタ熱 Malta fever
- 関
- ブルセラ症
[★]
- 英
- familial
- 関
- 家系性、家族