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- Mediterranean fever
- 同
- マルタ熱 Malta fever
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- ブルセラ症
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ブルセラ症 |
分類及び外部参照情報 |
ブルセラ
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ICD-10 |
A23. |
ICD-9 |
023 |
DiseasesDB |
1716 |
MedlinePlus |
000597 |
eMedicine |
med/248 |
MeSH |
D002006 |
ブルセラ症(ブルセラしょう、brucellosis)とは、ブルセラ(Brucella)属の細菌に感染して起こる人獣共通感染症。日本においては家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病、感染症法における四類感染症に指定されている。診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る[1]。 マルタ熱とも呼ばれる。ブルセラ属細菌は国立感染症研究所病原体等安全管理規程においてレベル3に分類されている。動物への依存度が強い国や地域では、依然発生は多い。動物のブルセラ症対策が行き届いた結果、多くの工業国ではヒトのブルセラ症も減少した。 これは、ヒトのブルセラ症の発生が保菌動物の存在に依存していることを示している[1]。
目次
- 1 病原体と感染症の概要
- 1.1 主な分布地域
- 1.2 菌種と主な宿主
- 1.3 感染経路(ヒト)
- 1.4 感染経路(牛)
- 2 診断と治療
- 3 関連法規
- 4 脚注
- 5 外部リンク
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病原体と感染症の概要
ブルセラはグラム陰性の球形に近い小桿菌で、莢膜、芽胞、鞭毛をもたず、発育は非常に遅い。潜伏期間は2~3週間。 そのため、通常の培養は少なくとも4週間は経過観察の必要がある。脾臓、リンパ節などでの細胞内増殖をする。ほこりの中では6週間、土や水の中では10週間生存する[2]。 家畜との接触、汚染乳製品の摂取を通じてヒトに感染する。1887年、クリミア戦争でマルタ熱の原因病原体としてイギリス軍の軍医・デビッド・ブルース(Sir David Bruce)によって Micrococcus melitensis が発見された[3]ため、この名前が付いた。100個以下の菌数でも感染するとされ、感染しやすく検査室感染も多い[4]。
ヒトに感染を起こすのは Brucella abortus、B.melitensis、B.suis、B.canis の4種類とされていたが、近年の研究ではB. pinnipedialis、 B. ceti でも感染するとされている[4]。
牛においてはBrucella abortusの感染が妊娠6~8ヶ月での流産の原因となる。日本では家畜におけるブルセラ症は1970年代にほぼ撲滅されたが、現在でも犬のBrucella canis感染が見られる。 ヒトに感染すると発熱、発汗、頭痛、背部痛、体力消耗というような症状を起こす。重症化すれば脳炎、髄膜炎などの中枢神経の炎症や心内膜炎、骨髄炎を起こすこともある。 テトラサイクリンやストレプトマイシンなどに感受性を示すが、細胞内寄生を持つため体内の菌の撲滅は難しく、再発する。なお、家畜においては治療を行わず殺処分する。現在家畜のみ、生体輸入については厳しい検疫制度により感染家畜を輸入されない様水際で監視され、罹患家畜は殺処分されている。犬猫ペットについては充分な検疫はされないので、外観で感染が判断できないため感染犬を輸入してしまう場合もある。Brucella canisによる犬ブルセラ症は、日本に定着したと考えられ犬の2−5%が既にキャリアである[4]。山口県による2005年の報告によれば、48検体中1検体で抗体を検出した[5]。
主な分布地域
世界的に分布。地中海地域、西アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、南アメリカ、アラビア湾域、インドなど。
菌種と主な宿主
- Brucella abortus - ウシ (北米ではバイソンとエルクも) - バング熱とも
- B. suis - トナカイ、齧歯(げっし)目、ブタ - ブタ流産菌病とも
- B. melitensis - ヒツジとヤギ - マルタ熱または地中海熱とも
- B. ovis - ヒツジ
- B. canis - イヌ
- イヌではほとんど症状はみられないが、雌では妊娠45~55日頃に死流産、雄では精巣、精巣上体、前立腺の腫脹を示す。
- B. maris - 海洋動物
- B. neotomae - 齧歯(げっし)目
- B. pinnipedialis - 鰭脚類
- B. ceti - クジラ
- B. microti -
感染経路(ヒト)
ブルセラ症の感染経路としては、主として三つある[2]。
- (1)細菌に汚染されたものを飲食する
- 感染動物のミルクが殺菌されていないと、そのミルクやミルクから作ったチーズなどが汚染されており飲食した人。細菌は食品衛生法の指定条件の加熱で完全に不活化する。
- (2)細菌を吸い込む
- 日本でのヒトでの感染はほとんどが実験室内感染。細菌が噴霧されるなどして生物兵器として使われることが心配されている[2]。
- (3)皮膚の傷や眼の結膜などから細菌が侵入する
- 死体、および流産組織、分娩の残物(羊水、胎盤)などとの接触による。
- 酪農・農業従事者、獣医師、屠畜場従事者では職業的な感染のリスクが高い[1]。
- 自然宿主に対する病原性発現の初期段階の細胞への接着と侵入に関与する 遺伝子、および菌体成分は明らかになっていない部分が多い
感染経路(牛)
牛のブルセラ病は流産胎子や胎盤あるいは感染した子宮からの悪露が感染源で、病原体は経口的に摂取され、腸管より侵入する。 外陰部、角膜、皮膚も感染経路となる。 ブルセラ病は特に妊娠子宮指向性が高いため、子宮内で増殖して胎子に感染する。
診断と治療
臨床症状
あらゆる臓器に感染を起こし、全身症状。その症状に特異的なものはなく、症状は他の熱性疾患と類似している。40℃程度の発熱は主に午後から夕方で、持続的、間欠的、または不規則な発熱(数週間~数カ月続くこともある)、発汗、疲労、体重減少、うつ状態などの症状がみられる。リンパ節腫脹、肝脾腫大がみられる[6] [1]。
- 骨・関節系 最もよくみられる合併症で、腸骨坐骨関節炎、膝および肘関節炎、椎間板炎、骨髄炎、滑膜包炎などを起こす。
- 消化器系 成人患者の70%近くで胃腸症状(食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢・便秘、悪心)体重減少。
- 呼吸器系 きわめてまれで、咳、労作呼吸困難。
- 泌尿器系 精巣炎。
- 神経系 うつ状態、髄膜炎がみられるが、頻度は2%以下。
- 心血管系 心内膜炎が最も重要な合併症で、ブルセラ症による死亡原因の大半を占める。頻度は2%以下である。
診断
- 血液培養による診断が有効で、発熱時で、なるべく抗菌薬投与前の血液、あるいはリンパ節生検材料、骨髄穿刺材料などを対象とする。体組織からの病原体の分離・同定[1]。
治療
- テトラサイクリン系、ドキシサイクリン、ストレプトマイシン等を併用し数週間投与。薬剤の服用期間が短い、外科的処置が不適切だった場合、再発する。
- 弱毒変異株を用いたヒトの有効なワクチンは開発中。
関連法規
- 家畜伝染病予防法 但し、イヌブルセラ症は対象外。
- 感染症法 四類感染症、全数届出疾患
- 食品衛生法
- と畜場法
脚注
- ^ a b c d e 感染症の話 ブルセラ症国立感染症研究所
- ^ a b c [横浜市衛生研究所]
- ^ Bruce, David (1887), “Note on the discovery of a microorganism in Malta fever”, Practitioner (London) 39: 161-170
- ^ a b c ブルセラ症の最近の話題 モダンメディア 2009年3月号(第55巻3号) (PDF)
- ^ 山口県 環境保健研究センター所報 第48号 (平成17年度) p.30 (PDF) 山口県環境保健センター
- ^ 海外旅行者のための感染症情報厚生労働省検疫所
外部リンク
- 感染症の話 2002年第10週号(2002年3月4日~3月10日)掲載(国立感染症研究所)
- 横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 2005年3月3日改訂
- 厚生労働省:感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について
- 東京地区のイヌにおけるBrucella canisの汚染調査-東京大学医科学研究所日本獸醫學雜誌 Vol.40, No.1(19780225) pp. 75-80
- 犬ブルセラ病の現状と清浄化に向けての課題日本獣医師会雑誌 Vol.63, No.10 p740-744
家畜伝染病
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言葉 |
家畜/家禽 - 牧畜/酪農/養豚/養鶏/養蜂 - 畜産/畜産業
病原体 - 感染 - 感染経路 - 伝染病/感染症 - 海外悪性伝染病 - 人獣共通感染症 - 公衆衛生 - アウトブレイク/パンデミック - ワクチン - 屠殺 - 殺処分 - 検疫
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組織・施設等 |
国際獣疫事務局(OIE) - 国際連合食糧農業機関(FAO) - 農林水産省/農業・食品産業技術総合研究機構/動物衛生研究所 - 検疫所/家畜防疫官 - 家畜保健衛生所/家畜防疫員/獣医師 - 日本家畜商協会/家畜商 - 屠畜場/化製場 - 保健所 - 農業共済組合/農業災害補償制度
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協定・法律等 |
SPS協定(世界貿易機関) - OIEコード(国際獣疫事務局) - 家畜伝染病予防法(農水省) - 狂犬病予防法(厚労省) - 口蹄疫対策特別措置法 -Category:畜産関連法規
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国際獣疫事務局 リスト疾病 |
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複数種 |
炭疽症 - オーエスキー病 - ブルータング - ブルセラ症 - クリミア・コンゴ出血熱 - エキノコックス症 - 口蹄疫 - 心水病 - 日本脳炎 - レプトスピラ症 - 新世界ラセンウジバエ - 旧世界ラセンウジバエ - ヨーネ病 - Q熱 - 狂犬病 - リフトバレー熱 - 牛疫 - 旋毛虫症 - 野兎病 - 水胞性口炎 - 西ナイル熱
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ウシ |
アナプラズマ病 - バベシア症 - 牛疫 - 牛海綿状脳症 - 結核 - 牛ウイルス性下痢 - 牛肺疫 - 牛白血病 - 出血性敗血症 - 牛伝染性鼻気管炎 - 皮膚病 - 悪性カタル熱 - タイレリア症 - トリコモナス病 - ナガナ病
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ヒツジ、ヤギ |
山羊関節炎・脳脊髄炎 - 伝染性無乳症 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - 流行性羊流産 - 羊慢性進行性肺炎 - ナイロビ羊病 - 緬羊ブルセラオビス - 小反芻獣疫 - サルモネラ症 - スクレイピー - 羊痘/山羊痘
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ウマ |
アフリカ馬疫 - 馬伝染性子宮炎 - 媾疫 - 東部馬脳炎 - 西部馬脳炎 - 馬伝染性貧血 - 馬インフルエンザ - 馬ピロプラズマ病 - 馬鼻肺炎 - 馬ウイルス性動脈炎 - 鼻疽 - スーラ病 - ベネズエラ馬脳脊髄炎
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ブタ |
アフリカ豚コレラ - 豚コレラ - ニパウイルス感染症 - エキノコックス症 - 豚繁殖・呼吸障害症候群 - 豚水胞病 - 伝染性胃腸炎
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トリ |
クラミジア - 鶏伝染性気管支炎 - 鶏伝染性喉頭気管炎 - 鶏マイコプラズマ病 - あひる肝炎 - 家禽コレラ - 家禽チフス - 鳥インフルエンザ - 伝染性ファブリキウス囊病 - マレック病 - ニューカッスル病 - ひな白痢 - 七面鳥鼻気管炎
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ウサギ |
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ハチ |
アカリンダニ症 - アメリカ腐蛆病 - ヨーロッパ腐蛆病 - スモール・ハイブ・ビートル症 - ミツバチトゲダニ症 - バロア病
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魚類 |
伝染性造血器壊死症 - 伝染性造血器壊死症 - コイ春ウイルス病 - ウイルス性出血性敗血症 - 伝染性膵臓壊死症 - 伝染性サケ貧血 - 流行性潰瘍症候群 - 細菌性腎臓病 - ギロダクチルス症 - マダイイリドウイルス病
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軟体動物 |
Bonamia ostreae感染症 - Bonamia exitiosus感染症 - Marteilia refringens感染症 - Mikrocytos roughleyi感染症 - Perkinsus marinus感染症 - Perkinsus olseni感染症 - Xenohaliotis californiensis感染症
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甲殻類 |
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その他 |
ラクダ痘 - リーシュマニア症
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家畜伝染病予防法上の監視伝染病 |
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法定伝染病 |
牛疫 - 牛肺疫 - 口蹄疫 - 日本脳炎 - 狂犬病 - 水胞性口炎 - リフトバレー熱 - 炭疽症 - 出血性敗血症 - ブルセラ症 - 結核病 - ヨーネ病 - ピロプラズマ症 - アナプラズマ病 - 牛海綿状脳症 - 鼻疽 - 馬伝染性貧血 - アフリカ馬疫 - 豚コレラ - アフリカ豚コレラ - 豚水胞病 - 家きんコレラ - 高病原性鳥インフルエンザ - ニューカッスル病 - 家きんサルモネラ感染症 - 腐蛆病
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届出伝染病 |
ブルータング - アカバネ病 - 悪性カタル熱 - チュウザン病 - ランピースキン病 - 牛ウイルス性下痢・粘膜病 - 牛伝染性鼻気管炎 - 牛白血病 - アイノウイルス感染症 - イバラキ病 - 牛丘疹性口炎 - 牛流行熱 - 類鼻疽 - 破傷風 - 気腫疽 - レプトスピラ症 - サルモネラ症 - 牛カンピロバクター症 - トリパノソーマ病 - トリコモナス病 - ネオスポラ症 - 牛バエ幼虫症 - ニパウイルス感染症 - 馬インフルエンザ - 馬ウイルス性動脈炎 - 馬鼻肺炎 - 馬モルビリウイルス肺炎 - 馬痘 - 野兎病 - 馬伝染性子宮炎 - 馬パラチフス - 仮性皮疽 - 小反芻獣疫 - 伝染性膿疱性皮膚炎 - ナイロビ羊病 - 羊痘 - マエディ・ビスナ - 伝染性無乳症 - 流行性羊流産 - トキソプラズマ病 - 疥癬 - 山羊痘 - 山羊関節炎・脳脊髄炎 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - オーエスキー病 - 伝染性胃腸炎 - 豚エンテロウイルス性脳脊髄炎 - 豚繁殖・呼吸障害症候群 - 豚水疱疹 - 豚流行性下痢 - 萎縮性鼻炎 - 豚丹毒 - 豚赤痢 - 鳥インフルエンザ - 鶏痘 - マレック病 - 伝染性気管支炎 - 伝染性喉頭気管炎 - 伝染性ファブリキウス嚢病 - 鶏白血病 - 鶏結核病 - 鶏マイコプラズマ病 - ロイコチトゾーン病 - あひる肝炎 - あひるウイルス性腸炎 - 兎ウイルス性出血病 - 兎粘液腫 - バロア病 - チョーク病 - アカリンダニ症 - ノゼマ病
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Japanese Journal
- 右田 清志,上松 一永
- 日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology 34(5), 355-360, 2011-10-31
- NAID 10029897928
- 小児期に確定診断に至らなかった家族性地中海熱の1例
- 渡邉 俊樹,佐藤 正通,合田 史,高橋 有我,内山 俊正,前澤 晃,西小森 隆太,田村 遵一
- 日本内科学会雑誌 100(4), 1041-1043, 2011-04-10
- NAID 10029096842
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