- 英
- pantethine
- 商
- デルモリチン、パパレチン、パルトックス、パルファジン、パントシン Pantosin、パンピオチン、パンホリータ、ヨウテチン
- 関
- パントテン酸
ガンマーオリザノール
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/24 10:45:25」(JST)
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パントテン酸 |
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IUPAC名
3-[(2,4-dihydroxy-3,3-dimethylbutanoyl)amino]propanoic acid
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識別情報 |
CAS登録番号 |
137-08-6 |
PubChem |
988 |
- CC(C)(CO)[C@@H](O)C(=O)NCCC(=O)O
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特性 |
化学式 |
C9H17NO5 |
モル質量 |
219.23 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
パントテン酸(パントテンさん、英: pantothenic acid)とは、ビタミンB群に含まれる物質で、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのこと。かつて、ビタミンB5とも呼ばれていた。CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質。語源はギリシャ語で、「どこにでもある酸」という意味。水溶性のビタミンで、食品中に広く存在し、通常の食生活を送る上で不足になることはあまりない。 成分(一般名)は、パンテチン(英: Pantethine)。
目次
- 1 生理活性
- 2 構造
- 3 物性
- 4 多く含む食品
- 5 一日の所要量
- 6 欠乏症
- 7 過剰障害
- 8 生化学
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
生理活性[編集]
パントテン酸の生理作用は,体内でパントテン酸から生合成され、構成成分にパントテン酸を含むCoA(補酵素A)および4'-ホスホパンテテインを補因子にもつアシルキャリアプロテイン(ACP)としての作用によるものである。
食品中ではそのほとんどがCoA(補酵素A)として存在するが、消化管内でパンテテインあるいはパントテン酸にまで分解され、体内に吸収される。
構造[編集]
- パントテン酸の構造式 - パントテン酸はパントイン酸にβアラニンが結合したものである。
- パンテテインの構造式 - パンテテインはパントテン酸にシステアミン(2-メルカプトエチルアミン)が結合したものである。
- 補酵素Aの構造式 - 補酵素Aはパンテテインとアデノシン-3'-リン酸が、ピロリン酸(二リン酸)を介して結合したもので、パンテテイン残基の末端にある-SH基を介して生体内でのアシル基転移において、その担体として機能している。
物性[編集]
- 分子量 219.24
- 粘稠油状
- 吸湿性
- 水・アルコール・氷酢酸・ジオキサンに易溶、エーテルに難溶、ベンゼン・クロロホルムに不溶
- 比旋光度[α]D25 = +37.5°
- 酸、アルカリ、熱に不安定
多く含む食品[編集]
たいていの食品に含まれている。 特に多く含まれている食品は、乾燥酵母、卵、牛乳、レバー、糸引き納豆、きな粉、落花生、干し椎茸、さけ、いわしなど。
一日の所要量[編集]
成人で5mg。通常の食生活で欠乏する可能性は低い。
欠乏症[編集]
- 成長停止
- 体重減少
- 皮膚炎
- 脱毛
- 頭痛
- 末梢神経の障害(手足の麻痺や焼けるような足の痛み)
- 副腎障害
過剰障害[編集]
特に知られていない。
生化学[編集]
生体内において、パントテン酸はパントテン酸キナーゼ(EC 2.7.1.33)、ホスホパントテノイルシステインシンテターゼ(EC 6.3.2.5)、ホスホパントテノイルシステインデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.36)、デホスホCoAピロホスホリラーゼ(EC 2.7.7.3)、デホスホCoAキナーゼ(EC 2.7.1.24)の作用により補酵素A(CoA)に変換される。
- EC 2.7.1.33 ATP + (R)-pantothenate = ADP + (R)-4'-phosphopantothenate
- EC 6.3.2.5 CTP + (R)-4'-phosphopantothenate + L-cysteine = CMP + PPi + (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine
- EC 4.1.1.36 (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine = pantotheine 4'-phosphate + CO2
- EC 2.7.7.3 ATP + pantetheine 4'-phosphate = diphosphate + 3'-dephospho-CoA
- EC 2.7.1.24 ATP + dephospho-CoA = ADP + CoA
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- パントテン酸解説 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- パントテン酸 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
ビタミン (A11) |
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脂溶性 |
A
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レチノール · β-カロテン · トレチノイン · α-カロテン
|
|
D
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D2(エルゴステロール - エルゴカルシフェロール) · D3(7-デヒドロコレステロール - プレビタミンD3 - コレカルシフェロール - 25-ヒドロキシコレカルシフェロール - カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール) - カルシトロン酸)
D4(ジヒドロエルゴカルシフェロール) · D5 · Dアナログ(ジヒドロタキステロール - カルシポトリオール - タカルシトール - パリカルシトール)
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|
E
|
トコフェロール (α - β - γ - δ) · トコトリエノール · トコフェルソラン
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|
K
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ナフトキノン · フィロキノン (K1) · メナテトレノン (K2) · メナジオン (K3)
|
|
|
水溶性 |
B
|
B1(チアミン) · B2(リボフラビン) · B3(ナイアシン - ニコチンアミド) · B5(パントテン酸、デクスパンテノール - パンテチン) · B6(ピリドキシン - ピリドキサールリン酸 - ピリドキサミン)
B7(ビオチン) · B9(葉酸 - ジヒドロ葉酸 - フォリン酸) · B12(シアノコバラミン - ヒドロキソコバラミン - メチルコバラミン - コバマミド) · コリン
|
|
C
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アスコルビン酸 · デヒドロアスコルビン酸
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
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Japanese Journal
- 2-II-23 高齢期パントテン酸欠乏ラットに対するパンテチンの影響(一般演題要旨,日本ビタミン学会第64回大会講演要旨)
- 1.パンテチンの腸管運動改善作用について(2)(第420回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 6. パンテチンの腸管運動改善作用について(第412回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
Related Links
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- パンテチンとは。効果、副作用、使用上の注意。 ビタミン剤の一種で、血液中のLDLコレステロール・トリグリセライドを低下させる作用、コレステロールの血管壁への沈着を抑える作用、血液が固まるのを防止する作用、脂質の代謝異常を ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
パントシン注5%
組成
有効成分
- パンテチン(日局)注)125mg/2mL
(パンテチンとして100mg/2mL)
注)日本薬局方パンテチン:パンテチン80%を含む水溶液
添加物
効能または効果
- パントテン酸欠乏症の予防及び治療
- パントテン酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦など)
- 下記疾患のうち、パントテン酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・ 高脂血症
・ 術後腸管麻痺
・ ストレプトマイシン及びカナマイシンによる副作用の予防及び治療
・ 急・慢性湿疹
・ 血液疾患の血小板数ならびに出血傾向の改善
- なお、3の適応に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
- 通常、成人にはパンテチンとして1日20〜100mgを1〜2回に分けて、皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
血液疾患、術後腸管麻痺には、パンテチンとして1日200mgを1〜2回に分けて、皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
剤形 |
投与法 |
1日量(パンテチンとして) 20〜100mg |
1日量(パンテチンとして) 200mg |
注5% |
皮下、筋肉内、静脈内 |
0.4〜2.0mL |
4.0mL |
注10% |
皮下、筋肉内、静脈内 |
0.2〜1.0mL |
2.0mL |
薬効薬理
- パンテチンは、パンテテインのdisulfide型で、CoAの前駆物質である。
腸管運動促進作用1)
- 無麻酔マウスにパンテチンを経口投与すると胃腸管輸送能の亢進がみられ、さらに麻酔下ウサギ及びイヌに静脈内投与すると腸管運動の亢進がみられる。
実験的粥状硬化の進展抑制作用2)
- 高脂肪食と動脈壁の傷害によって作成した実験的粥状硬化症ウサギへの経口投与で、内膜への脂質沈着の軽減、平滑筋細胞の増殖を主体とした細胞・線維性組織の形成及びアテロームの縮小が認められている。
血清総コレステロール低下作用3)
- 高コレステロール食飼育ウサギへの経口投与で、血清コレステロールの有意な低下が認められている。この作用は主としてコレステロール(LDL+VLDL画分)の異化排泄の促進によるものである。
高コレステロール食飼育ウサギにおける糞中の総コレステロール及び総胆汁酸の排泄は、パンテチン投与群で著明に増大する。
これはコレステロール負荷によるβ-VLDLの低親和性受容体活性及びコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ活性の低下を改善することによって、コレステロールの肝への取り込み能及び胆汁酸への代謝を正常化したためと考えられている。
血清中性脂肪低下作用
- ビタミンD2と高脂肪食を負荷した動脈硬化症ラットへの経口投与で血清中性脂肪の有意な低下が認められている4)。
この作用はパンテチン投与によりリポ蛋白リパーゼ活性が上昇したためと考えられている5)。
血清HDL-コレステロールの増加作用
- 高コレステロール食飼育ウサギにおいて減少したHDL2及びHDL3を増加させる6)。この作用は、アポ蛋白A-Iの合成促進、組織リポ蛋白リパーゼ活性の増加及び血中LCAT活性の増加により、VLDL→HDL経路の促進に基づくことが認められている7)。
脂肪酸酸化促進作用8)
- 糖尿病ラットの肝臓及び筋肉組織や自然発症高血圧ラット脳微小血管において脂肪酸β- 酸化能を促進し、エネルギー産生能を高めることが認められている。この作用は遊離脂肪酸からミトコンドリアのエネルギー産生に至る経路に関与する酵素の活性亢進にあることが確認されている。
血管壁コレステロール代謝促進作用9)
- 高コレステロール食飼育ラットにおける血管壁ライソゾームのコレステロールエステラーゼ活性を有意に高め、血管壁へのコレステロールエステルの沈着を抑制することが認められている。
血小板数の改善作用10)
- 抗ラット血小板ウサギ血清及び乏血小板血輸血による実験的血小板減少症に対して、パンテチンは血小板減少の抑制あるいは回復促進作用を示す。この作用は血小板産生系に直接作用するものと考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- Bis(2-{3-[(2R )-2, 4-dihydroxy-3, 3-dimethylbutanoylamino]propanoylamino}ethyl)disulfide
分子式
分子量
性状
- 無色〜微黄色澄明の粘性の液である。水、メタノール又はエタノール(95)と混和する。光によって分解する。
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