出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/09/07 00:27:38」(JST)
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トラコーマ(Trachoma)は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を病原体とする感染症。
伝染性の急性および慢性角結膜炎。
別名はトラホーム(トラコーマのドイツ語読み)、顆粒性結膜炎、エジプト眼炎。
目次
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流行地ではクラミジア・トラコマチスのA,B,C型が、垂直感染ではD,E,F,G型が病原体となることが多い。
最近、クラミジア・トラコマチス以外のクラミジアがトラコーマの原因となりうることを示す研究成果が発表された(PLoS Med 5(1): e14)。
直接接触による感染のほか、手指やタオルなどを介した間接接触による感染も多い。また、母親が性器クラミジア感染症を持つ場合、分娩時に産道で垂直感染することがある。
先進国ではほとんど見られなくなったが、アジアやアフリカなどの発展途上国ではいまだに流行が見られ、年間600万人が失明するといわれている。先進国でも見られるトラコーマはほとんどが垂直感染によるものである。
病原菌は結膜上皮細胞内に寄生する。初期には結膜に濾胞や瘢痕を形成したり、乳頭増殖したりする。その結果、充血や眼脂が見られる。慢性期には血管新生が見られ、トラコーマパンヌスと呼ばれる状態になる。
その後瘢痕を残し治癒することもあるが、さらに重症となり、上眼瞼が肥厚することがある。その結果睫毛が偏位し、角膜に接触するため、瞬きするたびに角膜を刺激し、角膜潰瘍を引き起こす。そこに重感染が起こることで、失明や非可逆性の病変を残すこととなる。
産道感染例では重症化することはほとんど無い。偽膜形成が見られる。現在出生直後に点眼薬を点眼する病院も多い。
テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質を内服あるいは点眼する。
適切な治療が行われれば完全に治癒する。
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リンク元 | 「結膜炎」「顧みられない熱帯病」「東南アジア」「Chlamydia trachomatis」「封入体結膜炎」 |
拡張検索 | 「トラコーマ病原体」「パラトラコーマ」「トラコーマパンヌス」 |
see. マイナーエマージェンシー第1版 p.65 SOP.174
疾患名 | 病原体 | 潜伏期 | 病型 | 症状、経過 | |||
感染性結膜炎 | 流行性角結膜炎 | epidemic keratoconjunctivitis | はやりめ | アデノウイルス8,19,37型(ときに4型) | 7-14日 | 急性濾胞性結膜炎 | 眼脂、流涙、羞明。眼瞼腫瘤、結膜充血、浮腫、結膜の小出血斑。耳前リンパ節の腫脹と圧痛。2-4週間で消退。発症後10日後に角膜に点状上皮化混濁。 |
咽頭結膜熱 | pharyngoconjunctival fever | プール熱 | アデノウイルス3型(ときに4,7型) | 5-6日 | 急性結膜炎 | 急性結膜炎、咽頭炎、発熱。点状上皮化混濁は少ない。 | |
急性出血性結膜炎 | acute hemorrhagic conjunctivitis | エンテロウイルス70型 | 1日 | 球結膜下出血。眼球は浮腫状、結膜充血、濾胞形成は軽度。耳前リンパ節腫脹軽度。発症より3-4日にびまん性の多発性びらん。眼痛、異物感、羞明。約1週間で治癒。罹患後2,3週間後に四肢の弛緩性の運動麻痺や脳神経麻痺があり得る。 | |||
トラコーマ | trachoma | ||||||
封入体結膜炎 | inclusion conjunctivitis | ||||||
新生児封入体結膜炎 | neonatal inclusion conjunctivitis | ||||||
細菌性結膜炎 | bacterial conjunctivitis | ||||||
淋菌性結膜炎 | gonococcal conjunctivitis | ||||||
新生児膿漏眼 | blennorrhea of the newborn | ||||||
アレルギー性結膜疾患 | アレルギー性結膜炎 | allergic conjunctivitis | |||||
春季カタル | vernal conjunctivitis | ||||||
その他の結膜炎 | フリクテン性結膜炎 | phlyctenular conjunctivitis | 束状結膜炎 | ||||
慢性濾胞性結膜炎 | chronic follicular conjunctivitis | ||||||
Stevens-Johnson症候群 | Stevens-Johnson syndrome | ||||||
眼類天疱瘡 | ocular pemphigoid | ||||||
結膜弛緩症 | conjunctivochalasis |
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