- 英
- Alport syndrome, Alport's syndrome, AS
- 同
- 遺伝性腎炎、Alport症候群、難聴遺伝性腎炎 hereditary nephritis with deafness
概念
- 主にX連鎖劣性遺伝の遺伝性腎炎であり、血尿を伴う腎炎のほかに、感音難聴、眼症状を呈する。IV型コラーゲンの異常と考えられている。進行型であり、やがて蛋白尿、高血圧を来たし腎不全に陥る。
病因
- SPE.603
- X-linked(70-80%)
- AR(10-15%)
- AD
遺伝形式
- 1. XD : 血尿、感音性難聴、水晶体の変形(円錐水晶体 lenticonus)
- 2. X-linked form : 1. + びまん性平滑筋腫(diffuse keiomyomatosis)
- 3. AR : 腎病変のみ
- 4. AD : 腎病変のみ
身体所見
症候
- (XD型)男性の場合、幼少期に無症候性血尿として発見され、肉眼的血尿から、次第に蛋白尿(難治性ネフローゼ)を呈するようになり、20歳頃に腎不全に至る。女性の場合のまま緩徐に経過する。
- 1. 感音性難聴(30-40%の症例。両側。(SPE.604))
- 2. 血尿:初発
- 3. 腎炎
- 4. 眼症状(円錐角膜、球状水晶体、白内障など)(15%の症例(SPE.604))
検査
- SPE.604
光学顕微鏡
- メサンギウム細胞、基質の増加。進行例では巣状・分節状糸球体硬化
電子顕微鏡
蛍光顕微鏡
- IV型コラーゲン抗α鎖抗体で免疫蛍光染色すると、XD男性の糸球体基底膜、皮膚基底膜は染色されない。
PrepTutorEJDIC
- Anglo-Saxon
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/16 12:08:35」(JST)
[Wiki ja表示]
アルポート症候群(アルポートしょうこうぐん、英: Alport syndrome)は感音性難聴、眼異常を伴う遺伝性の進行性腎炎である。
概要
神経性難聴を伴う家族性遺伝性腎炎で伴性優性遺伝のものが多い。幼児期には血尿のみであるが年齢とともに蛋白尿が出現し、20歳前後までに腎不全に陥る。難聴は神経性で高音領域で著明であり、腎障害の進行とともに進行する。男性の方が女性よりも進行が早く、20歳前後で腎不全になり、難聴の合併率も高い。水晶体異常、白内障なども伴う。一方女性は無症候性血尿が主体であり、腎不全に陥るのは10%以下である。病理学的には光学顕微鏡では糸球体の増殖性変化が主体であり、間質に泡沫細胞を認めるが、初期にはほとんど正常と変わらない。電子顕微鏡では糸状体基底膜の細裂、網目状変化が特徴である。 腎不全への進行を阻止する特異的な治療法は無く、基本的は慢性腎不全と同様の保存治療を行い、最終的に末期腎不全となった場合は透析・移植療法を行う。
原因
アルポート症候群はIV型コラーゲンの異常に基づく先天性疾患であり、原因となる遺伝子はIV型コラーゲンのα鎖に関わっているCOL4A3, COL4A4, COL4A5の3つが知られるが、COL4A3とCOL4A4は第2染色体上に、COL4A5はX染色体上にあり、それぞれ常染色体劣性遺伝、伴性優性遺伝の形式を示す。アルポート症候群の約80%が伴性優性遺伝を示すCOL4A5が原因である。IV型コラーゲンは腎臓の糸球体基底膜や蝸牛のらせん靭帯にあり[1]、これらが障害されることにより腎障害や感音性難聴をきたすとされている。
症状
アルポート症候群では腎障害に加えて難聴や眼症状を呈することが多い。一般にX染色体が1つしかない男性の方が、2つある女性よりも症状の進行が速い。
- 血尿
- 蛋白尿
- ネフローゼ症候群
- 白内障
- 円錐水晶体
- 感音性難聴
参考文献
- 佐々木成『腎臓内科学』(2010)シュプリンガージャパン ISBN 9784431100898
出典
- ^ Zehnder AF, Adams JC, Santi PA, Kristiansen AG, Wacharasindhu C, Mann S, Kalluri R, Gregory MC, Kashtan CE, Merchant SN (2005). "Distribution of type IV collagen in the cochlea in Alport syndrome". Archives of Otolaryngol Head and Neck Surgery 131: 1007–1013. PMID 16301374.
腎・泌尿器系の疾患 |
|
疾患 |
|
糸球体病変
|
急性糸球体腎炎 | IgA腎症 | 急速進行性糸球体腎炎 | 慢性糸球体腎炎
|
|
ネフローゼ症候群
|
原発性
|
微小変化群 | 巣状糸球体硬化症 | 膜性腎症 | 膜性増殖性糸球体腎炎
|
|
|
遺伝性腎炎
|
アルポート症候群 | 良性家族性血尿
|
|
尿細管機能障害
|
ファンコーニ症候群 | バーター症候群 | ギッテルマン症候群 | リドル症候群 | 尿細管性アシドーシス | 腎性糖尿 | 尿細管間質性腎炎
|
|
続発性腎障害
|
膠原病
|
全身性エリテマトーデス | 全身性強皮症 | シェーグレン症候群
|
|
糖尿病性腎症 | 痛風腎 | クリオグロブリン血症 | アミロイドーシス | 溶血性尿毒症症候群
|
|
|
腎循環障害
|
腎血管性高血圧症 | 腎梗塞 | クルミ割り現象
|
|
泌尿器疾患
|
機能障害
|
膀胱尿管逆流 | 神経因性膀胱 | 水腎症 |
|
|
先天異常
|
多発性嚢胞腎(常染色体優性多発性嚢胞腎 | 常染色体劣性多発性嚢胞腎) | 尿管異所開口 | 重複腎盂尿管 |ポッター症候群
|
|
感染症
|
腎盂腎炎 | 腎膿瘍 | 膀胱炎 | 腎結核
|
|
尿路結石
|
膀胱結石
|
|
腫瘍
|
腎細胞癌 | 腎盂腫瘍 | 尿管腫瘍 | 前立腺肥大症 | 前立腺癌 | 精巣腫瘍 | 陰茎癌 |腎芽腫
|
|
性器の疾患
|
前立腺炎 | 停留精巣 | 精巣捻転 | 包茎 | 勃起不全
|
|
|
|
|
病態・症状 |
|
腎不全
|
急性腎不全
|
急性尿細管壊死
|
|
慢性腎臓病
|
慢性腎不全 | 尿毒症
|
|
|
尿所見異常
|
乏尿 | 無尿 |多尿 |頻尿 |血尿 | タンパク尿 | 尿円柱
|
|
尿閉 |陰嚢腫大
|
|
|
|
検査 |
|
腎機能検査
|
糸球体濾過量 | クレアチニンクリアランス | ナトリウムクリアランス | 尿中ナトリウム排泄率 | 腎不全指数
|
|
腹部X線写真 | 腎盂造影 | レノグラム | 腎生検
|
|
|
|
腎・泌尿器系の正常構造・生理 |
|
腎臓 |
肉眼解剖
|
尿細管
|
近位尿細管 - ヘンレのループ(下行脚 - 細い上行脚 - 太い上行脚) - 遠位尿細管 - 集合管 - 腎盤 ( - 尿管)
|
|
腎循環
|
腎動脈 - 傍尿細管毛細血管 - 輸入細動脈 - (糸球体) - 輸出細動脈 - 直細動脈 - 腎静脈
|
|
ゲロタ筋膜
|
|
|
顕微解剖
|
ネフロン
|
腎小体
|
糸球体
|
毛細血管 | 糸球体内メサンギウム細胞 | ボーマン嚢
|
|
傍糸球体装置
|
緻密斑 | 傍糸球体細胞 | 糸球体外メサンギウム細胞
|
|
|
尿細管
|
|
|
|
生理学
|
アシドーシスとアルカローシス | 膠質浸透圧 | 糸球体濾過量 | 腎血漿流量 | クレアチニンクリアランス
|
|
生化学
|
バソプレッシン | アルドステロン | 心房性ナトリウム利尿ペプチド | エリスロポエチン | レニン-アンジオテンシン系
|
|
|
尿路 |
肉眼解剖
|
尿管 - 膀胱 - 尿道
|
|
顕微解剖
|
移行上皮
|
|
|
生殖器系 |
|
女性器 |
尿道 - 陰核 - 陰裂 - 陰核亀頭 - 陰核亀頭冠 - 陰核包皮 - 陰核小帯 - 外陰部 - Gスポット - 処女膜 - 陰唇 - 大陰唇 - 小陰唇 - 膣 - バルトリン腺 - スキーン腺 - 子宮頸部 - 子宮 - 子宮内膜 - 卵管 - 卵巣
|
|
男性器 |
尿道 - 陰茎 - 陰茎亀頭 - 陰茎亀頭冠 - 海綿体 - 陰茎ワナ靭帯 - 陰茎包皮 - 陰茎小帯 - 陰嚢 - 精索 - 精巣上体 - 精細管 - セルトリ細胞 - 精巣輸入管 - 輸精管 - 精嚢 - 射精管 - 前立腺 - 尿道球腺 - 精巣網 - 精巣
|
|
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Loss of the BMP antagonist USAG-1 ameliorates disease in a mouse model of the progressive hereditary kidney disease Alport syndrome
- Tanaka Mari,Asada Misako,Higashi Atsuko Y.,Nakamura Jin,Oguchi Akiko,Tomita Mayumi,Yamada Sachiko,Asada Nariaki,Takase Masayuki,Okuda Tomohiko,Kawachi Hiroshi,Economides Aris N.,Robertson Elizabeth,Takahashi Satoru,Sakurai Takeshi,Goldschmeding Roel,Muso Eri,Fukatsu Atsushi,Kita Toru,Yanagita Motoko,柳田 素子
- Journal of Clinical Investigation, 2010-02-08
- 腎不全治療の新しい可能性の発見-腎不全をきたす遺伝病、アルポート症候群はBMP阻害分子USAG-1欠損によって軽快し、腎不全に陥らない-. 京都大学プレスリリース. 2010-02-09. http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2009/100209_1.htmThe glomerular basement m …
- NAID 120001920754
Related Links
- アルポート症候群(遺伝性腎炎)は、腎機能が低下して尿に血が混じり、ときに難聴や眼 の異常が生じる遺伝性の病気です。 アルポート症候群は通常、X染色体上の異常 遺伝子によって起こりますが、常染色体上の遺伝子の異常が原因となることもあります。
- 2010年2月9日 ... 腎不全治療の新しい可能性の発見-腎不全をきたす遺伝病、アルポート症候群はBMP 阻害分子USAG-1欠損によって軽快し、腎不全に陥ら ... 今回、私たちは進行性の糸 球体腎炎から腎不全をきたす遺伝疾患、アルポート症候群に着目した。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- microscopic hematuria, microhematuria?
- 同
- 潜血尿 occult hematuria
- 関
- 血尿
顕微鏡的血尿を来すもっとも一般的な糸球体の原因 (100Cases p.158)
フォローアップ
- 持続的に顕微鏡的血尿がみられる場合、尿検査・超音波検査を施行後に、外来フォローアップの目安は3年毎。
- 顕微鏡血尿では10-20年後も78%の例で血尿を認める。3年以上経過して泌尿器科悪性腫瘍日発展する例は稀(内科診断リファレンスp.349)
[★]
- 英
- glomerulonephritis
- 同
- 腎炎
- 関
- 糸球体病変
症状
臨床的分類
メモ
- 081201
- E:\データセンター\学習\細々とした勉強ファイル\糸球体腎炎_など.xls
[★]
[★]
- 英
- hereditary nephritis
- 同
- 家族性遺伝性腎炎 familiar hereditary nephritis、家族性腎炎 familial nephritis
- 関
- アルポート症候群
[★]
- 英
- hereditary nephritis with deafness
- 関
- アルポート症候群
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候
[★]
- 英
- port
- 関
- 出入口