- 英
- febrile convulsion
- 同
- 熱性けいれん
- 関
- 痙攣
概念
- 発熱に伴って生じる年齢依存性の痙攣。
- 中枢神経系感染症に起因しない、明らかな頭蓋内の異常を伴わないもの。
疫学
- 日本では全人口の9%に見られる ⇔ 欧米では人口の5%。
- 6ヵ月から3-4歳。(1-2歳に発生しやすく、6ヶ月から6歳頃までありうる)。6ヶ月未満、6歳以降ではまれ
- 家族歴があることがある。親が熱性痙攣の場合20%、同胞が熱性痙攣の場合50%、双生児の一方が熱性痙攣であると80%の確立で熱性痙攣を発症。
- 1/4の症例では反復する
病型
- 以下の3つを満たす。
- 1. 全身性強直間代痙攣
- 2. 持続時間15-20分以下
- 3. 24時間以内に再発しない
- 単純型熱性痙攣の3つの条件の内いずれかを満たさないもの
- もう困らない救急・当直ver2 p.237
|
単純型熱性痙攣
|
複雑型熱性痙攣
|
痙攣持続時間
|
15分未満
|
15分以上
|
痙攣合計児間
|
断続的30分未満
|
断続的30分以上
|
24時間以内
|
1回のみ
|
2回以上
|
痙攣部位
|
全身性痙攣
|
局所性・片側性痙攣
|
基礎疾患
|
神経学的基礎疾患なし
|
神経学的基礎疾患あり
|
年齢
|
1~6歳
|
1歳未満、6歳超
|
てんかんに移行する危険因子
- SPE.630
- 1項目以上該当すれば複雑型熱性痙攣
- 1. 初発の熱痙攣が15分以上遷延、24時間以内に反復、片側性、焦点性
- 2. 熱性痙攣の発現以前より神経学的異常や知的障害、運動障害を示すもの
- 3. 両親、同胞にてんかんの家族歴がある物
熱性痙攣の再発率を高める因子
- SPE.630
- 1. 初発が1歳未満のもの。
- 2. 両親、または片親に熱性痙攣の既往がある
症状
診断
- 他の神経所見がないか見て、あれば髄膜炎や脳炎を考慮。
治療
管理
- ワクチン接種により熱痙攣をきたしたら、一年間は予防接種をしない方が良い。抗痙攣薬や解熱剤でコントロールできる場合はこの限りでない。
参考
- 1. [charged] 熱性けいれん - uptodate [1]
- 2. [charged] 患者情報:熱性けいれん - uptodate [2]
国試
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=6eQHWsNhkOg</youtube>
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/31 02:01:48」(JST)
[Wiki ja表示]
熱性けいれん
ICD-10 |
R56.0 |
ICD-9 |
780.31 |
OMIM |
604352 |
DiseasesDB |
4777 |
MedlinePlus |
000980 |
eMedicine |
neuro/134 |
MeSH |
D003294 |
熱性けいれん(熱性痙攣)は乳児に見られる発熱時のけいれん。けいれんを起こすがてんかんではない。
目次
- 1 定義
- 2 発症
- 3 原因
- 4 予後
- 5 治療
- 6 対処方法
定義
発熱時に痙攣を起こせば熱性けいれんと定義されるが、通常は発症が5分以下で発作の形に左右差が無く、全身の強直・間代痙攣で意識の回復が良いものを単純熱性けいれんとし、それを狭義の熱性けいれんとして使用されることが多い。一方、単純では無い熱性けいれんは複雑熱性けいれんと呼ばれる。
発症
6か月から6歳に多い。男女差なし。
原因
単純熱性けいれんは年齢が原因とされる。未熟脳は痙攣を抑制する力が弱く、動物実験でも体温を上昇させたマウスは痙攣を起こす。
一方、複雑熱性けいれんは一部で何らかの原因があることがある。原因としてはてんかん、脳奇形、神経皮膚症候群、神経代謝疾患などが挙げられる。
予後
初回の単純熱性けいれんを起こした子どもが人生でもう一度起こす可能性は1/3程度と言われているが、3回以上起こす場合はその後も繰り返しやすい。
熱性けいれん自体は何十回と繰り返してもかまわないという意見と、発作が多いと側頭葉てんかんの発症率を高めると言う意見があり統一されていない。が、言いかえれば統一されていない程度しか発作を繰り返しても予後に与える悪影響は少ない。いずれにしても数回程度の数分の発作が知能、てんかんへの予後に影響しないと考えられている。
単純熱性けいれんは予後が良い。6歳までには通常治癒するが一部は小学校高学年でも発症する。てんかんに移行することは一部に存在するが、それは何も無い小児がてんかんを発症する率に比べてわずかに高いのみである。複雑熱性けいれんも多くは予後良好ではあるが原因疾患があればその疾患の予後に準ずる。
治療
基本は予防。発熱(37.5-38.0度)が見られたら痙攣予防坐薬ダイアップ(成分名:ジアゼパム)を投与する。解熱剤は入れても入れなくても痙攣の発症率に影響しない。ダイアップの投与は通常8時間開けて2回で、繰り返し投与により有効血中濃度が長時間に渡り保たれる(2回目投与後、24時間前後)。上で述べた通り、1回のみの発症ではその後起こさない可能性が高いので2、3回発症した場合のみ使用開始することが多い。
予後は良好なことが多いので薬を使わなくても良い。
対処方法
痙攣発作が起きた場合はまず横向きで寝かせてむやみに口の中に手や物を入れるようなことは窒息や嘔吐を促す危険性があるため行わないようにする。発作中は痙攣発作が起きている時間を計測し、また発作の様子を把握しておく。5分以内で意識が回復すれば落ち着き次第、医療機関に行き、状況を説明しててんかんなど他の病気の可能性がないか確認するために診察を受ける。5分以上発作が続いている場合は救急車を呼ぶようにする。[1]
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
- ^ 救急車はいつ呼ぶ?熱性けいれんの対処法とは?子どもが発熱や痙攣発作を起こしたときの対応方法を紹介 - MEDLEY(メドレー)
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 橋本 和典,金子 裕貴,白髪 宏司 [他],吉井 啓介,大澤 眞木子
- 東京女子医科大学雑誌 83(E1), E390-E394, 2013-01-31
- … 熱性痙攣後にジアゼパム坐薬を使用した. …
- NAID 110009559402
- 野坂 宜之,六車 崇,植松 悟子,伊藤 友弥,賀来 典之
- 日本救急医学会雑誌 24(9), 758-766, 2013
- … うち75%が熱性痙攣症例であった。 …
- NAID 130004840970
- ダブルバルーン法を用いた小腸内視鏡にてポリープ切除を施行したPeutz-Jeghers症候群の7歳女児の1例
- 中竹 利知,濱田 吉則,高田 晃平 [他],荒木 吉朗,矢内 洋次,三木 博和,岩井 愛子,權 雅憲
- 日本小児外科学会雑誌 48(4), 738-742, 2012-06-20
- … 症例は7歳の女児.家族歴は父がPeutz-Jeghers症候群.無熱性痙攣後も嘔吐が持続し腹部超音波検査で,ポリープによる腸重積症と診断され,ポリープ切除の目的で当科に紹介された.ダブルバルーン法による小腸内視鏡(Double Balloon Enteroscopy; …
- NAID 110009470928
- フロッピーインファントにみられた粘膜下口蓋裂の1例
- 高田 佳之,小田 陽平,泉 直也,小林 正治,齊藤 力
- 日本口蓋裂学会雑誌 36(3), 208-212, 2011-10-25
- … 熱性痙攣を頻発した経過から先天性ミオパチーであることも否定できず,筋力の低下による呼吸不全や悪性高熱のリスクが考えられたため,軟口蓋形成術を3歳2か月時まで延期した。 …
- NAID 10030795100
Related Links
- 熱性けいれんは、乳幼児が熱をだしたときに、いっしょにおきるけいれんのことを言います 。急に、手足がピーンと強くこわばること(強直性けいれん)が多いのですが、同時に、目 はあらぬ方に向いて、口からあわをふき、呼吸を止めてしまいます。次第に唇や顔の色 ...
- 熱性けいれん(熱性痙攣)は乳児に見られる発熱時のけいれん。けいれんを起こすが てんかんではない。 目次. 1 定義; 2 発症; 3 原因; 4 予後; 5 治療. [編集] 定義. 発熱 時に痙攣を起こせば熱性けいれんと定義されるが、通常は発症が5分以下で発作の形 に左右 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
- 10か月の乳児。けいれんを起こしたため搬入された。
- 現病歴:2日前の朝から38.5℃の発熱と喘鳴とがあり、抗菌薬と鎮咳去痰薬の投与を受けた。今朝から機嫌が悪く、昼過ぎから全身性強直間代性けいれんを起こした。来院時けいれんは停止していたが、けいれんの持続時間は40分間であった。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 発達歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:母親が子供のころにけいれんを起こしたことがある。
- 現症:呼びかけても開瞼しない。身長73cm、体重9,210g。体温38.8℃。呼吸数36/分。心拍数120/分、整。皮膚に発疹を認めない。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭に発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触知する。四肢の腱反射は軽度亢進している。
- a. 発症年齢
- b. けいれんの型
- c. けいれん時の体温
- d. けいれんの家族歴
- e. けいれんの持続時間
[正答]
※国試ナビ4※ [102H036]←[国試_102]→[102H038]
[★]
- 8か月の乳児。発熱とけいれんとを主訴に来院した。午前中は元気で哺乳力も良好であったが、午後になって発熱に気付いた。その後、約3分続く全身のけいれんを認めた。発熱もけいれんも出生後初めてだという。意識は清明。身長72cm、体重8,600g。体温38.6℃。大泉門の膨隆は認めない。咽頭に軽度の発赤を認める。鼓膜に異常はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に異常を認めない。項部硬直とKernig徴候とはみられない。血液所見と血清生化学所見とに異常を認めない。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D020]←[国試_101]→[101D022]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 疾患とのその合併症との組み合わせで適切なのはどれか
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- a. 乳児期前半に多い
- b. 短時間で再発することが多い
- c. 全般性痙攣のことが多い1
- d. 痙攣後一時的に片麻痺を残すことが多い
- e. 全般性痙攣を伴うてんかんに移行することが多い
[★]
熱性痙攣、熱性けいれん
[★]
- 関
- 熱性痙攣
- 6ヶ月から5歳に多い
- 全身性強直間代発作
- 持続時間は15-20分以下
- 24時間以内に再発しない
- 体温は38℃以上のことが多い。38℃以下ではてんかんが疑われる。
国試
[★]
- 英
- complex febrile seizure
- 関
- 熱痙攣、熱性痙攣、複雑性熱性痙攣、複雑性熱性けいれん、複雑型熱性けいれん、単純性熱性痙攣
[★]
- 英
- complex febrile seizure
- 関
- 複雑型熱性痙攣、複雑性熱性けいれん、複雑型熱性けいれん
[★]
- 英
- simple febrile seizure
- 関
- 熱痙攣、熱性痙攣、複雑型熱性痙攣、単純熱性痙攣
[★]
痙攣
- 英
- (脳脊髄性)convulsion、seizure、(痛性)cramp、(痙縮)spasm、convulsive
- 同
- 痙攣発作
- 関
- 筋痙攣、痙縮、痙直、痙攣、痙攣性、スパスム、スパズム、てんかん、癲癇、てんかん発作、腹痛、発作、攣縮、けいれん性、れん縮、こむら返り、腓返り、筋けいれん
分類
部位
原因
アミノ酸代謝異常で痙攣を呈さないもの
乳幼児期の精神発達遅延+痙攣
- YN.J-39
参考
- 1. 小児科診療・2009年・6号 (103)1083 けいれん
国試