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てんかん | |
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分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | G40.-G41. |
ICD-9 | 345 |
DiseasesDB | 4366 |
MedlinePlus | 000694 |
eMedicine | neuro/415 |
MeSH | D004827 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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てんかん(癲癇、Epilepsy)とは、脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動(以下、てんかん放電)のためてんかん発作を来す疾患あるいは症状である。WHO国際疾病分類第10版(ICD-10)ではG40である。WHOによる定義によるとてんかんとは『種種の病因によってもたらされる慢性の脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な放電から由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見の表出が伴う』とされている。病因が大脳ニューロン由来の過剰な活動であるため、大脳ニューロンを由来としないジスキネジアはてんかんではない。また経過が慢性反復性でなければならないことから、脳炎、外傷後、薬物中毒の離脱期におこる痙攣はてんかんではない。
目次
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てんかんは古くから存在が知られる疾患のひとつで、古くはソクラテスやユリウス・カエサルが発病した記録が残っており[要出典]、各国の疫学データでは発症率が人口の1%前後となっている。昔は「子供の病気」とされていたが、近年の調査研究で、老若男女関係なく発症する可能性があるとの見解も示され、80歳を過ぎてから発病した報告例もある。
てんかんは特に全般発作時の激しい全身の痙攣から、医学的な知識がない時代には狐憑きなどに代表される憑き物が憑依したと誤認され、時に周囲に混乱を起すことがあり差別の対象となることがあった。
疾患の原因は脳の損傷や神経の異常とみられている。原因が分かったものを症候性てんかん、分らないものを真性てんかんという。てんかん発作の原因としては、出産前後の酸素不足、頭部外傷、脳卒中、脳の感染症、脳の発生異常、てんかんに関連した遺伝子の異常などがある。これに発作を誘発する因子(光刺激、過呼吸、精神的ストレス、身体的ストレス、睡眠不足、月経周期に関連したホルモンの変動、ある種の投薬など)が加わることで発作が起きる。 てんかん発作を持つ人でもその7割以上は発作が完全に抑制されており、とくに問題のない健全な生活を営むことが出来る。
てんかんの症状は、「てんかん=突然倒れて、泡を吹く病気」という重篤な症状が一般に知られているが、より軽症な症状も含む。
てんかん発作に伴う主な症状は、強直性、間代性などの不随意運動、つまり痙攣(けいれん)であるが、痙攣を伴わない発作もある。また、意識障害として、突然意識を失う・記憶が飛ぶ・急に活動が止まって昏倒する場合もある。ただし、大半の発作は一過性であり、数分~十数分程度で回復するのが一般的である。
発作に拠って影響を受ける部分は、主に意識と随意運動で、呼吸や瞬き・瞳孔反射といった通常の場合における不随意運動はあまり影響されない。
発作時にはこれといった応急処置はなく、患者が暴れて段差から落ちたり壁などに体をぶつけたりしてケガをしないように、周囲の者が安全確保をすることが必要となる。余裕があるようなら、発作時の症状を携帯電話やスマートホンなどで録画したり 観察して記録をつけておくと治療に役立つ。発作が断続的に持続する場合(5分以上)にのみ、救急車を要請する。
強直性の発作時には口の中や舌を噛んでしまうことがあるため、以前はマウスピースとして清潔なハンカチを巻いた鉛筆や箸を噛ませるように指導されていた時代もあった。しかし現在では、鉛筆や箸で口内や歯を損傷したり処置者が受傷する等の危険もある上、極稀に発作時嘔吐する場合もあり、ハンカチを巻いた鉛筆や箸を噛ませた事により、嘔吐物が気管に誤って入り肺炎になったり、時として気管に詰り窒息する危険性があるので、絶対に避けるように指導されている。
発作が起きた場合、周囲の人は発作が起きたときの状況を具体的に伝えることが、医師の的確な診断につながり、原因究明や再発防止に役立つことが多い。そのため 録画機材が身近にある現在では 状況録画はとても大切なことである。
てんかん発作は脳の中の過剰な電気が発生したことによる異常発火の起きた部位や、広がり方によって異なる症状を示す。発作の起こり始め(起始)における異常発火の広がりによって大きく全般発作と部分発作(局在関連性発作)の2つに分類される。それ以外に遺伝子(おそらくはチャネル病)によって規定される特発性てんかんと脳炎、脳腫瘍、頭部外傷などによっておこる症候性てんかんという分類がされる。場合によっては意識消失の有無によって単純性、複雑性という分類も用いられる。
発作の起始から大脳皮質全域にわたる発火の場合を全般発作と呼ぶ。全身の痙攣を引き起こす全般性強直間代発作(いわゆる大発作)や、意識消失が主体でけいれんを伴わない欠神発作(いわゆる小発作)が含まれる。他に汎ミオクロニー発作、強直発作、脱力発作などが含まれる。
脳の一部の異常興奮によって発作が始まる場合を部分発作と呼ぶ。さらに、意識障害を伴わないものを単純部分発作、意識障害を伴うものを複雑部分発作と呼ぶ。なお、発作の起始には脳の一部から発火が始まり、その後発火が大脳皮質全域に広がる場合を二次性全般化発作と呼ぶ。二次性全般化発作はいわゆる大発作と類似の症状を呈するが、発作初期の発火様式から部分発作に分類される。
正常な脳が何故、てんかんを起こさないのかという問いかけに対して、2007年現在、薬理学では次のような解答が出されている。正常な中枢神経にはニューロンのシグナル活動を微調整する機構が備わっている。それはイオンチャネルの不応期とGABA作用性の介在ニューロンによる周辺抑制という機構である。
部分発作が発生するには電気活動の亢進による細胞レベルでの発作開始、周辺ニューロンとの同期、脳の隣接領域への伝播という3つのプロセスがある。発作開始時はある一群のニューロン内部で発作性脱分極性変位(PDS)がおこる。この脱分極は200msに及び、これが発生するとニューロンは活動電位を非常に早く連続的に発生するようになる。局所的な放電の場合、周辺抑制のため焦点に閉じ込められた放電が無症状に終わる。周辺抑制を乗り越えるにはGABA抑制作用の低下、ニューロン発火の増加による細胞外カリウム濃度の上昇、NMDAチャネルの開口などが考えられている。周辺抑制を乗り越えると同期放電が出現し症状が出現する。この時の同期放電が十分に強いと隣接領域へ同期発火が伝播する。この伝播が前兆として知覚される。そして、皮質領域を結び付けるU fiberや脳梁、視床皮質投射線維を介して全般化することがある。
周辺抑制が認められる場合は発作は起こらないと考えられている。これらの機構が破綻(はたん)することにてんかんの原因があると考えられており、実際一部のてんかんではナトリウムチャネルの異常が指摘されている。
まず、患者の前に来たとき、痙攣が持続しているのかしていないのかを確認する。痙攣発作はたいていは数分で消失するが、なかには数十分続く痙攣重積というものもある。痙攣中は呼吸が満足にできないので、持続すると低酸素脳症を起こす恐れがある。そのため痙攣を止める必要がある。痙攣発作中の患者にはまずBLS、ACLSのアルゴリズムに従い救命を行う。低血糖、心室細動の診断もこの時に行う。低血糖ならば50%ブドウ糖20mlを2A(40ml)を静注し、心室細動ならば電気的除細動を行う。次に考えるのはヒステリーによるもの(偽痙攣という)であるかだが、これは経験的に診断することが多い、疑わしければアームドロップテストなどを行うこともある。偽痙攣が否定されれば真性痙攣の治療となる。
ごくまれに、ホリゾンを20mg投与しても痙攣が治まらない場合がある。この場合はアレビアチンの点滴を開始する。これでも止まらなければテグレトールを50~100mg(1Aに500mg含まれているので注意)静注したり、フェノバール(100mg/A)を1A筋注したりすることもある。これでもダメなら、気管挿管し、低酸素を防ぎ専門医に相談するべきである。アレビアチン(フェニトイン)は2A以上でないと効果がないと言われている。この薬はナトリウムチャネルが不活化状態から回復する頻度を減らす作用がある。よく用いられる抗てんかん薬であるデパケン(バルプロ酸)もこの作用を有しているがこちらはカルシウムチャネルにも作用する。
発作が止まったら原因検索と外傷検索を行う。採血を行い血算(血球算定)、生化学検査を行い、アルコール濃度や抗てんかん薬血中濃度を測定する。また、動脈血液ガスにて代謝性アシドーシス(筋肉の収縮で嫌気性呼吸がおこるため)の有無を確認する。頭部CTや尿中薬物検査も行う。これらの検査で異常があれば症候性てんかんと診断され、異常がなければ真性てんかんである。
診断ができればそれに基づいて治療を行うことができる。原則として初発の痙攣では入院による精査が望ましい。てんかんで最も怖いのは痙攣後外傷である。危険を感じたらためらわず入院させる。しかし患者の希望によっては後日に脳波検査となる。てんかんは発作型によって治療薬が異なるのだが、この場合は抗てんかん薬の予防投与となる。それ以外の真性てんかんで受診となるケースとしては、コントロール不良の場合があり、これは非常に危険なので入院精査が必要である。怠薬の場合はアレビアチン投与後、服薬を再開する。今までコントロール良好であったのに痙攣した場合は、抗てんかん薬の増量を行い、かかりつけ医に受診させるという方法もある。症候性てんかんの場合は原因疾患を治療すれば完治できる可能性がある。可能ならば原疾患を治療し、抗てんかん薬の投与そして診断に合わせて後日専門医を受診させればよい。
てんかんの治療はかつては内科的治療が主体であったが近年は難治性てんかんに対して外科的治療も積極的に行われるようになった。画像上明らかになるのは部分切除によって改善が見込める症候性部分発作をおこすてんかんである。難治性であっても特発性全般発作をおこすてんかんは外科的治療の適応とならない場合が多い。てんかんのおよそ1/3が薬物療法によってコントロールされない難治性てんかんである。とくに治療が見込める疾患としては海馬硬化症、脳腫瘍、大脳皮質形成障害、脳血管奇形などが原因である場合である。
海馬硬化症は側頭葉てんかんの原因となることが多い疾患である。内側側頭葉の神経細胞の脱落とグリオーシスが起る疾患である。CA1を中心にCA3,CA4が硬化するのが特徴であるが海馬に限らず扁桃体など隣接する領域も硬化するため、海馬硬化よりは内側側頭葉硬化の方が名称としてふさわしい。MRIでは海馬の萎縮、内部構造の破壊、T2延長や側脳室下角の拡大が認められる。進行した場合は病側乳頭体、脳弓、側頭葉の非対称性委縮が認められる。内側側頭葉硬化症の場合、腫瘍や限局性皮質異形成などほかの症候性てんかんを起こす異常が認められる場合が多く注意が必要である。正常変異である海馬溝遺残や脈絡裂嚢胞が内側側頭葉硬化と紛らわしい場合がある。側頭葉てんかんでは典型的には胃部の不快感などの前兆の後に自動症を伴う複雑部分発作が生じるのが特徴である。
現在日本で使われる抗てんかん薬には、以下のものがある。
これらの薬を用いた治療は、てんかんの根本にある原因を治癒するものではなく、痙攣を抑えたり発作が出にくくする対症療法であり、長期間服用を続けなければならない。ただし、長期に渡って発作がない場合は、症状に合わせて徐々に減量し休薬することもある。
2007年現在行われている、薬物治療は発作の臨床型によって薬を使い分けている。用いる薬物は基本的にナトリウムチャネルを抑制するもの、T型カルシウムチャネルを抑制するもの、GABAの抑制作用を増強させるものの3種類がある。ナトリウムチャネルを抑制するものとしてはカルバマゼピン(CBZ)(テグレトール®)やフェニトイン(PHT)(アレビアチン®)がよく知られており、T型カルシウムチャネルを抑制するものとしてはバルプロ酸ナトリウム(valproic acid; VPA)(デパケン®, デパケン®R(デパケンの徐放剤), バレリン®)、エトスクシミド(ザロンチン®)がよく知られている。GABAの抑制作用を増強させるものとしてはジアゼパム(DZP, DAP)(ホリゾン®、セルシン®)やフェノバルビタール(PB)(フェノバール®)がよく知られている。基本的にはナトリウムチャネルを抑制するものは部分発作と二次性全般発作に効果的で欠神発作にはほとんど効かず、T型カルシウムチャネルを抑制するものは欠神発作に効果的である。
一応はこのように分類はされているが、抗てんかん薬は薬理作用が多彩であるため、他の抗てんかん薬で代用可能なことが多く、副作用コントロールのために第一選択ではない薬が投与されることが非常に多い。例えばバルプロ酸はT型カルシウムチャネルを抑制するものとして分類されているが、ナトリウムチャネルも抑制するため、部分発作の治療にも用いられる。
てんかんの治療目的は痙攣重積発作などの緊急性のてんかんからの回復、慢性てんかんの発作再発の防止である。
緊急時は呼吸抑制に注意しながらジアゼパムを、血圧の低下に注意しながらフェニトインをゆっくり静注する。ジアゼパムはめまいや運動失調などの副作用が著しいため急性期の治療以外では基本的には使わない。
原則として単剤投与でコントロールする。使用薬剤はてんかんの型によって異なる。傾向としては、バルプロ酸が全般発作向きであり、カルバマゼピンが部分発作向きである。
かつては右半球切除、脳梁切断といったロボトミーなどの外科的な手法による治療も試みられたが、現在では大半が投薬により症状を抑えることが可能で、薬物療法でのコントロールが困難な場合などを除き、外科的な処置が行われることはない。また、脳ペースメーカーによる深度てんかんの治療も行われつつある。
難治性てんかんの治療法として選択できる。保険適応となった。[1][2]
この節の正確性に疑問が呈されています。問題箇所に信頼できる情報源を示して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2011年1月) |
症例が少ないようであるが、血液検査の結果、GOTがGPTより高値を示している等わかり、ビタミンBの不足が発見され、ビタミンB剤が投与されることがある(その症例)。GPTが20前後より低くなり、GOTよりGPTが低く開きがあるほど、ビタミンB6が不足していることが考えられる。また、MCVは100未満が正常値であり、これより多い場合、B12や葉酸の不足が伺える。MCHが低くてMCVが高い場合、ビタミンB欠乏がかなり深刻である。ビタミンB群は神経伝達などに深く関わり、不足すると、神経質になる、過敏になる、気難しくなる、しびれ、脳のトラブル、認知症、自閉症などの症状にもつながる。てんかん発作を抑えるためのビタミンB投与は、医師の処方による投薬でもサプリメントを使用してもよく、効能にあまり差がないため、患者の都合に応じて選んで良い。ビタミンB6が、脳内の神経伝達物質GABAを合成する時の補酵素として働くため、GABAの量が増加し、てんかん発作が抑えられるとみられている。West症候群の場合、ビタミンB6の大量投与による発作消失率は13-29%である。[3]抗てんかん薬より治療効果が低く、副作用が多いと考えられる。[4]
てんかん発作と間違えるような紛らわしい非てんかん発作(疑似発作)がある。
心因性発作にはいくつかの特徴があるとされている。首の規則的、反復的な左右への横振り運動、発作の最中に閉眼している場合、発作中に泣き出す場合、発作出現に先行して1分以上の閉眼、動作停止伴う疑似睡眠状態が出現する場合などは心因性発作の可能性がある。ただし、これらの所見の信頼度は高くはない。頻度は低いが心因性発作でも尿失禁や咬舌が認められることがある。発作終了後にプロラクチン濃度の上昇が認められる場合は心因性ではない可能性が高いとされている。
国際抗てんかん連盟(ILAE)では「急性症候性発作とは急性全身性疾患、急性代謝性疾患、急性中毒性疾患、急性中枢神経疾患(感染症、脳卒中、頭部外傷、急性アルコール中毒、急性アルコール離脱など)と時間的に密接して関連して起こる発作である」と定義している。急性疾患と同時に痙攣が一回だけ起こることが多いが、急性疾患が再発した場合は痙攣が再発したり重積となったりする。抗てんかん薬の内服が長期に及ぶことは少ない。
原因 | |
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脳血管障害 | 脳血管障害から7日以内に起こる発作 |
中枢神経系感染症 | 中枢神経系感染症の活動期に起こる発作 |
頭部外傷 | 頭部外傷から7日以内に起こる発作 |
代謝性 | 電解質異常、低血糖、非ケトン性高血糖、尿毒症、低酸素脳症、子癇など、全身性疾患に関連して起こる発作 |
中毒 | 麻薬や処方薬、アルコールなど |
離脱 | アルコールや薬物の離脱時 |
頭蓋内手術後 | 頭蓋内脳外科手術の直後に起こる発作 |
脱髄性 | 急性散在性脳脊髄炎の急性期に起こる発作 |
多因性 | 同時に起きたいくつかの状況と関連した発作 |
てんかんには多くの種類があり、種類によっては知的障害などの後遺症を残す場合もある。てんかんの危険性がある人は倒れた場合の頭部の保護のため、ヘッドギアを付けている場合も多い。とくに施設入所者ではその傾向が顕著である。点頭てんかんでは「ヒプスアリスミア」と呼ばれる乱雑な脳波がある。
以下、てんかんおよびてんかん症候群の国際分類を示す:
俳優
音楽家
芸術
スポーツ選手
作家
宗教家
学者
君主・王族
政治家
その他
他の人物についてはen:List_of_people_with_epilepsyを参照のこと。
1995年7月の、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の改正に伴い、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能となった。
また、障害年金受給もできるようになり、かっては、精神科医のみ診断書を書けたが、近年、脳外科医も年金申請の診断書を書けるように、制度、ならびに、診断書の注意文が変更された。
医者の中には、まだ、制度の変更を知らないものもおり、自治体等の窓口でも、てんかんが精神障害に認定されうる、障害年金の申請も可能なケースもある(年金の加入状況、受給要件による)ということを把握しておらず、申請に関する書類一式を渡さないといった問題も起きている。
年金の受給要件などは、年金ダイヤル、受給に関する相談は、最寄の年金事務所で問い合わせが可能。
年金事務所は、基本的に来所前提の相談なので、介助者がいない者は、申請する書類すら揃えられないこともある。
てんかん患者の自動車運転については旧道路交通法(昭和35年6月25日 法律第105号)において「次の各号のいずれかに該当する者に対しては、免許を与えない。(中略)精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳がきこえない者又は口がきけない者」と記されていた[7]。しかし、2002年5月13日の道路交通法[8]および同法施行令[9]改正により、条件付きでてんかん患者が免許取得できる道が開かれた[10]。
てんかん患者が運転免許を取得できる条件は以下の3つである[11]。
てんかん患者による免許取得の制度面の整備はなされたが、2012年現在、てんかんを罹患している旨は患者本人の自己申告に頼っている。このため、上記条件に合致しないてんかん患者が病歴を隠して違法に免許の取得・更新を行うことを排除できない。車の運転が規制されることで仕事に影響が出ることが免許の違法取得・更新の理由であると考えられるが、結果として下記のような重大事故を招く一因となっている。
運転者の発作・急病が原因の交通事故は2011年に254件発生しており、このうちてんかんによる事故はその28.7%を占める73件が発生している。同年のてんかんによる交通事故のうち、5件が死亡事故となっている[12]。
てんかん患者の免許取得が解禁されて以降、てんかんの発作が直接の原因となった死傷事故が相次いだことから、日本てんかん学会・日本てんかん協会・警察庁は、てんかん患者の免許取得・更新制度の見直しに入った[13]。
2012年にはてんかんを隠して免許を取得・更新したとして逮捕者が出た[14]。
てんかん発作による交通事故において、裁判所の判断は有罪、無罪と分かれている。なお、てんかん患者の自動車運転免許取得の条件については上記を参照のこと。
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リンク元 | 「痙攣」「聴覚発作」「精神運動発作」「epilepsia」 |
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