アルガトロバン
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- 用法/用量 1.次記疾患に伴う神経症候(運動麻痺)、日常生活動作(歩行、起立、座位保持、食事)の改善[発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)]:はじめの2日間は1日アルガトロバン水和物として60mgを ...
- 効能・効果 脳血栓症急性期<ラクネを除く>の(運動麻痺、神経症候、起立、座位保持、食事、日常生活動作、歩行)の改善、(バージャー病、閉塞性動脈硬化症、慢性動脈閉塞症)の(安静時疼痛、冷感、四肢潰瘍)の改善、(HIT2型 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スロンノンHI注10mg/2mL
組成
有効成分
- アルガトロバン水和物(日局)10mg/2mL(0.5w/v%)
添加物
- 無水エタノール 300mg、濃グリセリン 900mg、pH調節剤
禁忌
- 出血している患者(頭蓋内出血、出血性脳梗塞、血小板減少性紫斑病、血管障害による出血傾向、血友病その他の凝固障害、月経期間中、手術時、消化管出血、尿路出血、喀血、流早産・分娩直後等性器出血を伴う妊産婦等)[出血している患者に投与した場合には止血が困難になるおそれがある(「警告」の項参照)。]
- 脳塞栓又は脳塞栓のおそれがある患者(ただし、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の患者を除く)[出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」及び「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者[大梗塞の患者は出血性脳梗塞を起こすおそれがある(「警告」の項参照)。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 下記疾患に伴う神経症候(運動麻痺)、日常生活動作(歩行、起立、坐位保持、食事)の改善
・ 発症後48時間以内の脳血栓症急性期(ラクネを除く)
- 通常、成人に、はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し、24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回、1回3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
- 慢性動脈閉塞症(バージャー病・閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍、安静時疼痛ならびに冷感の改善
- 通常、成人1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を輸液で希釈し、1日2回、1回2〜3時間かけて点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
- 下記患者における血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)
・ 先天性アンチトロンビンIII欠乏患者
・ アンチトロンビンIII低下を伴う患者
(アンチトロンビンIIIが正常の70%以下に低下し、かつ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの)
・ ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型患者
- 通常、成人に、体外循環開始時に1管(アルガトロバン水和物として10mg)を回路内に投与し、体外循環開始後は毎時2.5管(アルガトロバン水和物として25mg)より投与を開始する。凝固時間の延長、回路内凝血(残血)、透析効率及び透析終了時の止血状況等を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定するが、毎時0.5〜4管(アルガトロバン水和物として5〜40mg)を目安とする。
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止
- 本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.1mg/kgを3〜5分かけて静脈内投与し、術後4時間までアルガトロバン水和物として6μg/kg/分を目安に静脈内持続投与する。その後抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量し静脈内持続投与する。なお、持続投与量は目安であり、適切な凝固能のモニタリングにより適宜調節する。
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制
- 本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し、持続投与する。なお、肝機能障害のある患者や出血のリスクのある患者に対しては、低用量から投与を開始すること。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定する。
- 血液体外循環時に使用する場合、播種性血管内血液凝固症候群(DIC)に伴うアンチトロンビンIII低下患者では、血液体外循環時に投与した経験がないので、投与しないことが望ましい。
慢性動脈閉塞症の患者に使用する場合
- 4週間を超えて投与した経験は少ないので、本剤の投与期間は4週間以内をめどとすること。
アンチトロンビンIII低下状態の血液透析患者に使用する場合
- 本剤を使用することによりアンチトロンビンIIIが70%以上に回復し、体外循環路内の凝血(残血)が管理可能と判断されたときには、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用を速やかに検討し、本剤を漫然と使用しないこと。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合
- 本剤の投与開始から10分程度で活性化全血凝固時間(ACT)を測定し、術後4時間まではACTが250〜450秒となるように持続投与量を調節すること。患者の状態により、術後4時間以降の抗凝固療法の継続の要否を判断するが、その後も抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量後、適宜aPTTを測定し、aPTTが投与前値の1.5〜3倍程度となるよう持続投与量を適宜調節し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
- 本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者に対して術後4時間以降も抗凝固療法が必要な場合は、0.2μg/kg/分に減量するなど注意すること。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
- 本剤による治療開始及び投与量変更時には、以下の表を参考に投与すること。
本剤を10mLに希釈し、6μg/kg/分で投与する場合の投与速度
本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
- 術後4時間以降も抗凝固療法を継続する必要があり、本剤を0.7μg/kg/分に減量後、aPTTが投与前値の3倍を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5〜3倍以下)に回復したことを確認し、再開時の投与量は、投与中止前の1/2の用量を目安にすること。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制に使用する場合
- 本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者、又は出血のリスクのある患者に対しては、低用量(0.2μg/kg/分)から投与を開始するなど注意すること。
- 本剤による治療開始時には、以下の表を参考に投与を開始すること。
本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
- 本剤投与開始後は、aPTTを投与前値の1.5〜3倍の範囲かつ100秒以下となるように用量を調節すること。なお、出血のリスクのある患者ではaPTTが、投与前値の1.5〜2倍となるように用量を調節すること。
- 本剤投与開始2時間後及び本剤の投与量の変更2時間後を目安にaPTTを測定し、投与量を調節する。肝機能障害がある患者又は出血のリスクがある患者に対しては、本剤投与開始あるいは投与量変更6時間後にもaPTTを測定することが望ましい。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
- aPTTが投与前値の3倍又は100秒を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5〜3倍かつ100秒以下)に回復したことを確認し、投与中止前の1/2の用量を目安に開始すること。
- 本剤を使用することにより血小板数が回復し、安定した場合には、経口抗凝固薬(ワルファリン等)による治療の開始を考慮すること。なお、ワルファリンに切り替える場合は、本剤とワルファリンを5日間程度併用すること。本剤とワルファリンとの併用時は、aPTT及びプロトロンビン時間−国際標準比(PT-INR)をモニタリングすること。なお、本剤とワルファリンとの相互作用によりPT-INRが延長することから、本剤中止後にPT-INRが短縮することに注意すること。
- 経口抗凝固療法への移行が困難な患者を除き、本剤を漫然と使用しないこと。(国内外の臨床試験において本剤投与期間は概ね7〜14日間であった。また、国内で実施された臨床試験では、ワルファリンへの切り替えができなかった患者1例での投与期間は最長35日であった。)
慎重投与
- 出血の可能性のある患者(消化管潰瘍、内臓の腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、脳出血の既往歴のある患者、血小板の減少している患者、重症高血圧症、重症糖尿病の患者、手術後の患者等)[出血を起こすおそれがある。]
- 抗凝固薬、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解薬又はフィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤を投与中の患者[これらの薬剤と併用することにより、出血傾向の増強があらわれるおそれがある(「相互作用」の項参照)。]
- 重篤な肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
重大な副作用
出血性脳梗塞
1.2% 脳血栓症急性期の調査
- 脳血栓症急性期の患者に使用した場合、出血性脳梗塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳出血(0.1%)、消化管出血(0.2%)
- 脳出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック・アナフィラキシーショック(頻度不明注1))
- ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
劇症肝炎(頻度不明注1))、肝機能障害(0.02% 慢性動脈閉塞症の調査)、黄疸(0.03% 脳血栓症急性期の調査)
- 劇症肝炎等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
トロンビン阻害作用14〜17)
- in vitro 試験において、アルガトロバン水和物はトロンビンによるフィブリン生成、血小板凝集及び血管収縮を強く阻害するが、他のトリプシン様セリン蛋白分解酵素に対する阻害効果は弱く、トロンビンを選択的に阻害する。
血液凝固阻止作用
- in vitro 試験において、PT、aPTTを濃度に依存して延長したが、ヘパリンのような急激な延長は認められていない18)。
- 健康成人にアルガトロバン水和物2.25mgを30分かけて点滴静注した場合、PTは1.18倍、部分トロンボプラスチン時間(PTT)は1.57倍に延長する1)。
- 脳血栓症急性期患者に1日あたりアルガトロバン水和物60mgを2日間持続点滴静注した場合、PTは1.17倍、aPTTは1.53倍に延長する19)。
- 慢性動脈閉塞症患者にアルガトロバン水和物10mgを3時間かけて点滴静注した場合、PTは1.14倍、aPTTは1.38倍に延長する8)。
- 血液透析患者にアルガトロバン水和物を1時間あたり12〜48mg投与した場合、PTは2.5倍、PTTは3.4倍に延長する20)。
脳血栓症急性期における凝固亢進状態に及ぼす作用19)
- 脳血栓症急性期患者において本剤投与によりフィブリノペプチドA(FPA)が有意に低下した。
阻血肢の組織酸素分圧等に及ぼす作用21)
- 慢性動脈閉塞症患者において本剤投与により阻血肢の経皮的組織酸素分圧、皮膚温度、深部温度が有意に上昇した。
抗血栓効果
脳血栓症22, 23)
- 光増感反応による中大脳動脈血栓症モデル(ラット)に対し、Ischemic Penumbraにおけるフィブリン微小血栓生成抑制、局所脳血流量改善、梗塞領域の拡大抑制及び片麻痺様の神経症候の改善作用を示す。
慢性動脈閉塞症24)
- 大腿動脈内乳酸注入による末梢動脈閉塞症モデル(ラット)に対し、病変の進展を抑制する。
血液体外循環
- アンチトロンビンIII低下マウス及びラットにおける血栓症モデルに対し血栓生成抑制作用を示す。ヘパリンは同様の試験で血栓生成抑制作用を示さない25)。
- 実験的体外循環モデル(イヌ)に対し、アルガトロバン水和物単独使用により、体外循環を行うことが可能である26)。
有効成分に関する理化学的知見
性状
- 白色の結晶又は結晶性の粉末で、味は苦い。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。光によって徐々に分解する。
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- argatroban
- 商
- アルガロン、ガルトバン、スロンノン、スロンノンHI、ノバスタン、ノバスタンHI
- 関
- その他の循環器官用薬