- 英
- palmitate, palmitic acid
- 同
- ヘキサデカン酸 hexadecanoic acid
- 関
- 脂肪酸
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/11/01 09:14:49」(JST)
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パルミチン酸[1] |
|
|
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
57-10-3 |
PubChem |
985 |
ChEMBL |
CHEMBL82293 |
IUPHAR/BPS
|
1055 |
|
特性 |
化学式 |
C16H32O2 |
モル質量 |
256.42 g/mol |
外観 |
白色結晶 |
密度 |
0.853 g/cm3 at 62 ℃ |
融点 |
62.9 ℃[2]
|
沸点 |
351-352 ℃[3]
215 ℃ at 15 mmHg
|
水への溶解度 |
溶けない |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
パルミチン酸(パルミチンさん、英: palmitic acid、数値表現 16:0)とは、分子式 C16H32O2、示性式 CH3(CH2)14COOH で表すことのできる飽和脂肪酸である。IUPAC系統名はヘキサデカン酸(hexadecanoic acid)。常圧では融点 63 ℃、沸点351 ℃であり、常温では白色の固体である。水には不溶、エーテル、ベンゼンには可溶、エタノールには難溶。
目次
- 1 存在と用途
- 2 生成と変換
- 3 脚注
- 4 関連項目
存在と用途
ラードやヘットなどに多く含まれる。多くの動物性、植物性油脂中、特に木蝋中にグリセリドであるパルミチンとして含まれており、化粧品や界面活性剤などによく用いられている。
類似の化学物質に、イソパルミチン酸(2-ヘキシルデカン酸)があり、同様に化粧品などに応用されている。
生成と変換
植物、微生物、ヒトを含めた動物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoAとマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られる。順次アセチルCoAが追加合成されるので原則脂肪酸は偶数の炭素数となる。体内で余剰の糖質、タンパク質等が存在するとアセチルCoAを経て、飽和脂肪酸の合成が進む。脂肪酸の合成は炭素数16のパルミチン酸で一旦終了する。
16:0のパルミチン酸は、長鎖脂肪酸伸長酵素により、18:0のステアリン酸に伸張される。ステアリン酸は、体内でステアロイルCoA 9-デサチュラーゼ(Δ9-脂肪酸デサチュラーゼ)によりステアリン酸のw9位に二重結合が生成されてω-9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸である18:1のオレイン酸が生成される[4][5][6]。ステアリン酸がオレイン酸に変換されることで体内の脂肪酸の融点が下がり、体温環境下で脂肪酸を液体に保ち、流動性を増加させる。
脚注
- ^ Merck Index, 12th Edition, 7128.
- ^ Beare-Rogers, J.; Dieffenbacher, A.; Holm, J.V. (2001). “Lexicon of lipid nutrition (IUPAC Technical Report)”. Pure and Applied Chemistry 73 (4): 685–744. doi:10.1351/pac200173040685. http://iupac.org/publications/pac/73/4/0685/.
- ^ Palmitic acid at Inchem.org
- ^ http://hobab.fc2web.com/sub4-Fatty_Acid_Synthesis.htm
- ^ 脂肪酸の合成
- ^ http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic1.pdf
関連項目
- セタノール - パルミチン酸のカルボキシ基を還元して水酸基にした化合物。別名、パルミチルアルコール。
C15:
ペンタデカン酸 |
飽和脂肪酸 |
C17:
マルガリン酸 |
脂肪:主な脂肪酸 |
飽和脂肪酸
(「*」印は揮発性)
|
C1 蟻酸* - C2 酢酸* - C3 プロピオン酸* - C4 酪酸* - C5 吉草酸 - C6 カプロン酸 - C7 エナント酸 - C8 カプリル酸 - C9 ペラルゴン酸 - C10 カプリン酸 - C11 ウンデシル酸 - C12 ラウリン酸 - C13 トリデシル酸 - C14 ミリスチン酸 - C15 ペンタデシル酸 - C16 パルミチン酸 - C17 マルガリン酸 - C18 ステアリン酸 - C19 ノナデシル酸 - C20 アラキジン酸 - C21 ヘンイコシル酸 - C22 ベヘン酸 - C23 トリコシル酸 - C24 リグノセリン酸
|
不飽和脂肪酸
|
ω-3脂肪酸 |
α-リノレン酸 - ステアリドン酸 - エイコサペンタエン酸 - ドコサペンタエン酸 - ドコサヘキサエン酸
|
ω-6脂肪酸 |
リノール酸 - γ-リノレン酸 - ジホモ-γ-リノレン酸 - アラキドン酸 - ドコサペンタエン酸
|
ω-7脂肪酸 |
パルミトレイン酸 - バクセン酸 - パウリン酸
|
ω-9脂肪酸 |
オレイン酸 - エライジン酸 - エルカ酸 - ネルボン酸
|
ω-10脂肪酸 |
サピエン酸
|
|
- 主要な生体物質
- 炭水化物
- アルコール
- 糖タンパク質
- 配糖体
- 脂質
- エイコサノイド
- 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体
- リン脂質
- スフィンゴ脂質
- ステロイド
- 核酸
- 核酸塩基
- ヌクレオチド代謝中間体
- タンパク質
- タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体
- テトラピロール
- ヘムの代謝中間体
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Japanese Journal
- 前田 光治,倉持 秀敏,大迫 政浩,中川 究也,朝熊 裕介,福井 啓介
- 化学工学論文集 36(5), 432-434, 2010-11-20
- … イオディーゼルの製造過程では液体原料が望まれる.本研究では,廃油脂類として市販食用油と市販固化剤の系,廃食用油としてトリオレインとパルミチン酸2成分系の固化特性を測定し,それを簡単な熱力学関数で計算した.トリオレインとパルミチン酸2成分系の混合物は65℃以上ですべての組成で液化し,単純共晶系,あるいは固溶体系であることを前提とした計算値はうまく実験値を再現でき …
- NAID 10027619172
- パルミチン酸レチノール内服が著効した小児毛孔性紅色粃糠疹の1例
- 西元 順子,瀬戸山 充,青木 洋子
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 72(4), 349-352, 2010-08-01
- NAID 10026636860
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 高カロリー輸液用 総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質液
販売名
フルカリック1号輸液(903mL)
組成
- 本剤は大室液,中室液及び小室液の3液からなる高カロリー輸液用 総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質液で,使用時には3液を混合し,1液として使用する.
(1)大室
成分/容量
有効成分(大室)
- ブドウ糖 120g
L-乳酸ナトリウム液 6.724g
(L-乳酸ナトリウムとして) (3.362g)
グルコン酸カルシウム水和物 1.906g
塩化ナトリウム 1.169g
酢酸カリウム 1.168g
リン酸二水素カリウム 1.100g
塩化マグネシウム 1.017g
塩化カリウム 0.746g
硫酸亜鉛水和物 5.8mg
チアミン塩化物塩酸塩 1.5mg
ピリドキシン塩酸塩 2mg
ニコチン酸アミド 20mg
添加物(大室)
- 希塩酸(pH調節剤) 3.445g
コハク酸(pH調節剤) 適量
(2)中室
成分/容量
有効成分(中室)
- L-イソロイシン 1.700g
L-ロイシン 2.700g
リンゴ酸リジン 2.305g
亜硫酸リジン 0.108g
(L-リジンとして) (1.600g)
L-メチオニン 0.780g
L-フェニルアラニン 1.540g
L-トレオニン 0.960g
L-トリプトファン 0.320g
L-バリン 1.800g
リンゴ酸システイン 0.310g
(L-システインとして) (0.200g)
L-チロジン 0.100g
L-アルギニン 2.220g
L-ヒスチジン 0.940g
L-アラニン 1.720g
L-アスパラギン酸 0.100g
L-グルタミン酸 0.100g
グリシン 1.100g
L-プロリン 1.280g
L-セリン 0.840g
アスコルビン酸 50mg
リボフラビンリン酸エステルナトリウム 2.54mg
(リボフラビンとして) (2mg)
パンテノール 7.02mg
(パントテン酸として) (7.5mg)
添加物(中室)
- コハク酸(pH調節剤) 0.125g
クエン酸水和物(pH調節剤) 適量
(3)小室
成分/容量
有効成分(小室)
- シアノコバラミン 5μg
葉酸 0.2mg
ビオチン 0.05mg
レチノールパルミチン酸エステル 1650IU
エルゴカルシフェロール 5μg
トコフェロール酢酸エステル 7.5mg
フィトナジオン 1mg
添加物(小室)
- ポリソルベート80(可溶剤) 40mg
ポリソルベート20(可溶剤) 20mg
D-ソルビトール(安定剤) 0.288g
水酸化ナトリウム(pH調節剤) 適量
クエン酸水和物(pH調節剤) 適量
(4)混合後
成分/容量
糖(混合後)
電解質(混合後)
- Na+ 50mEq
K+ 30mEq
Mg2+ 10mEq
Ca2+ 8.5mEq
Cl- 49mEq
Acetate- 11.9mEq
L-Lactate- 30mEq
Gluconate- 8.5mEq
P 250mg
Zn 20μmol
ビタミン(混合後)
- チアミン塩化物塩酸塩 1.5mg
リボフラビンリン酸エステルナトリウム 2.54mg
ピリドキシン塩酸塩 2mg
シアノコバラミン 5μg
ニコチン酸アミド 20mg
パンテノール 7.02mg
葉酸 0.2mg
ビオチン 0.05mg
アスコルビン酸 50mg
レチノールパルミチン酸エステル 1650IU
エルゴカルシフェロール 5μg
トコフェロール酢酸エステル 7.5mg
フィトナジオン 1mg
アミノ酸(混合後)
- 総遊離アミノ酸 20g
総窒素 3.12g
必須アミノ酸/非必須アミノ酸 1.33
分岐鎖アミノ酸/総遊離アミノ酸 31.0w/w%
総熱量(混合後)
非蛋白熱量(混合後)
非蛋白熱量/窒素(混合後)
禁忌
- 本剤又は本剤配合成分に過敏症の既往歴のある患者
- 血友病の患者
[出血時間を延長することがある(パンテノール含有のため).]
[乳酸血症が悪化するおそれがある.]
[高ナトリウム血症が悪化するおそれがある.]
[高クロール血症が悪化するおそれがある.]
- 高カリウム血症,乏尿,アジソン病,高窒素血症の患者
[高カリウム血症が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[高リン血症が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[高マグネシウム血症が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[高カルシウム血症が悪化するおそれがある.]
[肝性昏睡が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[高窒素血症が誘発されるおそれがある.]
[アミノ酸インバランスが助長されるおそれがある.]
効能または効果
- 経口,経腸管栄養補給が不能又は不十分で,経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分,電解質,カロリー,アミノ酸及びビタミンの補給.
フルカリック1号輸液
- 本剤は経中心静脈栄養療法の開始時で,耐糖能が不明の場合や耐糖能が低下している場合の開始液として,あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており,ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる.
通常,成人には1日1806mLを24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する.
なお,年齢,症状,体重により適宜増減する.
フルカリック2号輸液
通常,成人には1日2006mLを24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する.
なお,年齢,症状,体重により適宜増減する.
フルカリック3号輸液
通常,成人には1日2206mLを24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する.
なお,年齢,症状,体重により適宜増減する.
慎重投与
[副作用が強くあらわれることがあり,腎不全病態が悪化するおそれがある.]
- 本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者
[過敏症等の副作用が強くあらわれることがある.]
[カテーテルが二次感染巣となることがあり,敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある.]
[脱水症が悪化するおそれがある.]
[高血糖が誘発され,脱水症状が悪化するおそれがある.]
[心不全が悪化するおそれがある.]
[水,電解質及び窒素代謝物が蓄積するおそれがある.]
[高血糖が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[水,電解質異常が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[アシドーシスが悪化するおそれがある.]
[高血糖が悪化又は誘発されるおそれがある.]
[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
[「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
アシドーシス
- 重篤なアシドーシスがあらわれることがある (「警告」の項参照).
ショック,アナフィラキシー
- ショック,アナフィラキシーを起こすことがあるので,観察を十分に行い,血圧低下,意識障害,呼吸困難,チアノーゼ,悪心,胸内苦悶,顔面潮紅,そう痒感,発汗等があらわれた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
高血糖
- 本剤は高濃度のブドウ糖含有製剤なので,過度の高血糖,高浸透圧利尿,口渇があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合にはインスリン投与等の適切な処置を行うこと.
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fatty acid, fatty acids
- 同
- 脂酸
脂肪酸の酸化 FB.383-389
- アシルCoAはミトコンドリア内膜を通過できないので、カルニチンにアシル基を転移してもらい、ミトコンドリア内膜でアシルCoAに戻される。
- 不飽和脂肪酸の酸化
- β酸化(偶数炭素脂肪酸(C-C2n-CO-ScoA)@ミトコンドリア
- 奇数炭素脂肪酸(C2n-CO-ScoA))@ミトコンドリア
- β酸化@ペルオキシソーム:鎖長C22以上の長い脂肪酸は拡散でペルオキシソームに移動して酸化される。
- 脂肪酸の融点:炭素鎖が長い方が分子間の相互作用が多く、強固に配列できる。不飽和結合が少なければ立体的に障害が少なく強固に配列できる → 炭素数が長く、飽和度が低いほど融点が高い。0
参考
[★]
- 英
- carboxylic acid
カルボン酸の一覧
飽和脂肪酸
炭素数
|
慣用名
|
IUPAC名
|
化学式
|
備考
|
1 |
ギ酸 |
メタン酸 |
HCOOH |
アリ、ハチの毒
|
2 |
酢酸 |
エタン酸 |
CH3COOH |
酢
|
3 |
プロピオン酸 |
プロパン酸 |
CH3CH2COOH |
|
4 |
酪酸 |
ブタン酸
|
CH3(CH2)2COOH |
油脂が腐敗した臭い
|
5 |
吉草酸 |
ペンタン酸
|
CH3(CH2)3COOH |
|
6 |
カプロン酸 |
ヘキサン酸
|
CH3(CH2)4COOH |
|
7 |
エナント酸 |
ヘプタン酸
|
CH3(CH2)5COOH |
|
8 |
カプリル酸 |
オクタン酸
|
CH3(CH2)6COOH |
|
9 |
ペラルゴン酸 |
ノナン酸
|
CH3(CH2)7COOH |
|
10 |
カプリン酸 |
デカン酸
|
CH3(CH2)8COOH |
|
12 |
ラウリン酸 |
ドデカン酸
|
CH3(CH2)10COOH |
ココナッツ油
|
14 |
ミリスチン酸 |
テトラデカン酸
|
CH3(CH2)12COOH |
|
16 |
パルミチン酸 |
ヘキサデカン酸
|
CH3(CH2)14COOH |
|
17 |
マルガリン酸 |
ヘプタデカン酸
|
CH3(CH2)15COOH |
|
18 |
ステアリン酸 |
オクタデカン酸
|
CH3(CH2)16COOH |
|
[★]
- 英
- phosphatidylcholine PC PtdCho
- 同
- レシチン lecithin, 1,2-ジアシルグリセロホスホコリン sn-1,2-diacylglycerophosphocholine
- 関
- コリン、グリセロリン脂質。L/S比
- 図:FB.154
- グリセロリン脂質の一種で、リン酸を介してコリンが結合している
構造
胎児の肺サーファクタント
[★]
- 英
- cetanol
- 関
- パルミチルアルコール
- パーム油などの植物油を精製して製造されている。
- パルミチン酸のカルボキシ基を還元して水酸基にしたもの。
- 示性式:CH3(CH2)15OH
- 化粧品や軟膏基剤として用いられいている。
[★]
パルミチン酸、パルミチン酸エステル、パルミチン酸塩
- 関
- hexadecanoic acid、palmitic acid
[★]
- 英
- dexamethasone palmitate
- 関
- デキサメサゾン、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメサゾン
[★]
- 英
- palmitoyltransferase
- 関
- パルミトイルトランスフェラーゼ
[★]
- 英
- palmitoylation
- 関
- パルミトイル化、パルミチル化
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義