- 英
- glycerophospholipid
- 関
- リン脂質
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/24 07:21:25」(JST)
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リン脂質(リンししつ、Phospholipid)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称。両親媒性を持ち、脂質二重層を形成して糖脂質やコレステロールと共に細胞膜の主要な構成成分となるほか、生体内でのシグナル伝達にも関わる。
リン脂質の1種、ホスファチジルコリン(レシチン)の構造式。2つの脂肪酸(オレイン酸・パルミチン酸)・グリセリン・リン酸・コリンが複合した構造をもつ。
目次
- 1 構造
- 2 分類
- 3 生合成経路
- 4 役割
- 5 主なリン脂質
- 6 関連項目
- 7 参考文献
|
構造
一般的なリン脂質は、 グリセリンやスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつ。アルコールには通常何らかの形で窒素が含まれる。脂肪酸やアルコールには様々な種類があるため、組み合わせによってきわめて多くの種類が存在する。
リン酸は3価の酸であるため、3つのヒドロキシル基のうち2箇所が骨格ならびにアルコールとエステル結合を形成しても、残り1個所は電離してアニオンが生じる。構造中に疎水性の脂肪酸エステル部位と親水性のリン酸アニオン部位が共存するために、リン脂質は界面活性剤のような両親媒性を示し、水中では外側に親水性部を向けて疎水性部同士が集まることでベシクル状の安定な脂質二重層を形成する。
分類
リン脂質は、大きく分けてグリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2つが存在する。
グリセリンのC1、C2位に脂肪酸が、C3位にリン酸がそれぞれエステル結合した分子をホスファチジン酸、ホスファチジン酸からC2位の脂肪酸が外れた分子をリゾホスファチジン酸という。C1には飽和脂肪酸が、C2位には不飽和脂肪酸が結合している場合が多い。古細菌の細胞膜では、脂肪酸がエステル結合でなくエーテル結合をしたエーテル型脂質も存在している[1]。アルコールの種類としてはコリン・エタノールアミン・イノシトール・セリン・グリセリンなどを取りうる。
スフィンゴシンはパルミチン酸とセリンから合成される物質で、グリセリンのC2位のヒドロキシ基がアミノ基で置き換わり、さらにC1位に長鎖アルキル基が結合した構造を持つ。このため、C2位は脂肪酸とアミド結合を形成する。スフィンゴリン脂質としてはスフィンゴミエリンが知られる。
生合成経路
グリセロリン脂質では、まずアルコールがキナーゼとアデノシン三リン酸 (ATP) によってリン酸エステル化される。次にシチジン二リン酸 (CTP) と反応し、活性アルコールとなる。これが1,2-ジグリセリドと反応することによって、グリセロリン脂質が生成する。ホスファチジルセリンはホスファチジルエタノールアミンのメチル化によっても生じる。[2]。
スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)は、以前は スフィンゴシンのアミノ基がアセチルCoAによってアセチル化されてセラミドが生じ、次にヒドロキシル基がCTPによって活性化されたコリンと反応してスフィンゴミエリンが生成するものと考えられていた。しかし、現在では中間生成物としてスフィンゴシンを経由しない経路が提唱されている[3], [4] 。
役割
リン脂質は自己組織化によって脂質二重層を形成し、細胞膜の主要な構成要素となる他、細胞膜内外の物質移動に用いられる小さな脂質ベシクル(リポソーム)を形成する。脂質二重層は浸透性があり、柔軟で、流体のような特性をもつため、中のリン脂質やタンパク質は面内方向に比較的自由に動くことができる。
また、リン脂質がホスホリパーゼA2などの酵素によって分解されて生じるホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸、あるいはアラキドン酸などの各種脂肪酸は、シグナル伝達において重要な役割を担っていることが明らかにされつつある[5]。
主なリン脂質
- ホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine) - レシチンともいう。コリン神経系でのアセチルコリン生合成経路におけるコリンの供給源となる。
- ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine) - セファリン(ケファリン、Cephalin)ともいう。
- ホスファチジルイノシトール - 細胞膜中の存在量は多くないが、PI3キナーゼなどの基質となり、シグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーなどとしてはたらく。リン酸化の程度が異なる数種類が存在する。
- ホスファチジルセリン(Phosphatidylserine) - ホスファチジルエタノールアミンをメチル化した構造を持つ。
- ホスファチジルグリセロール(Phosphatidylglycerol) - 植物の葉などに多く含まれる。
- ジホスファチジルグリセロール(Diphosphatidyl glycerol) - カルジオリピン(Cardiolipin) ともいう。
- スフィンゴミエリン - 髄鞘に多く含まれる。
関連項目
- 抗リン脂質抗体症候群 - 自己免疫疾患のひとつ。
- 糖脂質 - リン脂質と同じ複合脂質の1種。
- 脂質ラフト - 細胞膜に存在する部分構造。
参考文献
- 全般:『生体分子科学 第六部 細胞膜脂質の特徴』(京都大学)
- ^ http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/ikagaku/research_j.html
- ^ http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/triglyc.htm
- ^ http://bio.takara.co.jp/catalog/pdfs/8570.pdf
- ^ Progress in Lipid Research 2002, 41 (1), 66-97. DOI:10.1016/S0163-7827(01)00020-0
- ^ http://www.rinshoken.or.jp/P/project_j.htm
Japanese Journal
- スフィンゴミエリナーゼ活性を有する細菌毒素の作用機構に関する研究
- 小田 真隆
- 日本細菌学雑誌 66(2), 159-167, 2011-10-31
- … Cp-SMaseは,細胞膜中でグリセロリン脂質の代謝亢進を惹起することによってラットの血管平滑筋の収縮やウサギ赤血球の溶血を引き起こすことが明らかにされてきたが,Bc-SMaseの作用機構に関しては不明であった。 …
- NAID 10030278596
- 脂質メディエーターとして機能するN-アシルエタノールアミンの分解酵素とその阻害薬
- 坪井 一人,上田 夏生
- 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 138(1), 8-12, 2011-07-01
- … -オレオイルエタノールアミンは,それぞれ抗炎症・鎮痛作用,食欲抑制作用を持つ.これらの化合物はグリセロリン脂質を出発材料として生合成された後,脂肪酸とエタノールアミンに加水分解されることで生物活性を失う.分解酵素については膜に存在する脂肪酸アミド加水分解酵素(fatty acid amide hydrolase: FAAH)が古くから知られているが,著者らが見出したリソソーム酵素である<I>N</I> …
- NAID 10029417830
- 哺乳動物細胞におけるグリセロリン脂質の生合成とその制御
Related Links
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Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- phosphatidylcholine PC PtdCho
- 同
- レシチン lecithin, 1,2-ジアシルグリセロホスホコリン sn-1,2-diacylglycerophosphocholine
- 関
- コリン、グリセロリン脂質。L/S比
- 図:FB.154
- グリセロリン脂質の一種で、リン酸を介してコリンが結合している
構造
胎児の肺サーファクタント
[★]
- 英
- phosphatidic acid
- 同
- ジアシル-L-3-グリセロホスファート diacyl-L-3-glycerol phosphate、1,2-ジアシルグリセロール3-リン酸 1,2-diacylglycerol 3-phosphate
- 関
- グリセロリン脂質
[★]
- 英
- plasmalogen
- 同
- プラスマローゲン、アセタールホスホリピド acetal phospholipid、アルケニルエーテルホスホリピド alkenylether phospholipid
- 関
- グリセロリン脂質
[★]
- 英
- phosphoglyceride
- 同
- グリセロリン脂質
[★]
- 関
- phosphoglyceride
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- celery、Apium graveolens
[★]
- 英
- quality
- 関
- 品質