- 英
- naloxone
- 化
- 塩酸ナロキソン, naloxone hydrochloride
- 商
- ナロキソン塩酸塩、Narcan
- 関
- オピオイド受容体
-
概要
作用機序
- オピオイド受容体のμ受容体、δ受容体、κ受容体の全ての受容体に対し拮抗的に結合する。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/24 15:29:56」(JST)
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ナロキソン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
17-allyl-4,5α-epoxy-
3,14-dihydroxymorphinan-6-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B (US)
B1 (AU) |
法的規制 |
Prescription Only (S4) (AU) Schedule I (CA) |
投与方法 |
経静脈、筋肉注射 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
2% (90% absorption but high first-pass metabolism) |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
1-1.5 時間 |
排泄 |
腎臓、胆汁 |
識別 |
CAS登録番号 |
465-65-6 |
ATCコード |
V03AB15 |
PubChem |
CID 4425 |
DrugBank |
APRD00025 |
KEGG |
D08249 |
化学的データ |
化学式 |
C19H21NO4 |
分子量 |
327.27 |
ナロキソン (naloxone) とは麻薬拮抗剤の一種。麻薬の呼吸抑制作用によって呼吸困難を起こしている場合に静脈注射することで、麻薬の作用と拮抗して呼吸を回復させることが出来る。無色の固体で融点 184 ℃、CAS登録番号は [465-65-6][1]。
薬理作用[編集]
アヘンやモルヒネに対して効果を持つ。オピオイド受容体に作用する。特にμ受容体との親和性が高く、呼吸抑制や縮瞳を回復させるのに役立つ。
参考文献[編集]
- ^ Merck Index 13th ed., 6388.
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Japanese Journal
- マウスの移所運動からみたモルヒネ増感現象のオピエート受容体拮抗薬ナロキソンによる時間依存的抑制
- P1-254 オピオイド投与時における経口ナロキソンの有効性、安全性についてのメタ解析(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(緩和ケア),医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 小松 敏彰,大川原 裕樹,石田 有香,菅原 充広,新井 万理子,松原 肇,矢後 和夫
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 19, 335, 2009-09-15
- NAID 110007484890
- アルチバ^【○!R】(レミフェンタニル塩酸塩)静注用2mg・5mgの薬理学的特徴および臨床試験成績
- 野村 俊治,新井 勉,竹内 聡士,桝井 章憲,若松 昭秀,原田 寧
- 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 130(4), 321-329, 2007-10-01
- … タニルのμ-オピオイド受容体に対する親和性は,δ-またはκ-オピオイド受容体のそれぞれ約25または2300倍であった.摘出モルモット回腸の経壁電気刺激誘発収縮に対するレミフェンタニルの抑制作用は,ナロキソンにより競合的に拮抗されたが,κ-またはδ-オピオイド受容体選択的拮抗薬で影響を受けなかった.レミフェンタニルの3 μg/kg以上をラットに単回静脈内投与すると,投与直後から鎮痛作用(tail-flick法)が …
- NAID 10020167614
Related Links
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- ブプレノルフィン、ブトルファノール、レバロルファン、ナロキソン、エトルフィンなどが代表 的である。 これらはモルヒネと異なる薬物特性を持っており、モルヒネの代替薬物では ない。 benzomorphan ベンゾモルファン(ベンゾアゾシン)系. 1961年にEverette L. ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
有効成分
添加物
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- バルビツール系薬剤等の非麻薬性中枢神経抑制剤又は病的原因による呼吸抑制のある患者[無効のため]
効能または効果
- 麻薬による呼吸抑制ならびに覚醒遅延の改善
- ナロキソン塩酸塩として、通常成人1回0.2mgを静脈内注射する。
効果不十分の場合、さらに2〜3分間隔で0.2mgを1〜2回追加投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
慎重投与
- 高血圧、心疾患のある患者[本剤によって麻薬等による抑制が急激に拮抗されると血圧上昇、頻脈等を起こすことがある。]
重大な副作用
肺水腫
頻度不明
- 肺水腫があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
呼吸抑制に対する拮抗作用6,7)
- モルヒネの静注により惹起されたウサギの呼吸抑制作用を指標として、本剤の拮抗作用の強さを他剤と比較した場合、レバロルファンの約3倍、ナロルフィンの約15倍強力である。
本剤のこうした呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用の強さに比し、2〜3倍強力であり、臨床上麻薬性鎮痛剤の鎮痛作用を減弱させることなく、呼吸抑制を緩解し得ることの裏付けとなっている。
麻薬様アゴニスト作用の有無8,9)
- アゴニスト作用とアンタゴニスト作用の比を表す有効拮抗力をモルモット摘出回腸による実験から求めた結果、[ID50(回腸縦走筋収縮を50%抑制するに要する濃度)/Ke(平衡定数)]はレバロルファンが3.8であるのに比し、ナロキソン塩酸塩は56,000以上であり、本剤には実質的には麻薬様のアゴニスト作用のないことが確認されている。
また、サルを用いた試験において、レバロルファンには麻薬様アゴニスト作用がみられたのに対し、ナロキソン塩酸塩は、モルヒネに起因した呼吸抑制作用に拮抗する100倍量を単独投与しても呼吸機能を抑制せず、本剤は麻薬様アゴニスト作用を有しないことが示唆されている。
作用機序10)
- ナロキソン塩酸塩は、オピエートレセプターにおいて麻薬性鎮痛剤の作用を競合的に拮抗することにより、これらの薬剤に起因する呼吸抑制等の作用を改善すると言われている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ナロキソン塩酸塩(Naloxone Hydrochloride)
化学名
- (5R ,14S )-17-Allyl-4,5-epoxy-3,14-dihydroxymorphinan-6-one monohydrochloride
分子式
分子量
性状
水に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくい。
吸湿性である。
光によって着色する。
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 50歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。農業用の共同管理小屋の近くで倒れているのを近所の人が発見し、救急車を要請した。最近、うつ傾向のため自宅近くの医療機関を受診していたという。農作業に従事しており、一人暮らしである。意識レベルはJCSⅡ-20。身長 165cm、体重 60kg。体温 36.0℃。心拍数 44/分、整。血圧 98/56mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96%(room air)。縮瞳を認める。皮膚は湿潤していて発赤を認めない。骨格筋の線維束攣縮を認める。腹部に異常を認めない。尿所見:淡黄色透明、蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 480万、白血球 6,200、血小板 30万。血液生化学所見:アルブミン 4.6g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 28U/L、ALT 35U/L、LD 310U/L(基準 176~353)、ALP 200U/L(基準 115~359)、γ-GTP 25U/L(基準 8~50)、コリンエステラーゼ OU/L(基準 400~800)、アミラーゼ 45U/L(基準 37~160)、CK 20U/L(基準 30~140)、クレアチニン 1.0mg/dL。動脈血ガス分析(room air):PaCO2 40Torr、PaO2 98Torr、HCO3- 24mEq/L。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A055]←[国試_111]→[111A057]
[★]
- 次の文を読み、59~61の問いに答えよ。
- 46歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
- 現病歴:部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。
- 既往歴:20歳ころ、うつ病の治療歴あり。
- 生活歴:無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。
- 家族歴:独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。
- 現症:体温 36.8℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mmに縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。
- この患者に投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B060]←[国試_110]→[110B062]
[★]
- 抜管後の術後呼吸抑制の原因薬物と拮抗薬の組合せで適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G017]←[国試_108]→[108G019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103E007]←[国試_103]→[103E009]
[★]
- 術後の硬膜外モルヒネ投与について正しいのはどれか?
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 英
- opioid receptor
- 同
- モルヒネ受容体 morphine receptor
- 関
- オピオイドペプチド、オピオイド
- オピオイド受容体はμ受容体、κ受容体、δ受容体がある。
- モルヒネ、フェンタニルはμ受容体刺激薬
- 呼吸抑制はμ2受容体を介したものである。
オピオイドとオピオイド受容体 (GOO.552)
オピオイド受容体の生理作用(周術期管理学 091211 III)
受容体
|
μ
|
δ
|
κ
|
μ1
|
μ2
|
作用
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
鎮痛
|
悪心・嘔吐
|
鎮静
|
鎮静
|
身体依存
|
多幸感
|
呼吸抑制
|
身体違和感
|
精神依存
|
掻痒感
|
身体依存
|
気分不快
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
精神依存
|
興奮
|
|
尿閉
|
消化器運動抑制
|
幻覚
|
|
鎮咳
|
鎮咳
|
|
呼吸抑制
|
縮瞳
|
利尿
|
オピオイド受容体と非麻薬性鎮痛薬について
身体依存性
- 痛みがある人には精神的依存はきたさない(痛みの有無によらず退薬現象はある)
[★]
- 英
- nonopioid analgesic, non-narcotic analgesic
- 同
- 麻薬拮抗性鎮痛薬、麻薬性拮抗性鎮痛薬
- 関
- 薬理学
麻薬拮抗性鎮痛薬とオピオイド受容体
(標準麻酔科学 第2版p.182)
受容体
|
μ
|
δ
|
κ
|
作用
|
μ1
|
μ2
|
上脊髄性鎮痛
|
|
幻覚・譫妄
|
脊髄性鎮痛
|
|
呼吸抑制
|
呼吸促進
|
呼吸抑制
|
|
身体依存性
|
不快感
|
鎮静
|
|
徐脈
|
頻脈
|
脈拍不変
|
縮瞳
|
散瞳
|
痙攣
|
モルヒネ
|
agonist
|
-
|
agonist
|
ペンタゾシン
|
antagonist
|
agonist
|
agonist
|
ブプレノルフィン
|
partial agonist
|
-
|
agonist
|
ブトルファノール
|
antagonist
|
-
|
agonist
|
ナロキソン
|
antagonist
|
antagonist
|
antagonist
|
[★]
- 英
- narcotic analgesic, narcotic analgesics
- 同
- オピオイド鎮痛薬、モルフィン鎮痛薬???
- 関
- オピオイド
モルフィン鎮痛薬
内因性オピオイド
外因性オピオイド
合成
麻酔薬として
- 心臓手術やハイリスク患者の麻酔に用いる。
- 使用される薬にはクエン酸ファンタネルやモルヒネがある。
- 脳神経に存在する麻酔特有の受容体(オピオイド受容体)をしげきする
- 鎮痛作用は協力
- 麻酔薬なので常習性がある。
- 副作用:呼吸抑制、精神神経作用、消化器症状がある。
- 注意:患者さんの状態に合わせて、睡眠作用のある薬を使用。すなわち、これ単独では眠らない(記憶を失わない)
- ○強力な鎮痛・鎮静。血圧安定
- ×術中覚醒。呼吸抑制。筋硬直。徐脈。術中高血圧
- パンクロニウム(長時間使用で頻脈になる)を併せて使うことがある。
依存性
副作用
[★]
- 英
- intratracheal administration、intratracheal instillation
- 関
- 気管内注入
- 気管内投与可能な薬物(can be given via endotracheal tube)
- 参考1,2
参考
- http://a-study-a-day.seesaa.net/article/9369963.html
- http://suuchan.net/pukiwiki/index.php?%B5%A4%B4%C9%C6%E2%C5%EA%CD%BF
[★]
- 英
- morphine poisoning